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第六話「ブイヤベース~七人の獣騎士、入隊します!!~」

いつも拙作を読んでいただき、ありがとうございます!!

新作が描きあがりましたので、投稿いたします。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

 レベッカさんたちの拠点であるこの七宝館は、僕たちが召喚された【聖王国クロス】がある【黄の大陸レオノール】から遠く離れた南の海に浮かぶ【藍の大陸マリブ】にある1000以上もの島がある【ブルガル諸島】のうちの島の一つにある。


 その日の夜、レベッカさんとアイリスさんの再会を祝うと同時に、今後の行動をどうするか話し合うため、地下1階の酒場に集まって作戦会議を執り行うことになった。


 何でも【七人の獣騎士】のほとんどの団員がお酒が大好き、美味しいものを食べることが大好き、そして、美味しいお酒と料理を食べながら思い切り楽しむ宴会が大好きらしく、この屋敷を手に入れた時、全員で宴会が開ける酒場が欲しいとレベッカさんが言い出して、このクラシックな内装のお洒落な酒場を作ったそうな。


 「お待たせしました。魚介類のブイヤベースと、ブルスケッタです」


 僕はカウンターに用意されていた炎の魔石と風の魔石が組み込まれているコンロで作った、ブイヤベースをよそったお皿とブルスケッタを載せたお皿を、テーブル代わりに使っている樽の上に置いた。


 ちなみに材料はこの島のすぐ近くにある離れ島の食料品店で買いそろえてきた。(お代はアイリスさんがへそくりを古美術店に売りつけて、用意してくれたお金で買ってきた)


 「ぶいやべえす・・・?聞いたことのない名前の料理だな」


 「へへへっ、でもよぉ~、すっごく美味しそうな匂いがするなぁ・・・!!」


 ラトマの実という、トマトによく似ている野菜を薄く切って、乾パンの上に小エビと一緒に載せてからリモネの実の酸っぱい果汁と塩で味付けをして、リブの実で作られた爽やかな香りがするオイルを塗ってオーブンで軽く焼いたブルスケッタからは、香ばしいパンの匂いが漂っている。


 そしてブイヤベースは漁港で買ってきた白身魚やエビによく似ているもの、数種類の貝を、ラトマの実をすりつぶして、ニンニクに似ているガレオの実の欠片を隠し味として入れて、みじん切りにした香味野菜と一緒に煮込み、塩で味を調えた。


 「いっただっきまーす!!」


 「・・・ほう、これは、美味い!!」


 「うおおおおおおおおっ!?このスープ、魚のうまみがぎゅ~って詰まっていて、それにマトマのスープと混じり合うと、メチャクチャ美味しいぞっ!!」


 「ああ、口いっぱいに魚介の旨味とラトマの酸味を感じつつもまろやかな味わいが広がって、これほどなまでに美味しいスープは飲んだことがないな。見事だ」


 アイリスさんはブイヤベースを一口飲むと、驚きのあまりに目を丸くしていた。

 そして、ブルスケッタを手に取り、口に運んでいきサクサクとした歯ごたえと味を堪能すると、再びブイヤベースを優雅にすくいあげて飲んでいく。


 レベッカさんは、思わず作り手が嬉しくなりそうな満面の笑みを浮かべて、口の周りにスープがついていても気にすることなく、熱々のブイヤベースをほおばって、一口一口ごとに頬を手で押さえて感極まったように震えだす。


 そして、再会を祝って、買ってきた麦芽酒エールと葡萄酒を開けると、レベッカさんは大ジョッキにエールをなみなみと注いでいき、ぐびりぐびりと豪快に飲み干していく。氷の魔法で程よく冷えている麦芽酒から立ち上る気泡のはじける感覚や喉越しを全力で楽しんでいた。


 「ぷっはぁぁぁ~っ!!生き返ったぜぇ~っ!!やっぱり冷えたエールは最高だなっ!!」


 ワイングラスに注いで優雅に揺蕩う葡萄酒を飲みながら、アイリスさんも満更ではない様子だ。


 「さて、そろそろ君のことについても話を聞かせてもらえるだろうか?」


 「え?えーと、どこからどう話せばいいか分からないんですけど、とりあえず、何があったか話してみます。それと、スマホで撮った写真や、レコーダーで録音した音声とかもあるから何か参考になればいいんですけど」


