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第二十三話「正式に入隊しました!~ヴァネッサ女王からの報酬~」

本日二回目の投稿をいたします。

今回で、第一章の本編は終わりです。

幕話を挟んでから、第二章に入りたいと思います。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

 レギオンを倒して、ようやくひと段落がついた。


 現在、僕たちは王宮の執務室に【彩虹の戦乙女(グラン・シャリオ)】のメンバーとヴァネッサ女王、宰相のセリアさんがテーブルを囲んで座っていた。


 「【彩虹の戦乙女(グラン・シャリオ)】、この度は我が国に危害をもたらした悪霊レギオンを見事討伐を果たしてくれたことに礼を言いましょう。本当によくやってくれました。心から感謝申し上げます」


 そう言って、ヴァネッサ女王が座ったまま頭を深く下げた。セリアさんも一緒に頭を下げる。


 「そして、本当に申し訳ございません。まさかあれほどなまでの強大なレギオンがこんなすぐ近くに巣を作っていたことに気づかなかったとはいえ、貴方たちを危険な目に遭わせてしまったのは私の責任です」


 「いえ、そんなヴァネッサ女王が謝ることはないですよ。それにそういうことは僕たちが気づくべきことでしたし。それに、もしかするとかなりまずい状況になっていると踏んだからヴァネッサ女王はグリゼルダさんを発見して僕たちに教えてくれたんですよね?」


 『え?』


 ヴァネッサ女王とセリアさんが顔を見合わせた。あれ?そうじゃなかったのかな?よく見ると、レベッカさんたちも驚いたような顔になっていた。


 「お前、もしかしてこういう展開になるかもしれないって、予想していたのかよ?」


 「ええ、まあ、ちょっとは・・・」


 「どの辺りで気づいたのだ?」


 「グリゼルダさんが封印されている魔石が洞窟から発見されたっていう報せを聞いたときからおかしいなとは思っていましたけど?」


 だってそうじゃん。

 幽霊船が出没していて、それを見に行った人たちが行方不明になっているとか言われている洞窟を調査していて、そこで発見されたものを魔法学者や王宮魔導師が王宮に運び込んで調査をすること自体がまずありえないのだ。


 普通なら、これがもしかしたら幽霊船と何か関係があるのではないかと疑うのが当たり前だ。ましてやそんな危険なものを王宮の中に持ち込むなど、絶対にありえない。


 しかし、グリゼルダさんを王宮の中で保管していることを考えると・・・ある仮説が思い浮かぶ。


 「アイリスさん、結論から言わせてもらうとこうなるように仕向けたのはアイリスさんですよね?」


 「ほう、それはどういうことかね?」


 「まあ、僕がこの先この傭兵団で使い物になるかどうかを見極めるためのテストといった感じですかね」


 僕がそういうと、アイリスさんが唇の端を吊り上げてニヤリと微笑んだ。


 「まず、レベッカさんからの推薦とはいえ、気に入ったという理由だけで僕を傭兵団という生きるか死ぬかの過酷な状況に置かれることが珍しくない環境にやすやすと招き入れるとは思えないんですよ。特に、レベッカさんに言いたいことをはっきりと言って団の規律を乱す行為を許さないアイリスさんならね」


 そりゃ仕方がないよね。いきなり戦いの経験もない一般人を傭兵団にあっさりと入隊を許可するなんてその傭兵団マジで大丈夫かよって思うもんな。つまり、アイリスさんは今回の騒ぎを利用して、僕が様々な情報に振り回されることなく、自分で考えて自分で行動し、緊急事態に置かれた際には状況を素早く整理し、判断して行動に移すことが出来るかどうかを僕を見極めていたという考えが妥当だろう。


 「だから、ここに来る前からもうすでにグリゼルダさんがヴァネッサ女王に保護されているという情報を手に入れていたんですよね?そして、ヴァネッサ女王もレベッカさんたちが魔石に閉じ込められていて、封印から解放されたことを知らされていた。そしてその上でブラオベーレに現れる幽霊船の話を聞いて、その幽霊船の調査を利用して、僕がここでやっていけるかどうかを試そうとした。どうでしょうか?」

 

 「・・・君は思った以上に賢いようだな。それに、頭の回転も速いし、緊急事態に置かれても自分を見失うことなく冷静に物事や状況を分析して、パニックに陥ることなく的確な判断をして素早く行動に移していた。まあ、勇者軍がここで絡んできたのは正直想定外だったが、それでも君は感情に流されることなくレギオンを見事討ち果たした。これなら君も私たちの仲間としてやっていけるだろう。グリゼルダ、どうだ?」


