第二十五話「竜刃の女侠客~VSハイドラ・セルヴァンス②~」
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「ベアトリクス陛下と、ディアドラ女王、ヴァネッサ女王、ブリアック女王の連判状、だと!?」
「そう【彩虹の戦乙女】の人たちに、まず、これを見てもらうようにと、ベアトリクス女王から仰せつかっている」
ベリス姉さまの直筆の手紙には、今度の事件の元凶である、オリガ・オラドールと、邪眼一族の渾沌将軍を討ち取るために、緊急の対策として、桜を派遣すると書かれていた。
「・・・信じてもらえないかもしれない。でも、あたし・・・いや、俺は、あの連中と、クロス王国の勇者たちに落とし前をつけさせるために、やってきた。俺の家族を手にかけた、アイツらのことを、このまま野放しには出来ない」
そういって、桜は、僕たちに、深く頭を下げた。
「・・・斗真の命を危険にさらしておきながら、都合のいいことを言っていることは分かっている。斗真にやろうとしたこと、その責任から、逃げるつもりはない。・・・それでも・・・恥を承知で頼む!!俺も、一緒に、戦わせてくれ・・・!!」
「分かった、じゃあ、手伝って!!」
ズコーーーッ!!←桜が、ギャグマンガのように、ズッコケた音。
え?どうして、桜、ズッコケているんだ?
「・・・と、斗真、その、あの、いいのか・・・?」
「昔のことについては、後で話し合うよ!今は、一人でも多くの助っ人が欲しいんだ。あのデカ亀がまた動き出す前に、早く仕留めないと、僕たちの体力と魔力が持たないもん」
「ニャハハハ、確かにそうだよな!まだ敵は完全に倒れていないんだ。まずは、あのデカブツをどうにかすることが先決だもんな!」
「・・・・・・トーマが、そうしたいというのなら、私は、トーマの意見を尊重する。お姉ちゃんは、いつでも、トーマの味方」
「あらあらまあまあ~、賑やかになってきましたわね~」
「せっかくの祭りだ。無礼講で、楽しくやろうじゃないか」
「お前はもう少し、休んでいた方が、いいのではないか?顔色が真っ青だし、生まれたての小鹿のように、脚が震えているぞ」
ヴィルヘルミーナさんはカッコつけてポーズを取るが、どこからどう見ても、顔や肌の色が真っ青で、生まれたての小鹿のように両足を震わせて、全身をガクガクと揺らしながら立っている姿はゾンビである。
「・・・マジで、アンタ、休んでいた方がいい。顔に死相が出ているからな」
「・・・ふっ、この変態王子のことを舐めないでほしいものだね。トーマくんと、サクラくん、いいかい?天から舞い降りた、愛くるしい、エロ可愛い天使ちゃんたちが必死で戦うと言うのに、このボクが、休んでいるというわけにもいくまい?」
変態王子って、自分で名乗るんかい。
「戦いの真っ最中に、見えそうで見えない胸の谷間や、着物の下には下着をつけているのかどうか、聖域はどんなことになっているのか、どさくさに紛れて、間近で確かめる、絶好のチャンスじゃないか!」
思い切り、アウトです。
「・・・この人、マジで、頭、大丈夫か?」
「大丈夫、今日も通常運転」
「これで!?」
あかん、桜も、あまりのヴィルヘルミーナさんの残念っぷりに、目が点になって、ドン引きしているよ!
「・・・・・・いっそのこと、永久に眠らせてやろうか、色ボケ王子」
「まあ、いい。陛下だけではなく、ヴァネッサ女王たちの連判状もある以上、命令に背くつもりはない。一気に片付けるぞ!!」
セルヴァンスが動き出す前に、僕と桜は、横に並びながら、地面を走り出して、巨大な甲羅の上に飛び乗った。
そして、飛び乗ったのと同時に、僕は懐から、水色の宝箱を取り出して、起動させる。
『闘衣召喚!!ベルセルク!!』
「変身!!」
鍵を回転させて、宝箱が開き、頭上に水色の魔法陣が浮かび上がった。
そして、そこから現れたのは、見慣れた武器や甲冑ではなく、巨大な影だった。
「・・・・・・え?」
頭上に現れたのは、巨大な人のような形をした、ロボットのようなものだった。
「ちょ、え、ええっ、マジ、嘘でしょ!?桜ぁぁぁっ!!これ、どうしよう!?」
「あ、あ、あたしに言われても・・・!!」
「ええい、こうなったら、ビビ姉の力を信じる!!」
そういって、全長3メートルはある、巨大な氷の彫像を受け止めようとした。
そして、僕に向かって落ちてくると、そのまま、僕は、飲み込まれた。
「な、な、なんだ、あのデカいの!?」
「というか、トーマ、今、真下にいなかった!?」
そして、僕は、まるで着ぐるみでも着ているかのように、透き通るような、神秘的な水色の光を放つパワードスーツの操縦席に乗り込んでいた。
丸いボディに、二本の太い腕がついていて、巨大な拳がついていた。
そして、左手の中には、ツルハシとハンマーが合体したような武器が握られていた。
『絶対零度の豪傑!ベルセルク・ナイト・・・ドレスアップ!!』
「・・・これなら、行ける気がしてきた!」
ハンドルを動かすと、まるで身体の一部のように、パワードスーツを使いこなせる。
近づいてきた竜の頭目掛けて、本気で殴りつけると、竜の頭が見る見る凍り付いて、砕け散った。
そして、砕け散った頭の陰に隠れていたもう一頭の竜が、飛び出してきた!