 樽の上に置いたスマホとレコーダーを見て、どういう道具なのかを説明すると、二人は興味津々といったように話を聞いてくれた。


 「なるほど、こんな小さな魔道具なのに音声を録音できるとはな。魔力を使わずにそんなことが出来るとは、お前たちがいた世界はよほど魔道具によく似ている道具の技術が進んでいるということか」


 「それじゃ、何があったのか、話してくれよ」


 僕はこの1週間の間に起きた出来事を、記憶をたどりながら、説明した。


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 「・・・なるほどな。それで、戦闘に不向きなスキルを持っているから邪魔という理由で命を狙われたと。君のステータスを確認した王宮魔導士の目は節穴どころじゃなかったようだ。ここまで無能なのに、よくもまあこれで王宮魔導士が務まるものだとあきれてものが言えない」


 「だっろぉ~?でもさ、これにあのロリババァが気づいていたら絶対にトーマを手放すとは思えねぇんだけど」


 「録音された音声と、このスマホとやらに撮影された映像を見る限り、あの女は【勇者】のレアスキルを持っているこの5人の男女の対応にかかりきりで、残りの連中の対応は王宮魔導士たちに任せていたようだな。たまたまトーマを見た王宮魔導士が貴族上がりの間抜けなお坊ちゃんだったから【魔法裁縫師】をただの【裁縫師】と勘違いして、君を役立たずとして報告したということか」


 おそらく、僕のステータスを見てもきっとただの【裁縫師】だろうと勝手に思い込んで、そのまま王宮魔導士で一番偉い人だったらしいこの【セルマ・ティアマット】という女性に報告してしまったのだろう。


 「でもさ、どうしてそれでいきなり勇者たちに命を狙われることになるのか、分からねえんだけど」


 「・・・これはあくまでも私見だが、もしかするとトーマは見せしめの生贄にされたのかもしれない」


 アイリスさんが不機嫌そうに言うと、僕もおそらくそうだったんじゃないかなと思って納得する。

 

 「どういうことだよ?」


 「・・・実は、僕もそうだったけど、この世界に召喚された時、クラスメートのほとんどがいきなり魔王を討伐するように王様から命令されたとき、みんな結構混乱していたんだ。あの5人だけはすぐにやる気になっていたけど、クラスメートの中には争いごとが苦手な大人しい子もいたし、この命令を聞けなければ国家反逆罪と見なして牢屋に入れると脅されても、納得が出来る人はいなかったんじゃないかな」


 「そこでだ、例えばもし、王命に背いて逃げ出そうとするヤツが出るとする。その時、勇者に選ばれた人間がその人間を処刑したという話が出たら、逃げたら仲間であろうと殺されるという恐怖を抱かせるだろう。そして、彼の命を奪った5人の勇者たちには、必然と彼らを力と恐怖で無理矢理従わせる体制が完成するというわけだ」


 「洗脳とか、そういう魔法をかけても、もしかしたらそういうのが効かない人がいるかもしれないけど、逃げたら殺されるという思い込みによって暗示に近い術とかかけられると思うんですけど・・・どうでしょうか?」


 「君はなかなか利発だな。人は敵対するものがいれば躊躇なく排除し、恐怖で人々を支配されることによって思考を停止し、冷静な判断がつかなくなるからな。・・・だが、それを思いついたのはおそらくセルマではないと思うがな」


 え?それはいったいどういうこと?


 「ただの裁縫師だろうと、スキルを極めれば、鋼鉄の鎧にも匹敵する丈夫で頑丈な防具を作る事が出来るからな。それに鎧だけではサポートできない部分を補える。セルマは野心家で自分の欲望を満たすためなら他人を駒同然にしか考えていないヤツだが、駒に使う人間のスキルや能力に関しては一通り目を通すヤツだ。無能の王宮魔導士の報告を鵜呑みにするとは思えんがな」


 うーん、とアイリスさんが首をかしげていると、レベッカさんがエールを飲み干してからつぶやいた。


 「それって、もしかして勇者の連中が勝手にやったんじゃね?」


 「え?それって、もしかして、鳳たちが見せしめに僕を選んで、王宮魔導士たちに相談もしないでやったってことですか?」


 「ああ、そう考えるとロリババァの目にも止まらないまま、トーマが襲われたことが納得できるんだよ。召喚されたのはだいたい40人ぐらいはいたんだろう?そいつらのスキルや能力を確認するにはかなり時間がかかる。そういう時に見せしめの話が持ち上がった時、トーマのステータスを確認する前に勇者たちが勝手に勇み足を踏んで、トーマが襲われたという話だったらどうかな?」