 「・・・まあ、正直言わせてもらえばまだまだ未熟なところはあるわね。女装をしたときにパニックになって暴れ出したりするところとか、特定の条件が揃うと感情を大爆発させて訳の分からない行動に出るところは今後控えた方がいいとは思うけど・・・でも、その辺りは私が戦場における心構えというものをキッチリと叩き込むから、今後の成長に期待すると言っておくわ」


 そういって、グリゼルダさんとアイリスさんがにっこりと優しく微笑んだ。


 「合格だ。トーマ、お前を改めて【彩虹の戦乙女】の仲間として認めよう。すまなかったな、ややこしいことをしてしまって。お前がもし戦いに不向きだったら、屋敷の世話だけを任せようと思っていたのだが、お前の意思を聞く限りだとお前も私たちと共に行動がしたいと思っているようだったのでな」


 「私も幽霊船の正体を突き止める事が出来れば駆け出しの傭兵にしてはセーフと思っていたんだけど、まさかここまでヤバいのが出てくるとは思ってなくてね。本当に申し訳ございません」


 しかし、今回の一件でヴァネッサ女王も僕のことを半人前だけど冒険者として認めてくれたようだ。


 「今回の報酬として【彩虹の戦乙女】に私直々に依頼を申し込むこともある御免状を出す。そして【彩虹の戦乙女】全員分の旅券と戸籍もね。あとは王家御用達の後見かしらね。これだけあればクロスもそう簡単に手は出せないでしょう」


 「ああ、そうか。これで手を出したらブラオベーレの民に手を出したってことで喧嘩を売ったってわけだもんな」


 「ええ、我が国の民を勝手な理由で傷つけることなど絶対に許しません。ましてや、散々我が国に迷惑をかけまくったというのに、まだ懲りずに迷惑をかけてくるようならばこっちにも考えというものがありましてよ。そうね、聖霊石の輸出を全て差し止めにしてやるというのもいいわね。それとも、ブラオベーレと親しくしている他国にクロスの悪評を流して、クロスに悪い感情を抱かせるというのもいいかもしれないわね。こうなったら徹底的にやってくれるわ、ウフフフフフフ・・・!!」


 「ええ、女王陛下、ようやくあの憎きクロスに一泡を吹かせられる時がやってきましたね。遠慮はいりません、わたくしたち臣下のものもいざという時にはクロスに攻め込んで国王の首を討ち取るためなら命も惜しまない所存でございますわ」


 「やっと、あのバカ王国にぎゃふんと言わせる時がやってきたぜ・・・ワクワクする!!」


 「マジで殺ってやろうぜ、俺たちのことをこれまで散々バカにしてきやがって・・・!!」


 あのー・・・。

 女王陛下を筆頭に、宰相さんや護衛の騎士さんたちも何でそこまで殺る気マンマンなのでしょうか?

 クロス王国って、どれだけ嫌われているの!?みんな、目がマジなんですけど!?


 「何だよー、オレが推薦したっていうのに不満だったのかよ?」


 「不満と言うわけではないが、お前が連れてきた奴が悉く私たちの課したトレーニングに耐え切れず、音を上げて逃走しているではないか。お互いに命を預けて戦う仲間としてトーマを受け入れるのならば、どんなにトーマが可愛くて、どんなにトーマが愛おしくても、ただ可愛いだけでは戦場では生き残れないだろう?」


 「そんなの入隊させても、一日と持たないでしょう?トーマを正式に仲間と認めた以上は、私たちもしっかりと鍛え上げてどこに出しても恥ずかしくない一人前の男に育て上げることを約束するわ」


 「うーん、よく分からねえけど、とにかくこれでトーマはオレたちの仲間ってことだな!」


 そういって、レベッカさんが僕にくっついて、思わず見ているだけでほっこりとするような明るい笑顔を浮かべていた。


 「これからもよろしくな、トーマ!!」

 

 「はい!!よろしくお願いいたします!!」


 クラスメートに裏切られて追放されて、一時は落ち込むところまで落ち込んだ。


 でも、僕のことを認めてくれて、これからも共に過ごし、共に戦い、笑いあえる大切な【仲間】で【家族】が出来た。


 僕はそのことがすごく、嬉しかった。


 そして、皆に守ってばかりではなく、みんなから頼りにされるような一人前の男にならないといけない。


 正直、生きるか死ぬかの戦いに明け暮れることになるかもしれないということを分かっていても、彼女たちと一緒ならどこまでもついていける。一緒に戦っていける。そんな思いが僕の不安や恐れを吹き飛ばしていくような気がした。