スパッ!!
僕の横を、桜が通り過ぎたかと思った瞬間、竜の首が細切れになって、地面に落ちていった。
今、光の線が、一瞬だけ見えたような気がしたんだけど、もしかして、あんなわずかな間に、竜の首を細切れにするまで、斬ったの!?
「油断はしないほうがいいよ」
「ありがとう!気を付けるよ!!」
再び、大木に向かって、僕たちは走り出した。
「桜!このデカブツを止めるには、やっぱり、あの禁書をどうにかしないと無理かな!?」
「ああ、あれが、魔力の源になっている。あれを無力化してしまえば、完全にヤツの動きが止まる!」
しかし、再び、甲羅から竜の頭が飛び出してきた!
そして、僕たちに狙いを定めると、大きな口を開いて、大量の毒液が迸る!
「また、毒液攻撃か!?もう、本当にしつこいな!!」
「・・・なあ、斗真。お前の魔法裁縫師の能力って、魔力のあるものなら、何でも布に変えちまう事が出来るんだったっけ?」
「え!?」
そうだけど、今、どうしてそんなことを聞くの!?
このまま、まっすぐ突っ込んでいったら、毒液をまともに浴びてしまうじゃないか!
急いで、方向を転換しようとする僕に近づいて、桜が、不思議そうな顔をして、耳打ちをした。
「いや、あれって、魔力で作り出された毒液だよな?」
「だから、それが、どうしたっていうのさ!?」
「・・・毒液を、全部、糸や布に変えちまえば、いいだけなんじゃないの?」
・・・・・・。
毒液が発射されて、目の前まで迫ってきたとき、僕は素早く糸車を取り出して、魔力が込められた両手で、毒液を受け止めた。
「その手があったぁぁぁぁぁぁっ!!」
「・・・梶っち、もう少し、自分のスキルについて、勉強しておきなよ・・・」
毒液がまるで糸のようにほつれていき、糸車を伝って、クルクルと回転し、あっという間に、猛毒の液体が、紫色の糸の塊に変わっていく!
「どうして、もっと早く、このことに、気づかなかったんだ!僕のバカ!!」
一度に、複数の糸車を生み出すと、毒液を四方八方から巻き取って、紫色の糸へと変わっていく。加工の魔法によって、毒液の糸は触れただけでは、毒に犯されることのない、安全なものに変わっていた。
「・・・嘘でしょう。アイツ、大陸を支配していたS級ランクの魔獣の毒液を、糸に加工しちゃったんですけど」
「・・・・・・魔獣も、かなりショックを受けているみたい」
ーギシャアアアアアアアアアッ!?(嘘だろ、オイィィィィィィッ!?)ー
一方で、セルヴァンスは、あごが外れるほどに大きく口を開き、目を丸くして、驚いていた。
そりゃそうだよね、最大の武器である毒液が、まさか、糸に変わって、あっさりと破られるなんて、予想もしていなかったのだろう。
そして、背中にそびえ立つ、巨大な大木が見えてきた。
大木には、僕たちの姿を見て、動揺している里長の姿があった。
白目と黒目が入れ替わり、赤く血走ったような光を宿した目を見開き、取り乱したように、叫んでいる。
加速は十分!!
狙いは、定まっている!!
僕と桜は、襲い掛かってきた竜の首をかわして、里長に対する、射程圏内に入った!
