第十四話「真実④~彩虹の戦乙女、最終決戦⑭~」
いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!!
ラストまで、残り5話としました!
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!!
最後まで、全力で書き続けていきますので、よろしくお願いいたします!!
【斗真視点】
ヴィルヘルミーナさんが手に持っているものは、大きなカプセルだった。紫色の液体の中には、何やらグロテスクな心臓らしきものが不気味に脈打っている。
「ど、どうして、それを!?」
セルマは目を見開き、わなわなと震えだした。よっぽど、あれは彼女にとっては大事なものなのだろうか?
「お前のねじ曲がった性格のこっちゃ。絶対に安全な場所で高みの見物を決め込むに決まっとる。せやけど、まさか”魂移し”の禁忌までやっとったとは思わへんかったわ」
「サクラの仲間だった女の子が遺してくれた動画の中に、この禁忌に関して書かれている魔導書の一部が映り込んでいたのさ。ルシアとアイリスの推察通り、君は自分の魂をこの心臓型の魔法兵器に移し替えて、城の一番奥の研究室に隠していたんだ」
「つまり、どれだけお前を倒しても、この心臓の中にお前の魂がある限り、何度でも新しい肉体に魂を移し替えれば、お前は永遠に死ぬことはないということだな」
「・・・仁美たちがそんなものを遺していたなんて」
桜の家族だった和田さんたちは、セルマの悪事を伝えるために危険を承知で、クロスやセルマの悪事の証拠や魔神八傑衆について調べてくれていた。そして、ここでもまた僕たちのことを助けてくれたのか。
「・・・・・・お前がトーマたちを異世界から召喚した本当の理由もやっとわかった。地下室の中に残されていた魔導書やお前の研究ノートを見させてもらった」
「アンタ、本当に最低ね。自分がもう一度世界の英雄となって、世界を支配するために色々と騒ぎを起こしていたなんて。腐り切っているわ」
「・・・ど、どういうこと?」
僕の問いかけに、アイリスがこっちを向いた。
「・・・トーマ、サクラ、お前たちが召喚された本当の理由は世界の危機を救うためなんかじゃない。お前たちを利用して、セルマがこの世界の全てを支配する計画のために利用されていたんだ。コイツが事件を起こして、お前たちを勇者として任命し、お前たちに解決させた後に、セルマはトーマたちを全員始末するつもりだったんだ。手柄を全部横取りして、世界を救った英雄になるためにな」
な、なんだって・・・!?
僕と桜は思わず顔を見合わせた。
「・・・なるほどな、オレたちの時と同じだってことか!!」
「ああ、300年前に私たちに依頼を持ち掛けて、強力な魔物を倒した後で、疲労しきっていた私たちに濡れ衣を着せて、犯罪者として追い詰めて、私たちを倒す。そうすれば、クロス王国を裏切って、国を乗っ取ろうとしていた極悪非道な傭兵団を始末することに成功した英雄として称えられるからな」
「・・・・・・しかし、私たちの魔王の力が強すぎたせいで、倒すことは無理だと分かると、私たちを魔石の中に封印して、世界中にバラバラにした。きっと当時のコイツではそれが限界だったんだろうな」
「まあ、そのまま誰にも気づかれないように世界中に飛ばしたんでしょうけどね。万が一、私たちが再び封印が解かれたとしても、間違いなく私たちが報復に出るだろうということまで考えて、コイツは今度の計画をしたためていたってわけね」
「・・・・・・でもお前は私たちが封印から解放されて、想定外の行動に出ることを恐れていた。そこで、私たちを世界をかつて崩壊の危機に導いた悪しき存在として討伐するように、異世界から何も知らない人間を召喚して、勇者に仕立て上げて、私たちを倒そうとした」
「地下で見つけたお前の研究資料や日記に全部書かれとったで。お前、ホンマに陰でコソコソと悪事をやることしか頭にない小物のくせに、承認欲求と執念深さだけは人一倍やな」
「・・・まさか、僕たちを召喚したのは、魔王の魂と力を秘めていて、魔石の中に封印されていたレベッカたちを悪人に仕立て上げて、封印から解放されたレベッカたちを口封じで始末させるつもりでいたの!?」
それじゃ、セルマが最初に僕たちに倒すように言っていたのは・・・レベッカたちのことだったのか!?
