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第十六話「最終決戦・VSセルマ②~彩虹の戦乙女、最後の戦い⑯~

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!!

新作が書きあがりましたので、投稿いたします!!

 【斗真視点】


 僕は今、真っ白な世界の中に、桜と一緒にいた。

 目の前には大きなスクリーンのようなものがあって、そこにはクロス城を破壊している巨大な肉の塊のような怪物へと変貌したセルマの姿が映っている。


 「ここからが正念場だぜ、斗真!」


 桜の力強い言葉に僕も頷いた。

 セルマ・ティアマット。アイツが自分が英雄になりたいという理由で、僕たちの人生をよくもまあここまで捻じ曲げてくれたものだ。地獄の底に1000回突き落としても足りないぐらいに、僕たちを怒らせた。


 「・・・やられたらやり返せ、1000倍返しで!!」


 僕の手には七色の糸がいつの間にか結びついていた。そして、右手に装備している糸車に糸を通して、一気に回転させた。糸を織って布を仕立てて、それを服の形へと加工していく。胸当てや装飾品を取り付けて、7人分の魔法闘衣を作り出した。


 七大魔王の名を冠するあの7人にふさわしい、気品と力強さにあふれた最高の一品。


 「ここからは、全員でクライマックスだ!!」


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 「・・・これは、私たちの魔法闘衣!?」


 「どうやら、もうひと暴れ、楽しませてくれるみたいだねぇ」


 レベッカたちが自分たちにこれを着ろと言わんばかりに現れた魔法闘衣を見て、目を輝かせた。満身創痍であるはずなのに、武器を手に持ち、嬉々とした表情を浮かべる彼女たちは、これから遊びに行く野を楽しみにしている子供のように見える。


 「行くぞ、お前ら!!彩虹の戦乙女の底力、アイツに教えてやれ!!」


 『了解!!』


 レベッカが竜と狼をイメージした、紅蓮の猛火を全身に纏う赤色の魔法闘衣に身を包み、燃え上がる炎とともに現れた大剣を軽々と振り回す。


 アイリスが梟と獅子をイメージした、黄金の電撃を放つ金色の魔法闘衣に身を包むと、背中からバチバチッと音を立てて、美しい黄金の光を放つ翼を広げた。


 「全員、位置に着け!!」


 ニナが黒猫と蛇をイメージした、漆黒の闇をゆらゆらと全身から漂わせる緑色の魔法闘衣を身に纏い、双剣を握りしめて身構える。


 「絶対に逃がすんじゃないわよ!!」


 ビビ姉が熊とナマケモノをイメージした、空気が凍てつくような冷気を全身から放つ水色の魔法闘衣に身を包み、巨大なハンマーを取り出して地面を思い切り叩きつける。


 「・・・・・・怠け者の節句働きだ、てやんでぃ」


 オリヴィアさんがキツネとカラスをイメージした、雄大な大地の力を秘めた藍色の魔法闘衣に身を包むと、長槍をクルクルと回転させてポーズを決める。


 「300年前の裏切り、これまでの仕打ち、きっちりと清算したる!!」


 アレクシアがオレンジ色の魔法闘衣に身を包むと、足元から勢いよく植物のツルが飛び出して、まるで生き物の触手のように自在に動き回る。


 「仕留めそこなったら、テメェら全員お仕置きだからな!!」


 ヴィルヘルミーナさんが紫色の魔法闘衣に身を包むと、紫色の風が彼女を中心に解き放たれていく。妖艶な笑みを浮かべながら、カットラスを身構える。


 「それは怖いねぇ。だったら、ちゃんとお仕事をしますか♪サクラとビビちゃんにもいいところを見せないとね」


 「・・・・・・バカ言ってないで、さっさと動け」


 ビビ姉がハンマーをブンブンと振り回すと、何とヴィルヘルミーナさん目掛けて勢いよく横なぎにハンマーで襲い掛かってきた。ヴィルヘルミーナさんはハンマーの部分にタイミングよく両足を着けると、そのままロケットのようにものすごい速さで撃ちだされていった。


 「-覚悟しなよ、セルマ!!!」


 空中で回転しながら、ヴィルヘルミーナさんが無数の風の刃を、セルマ目掛けて放った。風の刃は地面をえぐるほどの鋭い切れ味を持ち、セルマの腐り切った肉の鎧を切り刻んでいく!


