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第十九話「彷徨うファントムシップ~VSレギオン➀~」

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます。


誤字報告、本当にありがとうございます。これからは作品を書く際に改めて字は間違っていないか、この表現の方法は間違っていないか、何度も確認をしてから投稿するように心がけます。


 夕日が水平線に降りて、空一面が紫色の夕闇に染まっていく。


 僕たちは不安定な砂浜を、砂を巻き上げながら走っていた。

 目指すは西の入り江の洞窟だ。


 「まずは、レギオンについて軽く説明をしておくわ。ヤツは【ゴースト系】の魔物よ。属性は【霊属性】と【闇属性】。一番有効なのは【光属性】の魔法ね。そして、ヤツには物理的な攻撃は一切効かないわ」


 「つまり、魔力を帯びた攻撃や魔法でなければダメージを与えられないということか?」

 

 「そういうことよ。でも、レギオンは大量のアンデッド系モンスターを生み出して一斉に襲い掛かってくる戦いを得意としているわ。アンデッドたちに時間を取られている間に魔力が尽きたら万事休すね。レギオンに取り込まれたら魂を喰われて、アンデッドの仲間入りよ」


 「なるほど、つまりは一気に本体もアンデッドもまとめて片付けちまえばいいってことか!」


 走りながらレギオンの対策を取るレベッカさんたちを見て、よくそんな器用なことが出来るなと感心してしまう。これが彼女たちが超一流の傭兵団と言われていた所以なのかもしれない。


 「しかし、あの洞窟には風の勇者たちもいる。途中で見つかったら厄介だな」


 「アイツら、トーマのことを捕まえに来たらしいからな!アイリス、どうする?」


 「ふむ、気配を消してアイツらに気をつけて洞窟の中を通り抜けるしかあるまいな」


 「・・・あの、その件なんですけど、僕どうにかできるかもしれません」


 洞窟の前で僕がそう言うと、レベッカさんたちがこっちを振り向いた。


 「おっ、何かいい考えがあるのか?」


 「はい。これ、グリゼルダさんが封印されていた魔石の一部なんですけど、この魔石からは闇属性の魔力が含まれているんです。確か、闇属性の魔法で自分の気配を遮断させることが出来るんですよね?」


 「ええ、確かにそうだけど・・・」


 「それなら、これを使いましょう」


 僕は緑色の魔石に魔力を通し、糸に変えて布を紡ぎ始めた。

 そして魔力で作り出した【織機】だけではなく、【革包丁ヘッドナイフ】も生み出して手に取ると、イメージを集中させて布に投影させてから、仕立てを始める。


 布の材質も分厚くて丈夫な【革】のようなものに変えて、つま先とかかとの部分には超硬質の金属のパーツを付け加えて、履き心地が良く、広くて程よく締め付け過ぎず、ぶかぶかし過ぎずの微妙な調整をして、足に合わせて調整できるようにベルトもつける。


 「それって、まさか、靴か!?」


 「はい、安全靴です」


 レベッカさんたちのそれぞれの足のサイズに自動的に調整できるように作り上げた安全靴は軽さや耐水性などにこだわって作ってみた自信作です。


 レベッカさんたちにそれぞれ作り上げた安全靴を渡して、レベッカさんが早速履いてみる。


 すると、目を見開き、驚きの声を上げる。


 「うおおおおおおっ!!履き心地がスゲエいいぞ!!しかも空気がスースーして気持ちがいいぞ!!」


 「風の魔力を含んだ布を使っているから、通気性もばっちりですよ。しかも、闇の魔力を含んだ布によって足にかかる疲労や負担を軽減しているから、長い時間歩き続けても普段の3分の1ほどしか体力は消費しないようになっているんです」


 さらに言うと、炎や水の魔力を含んだ布も一緒に織り込んで作ったため、マグマの高熱を発する灼熱の大地を歩いても熱を冷まして常に快適な温度を保つし、その反対に氷が張っている雪原を歩いても寒さを遮断するため、しもやけなどにかからないようになっております。

 