「・・・ところが、セルマにとっても計算違いだったのは斗真を追放するようにバカ王子が仕向けたことと、その誘いに乗っかった俺たちが斗真の能力を見極める前に追放しちまったこと、そして斗真がレベッカさんたちの封印を解くことが出来る強い魔力の持ち主であることを見抜けなかったこと、さらに王子や俺たちがセルマの思い通りに動かなかったせいで、計画が崩れちまったってわけか」
「まあ、トーマの精神力が想像以上にタフだったことと、やられたら1000倍返しでやり返すという非常にたくましい性格だったのが運の尽きだったわけだな」
その結果、怒りと報復に全身全霊で暴れまくった結果、国王はあっさりと人を見る目がなかったセルマを見限ったというわけか。
「そして、あの水の勇者が暴走して。国王や城中の人間を皆殺しにしちまった上に、お前の魂を取り込もうとした。しかし、逆に水の勇者の魂と身体を乗っ取ることに成功したお前は、なりふり構わない手段に出る事にした。それが、魔神を復活させて世界中で騒ぎを起こし、その魔神たちと私たちを戦いあわせようとした」
「魔神たちと戦って、ボクたちが全滅して、用済みとなった魔神たちを自分の手で倒せば、世界の危機を救った英雄になれるからねぇ」
「邪眼王の一派を巻き込んだのも、ウチらを確実に追い込むための作戦だったちゅうわけやな。まあ、ウチら9人しかおらんさかい。大勢で一気に攻め込めば、ウチらも追い詰められるわな」
「しかし、私たちはなかなか潰れなかった。そして、今こうしてお前の目の前まで現れた。分かるか、お前の底の浅い計画など、その程度に過ぎなかったということだ」
「セルマよぉ、頭のいいヤツって言うのは本当にバカだよなぁ。何でもかんでも計算でしか考えないから、想定外の事態に弱いんだよ。お前の計算ごときで、オレたちをどうにかしようなんて・・・1億年早ぇえよ、バァカ」
レベッカが中指を立てて、獰猛な笑みを浮かべて言い放った。
セルマは愕然としていたが、すぐさま悪鬼のような表情を浮かべて、獣のような唸り声をあげる。
「ギ、ギギ、ギギギ・・・!!お、お、お、お前たちは、お前たちというクズどもは、どうしてそういつもいつもいつも私の・・・思い通りにならないんだぁぁぁぁぁぁっ!!」
セルマが口から泡を吐きながら、醜く歪んだ表情でまくし立てる。さっきまでの不遜な表情は吹き飛んでおり、顔からは血の気が引いており、身体中が震えている。
すべては、コイツの承認欲求を満たしたいというつまらない願いが始まりだったんだ。
レベッカたちが300年前に魔石の中に封印されたことも。
僕たちが異世界に召喚されたことも。
桜が家族を失ったことも。
クラスメートが命を落としたことも・・・。
全部、コイツのせいだった。
「・・・ヴィルヘルミーナさん、ちょっと、それ投げて」
「え?」
僕はそう言って、桜に目を配った。
ヴィルヘルミーナさんも察したのか、ウインクしてから、カプセルを上空に向けて投げ放った。
そして、同時に。
「桜、行け!!」
空高く跳び上がった桜が、刀を素早く抜きー。
一閃。
鋭い竜の化身と化した黄金の瞳が、獲物を捕らえた。
「ま、まさか」
「やったれ、サクラァァァ!!」
無数の光がカプセルを中心に走り抜けたかのように思えた瞬間。
「あ、あ、あああああああああああああああっ!?」
セルマが目を大きく見開き、この世の終わりでも見たかのような表情になり、叫んだ。
カプセルに入っていた心臓が無数の肉片に切り刻まれたかと思いきや、藍色の炎に包み込まれて激しく燃え上がっていく。やがて肉片は炎に焼き尽くされて・・・灰さえ残らないまでに消えていった。
「・・・これでお前はもう復活は出来ない。あとは、お前が今動くために取り込んでいる魂の欠片だけ、それがなくなっちまったら・・・お前はこの世から消えるってことだよな」
身体の右半身が藍色の鱗で覆われていき、黄金の竜の瞳が鋭く、セルマを捕らえた。
セルマを見つめる桜の瞳は、絶対零度の怒りを宿していた。
桜の身体からあふれんばかりの、藍色の魔力が放出されていく。
ついにこの時がやってきたか。
桜、君にだけ、いいカッコはさせないよ?僕もコイツにはかなり頭に来ているんだから。
ポケットから光とつばさの魔力で出来た黄金の宝箱を取り出して、僕はドライバーを腰に巻き付けた。
これが僕たちのとっておき。まだ使ったことがない最終兵器だ。
「桜、今度こそ全てを終わらせるよ」
「・・・ああ、覚悟は出来ているぜ!」
僕が宝箱を空に向かって掲げると、宝箱に向かってホルスさんとテフヌトさんが光り輝きながら飛んできて、宝箱の中に飛び込んでいく。
「・・・な、何よ、それは!?」
「これが僕たちの、見切り発車の最終兵器だっ!!!」
『Light and Darkness, Sword and Shield, Miraculous Fusion!!』
勇者の光の霊剣を携え、魔王の闇の霊盾を持つ、奇跡の戦士。
それをイメージしながら、僕は糸車を取り出して、赤色、オレンジ色、黄色、緑色、青色、藍色、紫色の7つの光となった魔力を糸として紡ぎあげて、甲冑とバトルドレスを作り上げていく。
これで全ての魔力を使い切る・・・!!
「おい、ちょっと待て。お前、今、見切り発車って言わなかったか?」
あとは、レベッカたちに任せる。
ぶっ倒れるまで、暴れまくってやるぜ!!
「まさか、これがぶっつけ本番かよ!?」
やがて、虹色に光輝く宝玉を胸に宿した白金色の光を放つ甲冑が現れて、黄金の光が波打つように刻まれて、そのまま装飾になっていく。
「行くよ、桜」
「いや、人の話を聞けって!?」
「変身!!!」
「・・・ああもう、こうなりゃもうヤケクソだ!!変身!!」
僕と桜の身体を二人とも挟み込むように金色の光を放つ魔法陣と銀色の光を放つ魔法陣が重なり合い、まぶしい光を解き放った。
真っ白な世界の飲み込まれる直前、僕は桜の手を握りしめていた。
また無茶をしようとしていただろう?自分自身のけじめをつけるとか言ってさ。
君だけは絶対に死なせない。それが僕が、最後の勇者である君に課す報復と思われてもいい。
君がいない世界なんて、もう想像さえ出来ないんだから。
「どこまでもついてきてもらうぜ、兄弟!」
「・・・しょうがねぇな、全く」
『光輝燦然!!聖なる竜騎士王、ジークフリート・フォーム・・・ドレスアップ!!』
セルマの復活を不能とし、大部分の魔力を失わせることに成功しました。
自分が英雄として未来永劫、世界から称えられるために300年前から他人を利用して、欺き続けてきたかつての勇者に断罪の時がやってきました。最終回まで頑張って書いていきますので、今後ともよろしくお願いいたします!!




