第五話「七宝館にようこそ!~アイリス・アーヴィング~」
いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!
今回、傭兵団『七人の獣騎士』の一人、『アイリス・アーヴィング』が登場します。
よろしくお願いいたします。
「ついたぜ。ここがオレたちの拠点の【七宝館】だ」
「・・・すごい・・・!!」
転移魔法の魔法陣に飛び込んで、光の渦に飲み込まれたかと思いきや、気が付くと僕たちは洞窟から外に出ていた。
小高い丘の上に、フランス風の洋館が立っていた。
シンメトリーの作りをしており、重厚な石貼りの外壁と、ステンドグラスや幾何学模様の窓ガラスがはめ込まれている、歴史を感じさせるレトロな雰囲気の洋館だ。
「誰かが手入れをしてくれていたんでしょうか?すごく綺麗な洋館ですね」
「あー、任務に出るたびに誰かに荒らされたり、埃が溜まったり、庭の草が伸びたりすると手入れが面倒だとか言って、ビビアナのヤツが屋敷を完璧に手入れした状態にしてから、常にその状態になるように定期的に自動で館の補強や修理、掃除とかを行う魔法をかけていったんだ」
「それって、館が自動的にメンテナンスや掃除をしてくれるってことですか?」
「そういうこと。まあ、面倒くさがり屋のアイツならではの魔法だよなぁ」
歩いていくと、綺麗に手入れされている洋館の庭園のほぼ真ん中の噴水の前にそれはあった。
レベッカさんが封印されていたものと色は違うけど、六角柱の黄色の宝石。
その宝石の中に、シスターらしき服装に身を包んだあの女性・・・レベッカさんが【雷鳴のアーヴィング】と呼んでいた女性の姿があった。
「・・・見つけたぜ、アイリス」
レベッカさんが宝石の中で眠っている彼女に優しく話しかける。
「頼むぜ、トーマ」
「・・・はい!」
僕はレベッカさんの時と同じように宝石に手を触れて、瞳を閉じた。
-来る!!
黄色の無数の光の帯が張り巡らされていて、その帯をかいくぐるようにして抜けていく。
そして、しばらく歩いていくと・・・僕の目の前に、黄色の鎖が扉を覆い尽くすように雁字搦めに縛り付けられていて、巨大な黄色の錠前がかかっている扉が現れた。
『・・・誰だ?』
「レベッカさんに頼まれて、助けに来ました」
『・・・団長に頼まれた、だと?』
「はい!今すぐに開けますね!!」
『・・・そうか、それは助かった。礼を言おう』
錠前を鎖から引きちぎると、掌の上で錠前が崩れて消えていく。
そして、静かに扉が開き、中から黄色の光がまぶしく迸り、視界が真っ白になった。
再び目を開くと、黄色の宝石に無数のひびが入り、勢いよく爆ぜた。
宝石の中から出てきたのは、艶やかな金髪に鋭い眼光を放つはちみつ色の瞳、透き通るような白い肌を持つ、眼鏡をかけた知的な雰囲気の女性だった。
そして彼女の背中からは銀色に光輝く翼が大きく広がり、彼女の手を見ると猛禽類を思わせるような鋭い爪が生えていた。
「アイリス!!よかった、無事だったんだな!!」
「・・・団長、ご無事で何よりだ。またこうして再会出来て本当によかった」
レベッカさんは嬉しそうににこーっと微笑むと、素早く彼女の後ろに回り、後ろから手を伸ばして彼女の豊満な乳房をわしづかみにした。
「ニャハハハー♥隙あり、だぜーっ!!」
ちょっとぉぉぉっ!?いきなり何をしているんですか、アンタはァァァッ!?
僕は思わず鼻を押さえて、慌てて目をそらそうとしたけど・・・どうしても目が離せなかった。目を両手で隠すけど、見てはいけないと思っているのに、どうしても指と指の隙間から、レベッカさんがアイリスさんの豊かなメロンを揉みしだいている光景を見てしまう。
ごめんなさい、本当にすみません、アイリスさん・・・!!
