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幕話②「とある傭兵団の平凡な一日~犯罪奴隷の視点~(中編)」

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!

ブックマーク登録350件もいただき、すごく嬉しいです!

これからも頑張りますので、今後とも、よろしくお願いいたします!

 【PM12:30】


 「・・・ふう、今日のお昼ご飯、とても美味しかったわ♥この【ワショク】という料理、今度、作り方を教えて欲しいわね」


 斗真とあたしが作った【エルフ豆の豆腐ハンバーグ】と【ドラドフィッシュ(タイのような魚)とラパン(根菜の一種、大根のような味がする)のエルフ豆味噌仕込みの粗汁】、【ポテトサラダ】は、ベアトリクス陛下から、絶賛の言葉をいただいた。


 「しかし、まさか、エルフ豆を利用して、こんな調味料や加工食品を作ってしまうなんてね。異世界人の食にかける情熱は、計り知れないわね」


 「・・・斗真が、みそ汁が飲みたいって言っていたから、試しに作ってみたんですよ。時魔法を使って、じっくりと時間をかけて熟成させて味噌を作ってみたんだけど、気に入ってもらえたなら何よりです」


 「うん、すごく、美味しかった!桜、料理、上手だね!」


 そりゃまあ、中学に上がった頃から一人暮らし同然だったから、身の回りの世話は、自分でやらなければならなかったしな。最初は失敗ばかりだったけど、何とか今では、炊事・洗濯・掃除はそれなりにこなせるようにはなった。


 「・・・むむむ、ライバル出現ですわね。この味付けも、なかなか、お見事ですわ」


 「アレクシアの闘争心に、火が点いたな」


 「メチャクチャ美味いぞ、お代わりーっ!!」


 「・・・・・・トーマが作ったハンバーグ、おいちい♥」


 ビビアナさんが、まるでリスみたいに、ほっぺたいっぱいになって、ハンバーグを美味しそうにほおばっている。本当に、小動物みたいな人だけど、この人が、この隊員の中で一番最年長とは思えないよな。


 「それで、今度の一件について、報告することがあるんだけど、いいかしら?」


 そう言うと、皆の視線がベアトリクス陛下に集中し、和やかだった空気が、少しだけ、引き締まった。

 

 「まず【風の黄騎士】の団員たちが調べ上げてくれた証拠のおかげで、クロスに対する正式な抗議をする準備が整ったわ。パラケルススの魔石を錬成するために、封印の間で何らかの儀式が行われていたのは間違いない。禁忌を犯した国には、サマリア、ハニーベル、ブラオベーレ、スピタルが全力を持って、その罪を償ってもらうわ。もし、我々の抗議に対しても歯向かうつもりならば、今度こそ叩き潰す」


 魔法能力を永久に使えなくしたうえで、王族から奴隷に転落して、禁忌に手を出した大犯罪者として、死ぬまでこき使われるというのは、ある意味、死刑よりも辛い罰かもしれない。これでも甘すぎると思われるほどの案なのだ。


 しかし、おそらく、イグナーツ国王やセルマっちは、大人しく自分の罪を認めることはしないだろう。


 「手段は選ばないわ。もはや、クロスの王族や貴族の大半が、この禁忌に関わっていた可能性がある以上、野放しにはすることは出来ない。クロスには、この世界から存在そのものを抹消させる」


 「・・・そうか、姐さんもついに、腹をくくったわけか」


 ベアトリクス陛下は、自身が、英雄の国を滅亡させた魔王という汚名も背負う覚悟で、この決断をしたのだろう。


 「・・・あの、ちょっと、いいですか?もしかしたら、ベリス姉さまが、非難を浴びることが、もしかしたらなくなるかもしれないんですけど」


 「・・・あー、確かに、その心配はなさそうだよね」


 斗真とあたしの言葉に、全員の表情がぽかんとした表情になる。

 