 「それに加えて土の魔力を含んでいるから、砂利道や荒れ地を歩いても靴が傷まないようになっているし、すごく丈夫でこれで思い切り蹴りつければ巨大な岩でも粉々に吹き飛ばすことが出来ます。魔力を込めればより一層その効果が強くなりますよ」 

 

 「・・・すごいわね、こんなに精巧で丈夫な靴を魔石から作り出すなんて・・・!思わず見とれてしまうほどの見事な手さばきだったわ。妬ましさを通り越して、もはや言葉が出ないわ・・・」


 「闇の魔力で足音や気配を消すことも可能なのか。これはすごいな。気配遮断の魔法を使わなくても、これを履くだけで気配を消すことが出来るというマジックアイテムなど聞いたことがない」


 「さすがはトーマだぜ!こんなすごいものを作れるなんて、オレ様は姉として鼻が高いぜ!!」


 「当然だ。私たちの弟が可愛いことなどもはや当たり前、さらにこのような高度な魔法技術の産物を作り出せるとはますます惚れこんでしまうな」


 そう言って、レベッカさんとアイリスさんが僕を両側から挟み込むようにして抱きしめて、頭を撫でまくる。お、おっぱいで、僕の顔をサンドウィッチするのは・・・その・・・柔らかくて気持ちいいけど、恥ずかしいから勘弁してよ・・・!!


 「グリりんも一緒にハグしようぜぇ~♪トーマ、すっごくあったかくて柔らかくて気持ちいいぞ~」


 「・・・わ、私はいいわよ。てか、今はいちゃついている場合じゃないでしょう?さっさとレギオンを片付けるわよ!ちょっとは気を引き締めなさいよ!」


 グリゼルダさんが顔を真っ赤にして、僕の手を掴むとズンズンと力強く引っ張っていく。

 何だろう、ちょっと不機嫌な感じだけど・・・もしかして、これからS級クラスだった魔物と戦うというのに、あまりにも緊張感がないから怒っちゃったのかな?

 

 「・・・二人ばっかり・・・ずるいわよ・・・私だって甘えたいのに・・・甘やかしたいのに・・・」


 「え?何か言いました?」


 「な、な、なんでもないわよっ!?」


 グリゼルダさんが顔を真っ赤にして怒鳴ると、再び僕の手を引いてズンズンズンと歩いていく。

 うう、やっぱりこれってすごく怒っているよね・・・?


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 入り江の洞窟と呼ばれている洞窟の中はじめじめとしていて、何だか気味の悪い場所だった。

 安全靴のおかげでコケやぬかるみに足を取られることもなく快適に進んでこられたけど、まるで迷路のように複雑な作りをしていて、同じ場所をグルグルと回っているような錯覚に陥る。


 「この先から強い魔力の反応を感じるわ。間違いなく、この先にレギオンがいるわよ」


 「ふんどし締めてかからねえとな。みんな、準備はいいか?」


 「いつでも行けるぞ。トーマ、お前はもし危険になったら岩陰に隠れているんだぞ、いいな?」


 「出来る限り、僕もみんなの邪魔にならないように頑張ります!」


 「おうおう、威勢がいいじゃねえか。男はやっぱりそうこなくちゃな!」


 そして歩いていくと、地面に何か転がっていることに気づいた。

 よく見ると、それは・・・黒い穴と化した眼窩をこっちに向けで大きく口を開いたしゃれこうべだった。


 「・・・これは・・・人間の骨!?」


 「・・・よく見ると、この辺りにかなりの数の骨が散らばっているな」


 目を凝らしてみると、そこら中に打ち捨ててあるかのように白骨が転がっていた。その中には服を着たままの状態で亡くなり、そのまま白骨となった無残な遺体もあった。辺り一面が骨、骨、骨で埋め尽くされている荒れ果てた光景が広がっている。


 「・・・これは、魂を抜かれた跡があるわ」


 「もしかすると、この骨って幽霊船を目撃してそのまま行方不明になった人たちのものでしょうか?」


 「この服装はおそらく貴族のものだな。そういえば、夜な夜なこの辺りの海域に幽霊船が現れては通り掛かった商船や客船を襲撃して、船の残骸だけが浜辺に流れ着くということが度々起きているという話を聞いたことがあるな」