「ニャハハハー♥やっぱりアイリスのパフパフは最高だぜー♥んーっ!!このボリュームといい、柔らかさといい、形といい、まさにオレに揉まれるためにあるような最高のおっぱいだぜぇ♥」
ブチッ。
アイリスさんから、何かが切れるような音が聞こえた。
アイリスさんを見ると、瞳を閉じてプルプルと身体が震えていた。
こめかみに太い血管が何本も浮かび上がり、ギリリと歯を食いしばる音が聞こえてくる。そんな彼女のただならない空気にようやく気付いたのか、レベッカさんの表情が凍り付いた。
見る見るレベッカさんの顔色から血の気が引いていき、汗が全身からどばぁーっと噴き出す。
「・・・・・・最後に何か言い残すことはあるか?」
「・・・・・・アイリスのおっぱいは最高ッス♥」
あ、これ、もうアカンわ。
スッパーーーーーーーーーーーーン!!
「あじゃぱぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!
空を切り裂くような高い音、それと同時に地面が揺れるほどの衝撃がやってくる。
あまりの衝撃に、近くの木々に止まっていた鳥たちが一斉に飛び立っていった。
恐る恐る目を開くと・・・そこには、レベッカさんが後頭部に大きなタンコブが出来ており、地面にめり込んだ状態でピクピクと痙攣していた。
そんな彼女を冷たい目で見下ろしていたアイリスさんの手には・・・巨大なハリセンが握られていた。
「し・・・しどい・・・」
「300年ぶりに再会したというのに、お前は何を考えているのだ。この大バカ者が」
「・・・だ、だって、またこうして出会えて、嬉しくて、つい・・・」
「つい、でセクハラが許されるなら自警団も騎士団もいらんわ」
レベッカさんの頭を踏みつけながら、アイリスさんは冷たい瞳で睨みつけて容赦なくレベッカさんを責め続ける。まあ、この場合は100%レベッカさんが悪いんだけどさ。
「・・・あ、あの、もうその辺にしませんか・・・?」
このままお仕置きタイムが続いても、何も進まない。
そう思い、僕はアイリスさんに声をかけた。
アイリスさんは鋭い眼光を放つ三白眼で僕をギンっと睨みつけると、レベッカさんを踏んでいた足を離して、僕に近づいてきた。
「・・・それもそうだな。積もる話もある。君にも礼を言わなければならないしな」
そう言うと、アイリスさんは僕の手を優雅に取り、地面に跪くと唇を手の甲に軽く当てた。
チュッ・・・。
え・・・?
こ、これって、あの、もしかして・・・漫画とかで騎士がお姫様とかにやる、あれじゃないか!?
「私は【アイリス・アーヴィング】。傭兵団【七人の獣騎士】の副団長を務めている。見ての通り、梟人族だ。改めて団長を救い出してくれたこと、礼を言おう」
凛然とした、低めのハスキーボイスで話しかけられた僕は、アイリスさんの中性的で大人びた振る舞いと、彼女の持つスタイル抜群のナイスバディといった不釣り合いだけどなぜか魅力的に思えてしまう不思議な組み合わせに魅了されて、顔が思わず熱くなっていく。
「君の名前を伺ってもいいかな?」
「ぼ、僕は・・・梶斗真、です!!」
「そうか。それならトーマと呼ばせてもらおうか。私のことはアイリスと呼ぶがいい。さあ、とりあえずは中に案内しよう」
そういって、僕はアイリスさんに連れられて洋館の中へと通された。
え、えっと、まだレベッカさんが地面にめり込んだままなんだけど・・・放っといていいのかな?
「あ、あの、レベッカさんをあのままにしておいて、大丈夫なんですか?」
「ヤツに関しては心配いらん。四六時中、日常茶飯事でああなっているからな。学習能力がないというか、もはや頭が沸いているとしか思えん」
「ひっでーな!!まあ、お前のそういうクールな所も、オレは好きだぜぇ、にひひ」
「・・・ふん、相変わらず、お気楽な思考回路のようで何よりだ」
呆れつつも、どこか嬉しそうにアイリスさんは笑みを浮かべたような気がした。きっとこれが、彼女なりの友情の表現なのかもしれない。
巨乳+メガネ+シスター服+毒舌ツッコミ+隠れショタコン・・・萌えると思うのは私だけでしょうか。アイリスも一見まともそうですが、次回、彼女のポンコツぶりが発揮します。
アイリスの設定は、近々投稿いたします。