幕話➀「300年前の因縁~最凶最悪の傭兵団嵌められる~」
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今回は幕話となっております。300年前にレベッカたちが封印されたときの話です。
レギオン討伐から1週間ほど経った頃。
「そういえば、レベッカさんたちはどうして封印されたんですか?」
「あ、それ私も気になっていたわ。貴方たち、クロスと一体何があったの?」
秘密基地の洋館で、午後のティータイムを楽しんでいる時に僕がふと気になってレベッカさんに聞くと、お忍びで遊びに来ていたヴァネッサ女王も気になっていたらしく尋ねる。
「うん?ああ、そういえばまだトーマたちには話していなかったっけ」
「・・・あまり思い出したくもない話だがな。まあ、いずれは話さなければならないとは思っていたからちょうどいいのではないか?」
その当時のことを思い出したのか、レベッカさんたちは不機嫌そうな表情になる。
あれ、これってひょっとして聞いてはいけない話だったのかな・・・?
レベッカさんたちにも色々と事情があったのかもしれないし、それなのに彼女たちの心に土足で踏み込むようなことをしてしまったのだろうかと思うと不安な気持ちになってくる。
「・・・貴方がそんな顔をすることはないわよ。ただ、あの時のことは今でも思い出すだけではらわたが煮えくり返りそうになるわ。クロスの連中には本当に世話になったからね・・・」
「ああ、あの時のことを思い出すとどうしてあの国の依頼などを引き受けてしまったのか、自分たちの間抜けぶりにも腹が立つな」
「まあな。でもよ、今はこうして封印も解けたし、こんなに可愛い弟分とも出会うことが出来たし、そう考えればオレたちって転んでもただでは起きねえよな」
「それについては否定はせんが、まあ、クロスがやったことについてはそれはそれ、これはこれだ」
「だよな。オレもクロス大嫌いだし、絶対に許すつもりなんてねえもん」
レベッカさんがムシャムシャとマフィンを食べながらあっけらかんと答える。
「それじゃ話してやるよ。えーっと、確かあれは300年前・・・オレたちが受けた最後の仕事のことだったな」
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時はさかのぼること300年前。
その当時、【七世界セブンズ・ヘブン】には最凶最悪の名を欲しいままにする、伝説の傭兵団が存在した。
一人、【憤怒王サタン】の紋章を宿し、地獄の業火を纏った大剣を軽々と振り回して一人で大勢の敵をなぎ倒す一騎当千の兵にして、荒くれ者たちをまとめ上げる大剣術士【業火のレッドグレイブ】。
一人、【傲慢王ルシファー】の紋章を宿し、百発百中の命中率を誇る弓矢の腕前と雷雲を召喚して天より裁きの雷を落として敵を殲滅する文武両道の弓術士【雷鳴のアーヴィング】。
一人、【色欲王アスモデウス】の紋章を宿し、敵陣に真っ先に飛び込んでさながら戦場を美しく舞うように暴風を纏った剣で敵を切り刻む妍姿艶質の剣術士【颶風のワイズマン】。
一人、【強欲王マモン】の紋章を宿し、吹き荒れる嵐のごとく戦技を繰り出し、全身全霊で放つ必殺の一撃は大地を割り、全てを灰燼に帰す疾風怒濤の槍術士【大地のオズボーン】。
一人、【嫉妬王レヴィアタン】の紋章を宿し、自身の姿を影に変えて、知略謀略を張り巡らせて敵を惑わし、時としてあらゆるものを飲み込む闇となる千変万化の双剣士【月闇のグレンヴィル】。
一人、【怠惰王ベルフェゴール】の紋章を宿し、全身から湧き上がる無尽蔵の魔力を水や氷に変えて自在に操り、魔法兵器に乗り込んで敵の攻撃から仲間を守る盾となる難攻不落の騎乗兵【氷結のブルックス】。
一人、【暴食王ベルゼバブ】の紋章を宿し、起死回生の癒しの術で仲間の命を救い、魔法植物を生み出して自由自在に操る、神樹の加護を受けた聡明叡智なる神代の聖女【神樹のアッシュクロフト】。
彼らを雇えばどんな負け戦でも戦況を塗り替えてしまうと言われており、その名は世界中に知れ渡り、あるものからは英雄として尊敬を受けて、あるものからは悪鬼羅刹のごとき外道の集団として恐れられていた。
そんな彼らが300年前に引き受けた最後の仕事は、クロス聖王国からの依頼だった。
「その当時、外なる神と名乗る正体不明の怪物が暴れまわっていてな。オレたちはその怪物を討伐してほしいっていうクロスからの依頼を引き受けたんだ」
「かなり報酬がよかったから、何か裏で企んでいるではないかと思ったが、その当時は金欠だったものでな。背に腹は代えられぬということで引き受けたんだ」
「お金に困っていたんですか?」
「・・・ええ、その当時ね、その依頼の前に受けた魔物退治の依頼を受けていたんだけど、こっちはちゃんと討伐を果たしたって言うのに、支払いの時になって急に依頼人がお金を出し渋ったのよ。それどころか暗殺者を寄こして私たちのことを始末しようとしたのよ。それで、ちょっと頭に来ちゃってね・・・」
