第十六話「五人目は男装美女!!~ヴィルヘルミーナ・ワイズマン~」
いつも拙作を読んでいただき、ありがとうございます。
本日二回目の投稿となります。今回、新しい仲間が登場します。
基本的に彼女がギャグ&ムードメーカー、そして戦闘時にはやる時にはやるといった傭兵団きっての武闘派として活躍します。
「・・・ものすごい吹雪ですね」
「・・・・・・この魔道具のトーチライトは暗闇でも昼間のように明るく照らせるけど、目の前を照らすぐらいしかできないなんて、相当強い魔力で生み出されているものみたい。雪山を登山する程度の装備じゃあっという間に吹雪に飲み込まれて、方向感覚を失い、遭難すると思う」
深く積もった雪で覆われた大地をサクサクと音を立てながら、パワードスーツに乗り込んだ僕とビビ姉は吹雪が吹き荒れる道をひたすら進んでいく。魔力によってつくられた吹雪には人の方向感覚を失わせる魔法がかかっているらしく、その魔力をフィルターで防いで、道に迷わないようにレーダーで確認しながら慎重に進んでいく。
「・・・・・・強い魔力の気配が近くにある。間違いない、これはアイツの気配だ」
「ヴィルヘルミーナさんですか!?」
「・・・・・・うん、さっさと復活させて合流しよう。はぁ~、本当に嫌だ。どうしてアイツを復活なんてさせなくちゃいけないんだか」
「・・・ヴィルヘルミーナさんと仲が悪いんですか?」
「死ねばいいと思っている」
仲が悪いなんてモンじゃねえ!?
「・・・・・・人のことをビビちゃーんなんて気安く読んでベタベタベタベタくっついてきやがって。いちいち脂肪の塊を押し付けて、人の頭を挟み込んでぱふぱふぱふぱふしやがって。マジでウゼー、人のほっぺたにチューしてくるんじゃねー、髪の毛を撫でまくるんじゃねー、あー、マジでいっぺん殺してー・・・・・・思い出すだけでムカついてきた」
ビビ姉からどす黒いオーラが湧き上がっている!?
あかん、これ、本当に復活させて大丈夫なのか?何だかものすごく不安になってきたんだけど。
そうしているうちに、目の前に何かが見えてきた。
ライトを当てると、そこには紫色の六角柱の巨大な宝石が地面に突き刺さっていた。
そしてその中に、彼女はいた。
紫色の髪を後ろで縛りあげている、長身でスマートな体形が特徴的な中性的な顔立ちをした美しい女性が瞳を閉じて宝石の中で眠りについていた。しわ一つなく燕尾服とパンツを着こなしている姿は、男装の麗人という言葉がぴったりと当てはまり、宝塚のトップスターのような華やかさと美貌を持っていた。それでいて、豊満な胸は執事服越しでも分かるほどにたわわに実っていた。出るところは出ていて、締まっているところは引き締まっているモデルのような体系だ。
そして、頭部にはねじれた山羊のような角が生えていて、耳も三角状に尖っていることが彼女もまた魔物娘であることを証明していた。
「・・・・・・間違いない、紋章が共鳴している。アイツだ」
ビビ姉の背中の熊の紋章が青く光り出すと、彼女の胸の谷間には紫色の【山羊】の紋章が浮かび上がった。
「・・・・・・それじゃ、トーマ。よろしく」
「あ、はい」
僕はパワードスーツから出ると、防寒着のフードを被って、宝石に近づいた。
寒い・・・!!
ヤバい、防寒着を着ていても、隙間から冷気が漏れてくる!!
普通の防寒着程度じゃ、瞬く間に凍傷を起こすほどの強力な冷気だから、寒いで済むのはこの防寒着のおかげだろうか。でも、あまり長く時間はかけられない!