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 

 斗真がアイリスたちに改めて、正式な仲間として【彩虹の戦乙女】に入隊が決まり、喜びを分かち合っていたころ・・・。


 青の大陸ドランブイ。


 寒風が吹き荒れて、一年中雪と氷におおわれている極寒の世界が広がっている。


 雪原を一人、サクサクと音を立てながら一人の女性が歩いていた。


 腰まで伸ばした長い黒髪をなびかせて、まるで雪女かと見まごうほどの端正な美貌に甲冑を身に纏っている凛然とした雰囲気は思わず見とれてしまうほどの美少女だった。


 そんな彼女の前に、腹を空かせたホワイト・グリズリーが凶悪そうな表情を歪ませて笑みを浮かべながら立ちはだかった。ホワイト・グリズリーはドランブイの雪原地帯に出没する肉食の凶暴なモンスターで、全身を真っ白な毛並みで覆っており、鋼の剣でさえも刃をはじくほどの頑強な筋肉を持つことで冒険者たちには恐れられていた。


 3メートルはある巨体で彼女の行く手を阻むように身構えて、ゆっくりと腕を振り上げた。

 鋭い爪で彼女の肉を引き裂き、柔らかい肉に貪りつける。そんな期待で口から大量のよだれがあふれ出す。


 しかし、彼女はゆっくりと顔を上げると、吹雪でさえも平気なホワイト・グリズリーでさえも思わず凍り付くような冷たいまなざしで睨みつけていた。






 「邪魔よ」






 次の瞬間、赤い光がホワイト・グリズリーの巨体を走り抜けたかと思うと、ホワイト・グリズリーの身体から勢いよく炎が燃え上がった。

 

 断末魔の叫びをあげる間もなく、ホワイト・グリズリーの頭部がずり落ちて地面に落下し、さらに上半身と下半身がずれて地面に倒れこむと同時に切り離されて、赤くて大きな花が雪原に咲いた。


 吹き荒れる吹雪の中、静かに太刀音が響き渡った。


 赤い炎に飲み込まれて、見る見る炭になっていく亡骸を冷たい目で一瞥してから彼女は静かにつぶやいた。


 「・・・梶くん・・・どこにいるのかしら?・・・早く出てきなさいよ・・・どこにいても・・・必ず見つけ出して・・・私の手で殺してあげるんだから・・・ウフフフフフフ・・・」


 唇を舌なめずりして、蕩け切った目でただ一人自分が心から愛し、心から憎む怨敵の名を口にしながら、炎の勇者・雁野かりの美月みづきはクックッと狂気を孕んだ笑みを浮かべて笑い出した。


 下らない異世界の平和などどうでもいい。


 世界など全て滅んでしまっても構わない。


 人間にも興味などない。邪魔なら切り捨てるまで。


 ただ、自分が心から愛し、心から殺したいと恋焦がれる梶斗真だけはこの手で殺す。


 それだけのために、自分は生きている。


 「愛しているわ・・・。貴方の全てを私にちょうだぁい・・・。私が全身全霊で貴方を愛してあげるからぁ・・・。早く会いたいわぁ・・・梶くん・・・ウフフフフフ・・・」


 人間としての感性や常識、理性など持ち合わせていない、炎を纏った美しい狂人が牙を研ぎ澄ませていた・・・。

メイドや愛玩用ではなく、共に戦う仲間として認められて正式に入隊した斗真。斗真が傭兵として、冒険者としてこれからやっていけるかどうか見極めて、その実力を無事認められました。


そして、桐人に続いて、ヤンデレ系勇者【雁野美月】も動き出しました。

彼女は桐人とはけた違いの強さを持っているということだけは明かします。


次回幕話を書きたいと思っております。ギャグやほのぼのとした話にしていきます。


次回もよろしくお願いいたします。

ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 鳳桐人でも明らかにサイコパスなのに、この上まで居るってどういうクラスなんだ…… と言うかぶっちゃけた話しリアルなら隠蔽無理な程、犯罪をやらかし過ぎてる過去にドン引きする
[良い点] 鳳桐人、永久に苦しみに囚われる結末になりましたか! まあ自分が悪いことしてるって認めようとしなかった奴だから、死なんて生ぬるいし、これはふさわしい末路だな! ざまぁみろ!! [気になる点…
[一言] レギオンを倒したことで斗真は彩虹の戦乙女に入隊する事になりましたね。 それで精神崩壊した桐人けども、処刑ではなくてあのままほっといたり改造人間にしたらどうなっていましたか?
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