 「それじゃあ、この骨は幽霊船に襲撃されて亡くなった人たちの骨ってことですか!?」


 「おそらくな・・・」


 「かなりの数の人間の魂を喰ってやがるな。こりゃ、夜になる前に片付けねえと厄介だぜ」


 「喰らった魂の分、体力も魔力も強化されているからな」


 それが夜になるとさらに凶暴化して、強くなるって言うのか。そりゃレベッカさんが早めに倒そうと言い出すわけだ。それほどなまでに厄介なのか、そのレギオンっていうのは。


 僕たちは野ざらしにしたままの白骨の人たちに心の中で頭を下げつつ、先に進むことにした。


 そして、曲がりくねった道を進んでいくと、僕たちは大きく開けた場所にたどり着いた。

 潮騒の音が洞窟の中に響き渡り、潮風が流れ込んでいる。どうやら外に繋がっているようだ。


 「どうやらここが一番奥のようだな」


 ここに着くまでに、洞窟の中を探索していた和田さんや島田さんの姿もあったけど、この安全靴のおかげで僕たちの姿は気づかれなかった。しかし、ここに来る途中で桜の姿はどこにもなかったな・・・?


 「・・・おい、あそこに誰かいるぜ」


 「・・・何か言い争っているようだな?」


 僕たちは岩陰に隠れながら、入り江の近くで何やら言い争っている声がするほうに近づいていく。

 そして、首だけを出して様子を窺うと、そこにいたのは・・・桜と・・・鳳!?


 そういえば、桜がこの近くで鳳のスマホを拾ったって言っていたな。

 ミルティユの街から逃げ出した後、ずっとここに隠れていたのか。


 「ふざけんじゃねえ!このクソ女が!!」


 鳳の罵声が洞窟の中に響き渡った。

 

 「随分ご挨拶だね。国王陛下やセルマっちの命令を無視して暴走した挙句に、さんざん迷惑をかけまくっているアンタの方がよっぽどクソでクズじゃん」


 「う、うるせえ!!」


 「それに、第三王子の甘い言葉に乗って今度の騒ぎを起こしていたことはもうとっくに調べがついているんだよ。第三王子もすでに騎士団に捕らえられているし、いくらそそのかされたからって第三王子の悪事に手を貸したことは事実だから、桐ちゃんももう無事じゃ済まないよ。大人しく罪を認めてブラオベーレの王宮に出頭したほうがいいんじゃないの?」


 「ど、どうして俺だけがそんな目に遭わなくちゃいけねえんだよ!?だいたい、俺がどうして勇者をクビにならなくちゃいけねえんだよ!!それに、島田のヤツが代わりの勇者だなんて冗談じゃねえよ!!アイツなんて陸上しか取り柄のない、頭の悪いバカ女じゃねえか!!」


 「・・・はぁ~っ、この期に及んでまだ自分が何をやらかしたか分かってないのかな。アンタが第三王子にそそのかされていい気になって好き勝手やった結果、クロスは友好国を一つ失いかけているんだよ。これ、かなりシャレにならない話なんだよ。それだけのことをやったから、勇者の資格をはく奪されたんでしょうが。大人しく投降しなよ。これが最終通告だからね」


 「だ、だ、だまれよっ!!俺が何も知らねえと思っているのかよ!?俺、見たんだからな!?お前が王宮魔導士と何やら言い争っているところをよ!!お前、自分のダチが魔人に改造されたことにかなりブチ切れてたんだってな!?それでお前ー」


 「・・・黙れ。いい加減ウゼェよ、テメェ」


 桜の声のトーンが豹変した。


 ドスの利いた低い声に変わり、今までに見たことのない怒りをあらわにした桜は見ただけで身体中に震えが駆け抜けるほどに恐ろしかった。そして、突然豹変した桜に狼狽える鳳に対して、鋭い切れ味を誇る鉤爪の切っ先を向けながらじりじりと桜が追い詰めていく。目は完全に据わっていた。


