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第二十四話「猛毒の機動要塞~VSハイドラ・セルヴァンス①~」

いつも拙作を読んでいただき、ありがとうございます!

今回、後半で、ついにアイツが、斗真たちと合流します!!

 「さて、あのデカブツをどう倒すか、それが問題なのだがな。レベッカ、何か、いい案でもあるのか?」


 「そんなもん、あるわけねーだろ!」 


 自信満々で、はっきりと言い切る言葉ではないが、大アネキはあくまでも大真面目な顔をしていた。


 「分かることと言えば、あのデカブツが、毒と地と竜の三つの属性持ちってことだな。竜属性のヤツに効く魔法つったら、同じ竜属性か、氷属性のものしか、通用しねえ」


 「あっちゃー、そういえば、そうだったよね。前に、ドラゴン退治の依頼を受けた時も、それで、苦労したもんね」


 「・・・・・・あの時は、もう二度と、ドラゴン退治なんて引き受けるものかと、心に固く誓った」


 「ビビアナが、前線で戦うなんて、滅多になかったからね」


 「・・・・・・しかし、女には、やらねばならない時がある。可愛い弟分に、お姉ちゃんの実力というものを、目に焼き付けてもらうためにも」 


 「そうだよな。トーマの前で、情けない姿は見せられねえもんな」


 「あらあらまあまあ・・・、うふふ、トーマちゃんがここに来てくれたおかげで、300年前と比べると、団長たちの戦い方が、だいぶ変わりましたわ。いい方向でね」


 アレクシアさんが、そう言って優しく微笑んで、僕の頭を撫でてくる。

 

 「守りたいものがあると、人は、強くなれますわ。わたくしも、もっとトーマちゃんのことを知りたくなりましたわ♥この戦いが終わったら、二人きりで、いっぱい、おしゃべりしましょうね?うふふ♥」


 「・・・・・・それじゃ、始めるよ」


 ビビ姉が、先陣を切って、攻撃を仕掛ける準備に入った。


 「画脂鏤氷・氷魔法・蝸牛(アイシクル・)氷塊(メテオ)


 セルヴァンスの頭上に、水色の魔法陣が展開されると、無数の、氷で出来た巨大なカタツムリが現れた。カタツムリの殻には無数の棘がついており、首を引っ込めると、そのまま落下して、セルヴァンスに降り注ぐ!


 -グオオオオオオオオオオオオーーーーッ!!-


 当たると同時に破裂して、キラキラと光るダイヤモンドダストに包まれて、セルヴァンスが悲鳴のような咆哮を上げた。甲羅、脚、身体の至る所が音を立てて、真っ白に凍っていく。


 「・・・・・・まだまだ。色ボケ、手伝って」


 「準備はいつでもいいよ?」


 ビビ姉と、ヴィルヘルミーナさんが並ぶと、セルヴァンスに向かってそれぞれ、ハンマーとカットラスを向けて、魔力を集中させる。


 紫色の暴風と、水色の冷気が膨れ上がり、限界まで高めると、同時に武器を振るった!


 「合体魔法!」


 「・・・・・・色欲と怠惰の吹雪(アイスバーグ・ペルノ)!!」


 ヴィルヘルミーナさんが放った紫色の暴風の渦に、ビビ姉の放った冷気が、螺旋を描くように混ざり合い、凄まじい吹雪へと変わっていく。


 木々を一瞬で凍結し、毒液を固めて、そのまま、セルヴァンスの巨体に降り注いだ!


 -グオオオ・・・オオオ・・・オオオオオオ・・・!!-


 セルヴァンスは、なすすべもなく、身体が凍り付いていく。


 やがて、吹雪が治まると、そこには、完全に氷漬けになったセルヴァンスの氷の像が出来上がっていた。


 「よっしゃ!今のうちに、アイツの魔力の源の核を、破壊するぞ!」


 大アネキの号令で、僕たちは丘を下り、オラドールの里に乗り込んだ。


 村のあっちこっちに毒液の溜まりがあったけど、凍っているおかげで、難なく進むことが出来る。


 「とりあえず、動きは封じたけど、いつまでもつか分からないからね。迅速にかつ、注意しながら、確実に倒すよ!」


 「もちろん!」


 そして、目の前に、5階建ての団地ほどもある巨大なセルヴァンスの前に近づいた、その時だった。


 「この匂いは・・・!?お前ら、下がれ!!これは、罠だ!!」


 大アネキが突然叫んで、僕たちの動きを制した。


 その瞬間、凍り付いていたセルヴァンスの甲羅から、激しい水流が噴き出した!