 「もしそれが本当だったら、勇者たちのやったことはセルマにとっては予定外のアクシデントということになるな。いずれにせよ、勇者を抱き込んで魔王を討伐させようとする名目で何をやるか分からん以上、セルマの魔の手から逃れられたのはもしかすると幸運だったのかもしれない」


 頬を赤く染めて、ワインを優雅に飲み干してからアイリスさんが一息ついた。


 「さて、君はこれからどうしたいのだ?」


 「え?」


 「私の封印を解いてくれたのは団長が付き合わせたからな。もし、君が何かこの世界において何かやりたいと思うことがあるのならば、少なくとも私たちは君の力になりたいと思っている。もし君がいなかったら、私も団長も封印されていたままだったからな」


 「そういえばそうだな。っていうかさー、それならトーマが【七人の獣騎士(プレイアデス)】の8番目の仲間になればいいんじゃね?」


 ほええっ!?てか、レベッカさん顔が近いッス!!


 「トーマ、国を追い出されて一文無しで行く当てもないんだろう?それに、もしここを出て行ったとしても、トーマのスキルに気づいたロリババァや勇者たちがもしかしたら追いかけて連れ戻そうとするかもしれない」


 「・・・否定は出来んな」


 「だからさっ、もし、お前が良ければウチに来いよ!オレはお前のことがもうマジで気に入っちまったんだ!!なぁなぁ、いいだろっ!?つーか来い!!団長のオレが決めたんだからこれで決まり!!いいな!?」


 え、え、えええーーーっ!?

 なんだか、トントン拍子で物事が決まっていくんですけど!?

 でもまあ、確かにレベッカさんたちの所から離れたとしても、正直僕には行く当てもないわけで・・・。


 「・・・トーマ、悪いが団長は一度こう言い出したら絶対に聞かないぞ。来る者は拒まず、去る者は世界の果てまでも追い回す性格だからな」


 アイリスさんが諦めたように、それでも笑みを浮かべて畳みかけてくる。


 もう、こうなったら・・・僕も覚悟を決めた方がよさそうだ。






 「・・・是非とも、こちらこそ、よろしくお願いいたします。梶斗真、皆さんの足手まといにならないように全力で頑張りますので、どうかご指導のほどよろしくお願いします!!」






 「よっしゃあ、これでお前も【七人の獣騎士】の一人だぜぇぇぇーっ!!今日はめでたい日だ!!朝まで飲むぜぇーっ!!」


 「うわっぷ!?」


 レベッカさんがおっぱいに僕の頭を抱き寄せて、がっしりと掴んで離さない!!

 だから、肉厚で豊満で、柔らかいメロンを僕の頭に押し付けるのはらめぇぇぇっ!!

 

 「オレのことは団長でもいいし、姉貴でもいいぜ!なんせお前はもう、オレの弟分だからなっ!!」


 「ふむ、それなら私のこともさん付けで呼ぶというのは他人行儀で嫌だな。私のこともアイリスか、もしくはお姉ちゃん、お姉さん、お姉さま、どんなふうに呼んでくれても構わんぞ。むしろ呼ぶべきだ。さあ、私を姉として思い切り甘えてくるがいい、我が可愛い弟よ!!」


 むにゅうううううううっ!!


 ちょっと、アイリスさん!?

 なんだか、目がぎらぎらしていて、僕を掴んでいる手が服に食い込んで離れないんですけど!?

 というか、二人そろって僕の頭をおっぱいでサンドウィッチするのはやめてぇぇぇっ!!


 こうして僕は【七人の獣騎士】の魔法裁縫師として雇われることになったのでした・・・。


トーマ、七人の獣騎士に強引に入隊させられる。

そして、彼の担当は魔法裁縫師と、家事全般をこなす専業主夫メイドになります。

ルビがおかしいということはありません、それは次回明らかにいたします。


次回、レベッカたちの推理が見事的中する展開になります。

クロスの王宮魔導士たちといい、勇者たちといい、そろいもそろってアホばかりだった模様。



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