4話
あれから2年後俺は5歳になり、仲間を順調に増やし、今や仲間は百を超える。
きび団子は1日で使わないとリセットされるみたいだ。
服は申し訳ないが、他の魔物が人から追い剥いだのであろう子供服を着回している。
「それにしてもどうするかなぁ、意外と居心地がいいんだよなぁ」
魔物が狩ってきた肉を仲間が持ってきたり、仲間が狩ってきたり。生きていく上で困ることはない。
おかげで脂肪が溜まりまくっている。5歳児にして肥満児。側から見たら俺も魔物に見えるかもしれない。
スキル吸収を使い脂肪を吸収し、排出する。
これでイケメン5歳児に変身する。
「いい加減人里に降りるか…お前ら隠れて待ってろよ」
百を超える魔物が膝をつき、霧散する。
霧が全て桃太郎の体に吸収される。
この状態はさらに体が強くなり、魔物スキルもクールタイムなしで使えるようになる。
一番イケてる服を選び、着る。
「さぁて、これから俺の物語が始まるぜ」
大地を踏み締め歩き始める。
こうして桃太郎の初めの冒険が始まった。
―
はずだったんだが、どうして俺は捕まっているのだろうか?
おかしい。手錠らしきものを付けられている。
どうやらこのいい服は世界に一着しかないらしく、その服を着た人は魔物に殺されたらしい。
その服を何故持っているのか、と言った理由で連行されている。正直言ったら色々やばいんだろうなと思い、明言を避
けている。
マジでどうしよう。
魔物を使役しているとわかれば、間違いなく、殺されるだろう。
そうでなくても魔物をどう対処したかも問われると答えられないだろう。
あれ?これ変な服を着たせいで詰んだ?また無理ゲー?
それともこいつら倒して逃げる?でもこの手錠をつけるとスキルが一才使えなくなるみたいだから5歳児の力で、フル装
備5人相手は難しいだろう。
そうこう考えているうちに止まる。
「おい、出ろ」
その言葉に従って出る。
どうやら馬車だったらしい。
「ありがとうな」馬の頭を摩りながらきび団子を食べさせる。どうやらバレていないようだ。