 水流は、見る見る巨大な竜の頭部に変わって、僕たちに襲い掛かってくる!


 「ちっ!!」


 アイリスお姉ちゃんが電撃を放つと、竜がはじけて、大量の水となって地面に落ちた。


 「どうなっているんだ!?」


 「おそらくだけど、デカブツが凍る前に、殻の中に隠れていたんだろうな。氷の魔法の影響で、だいぶ動きが鈍くなっているけど、そう簡単に倒されてくれないってか」


 そして、はじけた水が、まるで生き物のように蠢く。


 「グリゼルダさん、危ない!」


 「きゃっ!」


 バシュッ!!


 水たまりが、まるで矢のように打ち出し、僕がとっさに大剣を取り出して、盾のように防いだ。


 水たまりがゆらぁっと膨れ上がると、ドクロのような顔をした、大柄な人間の形へと変わっていく。


 身体中から、猛毒のガスをまき散らしながら、両手を前に突き出して、僕たちに向かってゆっくりと迫ってくる。まるでゾンビみたいだ。


 「ポイズンスライム・・・!そうか、この毒液が、あのデカブツの身体の一部ということか!」


 「あの禁書に封じ込められていた、ランクSの魔物の正体が分かりましたわ!よりによって、四大魔獣の一体、水のハイドラですわ・・・!!」


 アレクシアさんが、思わず舌打ちするほどに、衝撃を受けていた。


 「水のハイドラって、身体を水に変えられる能力と、体内に持つ強力な猛毒、いくら攻撃をしても、分裂と再生を繰り返す、驚異的な再生能力を持つ竜の化け物のことだよね!?」


 「・・・・・・おとぎ話の中の存在だと、思っていた」


 「かつて、大陸を支配していたとか言われている、四体の魔獣のうちの一体が相手とはね!これで勝っちまったら、オレたち、マジで英雄になっちまうんじゃねえか?」


 「まあ、英雄の称号なんか、興味はないがな」


 「それもそうだけどな」


 目の前にいる敵が、まさか、神話で語られるほどの、伝説の魔獣の一体だったなんて・・・。

 

 「魔獣と言っても、ピンからキリまであるからね。ユキもかなり強いレベルだけど、これは、もう、レベルが違う代物よ。人によっては、邪神とまで呼ぶほどのヤバいヤツよ」


 そして、巨大な竜の頭が素早く、襲い掛かってきた!


 地面を削り、毒液をまき散らしながら、無数の牙を生やした口を開いて、僕たちを飲み込もうとする!


 「陣地を確保しろ!ヤツの周りを囲んで、全方位から、攻撃を仕掛けるんだ!!」


 セルヴァンスの攻撃をかわしながら、僕たちは、アイリスさんの指示に従って、セルヴァンスの周りを取り囲んだ。そして、回転するように動きながら、僕たちはいっせいに攻撃を仕掛ける!!


 「活火激発!炎魔法・狼の烈火!!」


 「紫電一閃!雷魔法・梟の雷矢!!」


 「昏天黒地・影魔法・猫の双牙!!」


 「歌舞音曲、風魔法、山羊の風刃(ポルカ)!!」


 「氷姿雪魄・氷魔法・熊の(フリージング・)氷拳(ブロウ)


 「山精木魅・木魔法・蠅の(パラサイト・)種子(シード)!!」


 アレクシアさんが放った、無数の種子がハイドラの身体に突き刺さり、発芽して、太いツルがセルヴァンスの全身に絡みつき、動きを封じた。


 そこへ、大アネキの火炎弾、アイリスお姉ちゃんの電撃が直撃し、大きくのけぞる。


 さらに、グリゼルダさんの放った影の刃が、身体を切り裂く。


 そして、三日月形の真空の刃と、拳骨の形をした巨大な氷塊が、セルヴァンスの身体に降り注いだ。


 -グオオオ・・・オオオ・・・オオオッ!!-


 ツルで、首や手足を締め付けられているせいか、引っ込めようとしても、ツルが邪魔で完全に引っ込むことが出来ず、むき出しになった首や、手足を切りつけられて、セルヴァンスの巨体がよろめき、前のめりに倒れこむ。

 

 ずぅぅぅん・・・!!