僕は紫色の宝石に両手を置いて、瞳を閉じた。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
幾重もの紫の帯が張り巡らされた空間の中を、僕は進んでいく。
桃色の靄のようなものがかかっていて、視界を奪われないように神経を集中させて前に進んでいく。
そして、いつもよりも長い時間をかけて歩いていくと目の前には紫色の鎖でがんじがらめにされている巨大な扉があった。僕は扉の前に立ち、錠前に手をかけた。
『・・・んん・・・誰だい?』
『・・・ヴィルヘルミーナ・ワイズマンさんですか?僕は梶斗真といいます。説明はだいぶ端折りますが、【七人の獣騎士】のレベッカさんたちから頼まれて、貴方を助けに来ました』
『・・・レベッカ?なるほど、どうやらボクのことを探していてくれていたらしいね。しかし、何度この封印を解こうとしたのだが、こっちからでは開けられなくてね・・・。済まないが、そっちからもし開けられたら、ここからボクを出してくれないかい?』
『は、はい!』
錠前に無数のひびが入って細かい粒になって消えていくと、扉を縛り付けていた鎖がほどけてなくなり、扉がゆっくりと開いていく。
『・・・ああ・・・久しぶりのシャバの空気は美味しいねえ・・・!ありがとう、礼を言うよ』
『い、いえ・・・』
『・・・さあ、久しぶりの外の世界だ。ボクの人生の晴れ舞台が今まさに始まるのだ。さあ、ボクの登場を待ち望んだ世界中の子猫ちゃんたちよ、思う存分黄色い声のシュプレヒコールを浴びせてくれたまえ・・・!素晴らしき舞台の始まりさ!!』
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「さっぶぅぅぅぅぅぅっ!!なんじゃ、こりゃぁぁぁぁぁぁっ!!ぶぁっくしょーん!!」
宝石の中から飛び出してきたヴィルヘルミーナさんを待ち受けていたのは、極寒の雪山の荒涼たる風景と肌を突き刺す冷気と雪の嵐の洗礼だった。執事服のみという軽装の彼女が目を見開き、思い切りくしゃみを放った。
「だ、大丈夫ですか!?急いで中に入ってください!!」
「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬーっ!!」
ヴィルヘルミーナさんは涙目になってパワードスーツの中によじ登り、入ってきた。
「ガクガクブルブルガクガクブルブル、し、死ぬかと思ったよ。まさかこんな雪山の中に飛ばされていたなんて思いもしなかった。復活してそうそう凍死するところだったよ」
「死ねばいいのに」
「ビビちゃーん!久しぶりだねえ!!ああ、このお人形さんのような真っ白で柔らかくてミルクのいい匂いがするこの感じ・・・たまらないねえ。君と離されてどれほどの時間が流れたのかは分からないけど、こうして再び君のぬくもりを感じられる日が来ようとは・・・実に感無量だよ!」
むぎゅうううううう♥
死んだ瞳になっているビビ姉に後ろから抱き着いて、執事服越しでも分かる巨乳に挟まれて動けないようにがっちりとホールドされていた。
「ああ~、これだよこれ。一日三回はビビちゃんにこうしてハグしてクンカクンカスーハースーハーしないと、動悸、息切れ、めまいが起きて倒れそうになるからねえ」
「禁断症状!?」
「・・・・・・だから、コイツを復活させるのは嫌だったんだ・・・・・・!!」
「・・・ところで、君は?」
そういって僕の方を振り返ると、僕の顔をじぃ~っと見つめてくる。
「・・・おお?おおお?おおおおおおっ?こ、この純朴で可愛らしくて思わず抱きしめたくなるほどの愛くるしさに満ち溢れているこの可愛い子は・・・もしや・・・天使なのかい?」
あ、あの、僕の肩を両手で掴む力がすごく強くなってきているのですが?
