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第二話「初めての変身~業火の魔狼・ヘルハウンドナイト~」

これで本日は最後の投稿となります。

斗真とレベッカの設定資料を次にあげたいと思っております。

このペースで投稿が続けられるようにこれからも頑張ります。

 「魔石って何ですか?」


 「魔石っていうのは、魔物やモンスターが死んだ後に出てくる魔力の塊が宝石のような形になって出てくるものだよ。それに、オレのことを封印していたこの赤い宝石もまあ、魔力によってつくられた魔石だな」


 なるほど、つまり天然ものと養殖ものの違いということか。


 「まあ、とりあえず試してみたらどうよ。ほれ、これなんて実験にはちょうどいいだろう」


 レベッカさんが砕け散った赤色の宝石を僕に手渡した。


 僕が魔石を手に取ると、さっきと同じような赤色の線がいくつも飛び交っている世界が目に浮かんだ。


 僕は意識を集中させて、魔石を強く握りしめる。


 すると、僕の手の中で魔石がまるで糸のほどけたセーターのように糸の形になってほどけていく。すると、僕の頭の中にレベッカさん・・・ヘルハウンドという魔物の姿が浮かび上がる。







地獄の炎を身に纏う、黒い体毛に覆われた獰猛な野獣。


鋭い鉤爪で鋼鉄をも引き裂き、狙った獲物は絶対に逃さない執念深さと強靭な脚力。


一度くらいついたら肉を食いちぎるまで離さない、鋭い牙・・・。







僕はその糸を、いつの間にか手に持っていた【刺繍針】で糸を集めて布を織り、戦いやすいデザインの闘衣ドレスを仕立てていく。


 さらに、魔石の塊を精錬した金属に【打出鎚】を叩きつけて薄くのばし、肩当てと胸当て、両手と両脚を覆う甲冑を組み上げていく。不思議なことに、今までこんなことをやったことなどないのに、まるで昔から知っているかのように手が勝手に動いていく。


 カン、カン、カン・・・と金属を延ばす音が心地よく聞こえる。


 頭の中に浮かぶデザインの通りに、布地と甲冑を縫い合わせていく。


 気が付くと、僕の目の前には燃え上がる炎のような鮮やかなバトルドレスが完成していた。


 両肩にオオカミの頭部を模した肩当てと、炎をイメージした形をした赤色の魔石が埋め込まれている銀の胸当て、腕と足を覆うオオカミをイメージした手甲と脚甲がついているものだ。


 「・・・こ、これを僕が作ったの?」


 「コイツは、想像以上ってところか。魔石に刻まれているオレの記憶や能力を読み取って、それを忠実に再現してやがるとはなぁ」


 完成したドレスは、我ながら良くできたと思えるほどの出来だった。

 というか、これを作っている間の記憶がほとんどない。かなり集中していたからかな。


 僕がドレスに触れると、ドレスが赤く光り、僕の掌の上で小さな宝箱へと姿を変えた。そして、もう片方の手には黒い金属製のプレートのようなものがあった。


 「・・・何だろう、これ?」


 中央にこの宝箱がぴったりとはまる窪みみたいなものがあるけど・・・もしかして、この宝箱をこの窪みに取り付けるのかな?


 「お前、なかなかやるじゃねえか!!」


 「うわっぷ!」


 レベッカさんは僕の顔を豊満な胸の谷間に挟み込むようにして抱き着き、僕の髪の毛をワシャワシャと乱暴に撫でてくる。


 というか、おっぱい大きい!!やめて、思春期真っ盛りの童貞な少年には目の毒です!!


 「んー?お前、顔真っ赤だぞ?もしかして、お前、そっちの趣味があるとか?」


 「そっちの趣味ってどっちの趣味ですか!?僕だって青春真っ盛りの少年なんですから!!」


 「えっ!?お前男だったの!?顔が可愛いからてっきり女の子かと思ってた。はー・・・マジか?それにしても、お前って本当によーく見ると・・・見れば見るほど抱き着きたくなるほど可愛いなぁ♥」


 「に゛ゃーっ!!」


 おのれ、恨むぞ僕の女顏めぇっ!!


 ううっ、どうしてこう初対面の人から女の子と間違われるんだよっ!!


 こっちはちゃんと男子の制服を着ているじゃないか!!それなのに、周りは「美少女が男装して学校に通っている」とか言いやがって!!


 「何を言ってくれてンですか!?365度どこからどう見ても立派な日本男児じゃないですかっ!!」


 「1周したら360度なんじゃね。5度多いだろ」


 「うぐぐっ!!」


 ついでに恨むぞ、僕のバカっ!!


 「アッハッハッハ!!お前ってバカなんだなー!!でもそういうところも可愛いぜぇ♥」


 ううう、この人、僕のことをとことん弄り倒すつもりだ!!


 もみくちゃにされていたその時、ふと、レベッカさんの手が止まった。


 「動くな、声も抑えておけ。近づいてきているぜ」


 「え・・・?」


 言うが早いか、レベッカさんは僕を抱えたまま飛び上がり、高い岩場の上に着地した。


 すると、洞窟の向こう側から全身が緑色の毛並みで覆われている巨大なゴリラのような姿をした見たことも聞いたこともない怪物が姿を現した。


 ゴリラの怪物は僕たちを見つけると、にやぁっと唇の端を釣り上げて笑い、口笛を吹いた。


 すると、奥からぞろぞろと5体ほどの灰色の毛並みで覆われている筋骨隆々としたゴリラの怪物が出てきて、僕たちがいる岩場の周りを取り囲んだ。


 「へぇ、【キラーコング】か。つまりここは連中の縄張りだったってことかい」


 「それで、この洞窟にはほかには魔物はいなかったということですか?」


 「お前、意外と度胸があるというかよく見ているねえ。正解だ。コイツは力任せに暴れる事しか能のねえ脳筋野郎だけど、仲間を呼んで大勢で一斉に襲い掛かってきやがる。きっとこの洞窟にいた他の魔物はみんなこいつらにやられちまったってところだな」