 地面を揺らして、セルヴァンスが倒れこむと、ヴィルヘルミーナさんとグリゼルダさんが素早く駆け出して、大木と一体化している里長に向かっていく!


 「アイツの胸に埋め込まれている、禁書を破壊すれば、コイツを倒せる!」


 「一気に行くわよ!!」


 甲羅を駆けあがり、里長の目の前まで迫っていた、その時だった。


 「・・・アレクシアぁぁぁ・・・絶対に・・・許さない・・・ヒヒヒ・・・!!」


 里長の表情が、歪んだ笑みを見たとき、僕の全身の鳥肌が一斉に立つ、怖気が駆け巡る。


 そして、里長の口が、あごが外れるほどに大きく開くと、彼女の口から、毒液が勢いよく噴き出した!


 「しまった!?」


 「ヤバッ!!」


 とっさに毒液を防ぐが、あまりにもすさまじい勢いに耐え切れず、ヴィルヘルミーナさんとグリゼルダさんの身体が、宙に舞い上がった。


 そして、ヴィルヘルミーナさんの無防備な身体に向かって、大量の毒液が放たれた!


 「しまっ・・・!!」


 「ヴィルヘルミーナ、避けろっ!!」


 「あんな大量の毒液をまともに食らったら、無事じゃ済まないわ!!」


 ダメだ、間に合わない!!

 僕がかけ出した時には、もう、毒液が、今にも彼女の全身を飲み込もうとしていた。







 「竜刀りゅうとう・水切り!!」






 その時だった。


 僕の横を、風が吹き抜けていったかと思うと、押し寄せる毒液が、ヴィルヘルミーナさんを避けるように、()()()()()()()()()


 いや、それが、斬られたものだと気づいたのは、太陽の光を受けて、銀色の光を放つまっすぐな刀を振り切った「侍」の姿が、目に飛び込んできたからだった。


 そして、繰り出した斬撃が、里長の身体に、深く刻まれた。


 「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ーーーッ!?」


 里長が凄まじい悲鳴を上げて、胸から、どす黒く変色した血液を噴き出した。


 そして、その侍は、ヴィルヘルミーナさんを、お姫様抱っこしながら、こっちに戻ってきた。


 「お、お姫様抱っこ、されてる・・・!ボク、今まで、やったことはあっても、誰かにされたことなんて、一度も、ない・・・♥」


 顔を赤くしているヴィルヘルミーナさんを下ろすと、侍が顔を上げた。


 「・・・え、え、ええええええええええええええええええええーーーーーーっ!?」


 僕は、その顔を見た瞬間、驚きのあまりに、飛び上がってしまった。

 

 「ちょ、お前って、確か・・・!?」


 「どうして、お前がここにいる!?というか、その姿は、何だ!?」


 「・・・・・・理解不能」


 「それに、アンタが付けている、そのベルトって、トーマが付けているものと、同じもの!?」 

 

 そして、その侍は、慌てふためいている僕たちを見て、呆れたように、ため息をついた。




 「・・・うん、まあ、そういう展開は予想していたけどさ。今は、気にしている余裕とか、ないんじゃないの?」




 背中まで伸ばした金髪を縛り上げて、豊満なおっぱいが飛び出しそうになっている、着崩した白色の着物を身に纏い、めくれ上がった着物の裾からは、むっちりとした肉付きのいい、太ももと長く伸びた足がスラリと出ている。


 セクシーで、同性異性問わず魅了してしまいそうな、スタイル抜群のナイスバディを持ち、左目を眼帯で覆っている、その美しい女性の侍の正体を知って、僕は、目が飛び出しそうになるほどのショックを受けた。


 




 「さ・・・さ・・・桜ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」 






 その人物の正体は、まぎれもなく、幕ノ内桜だったのだから・・・!!