「暗殺者を全員締め上げて、その依頼人の屋敷に乗り込んで依頼してきた金持ちのジジィをボッコボコにしたのはいいんだけどさ、暴れ過ぎて屋敷ごと吹き飛ばしちまったんだよな!」
「えぇぇぇぇぇっ!?」
「・・・あの時はオリヴィアがマジでブチ切れたからな」
「おう、アイツ『仕事をちゃんとやったんやから、ちゃんと銭払わんかいボケーッ!!』て怒鳴り散らして暴れまくってたよな」
「・・・ところがそこで、団長が暴れ過ぎてその金持ちの屋敷に隠されていた魔導兵器や火薬・・・そいつは裏で魔導兵器や武器の横流しをやっていた悪党だったんだけどね、武器庫の中に火炎弾をぶち込んじゃって・・・。その結果、屋敷は大爆発して財産は全て灰になったのよ。あまりにも騒ぎまくったもんだから、衛兵が駆けつけてきてね。見つかる前にずらかったモンだから報酬はゼロよ」
「メチャクチャだ・・・」
「まあ、それで飯代もなくなったもんだからこのままじゃヤバいなって思っていた時に、クロスから依頼が舞い込んできてよ、それを引き受けたんだ」
「・・・それで、どうなったんですか?」
「まあ、結論から言うと外なる神はオレたちがブッ倒した。外なる神の正体は、高度な魔法能力による儀式で作り出された合成獣だったんだ。相当腕のいい魔術師が作り出したものらしいんだけど、どうしてこんなものが突然現れたのか、一体誰が作ったのか分からないことだらけだったんだけどさ、まあ、とりあえずはその化け物を倒してひと段落着いていた時だったんだ」
レベッカさんの眉間に深いしわが刻まれて、怒りで身体を震わせながら鬼のような形相に変わっていく。
「・・・オレたちは最初から嵌められていたんだ・・・」
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『は~っ、かなり手こずったけど何とか倒せたな。疲れた~』
レベッカが兜を脱いで大きくため息をつくと、その場で倒れこんだ。
『まあ、かなりの大物だったけど、ボクたち【七人の獣騎士】の敵ではなかったということさ』
『・・・眠い・・・疲れた・・・早くグータラしたい・・・ぐぅ・・・』
『あらあらまあまあ、ビビちゃん、こんなところで寝たらダメですわよ。風邪引いちゃいますよ?』
『まあ、クロスからこの後がっぽりと大金をもらえるわけやし、それで今夜は久しぶりにパーっとやろうやないか!』
『おっ、いいなそれ!酒場を貸し切って朝まで飲むか!』
『よっしゃあーっ!それでこそ団長や!!』
『ふっ、そして娼館で可愛い女の子と朝まで甘く蕩けるようなひと時を過ごすというのも悪くないね』
『・・・うるさい・・・死ね・・・色ボケ・・・ぐぅ・・・』
『・・・ビビちゃん・・・寝言でボクを罵るなんて何て高度な技術を・・・』
『・・・舞い上がっているところに水を差すようで悪いけど、今度こそちゃんと依頼金を支払ってくれるのかしらね?この間みたいに直前になって暗殺者を寄こして依頼金は出しませんなんて言って来たらどうするのよ?』
『その心配には及ばんだろう。何せこの依頼は国王からの依頼なのだからな。傭兵団に契約違反を行ったことなど民に知られたら王家の信用が失われるだろう』
『そうですわね。もしそのような無知蒙昧な輩が国王を務めておられるようなら、隣国という隣国にクロスの悪評を流しまくって、ついでに砦の一つや二つを破壊して騒ぎを起こせば、他国から追及されることでしょう。そうなったらボロを出すかもしれませんしね。ウフフフフフフ・・・』
『・・・アンタは本当に聖女か?笑顔でメチャクチャえげつないことを考えるんだから・・・この腹黒聖女は』
アイリス、グリゼルダ、そして『ヴィルヘルミーナ・ワイズマン』、『ビビアナ・ブルックス』、『アレクシア・アッシュクロフト』、『オリヴィア・オズボーン』が兜をつけたまま、笑いあいながら依頼を見事達成した満足感を満喫していた。
この時、彼女たちは夢にも思っていなかった。
まさかこの数十分後に、グリゼルダが言っていた不安が見事的中することになろうとは。
現在判明している残り4人の詳細について
『オリヴィア・オズボーン』:関西弁、金にうるさい。レベッカとは親友。
『ビビアナ・ブルックス』:グータラ大好き。どこでも寝られる。ヴィルヘルミーナには辛辣なツッコミを入れる。
『ヴィルヘルミーナ・ワイズマン』:中性的な話し方が特徴的。可愛い男の子や女の子とイチャイチャすることが大好き。ビビアナに突っ込まれては涙目になって落ち込むヘタレな一面がある。
『アレクシア・アッシュクロフト』:あらあらまあまあが口癖のおっとりとした性格のお姉さんタイプ。笑顔でさらっと物騒な発言をかます腹黒系聖女。
まともなのはグリゼルダだけだったか・・・この傭兵団7人中6人が問題児でした。
次回に続きます。