 さらに、セルマの周りの地面から勢いよく無数の棘がついた太い植物の枝が飛び出して、セルマの巨体にグルグルと絡みついていく。傷口から猛毒のガスを噴き出そうとするが、傷口が無数の植物で塞がれてわずかにしか出なくなった。


 「毒ガスなんて物騒なモン、使わせねえよ!!」


 「次はウチや!!」


 そこへオリヴィアさんが槍を地面に突き刺すと、セルマの下腹部から土が盛り上がって、無数の土の槍がセルマの身体を刺し貫いた。全身を切り刻まれて、植物で動きを封じられた上に、土の槍で全身を串刺しにされたセルマはとうとう身動きが取れなくなった。


 「・・・・・・面倒くさいから、この一撃に全力投球だ。そりゃ~」


 ビビ姉、やる気マンマンなのかないのか、本当にさっぱり分からない。

 セルマの頭上に高く跳び上がると、巨大なハンマーから冷気を噴き出して、セルマの巨体よりも遥かに大きな氷の塊が現れた。よく見ると、それは拳骨のような形をしている。媒介であるハンマーを振り下ろすと、それを合図に氷塊が落下して、セルマの頭部を押し潰す。


 「ニナ、同時に行くぞ!!」


 「派手に行くわよ!!」


 アイリスが矢を放ち、セルマの頭上には金色に光輝く巨大な魔法陣が飛び出した。そこへ、ニナがクナイを投げ放つと、魔法陣からは黄金色の光を放つ電撃の矢と、無数の闇で作られたクナイが豪雨のように降り注いだ。


 ーグオオオオオオオオッ!!!-


 しかし、セルマの下腹部から巨大な口がガバッと開いた。うえっ、気持ち悪い。大きな舌を出して、無数の牙を見せつけるように威嚇をしてくる。そして、その口にまぶしい光が集まって、見る見る巨大な光の球へと形を変えていく!


 その時だった。




 ー今度は我の出番だなー




 どこからか声が聞こえたかと思いきや、セルマの巨体に向かって巨大な氷の塊が飛んできた。氷の塊はそのまま大きく口を開いていたセルマの口の中にねじ込むように入り、光が暴発すると、口だった部分が爆発した。


 後ろを振り返ると、そこには身長5メートルは超えている巨大な純白の獅子の姿をした魔獣ーアイスキマイラが立っていた。かつては大陸の支配者と呼ばれていたその姿からは王者の風格を漂わせている。


 「ユキちゃん!!」


 「やるじゃねえか、ユキっぺ!」


 -我も傭兵団の一員だからな。ー


 そして、ついに本体のセルマが目を大きく見開いて、何やら聞き取れない言葉を叫び続けている。もはやあれは言葉というよりも、鳴き声のようにも聞こえる。


 「アイツはエルフ族ですらない。魔族でさえない。この世に存在してはいけない忌むべき存在へとなり果てたのだ」


 そう言ったのは、ボクの顏にそっくりで、まるでオーロラのようなグラデーションがかかった黒髪のロングヘアーをなびかせて、全身には水色に光輝く紋様が刻まれている女性ー僕の前世だった虚無の魔王『オクタヴィア』が隣にいた。


 あれ?ちょっと待って?

 オクタヴィア様がどうして僕の隣にいるの?僕と変わってないよね?


 「・・・お前の魔力がここまで高くなるとは思わなかったぞ。最盛期の我を超越している。そこで、ちょっと魔力を借りて、我の精神をお前の身体と切り離して、実体化できないかと思ってちょっとやってみたら・・・意外と簡単に出来てしまった」


 『オクタヴィア様が完全復活なされた!?』


 そんなちょっと時間が空いたから片手間でやってみたみたいな感じで、ボクの身体と精神を切り離すなんて言う訳の分からないことをやらないでほしい!!


 「出来てしまったんだから仕方がないだろう。もうお前の身体には戻れないしな」


 『開き直るな!!』


 「さて、我も混ぜろ。アイツをこの世界から消し去らねばならない」


 オクタヴィア様がどこからか巨大な大剣を取り出した。あらゆるものを吸い込み、飲み込もうとしているような美しく、それでいて危険な感じがする漆黒の刃と黄金の装飾品で施された剣はまるで夜をイメージさせるかのようだ。


 「ここで決着をつけるぜ!!」


 『はい!!』


 僕が大剣を構えると、無数の糸が刃に絡みつき、やがて絡みついた糸がまぶしく、美しい光を放ち始めた。極彩色の光がもう暴発しそうなほどに膨らみだして、僕は巨大な光の剣を頭上に振り上げる。


 レベッカの大剣にも空気さえも焦がすほどの凄まじい勢いで燃えている猛火が宿り、両手で握りしめた大剣を振りかぶった。


 


