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第十一話「真実①~彩虹の戦乙女、最終決戦⑪~」

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!!

新作が書きあがりましたので、投稿いたします!!

どうぞよろしくお願いいたします!!

 【斗真視点】


 「桜!!」


 僕は全速力で桜に体当たりを入れて、思い切り弾き飛ばした。

 桜がいた場所から勢いよく水流が槍のように噴き出した。


 桜が動揺しつつも再び刀を構える。

 桜が刀で切り裂いたはずの松本千鶴は僕たちの方を見て何事もなかったかのように、無表情だけど冷たい瞳で睨んでいた。


 「ひどいじゃないですか、桜君。本当に私のことを殺そうとするなんて」


 刀で斬り付けた傷は深く、首から斜めに切り裂かれていて、大量の出血が流れていた。確実に急所を捕らえていた。それなのに、松本は倒れないどころか、痛みさえ感じていない様子だった。


 「・・・どういうことだよ・・・?」


 「・・・私はね、不死身になったんですよ。セルマさんを食べて、彼女の不老不死の能力を手に入れたんです。そのほかにも、クラスメートの人たちを何人か食べて、彼女たちの能力を手に入れてきました。そうすることで、私はいくらでも強くなることが出来るんです」


 「・・・アレクシアから聞いたことがあるぜ。能力者を取り込むことで、その能力を自分のものにすることが出来る禁忌の魔法があるってな。それがテメェの能力ってわけか!」


 レベッカがグルルとうなり声を上げて、憎悪と怒りでぎらついた目で松本を睨みつける。能力者を自分の身体に取り込む、食べるって、そういうことか?


 「・・・食べられた人はどうなっちゃうの」


 「・・・分からねえ。ただ、アレクシアの話だと、取り込まれた人間はそのまま二度と戻ってこなかったらしい」


 なるほど、禁忌と呼ばれているのは、そういうことか。

 能力者の能力を自分のものにするために、能力者を捕食するなんて言う人間のやることとは思えない所業だもんな。


 「・・・この能力があれば、私はどんどん強くなれる。そして、私こそが世界をあらゆる苦痛や災厄から救う真の英雄になれる。私こそが神と呼ばれるべき高次の存在だと思いませんか?」


 「ケッ、オレにはただの頭がイカレたバカにしか見えねえな!!」


 レベッカが大剣を振り回して、巨大な火炎弾を松本目掛けて放った。渦を巻きながら襲い掛かる巨大な火炎弾が松本を飲み込もうとした瞬間、彼女の足元から大量の水がまるで壁のように噴き出す。


 「・・・貴方の方がよっぽどバカですよ?水の勇者に炎の魔法で挑むなんて、属性同士の相性も分かっていないのですか?」


 「なんだとぉっ!?」


 ごめん、レベッカ。それは反論できない。


 「レベッカ、落ち着きなよ。冷静さを失ったら勝てる喧嘩も勝てなくなるよ?」


 「・・・梶くん、貴方は私に勝つつもりでいるんですか?貴方が魔王として目覚めたのは知っていますが、今の私は貴方の魔力を遥かに上回っているんですよ?この魔力の差が分からないとでも」


 ああ、うるさい。


 ”ゴシャッ!!”


 返事の代わりに、僕の右足が松本のこめかみをとらえた。

 決して出てはいけない鈍い音を立てて、松本の身体がくの字に折れ曲がり、そのまま吹き飛ばした。


 「え?」


 松本の身体が床の上を何度かバウンドして、壁に全身を叩きつけられた。


 「がはっ!?」


 何が起きたのか分からず、呆然とした表情を浮かべている。しかし、僕が駆け出していくと、その表情が一気に強張っていく。血の気が引いて、目がこぼれ落ちそうなくらいに見開かれた。


 ”グシャッ!!!”


 魔法を発動しようとしていた瞬間、僕は身体を半回転させて、勢いをつけた左足のかかとを思い切り松本の首に蹴りつけた。


 松本が白目を剥き、口から大きな血液の塊を吐き出しながら地面を水切りのようにバウンドして倒れこむ。


 「・・・この状況で勝つか負けるか、何ていう話が出てくる時点で、まだ分かってないみたいだね」


 不思議なぐらいに気分が落ち着いている。

 今までは怒りの勢いに任せて、何も考えられなくなった状態で相手を叩き潰してきた。

 しかし、今は自分が何をやるべきなのか、ハッキリと分かっている。興奮もしていない、異常なまでに落ち着いている。心の中はまるで波一つ立たない水面のように静かだ。


 「・・・おいおい、マジかよ。斗真のヤツ、完全にキレちまってる・・・」


 「・・・ああ、あそこまでヤバいとなると、もう止められねえな」


 松本がこっちを見て、呆気にとられたような表情を浮かべて、ぽかんと口を開いている。

 首が少し変な角度になっている。でも、もうそれに対しても僕の心は動揺しない。


 受け入れちまっているんだ。

 自分が、松本と同じ、もしくはそれ以上にどうしようもないクズになろうとしていることに。


 今までだって、そんな自分が嫌で、受け入れられなくて、目をそらし続けてきた。

 だから、何かを守るために戦うという、自分の暴力を正当化しようとしていた。


 でもさあ、今考えればそうじゃない?


 いくらしつこく絡まれてきたからって、自分が命の危機を感じたからって。

 襲ってきた相手を何十人も病院送りにしても、魔物になったからってクラスメートを倒しても、もう何も感じなくなってきている時点で僕は人としてもう終わっているんだ。


 復活した鳳が変わり果てた姿になっても、特に驚くことはなかった。

 鳳や雨野、僕たちの人生を狂わせてきた連中に対する怒りや憎しみさえも、まるで他人事のように感じる。やるべきことはもうただ一つ、それをやるということだけに覚悟を決めたからだろうか。


 「これは、僕か松本さんか、どっちかが生き残るための生存競争だ」


 勝ったヤツだけが生き残り、負けたヤツは消えていく。


 戦いなんて、そんなシンプルなものだ。

 それに正義とか、愛とか、理想とかを無理矢理こじつけたがるから混乱するんだ。


 もう迷わない。

 自分が正義とか、世界を救うために戦うとか、そんなもの、もうどうでもいい。


 「いい加減に飽きたんだよ、アンタのくだらない遊びに付き合うのも、巻き込まれるのも」


 うんざりなんだ。

 もう喧嘩とか戦いとか、そういうことなんてしないで、普通に暮らしたいだけなんだよ。


 でも、そんなささやかな願いさえも邪魔してくるというなら、全力で排除しなくちゃいけないんだ。


 「いつまでもこんな遊び、付き合ってられるか」


 この戦いが、僕にとって最後の戦い。

 全部終わりにするんだ。それ以外に僕たちが生きていく選択肢も、未来もない。


 「アンタはアンタの都合で世界を終わらせたい。僕は僕の都合でこの世界を守りたい。お互いにワガママ言っている自己中に過ぎないってわけだ」


 正義の味方なんかじゃない。


 虚無の魔王でもない、梶斗真として、僕が選んだ一番シンプルでしっくりくる戦う理由。


 今まで目を背けたかった、自分の嫌な部分を受け入れることで、不思議と心が落ち着いている。


 「だからあえて言うよ。僕は君が大嫌いだ。だから、倒すけどいいよね?」


 もう僕は止まらない。


 

自分自身の鬼を受け入れた斗真が、静かに牙を剥く・・・。

次回、松本の口から驚愕の真実が語られる!?


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!!

次回もどうぞよろしくお願いいたします!!


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