 「・・・間に合ったみたいでよかった、梶っち」


 「キエエエエエエエエエエエーーーッ!!」


 そして、ヴィルヘルミーナさんが奇声を上げた。


 「な、な、なに!?」


 「お、お、おっぱいが、ボインボインで、柔らかくて、いい匂いがして、今までに見たことのない、装いをしたお姉さまかと思ったら、こ、こ、股間に・・・あるぅぅぅぅぅぅ!?こ、こ、これが、ボクがずっと追い求めていた、男性と女性、二つの性別を併せ持つ奇跡の存在、ふたなり美女・・・!!き、き、キタァァァァァァァーーーーッ!!」


 ブシャアアアアアアアアアアアーーーーーーッ!!(ヴィルヘルミーナさんの鼻の穴から、致死量は超えているレベルの鼻血が噴き出した音)


 「はぁぁぁぁぁっ!?ちょ、おい、アンタ、マジで大丈夫なの!?」


 「・・・我が人生に、一片の悔いなし・・・!!ぼ、ボクの夢が、ついにかなったァ・・・♥もう、いつ、死んでもいい・・・♥メルスィ~・・・♥ふひっ、うひっ、うえっへっへっへ・・・♥しかも、トーマ君と同じぐらい、立派なものが・・・股間に・・・ひっひっひ♥」


 ヴィルヘルミーナさんが、ヤバいことになっている!!


 出血多量のせいで、首から上は真っ青になっているのに、首から下は鼻血で真っ赤になっていた。軽くホラーな光景だ。


 「・・・おい、どうして、トーマのそういうことを知っているのだ?」


 「トーマ君の、入浴を、覗いたからさぁ♥ふひっ♥」


 「・・・・・・トーマ、退いて。そいつ、殺せない」


 「今すぐに、息の根を止めてやろう。なんて羨ましいことをしているんだ、お前はぁぁぁっ!!どうして、トーマの風呂を覗く時に、私を誘ってくれなかったんだ!!可愛い弟の、入浴している姿を、私だって覗きたいのに!むしろ、一緒にお風呂に入りたいのに!!お前だけが、美味しい思いをするなど、絶対に許せん!!」


 「・・・・・・今すぐに、楽にしてやる!」


 落ち着いてぇぇぇっ!!


 アイリスお姉ちゃん、雷の矢を、ヴィルヘルミーナさんに目掛けてぶっ放そうとするのはやめて!!ビビ姉も、そんな、巨大な氷のハンマーで殴ったら、いくら頑丈なヴィルヘルミーナさんでも、ぺっちゃんこになっちゃうからっ!!


 「トーマは、そんなヤツをかばうつもりか!?」


 「・・・・・・トーマの風呂を覗く輩は、私以外、死あるのみ!」


 「落ち着いてくださいってばぁぁぁっ!!ヴィルヘルミーナさんのバカとスケベは、死んでも治りませんからっ!!というか、ここで、仲間割れをしている場合じゃないでしょうが!!」


 ああ、もう、収拾がつかないことになった!!


 「・・・斗真、お前って、すごい連中と、一緒にいるんだな・・・」


 桜も、呆れてないで、この二人を止めて!!


 「大丈夫!もう、慣れたから!!」


 「いや、慣れたら、ダメだろ!?」


 やかましいわ!

 

 というか、一体全体、何が起きたって言うの!?

ボインで粋な渡世人に変身した、新生・幕ノ内桜、斗真たちと合流を果たしました!

魔獣が目の前にいるというのに、相変わらず、暴走しまくりな連中に、桜も呆れております。

というか、アイリスとビビアナが、ヴィルヘルミーナに負けず劣らず、自分の欲望に、正直に生きております。


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!

次回も、よろしくお願いいたします!

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― 新着の感想 ―
[一言] 桜がふたなり系女剣士になった時、聞こえた奇声は やっぱりお前だったのか!! ヴィルヘルミーナ・ワイズマン!! トーマが男の娘と分かった時も、盛大に鼻血花火出しまくるし もうどうなってんだこり…
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