 「・・・それは、どういうことだよ?」


 「桜、その為に、異世界ネットワークを作ったんだよね?」


 「まあね。どうせ、クロスの連中が、俺たちが魔王を倒して、世界を平和にしたら元の世界に帰してやるなんて話し、真っ赤な嘘だと思っていたからな。利用するだけ利用して、いらなくなったら切り捨てるつもりだったなんてこと、分かっていたから、対策を打っておいたんだよ」


 そこで、あたしは、タブレットを取り出した。


 「セルマに渡したAのタブレット、そして、千鶴たちに、セルマの動きを監視するために、セルマのタブレットの中身を盗み見することが出来るBのタブレットを渡しておいたの。そして、ここにあるCのタブレットは、AとBのタブレット両方の情報を全て盗み見するだけではなく、情報を操作することが出来るように、プログラミングされたものなんだ」


 「鬼島さんはこれを松本にも内緒で作って、松本とセルマの両方を監視していたんだね」


 「・・・鬼島ちゃんは、この時点で、千鶴とセルマが繋がっていることに、薄々気づいていたんだろうな」


 そして、調べてみた結果は・・・。

 鬼島ちゃんの予想通り、千鶴とセルマが繋がっていたことが判明したのだ。


 タブレットを開き、千鶴とセルマがメッセージアプリで会話をしているやり取りが記録されていた。

 その中には、今度のオラドールの里のエルフたちや、邪眼一族の渾沌将軍と結託して、シャルトリューズの森とスピタルを手に入れるための、侵略における計画の全容があった。


 その他にも、これまでに斗真たちが関わってきた事件において、裏で、千鶴とセルマが手を組んで、計画を思いついていたことが判明したのだ。


 「・・・鳳や、雁野をそそのかしたのも、松本だったなんて・・・!」


 「まあ、桐ちゃんの場合は可愛い女の子には弱いから、あっさりと言うことを信じて、千鶴の話をろくに疑わずに乗っちゃったんだろうね。雁野にしても、斗真と戦うことが出来ると言えば、誘いに飛びつくだろうし。・・・俺も、まんまと騙されたてたわけだしさ」


 まさか、俺と付き合った理由が『桜くんのことは好きだったけど、大事な人を自分の手で消せば、失うものが無くなって、自分はもっと英雄として強くなれそうだから。そういう大事な存在が、誰でもいいから、欲しかったから』というものだとは思わなかった。告白して、1ヶ月で捨てられましたよ。


 「・・・あのさあ、申し訳ないんだけど、この子、本当に一体、何を考えているの?意味不明というか、世界を滅ぼすことが、世界を救済することになるって、正気とは思えないんだけど」


 「・・・俺にも、もう分からない。でも、千鶴にとっては、それが、自分が勇者になれたという、唯一の証明なんだ。誰にも信念を理解されず、孤独に戦い、自分が悪と決めつけたものを全て倒すことで、相手も苦しみや悲しみから解放されて救われると、本気で思い込んでいるみたいなんだ」


 彼女は誰も理解しない。

 誰にも理解されないことを、喜んでいる。

 孤独であり続けることが、勇者の条件だと本気で信じているのだ。


 そして、彼女の正義は、死ぬことによって、苦しみや悲しみから永久に解放してあげることが、唯一の方法なのだ。


 「・・・・・・気持ち悪い」


 「ゴメン、ボクでもフォローは出来ない」


 「そんな危ないヤツ、野放しになんてしておけるわけがないでしょう」


 「ああ、俺も千鶴をこのままにしておくつもりなんて、毛頭ない。だから、ここで、ベアトリクス陛下に対する非難を、クロス王国に対して、集中させるように仕掛けておいたのさ」


 タブレットを操作すると、メッセージが表示された。


 「このボタンを押せば、異世界ネットワークを仕掛けた際に、世界中の大国や王都に置いた小型カメラから、セルマたちの悪事の証拠を、一斉に拡散することが出来る。クロスが、ずっと秘密にしていた悪事の全容が、全世界の人々の目にさらされるってわけさ」