「・・・しかし、君からはなぜだろうか。女の子にしか見えないんだけど、この、何て言うか、ボクが今までに感じてきた女の子の匂いとはどれも一致しない特有の匂いというか、オーラを感じるね。古今東西、ありとあらゆるジャンルの女の子を食べまくってきたボクがこんなにも素晴らしい逸材を見逃しているなんて・・・んん?君、この感じはもしかして・・・」
バッ(僕のズボンをヴィルヘルミーナさんが覗き込む音)
「なっ・・・!?」
「・・・ある。つまり、君は、その、あの、伝説上の生き物と呼ばれている、あの【男の娘】という・・・ヤツなのかい?」
ちょっと待てやぁぁぁっ!!いきなり人のズボンをズリ落として、あんなところを見るなんてこの人どういう神経をしているのさ!?僕が顔を真っ赤にしてズボンを抑えているのに、この人はさっきから顔を俯かせて震えているんですけど・・・!?
「・・・ブ」
「・・・ぶ?」
「ブラボォォォォォォッ!!まさか、夢にまで見たリアル男の娘がキタァァァァァァーーーッ!!ヒィッヤッホォォォォォォッ!!し、し、しかも、ぐへへっ、こんなにも可愛い黒髪ウルフカットの可愛い男の娘ちゃん天使がご来光だぁぁぁぁぁぁっ!!こ、こ、これはきっと最後の任務の前にいいことがありますようにって、教会で聖母様にお祈りをしたときに、お供え物のパンを盗み食いしたご利益だねっ!!女神様、ありがとうございますぅぅぅぅぅぅっ!!」
ブッシャアアアアアアーーーーッ(鼻血を勢いよく噴き出した音)
「ギャアアアアアアーーーッ!?は、は、鼻血がすごい量出てるーっ!?死にますって!!そんなにいっぱい血を出したら死んじゃいますからぁぁぁっ!!落ち着いてください!!」
「キィエエエエエエエエエッ!!た、た、たまらないねえ。ふ、ふひっ、君は一体誰なんだい?!」
「ぼ、僕は梶斗真と言います!【七人の獣騎士】改めて【彩虹の戦乙女】で新しく入隊しました!!」
「つまり、君はボクたちにとっては新しい弟分ということかい?」
「・・・そうなります」
「よっしゃあぁぁぁぁぁぁーーーっ!!男の娘の可愛いハニーがキトゥァアアアアアアッ!!つ、つまり、ボクたちがこれからお姉ちゃんとして君に手取り足取り腰振り色々なことを教えてあげなくちゃいけないわけよねん?え、えへへぇ、こぉんな可愛い男の娘をボクの好みのエロエロでトロトロな子に調教・・・ごほんごほん、教育してもいいってことだよねぇ?あーんなことやこーんなことをしてもいいんですよねぇ?神様、本当にありがとうございます!!」
そこまで言った後、彼女の鼻血が収まった・・・いや、明らかに出血多量で出す血液がなくなってきたのか、彼女の表情が真っ青になり、そのまま動かなくなった。
「ヴぃ、ヴィルヘルミーナ、さん?」
「・・・ボクのことは、王子、もしくは”姉上”と呼びたまえ・・・てか、そう、呼んで。ふひひ・・・ボクの理想がまた一つ叶った・・・ガクッ」
満面の笑顔を浮かべたまま、パワードスーツの中を大量の血液で血まみれにして、ヴィルヘルミーナさんは倒れた。そして、ビビ姉は頭に青筋をいくつも浮かべて震える声で言った。
「・・・・・・私がここまで言う理由、分かった?」
「・・・なんとなくわかるような気がします」
こうして五人目の剣術士、ヴィルヘルミーナさんが仲間に加わったのでした。
ヴィルヘルミーナはいかがでしたか?彼女が今後ムードメーカー&トラブルメーカーとして斗真や仲間たちを引っ張り回します。こういったギャグキャラをかくのは好きなので、彼女は描きやすいと思いました。今回はスケベでお間抜けな所が目立ちましたが、戦闘の時には傭兵団きっての武闘派と認められるほどの実力を発揮します。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます!!