 「お、お、落ち着けよ、なあ、その、桜ちゃん!お、俺たち、仲間じゃないか!!」


 「・・・今更もう遅ェんだよ。オレの我慢もここまでだ。人が大人しくしてりゃ図に乗りやがって。お前みたいなクズなんざすぐにでもブッ殺してやりたかったのに、必死で我慢してお前を生きたままブラオベーレに差し出せば、何とかクロスとの友好は守れると思っていたのによ・・・」


 爪の切っ先を鳳に突き付けると、鳳は腰を抜かしてその場に座り込んでしまった。それでも必死に逃げようとするが、足が震えて思うように動かない。目に涙を浮かべて、青ざめた表情で必死に命乞いをするが、桜は今にも斬りつけようとしている。


 その時だった。


 


 

 

 -オォォォォォ・・・ー


 -オォォオォォ・・・ー


 -ニク・・・タマシイ・・・ヨコセェェェ・・・-






 洞窟の至る所にぼうっと赤い光の玉が浮かび上がったかと思うと、それがスケルトンへと変わっていく。その数はもはやこの洞窟の中を埋め尽くすほどのおびただしい数で、鳳と桜の周りを取り囲んでいた。


 「ヒィィィィィッ!?な、な、なんだよ、これはぁぁぁっ!?」


 「・・・チッ、もう夜になっちまったか。時間をかけ過ぎたか!」


 さらに二人の目の前に巨大な影がゆらりと水面から浮上して、大量の海水を巻き上げながら姿を見せた。


 「・・・あ、あれは・・・!?」


 それはボロボロに朽ち果てた木造の船・・・マストにはドクロの絵が描かれた旗が張られており、おそらくこれは海賊船のようだ。


 その船首の部分には真っ白な光を放つ竜の頭部があり、穴のような眼窩から禍々しい赤い光をぎらつかせて、鳳たちに向かって大きく裂けた口を開いて、洞窟内の空気が震えるほどの凄まじい雄たけびを上げた。


 さらに、海賊船の船体の一部が赤くて透明なものがついており、大きく膨らんでいるその形はまるでこの竜のお腹のようにも見える。


 「・・・おいおい、これ、マジでシャレにならねえんじゃねえか!?」


 「間違いない、レギオンだ。しかも、海賊船の残骸に憑依していたとはな!!」


 「それじゃ、この近くの海で商船を襲っていた幽霊船って・・・!!」


 「ええ、間違いなくこいつよ!!」


 つまり、こんな巨大な海賊船を丸ごと自分の身体に取り込み、洞窟の中を埋め尽くすほどの大量のスケルトンたちを意のままに操るようなヤバすぎるヤツと・・・戦えってことですかいっ!?


 でも、コイツを倒さなかったらミルティユに昨日とは比べ物にならない大量のスケルトンが押し寄せてくる可能性もあるんだよね。


 「・・・こうなったらもう、ヤケクソでクライマックスじゃーーーっ!!」


 「梶っち!?」


 もうやるしかねえっ、とことん派手に踊ってやる!!

【斗真の作ったアイテム その1】


【安全靴】

グリゼルダが封印されていた魔石を基に作り出された魔法の力が宿っている安全靴。

履いた人物の足のサイズに寸法を自動的に合わせる魔法がかかっている。女性にも履きやすいよう軽いが、安全靴としての強度は抜群で大岩が足の上に落ちてもビクともしない頑丈な構造をしている。風、炎、水、地の魔力を含んだ革のような厚手の布を使っているため、通気性は抜群で蒸れることはなく快適に履き続ける事が出来る。また炎の魔力によって雪原や寒いところを、水と風の魔力によって火山地帯といった危険な場所でも一定の快適な環境を保てる作りになっている。闇属性の力によって疲労を吸収することによって、足にかかる負担を減らすことが出来る。


次回、レギオンとの対決になります。

そして、新しい斗真のフォームを登場させます!!


ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます!!

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