 「セルマの魔法印、つまり、セルマ本人が確認した証もしっかりと抑えておいたから、王宮魔導師や魔法学者の人たちが見たら、これは一体どこのものだろうかって、調べるよね?それで、正体が分かったら、禁忌にまで手を出すようなクロスに対して、どんな反応をするだろうね?」


 「そうか!お前たちは、これで、クロスと繋がっている国をあぶり出すつもりなんだな?」


 アイリスさんが、ぽんと手を叩いて、思わず声を上げた。


 「禁忌に手を出しているのに、それでも、クロスの肩を持ったり、かばうような発言をしたら、その国も禁忌に手を出しているんじゃないかって疑われるよね?」


 「そうなったら、その国も、同盟を結んでいる国や、他国から信用がなくなるよな?そうなったら、外交としては壊滅的なダメージを受けるだろうね」


 ここで、世界中に、クロスの悪行を明らかにすることにとって、3つのタイプに分ける事が出来る。


 まず、1つは、クロス王国に対して、前々から危機感を感じ取り、警戒していた国。

 この証拠が挙がって、魔界の4大勢力の一柱でもあるサマリア王国の魔王軍が筆頭になって、クロスの暴走を抗議するということになれば、クロスを潰す絶好のチャンスになると思い、協力を申し出てくると思われる国。


 次に、我、意に関せずといった感じで、サマリアにも干渉しないけど、クロスのことも見て見ぬふりをすることを決め込んだ国。この国に関しては、反魔物派といった態勢が敷かれている国が多く属していると思われる。いくらクロスが禁忌に手を出しているとはいえ、魔王軍に手を貸すわけにはいかない、もしくは、関わり合いたくないという意思を表示している国ということになる。


 そして最後、これが、割と重要になってくる。


 クロスが禁忌を犯しているという証拠も挙がっているのに、悪あがきをして、クロスを擁護しようとする国だ。これについては、クロスが壊滅したとしても、亡命して逃げ込むであろう国が挙げられる。これについては、これまでにクロスが裏でいろいろとやってきた悪事に加担してきた可能性が高い。


 「こうすると、敵や味方がハッキリと分かれてくるよね。そうすれば、今後、クロスや、禁忌に加担していたと思われる国がどこなのか、だいたいの見当がつくから」

 

 「そうか・・・!そこを抑えてしまえば、クロスも、頼れる国が無くなって、もはや、退路はなくなるということか!」


 あのクロスの国王や、セルマっちがそう簡単に諦めるとは思えないもんね。

 禁忌に手を出そうと、それによって自国にとって有益となるものが手に入るなら、彼らを匿う可能性だってあるのだ。


 そうなる前に、全国ネットで【実録ドキュメンタリー!英雄の国クロスの隠された裏の顏に迫る!!】という内容の番組を流すことによって、世界中にさらされるというわけさ。


 「というか、もう、そろそろ、世界中で、動きが出てくるころだと思うよ」


 「・・・トーマ?サクラ?ちょっと、もしかして、それ・・・」


 「「うん、もう、やっちゃった♥」」


 「「「「「「いや、ちょっと待て!?うちら、そんな話、聞いてないんですけど!?」」」」」」


 レベッカさんたちの目が飛び出し、あごがガコーンとはずれるほどに開いて、椅子からひっくり返った。あの、アレクシアさんも笑顔のまま、固まってしまっている。


 「だって、クロス王国が滅びようと、どうなろうと、知ったこっちゃないし。てか、今すぐにでも滅ぼしたいです。やられたらやり返す、1000倍返しで」


 「今頃、クロスにどれだけの抗議が押し寄せていることだろうね。イグナーツ国王や、セルマっちの慌てふためいている姿が目に浮かぶわ・・・!」


 ざまぁみやがれ、クロス王国!!