 「近づいてきている・・・。まさか、僕たちを食べるつもり?」


 「ああ、そういうことらしいな。まあ、軽い準備運動にはちょうどいいわな」


 レベッカさんは僕を下ろすと、岩場から飛び降りて拳をゴキゴキと鳴らし、好戦的な笑みを浮かべた。


 「えっ、ちょっと、危ないですよ!?」


 「・・・かかってこいや。昔からサルは大嫌いなんだよ。何せくっせぇからなぁ。鼻がひん曲がりそうだぜ、お前らの体臭はよぉ!!」


 言うが早いか、レベッカさんは地面を蹴り飛ばして走り出すと、灰色のキラーコングが身構えると同時に顔面に向かって蹴りをお見舞いした。


 彼女の足が顔面にめり込み、キラーコングの顔面が足跡の形に陥没するとすぐさま回し蹴りが炸裂し、首が変な方向に折れ曲がったままキラーコングは吹き飛ばされて、壁に叩きつけられた。


 「オラオラ、さっさとかかってこいよ!!」


 太い腕で殴りかかってくるキラーコングの大振りのパンチをかわして、その勢いを利用してレベッカさんは拳を思い切り顔面に叩きつける。


 その一撃はすさまじく、顔面がめり込み、歯が全部砕け散り、元の顏がどんな顔だったか分からないまでに顔面が変形したまま、次々とキラーコングが倒れていく。


 その時、親玉らしき緑色のキラーコングが巨大なこん棒を振り上げて、レベッカさんに殴り掛かっていった。


 「危ない!!」


 「おっと!」


 レベッカさんがこん棒の一撃を軽々とかわして、何度もバク転をしながら着地して身構える。


 キラーコングは怒り狂ったようにこん棒を振り回して、近くにある大岩を殴りつけてその岩の欠片を砲弾のように飛ばしてきた。


 レベッカさんはそれを上手くかわすが、破片が頬をかすめて、赤い筋が出来た。


 そして、洞窟の奥からさらに3体のキラーコングが出てきた。リーダーの指示を受けて、レベッカさんの周りを取り囲むように移動してこん棒を身構える。


 「へえ、バカにもちったぁ知恵があるってことかい!!」


 キラーコングが再び大岩を殴りつけて、破片を弾丸のように飛ばしてきた。


 レベッカさんは余裕の笑みを浮かべて無数の破片を難なくかわしていく。


 「うわあっ!!」


 僕の方にも飛んできた岩の破片を思わずしゃがんでかわした。


 すると、僕が持っていたプレートと宝箱が手から零れ落ちて、コロコロと転がり落ちていく。


 ドクンッ・・・!!


 それを手に取った時、心臓の鼓動が高鳴りだす。


 まるで、それを身に着けて戦え、とプレートが言っているように思えた。


 このままじゃ、いつ、僕は死んだっておかしくはない。


 でも、このまま、大人しく死んでたまるか。


 僕のことを追放し、命まで奪おうとしたあの連中に仕返しするまでは。


 そして、一時でも僕に安らぎをくれた女性を危険にさらしたまま、逃げて、隠れて、守られてばかりいるなんて・・・冗談じゃない。







 奮い立たせろ、自分の勇気を。

 恐怖を乗り越えろ、ビビっている自分自身を殴りつけろ、とにかく立ち上がれ!!

 歯を食いしばって、とにかく叫べ!!








 「・・・戦い方が分からないとか、相手が強そうだから、戦う力がないから・・・理由なんてキリがないけど・・・」


 僕はプレートをお腹に押し当てる。


 銀色の光が飛び出して、僕のお腹にベルトのように巻き付いて装着された。


 「でも、それで、戦わないで逃げる理由になんてならない!!」


 逃げるもんか。


 誰が大人しく死んでやるもんか!!








 「僕の最期は、僕が決める!!」








 他人に、自分の生き死にを決められてたまるか!!






 「変身!!」






 窪みに宝箱を装填すると、鍵のギミックを回し、宝箱の蓋が開いた。


 『闘衣召喚!!ヘルハウンド!!』


 プレート・・・ベルトのバックルだったものから渋くて低めな男性の電子音声が鳴ったかと思うと、先ほど作った僕の作った赤いバトルドレスが僕の身体を挟み込むようにして装着されていく!


 ゴォォォォォォーーーッ!!


 宝箱から燃え上がる炎が勢いよく噴き出して、僕の身体を見る見る取り囲んでいく!!


 燃え上がる炎が僕の身体や腕、足の周りを渦を巻いて覆い尽くしていくと、腕には狼の頭部を模した手甲と、鋭い鉤爪が装着された。


 脚の周りを渦巻いていた炎が僕の両脚を飲み込むと、狼の脚のような鉤爪を生やした甲冑が装着されていく。


 「え?え!?えええっ!?」


 『烈火の魔狼!!ヘルハウンド・ナイト・・・ドレスアップ!!』


 ドレスアップ、じゃねーよ。ベルトさんよぉぉぉっ!!


 そして、僕の姿はあのバトルドレスを身にまとい、頭から”犬耳”を生やした戦士のような姿になっていた。


 どうなっているの!?


 何故に犬耳や尻尾が生えているの!?


 というかさ・・・。






 どうして僕の身体が、女の子の身体になっちゃっているのぉぉぉっ!?

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