 『何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ、どうして私がお前たち下種ごときに追い詰められなくてはいけないのだ。私は英雄になるんだ、この世界の全ての種族から崇められる神になるのだ、お前たちはみんな私の足元にひれ伏す奴隷でしかないのだぁぁぁ!!どうしてみんな私を認めない、どうして私を永遠に崇め奉らない、どうして私の栄光を讃えない、どうして私をないがしろにするんだ、私は私は私はただ英雄になって、みんなに認めてもらいたかった!!この世界には、英雄が必要なんだろう!?だから、私がなるんだ!!英雄であれば、みんなが私のことを認めてくれる!!私のことを唯一無二の存在として認めざるを得ない!!天界と人間界と魔界が手を結んで平和を結ぶなど、絶対に許すわけには行かない!!そうなったら、英雄などこの世には必要がないだろうが!!英雄であること以外に、私の存在価値はないんだ!!私から存在意義を取り上げる世界に復讐をして、何が悪い!?私だけがこの世界の全ての種族の頂点に立つんだ!!そして他の世界も飲み込んで、全ての世界を私が支配するんだ!!私を認めろ、私を崇めろ、私を讃えろ、私を見下すなァァァーーーーーーッ!!!』


 


 『この世界はアンタだけのものじゃない』


 『自分で種をまいて、自分で刈り取って、英雄として認められるなんて、絶対に間違っている』


 『やり方を間違えたんだよ、アンタは。そもそも英雄になろうとした時点で英雄になる資格はないな』


 『アンタのことを、僕たちは絶対に認めない』


 英雄になりたいという願いに固執し、完全に壊れ切ってしまったセルマが哀れに思えた。

 コイツのワガママのせいで、僕たちの人生は大きく変わってしまった。


 『・・・ま、一つだけ感謝するとしたら、レベッカたちと会わせてくれたことかな』


 彼女たちと出会えなかったら、きっと僕は今頃ずっと過去に捕らわれ続けていたのかもしれない。

 前にも進めずに、ずっとうじうじとしていて、腐った毎日を送っていたことだろう。


 光とつばさとの和解、そして別れ。

 桜は家族を失った。


 失ったものはもう取り戻せない。


 でも確かにこの腕の中に、得たものの暖かさは感じられる。


 もう絶対に手放したくない。


 『これがアンタに対する最初で最後の恩返しってヤツかな』


 

 『やめろ・・・そんな哀れむような瞳で・・・私を見るな・・・!!やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろーっ!!!』


 

 「さようなら、これが僕たちからのお返し、1000倍返しだ」


 -究極合体魔法・全属性・終焉の聖光(ドゥームズデイ)ー。



 僕とレベッカ、オクタヴィア様が同時に大剣を振り下ろし、巨大な光の球に闇がらせんのように渦巻き、さらに炎の渦が加わると、流星のように落ちていった。


 セルマの巨体を、巨大な光の球が飲み込んでいく。

 巨大な光の柱が天を突き刺すような勢いで立ち上り、セルマは光の柱の中へと閉じ込められた。


 彼女の身体がチリになって消えていく。

 もう彼女は抵抗をする力もないのか、身動き一つしなくなった。


 『・・・そうか・・・本当の英雄って言うのは・・・お前たちのようなことを言うの・・・か・・・』


 わずかに、セルマの言葉が聞こえたような気がした。


 やがて、光の柱が徐々に薄れていくと・・・。


 セルマの身体は完全に消え去り、無数の光の粒子が空へと舞い上がっていく。


 その光はどこか安らいでいるようにも見えた。


 ずっと縛り続けてきた苦しみから解放された、国民たちの魂だったのだろうか



 ・・・・・・あれ?


 ・・・・・・何だか、すごく体が重い?


 ・・・・・・それに、眠い。


 ・・・・・・ダメだろう、まだ終わりじゃないかもしれないんだから。


 ・・・・・・気を抜くなよ。


 ・・・・・・・・・・・・・・でも。


 ・・・・・・・・・・・・・・・もう、ダメだ。


 ーとう・・・しっか・・・-


 桜の声が聞こえたような気がするけど、もうダメだ。


 ごめん、いまはちょっとだけ・・・。


 眠らせて・・・・・・。


 

次回からエピローグに入ります。

最終回まで残り2回、頑張ります。ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] これで、全てが終わったんだね・・・ よし、こっちも締めるとしよう 首領・ゴールドたちのお仕置きを!! 続き ベンディ・サンズ「僕(俺)たちのお仕置きはどうだった?」 ブロンズ・ルド「ゴキブ…
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