 世界中に、お前らの悪事の証拠をバラまいてやったぜ!!

 禁忌にまで手を出したお前らがどうなろうと、知らん。


 むしろ、地獄に落とす気マンマンですわ・・・!

 斗真も、イイ笑顔で、親指をぐっと立てているし!


 「桜とは、今後とも、いい関係を築いて行けそうだよ♥」


 「それは嬉しいね。何せ、悪企みをやるには、信用できる協力者が必要不可欠だからね」


 「・・・あの二人を本気で怒らせるなんて、クロス、マジで詰んだんじゃねーか?」


 「唯一まともな勇者を裏切り、伝説の魔法裁縫師を追放するようなバカだもん。もうどうしようもないでしょう」


 「むしろこれで、反魔物派の動きも、自分たちの行動を見直す機会になるだろうな。クロス王国が筆頭になって、魔族の滅亡を掲げていたからな。トップを失った反魔物派も、いずれは仲間割れを起こすか、組織が瓦解するのも時間の問題だろうな。連中は、クロスの操り人形のようなものだったわけだし」


 「渾沌さんを倒して、禁書の一冊を手に入れた以上、邪眼一族は間違いなく僕たちを敵として狙ってくるだろうしね。そうなると、邪魔なクロスには、ここで退場してもらったほうがいいでしょう」


 「まあ、まだ勇者軍には、雨野がいるけど、これだけの騒ぎになったら、雨野もうかつに行動出来ないよな。だからといって、油断は出来ないから、引き続き、クロスの監視は続けるけどな」


 その時だった。


 アレクシアさんが、斗真の後ろにゆらぁっと近づくと、斗真のほっぺたをつねり、モチのように、うみょーんと引っ張り出した。よく伸びる、柔らかいほっぺただなあ。

 

 「もっちぃぃぃっ!?」


 斗真、何だよ、その叫び声は。


 「・・・トーマちゃん、どうして、わたくしも誘ってくれなかったのよぅ?わたくしも、クロスに、ギャフンと言わせたかったのに!わたくしにも、復讐やらせてほしかったのにぃ!わたくしに黙ってやるなんて、ずるいですわよ~!?・・・今夜、楽しみにしておけよ。泣いても謝っても許してやらねぇからよ。たっぷりと可愛がってやるぜ♥」


 アレクシアさん、気づかれないように、小声でとんでもないことを言いやがった。


 「いひゃいいひゃいいひゃいれひゅ!ほへんにゃひゃい!!(痛い痛い痛いです!ごめんなさい!!)」


 「団長?今夜は、4人で、斗真ちゃんと楽しく”オハナシ”しましょうか?ビビちゃんも、構いませんよね?」


 「バッチコイ♥」


 「おう!!楽しい楽しいお話を、たくさんしようぜぇ?トーマぁ♥」


 斗真、終わったな・・・。


 もはや、魂が抜けてしまったかのように、斗真の顔色から血の気が引いて、真っ青になっていく。

 

 ・・・強く生きろとしか、言えんな。


 あたしは・・・知~らねっと!


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 その後、クロス王国には、世界中の国々から非難の嵐が集中したという。


 しかし、その時、あたしはまだ知らなかった。


 クロス王国が、そして、クロス王国の住人1500万人が、千鶴の手によって・・・。


 -全滅する、最悪の運命をたどることになるなんて。


 -そしてもうこの時、彼女は、動き出していたことにも。

 

クロス王国の悪事を世界中にばらまくも、千鶴の手によって、クロス王国が滅亡確定となりました。

次回【冥界の猟犬】がどうなったのか、そして、桜にも斗真と同じく。迫る魔の手が・・・?

それを書きたいと思っております!!


ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます!


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― 新着の感想 ―
[一言] サクラが半女体化のまま犯罪奴隷として斗真達の仲間になりましたね。 それで今回の番外編で大変な目に合いましたね。
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