「アレクシアァァァァァァッ!!」
「桜、同時に、攻撃を叩き込むよ!!」
「ああ、この一撃で、全てを決める!!」
大木に身体がめり込み、この世の全てを恨んでいるかのような顔をしている、里長が、動揺したかのように、アレクシアさんの名前を憎々し気に叫んだ。
ああ、もう、この人には、アレクシアさんに対する恨みや怒り、憎しみしか、残されていないんだ。
「・・・俺の家族の仇・・・討たせてもらうぜ・・・!!」
桜の眼光が、鋭く光った。
桜の家族である和田さん、矢守さん、神谷さんを、ヒュドラに改造して、彼女たちの命を奪った元凶。
もう、桜には、彼女に対する慈悲や躊躇というものは、微塵もなかった。
そして、地面を蹴り飛ばして、素早く、刀を抜いた。
「・・・竜刀・猪鹿蝶」
ザンッッッ!!
シカのごとき、軽やかに、地面を駆け抜けていく。
優雅に舞うチョウのように、思わず息をのむほどの流れるような動き。
そして、イノシシの牙のごとき、強靭な力を宿した刀で、里長の身体を、大木ごと、切り裂いた!!
「え、え、えええええええええーーーっ!!?」
「あ、あんなデカい大木ごと、里長を、斬った・・・だと!?」
「・・・・・・信じられない、馬鹿力」
うん、正直、僕もマジかと叫びたくなりましたよ。
まさか、そんな細身の刀で、相手を大木ごと、真っ二つにするとは思っていなかったよ?
しかし、そんなことは、今は気にしている場合じゃない!
大木と一体化していて、身体が上空を向いたまま、切り離された里長が、唖然とした表情を浮かべていた。そんな彼女の真上に、僕は、飛び上がっていた。
両手で、巨大なハンマーを振り上げた状態で。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーっ!!!」
さっきから、うるさいな。
もう、いい加減に黙らせてやるよ。
僕も、完全に頭に来ているんだからさあ?
全力で、叩き潰してやるよ!!
「瓦解氷消!!ことごとく、粉々に、砕け散りやがれぇぇぇっ!!」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーっ!!?」
「氷魔法・熊の聖鎚!!!」
オリガの身体を、超重量級の氷のハンマーで殴りつける。
ドオオオオオオオオンッ!!!
彼女の胸から禁書が飛び出して、身体中にひびが入りながら、そのまま、里長は地面に叩きつけられた。
衝撃が強かったらしく、地面には巨大な亀裂が刻まれて、中心では、元のエルフの姿に戻った里長が、白目をむいて、ボロボロになった姿で倒れていた。
そして、禁書を失ったセルヴァンスの身体が崩れ出した。
大量の砂となって崩れて、大きな山が出来上がった。
その山の中から、赤く光るものを見つけた。
「・・・あった」
桜が忌々しそうに舌打ちすると、砂の中から、赤く光るものを取り出した。
それは、小さな赤い宝石だった。
「桜、それ、何なの?」
「・・・これが、全ての始まりのきっかけになったものだよ」
桜は強く、宝石を握りしめながら、怒りを孕んだ低い声で話し出した。
「・・・こんな石のために、多くのダークエルフや、亜人族の命が犠牲になった。そして、これを、大量に作り出して、この石から得られる莫大な魔力を手に入れて、世界を支配するために、セルマや、クロス王国の連中は、俺たちを召喚して、勇者として利用していた。・・・そして、俺たちがこの世界に召喚するために使われたのも、これだ」
「・・・この石で、僕たちが、この世界に召喚されただって!?」
「・・・ああ、これと同じものが、クロスの王宮の地下に、大量に保管されている。それを使って、セルマは、不老不死に近い身体と、無限の魔力を手に入れた。だが、この石にも、使用期限があってな、城に置かれているものでは、もうすぐ、魔力が切れちまうらしい。魔力が無くなったら、これは、ただの石ころでしかない。セルマは、新しくこの石を作り出すために、勇者を利用して、魔王や魔族を倒すように仕向けたのさ」
「・・・その石って、何なの?」
「・・・この石の名前は【パラケルススの魔石】。人や魔族の生命エネルギーや魂を、儀式によって加工して生み出された、魔力を驚異的に増幅させることが出来る、最悪のマジックアイテムだ」
本作品のキーアイテム【パラケルススの魔石】については、次回、明らかにいたします。
和服を着崩した、巨乳で、ふたなりのサムライというキャラは、いかがでしたか?
桜は、基本的には、数少ない常識人&ツッコミ役として、今後も活躍させたいと思っております!
次回は、セルマとクロス王国の真の目的、そして、斗真の新しい能力が目覚めます!
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。




