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第九話「傲慢と暴食、最後の戦い①~彩虹の戦乙女、最終決戦⑨~」

投降が遅くなってしまい、大変申し訳ございませんでした。

新作がやっと書きあがりましたので、投稿いたします。

どうぞよろしくお願いいたします。


 【三人称視点】


 その頃、アレクシアとアイリスのペアは、空中を泳ぎ回る巨大な龍のような姿をした異形【アヘリ】と対峙していた。


 「フン、まさかこんな形で再会することになるとは思わなかったが、随分と滑稽な姿になったものだな。セルマ殿?」


 アイリスが皮肉を言うと、アレクシアも普段の人好きのする笑顔を浮かべていた。しかし、その瞳はもはや完全に笑っておらず、絶対零度の光を宿している。


 「ええ、ええ、貴方には散々ひどい目に遭わされましたからね~、300年分の恨みつらみ、きっちりと清算して差し上げますわ~」


 アレクシアが杖を構えると、地面から巨大な蔓が飛び出して、先端のつぼみが膨らみ、真っ白な花弁を美しく展開する。花の中から飛び出したのは、まるでガトリングのように、6門の砲門が備わった魔導兵器が飛び出した。


 「終わりにしてやるよ、ボケが!!」


 穏やかな笑顔から、獰猛な表情に豹変すると同時に無数の光の弾丸が撃ちだされた。高熱の光の弾丸がアヘリの細長い体躯に次々と着弾すると同時に爆発を起こした。光のエネルギーを破壊エネルギーに変換して放つ魔法弾がアヘリの身体を容赦なく打ち付けていく。


 「お前との腐れ縁もここで終わりにしてやる!!」


 アイリスの左目の眼球に、金色の獅子の紋章が輝きだす。


 背中から孔雀のように派手な紋様の翼の形をしたオーラが浮かび上がり、構えていた弓矢の矢の先端に、バチバチと凄まじい音を立てて高圧電流のエネルギーが集まっていく。


 アイリスが矢を放つと、孔雀の羽の紋様を象った電撃の矢が撃ちだされて、アヘリの身体に次々と突き刺さっていく。触れるだけで、人間ならば一瞬で黒焦げになってしまうほどの高圧電流の矢を受けて、アヘリが、辺り一面の空気が震えるようなけたたましい絶叫を上げる。


 「来るぞ!!」


 「了解!!」


 アヘリが長く裂けた口を大きく開いて、無数の尖った氷の弾丸を放ってきた。氷の弾丸が鋭い切れ味を持つ刃となり、二人がいた地面に向かって降り注ぐ。地面に深々と突き刺さると、冷気で地面が凍り付いていく。


 さらにアヘリが長く裂けた口を大きく開き、聞くに堪えない金切り声のような絶叫が響き渡った。すると、地面に複数の魔法陣が浮かび上がった。そして、地面からボコボコと人間の手らしきものが飛び出した。


 「あの魔法陣は、死者蘇生ネクロマンシーの禁術か!?」


 地面から這い上がってきたものは、もう身体の肉という肉が腐り果てて、骨や内臓が見えてしまっている、青白い肌をした元人間の魔物【ゾンビ】だった。ぽっかりと穴が空いた眼孔で恨めしくアレクシアたちに狙いを定めると、おぼつかない足取りで、悲し気なうめき声を上げながら近づいていく。


 かつてはクロスを守護する誇り高き騎士であった屈強な身体を持つ男性だったゾンビ。

 教会で日々国民や世界のために祈りをささげてきたシスターのゾンビ、まだあどけなさを感じさせる年端も行かない子供のゾンビ・・・。


 千鶴の禁術によって命を奪われたクロスの国民たちの変わり果てた姿があった。


 死者の大軍はもう人間だった時の記憶も理性も完全に失い、空腹という本能のままに肉を求めるだけの哀れな異形と化していた。


 「・・・随分とやってくれたじゃねえか、あの勘違い女はよ」


 アレクシアの頭の中で何かが切れた音がした。


 杖を握りしめる手は、指が真っ白になるまで震えていた。

 もういつもの猫かぶりを隠すつもりなどなく、オレンジ色の瞳には燃え上がる怒りと憎悪、殺意の炎が宿っていた。犬歯をむき出しにして、獰猛な獣のような笑みを浮かべる。


 アヘリが叫べば叫ぶほど、変わり果てたクロスの民たちが姿を現して、ぞろぞろと群れを成して近づいてくる。アレクシアは杖を地面に突き刺し、身体中からオレンジ色の光となった魔力を解放する。


 「アイリス、あれをやりましょう!!」


 「そうだな、もうこうなったらあれを使うしかあるまい。だが、少しばかり時間がかかるぞ!」


 「私が時間を稼ぎますわ!!アイリスは急いで準備に取り掛かってください!!」


 「・・・頼んだぞ!!」


 「失敗したら、私が直々にブッ殺して差し上げますわ」


 アイリスとアレクシアが頷き合うと、アイリスが近くにあった瓦礫の山に高く跳び上がり、そのまま、壁から壁へと超人的な跳躍力で飛び移りながら、荒れ果てた市街地の建物の屋根の上を駆けだす。


 そして、大勢の死者を前にして、アレクシアがにぃっと鬼のような形相で、凄惨な笑みを浮かべた。腕には無数の棘を生やした蔓が巻き付いて、巨大な爪を生やした腕のようになった。


 「・・・医者がこういう形でしか、患者を救えねぇなんて、とんだお笑い草だぜ・・・」


 自身への怒り、医者として、彼らを救う手段がもう彼らの命を終わらせるだけしか残されていない、無力さ、圧し掛かってくる思いに駆られつつも、アレクシアは迫りくる哀れな患者たちから目をそらさずに、身構える。


 「・・・でも、最期までしっかりと看取ってやるぜ。それが、医者としての務めだ!!」


 太いツルが幾重も絡み合って作られた巨大な腕を振るい、ゾンビたちを一度に3体思い切り殴り飛ばした。無数の棘に切り刻まれて、強烈なパンチを受けてゾンビたちが豪快に宙に舞い上がった。


 「・・・これより、施術を始めます!!」


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 一方、その頃、斗真たちは・・・。


 「あそこだ!!」


 玉座の間に続く回廊は、死の匂いで満ちていた。

 むせ返るような腐った肉の匂い、そこら中に飛び散っている血液、肉片、臓物・・・。


 兵士や侍女たちの無残な屍がそこら中に倒れこんでいた。


 玉座の間の扉を開くと、部屋の中ではこの惨状を作り出した元凶ー松本千鶴が長槍を手に持って待ち構えていた。乗り込んできた斗真たちを見て、まるで哀れむように深くため息をつく。


 「・・・どうしてもやるっていうんだね。残念だよ、桜君。もうちょっと頭がいいと思っていたけどね」


 「ああ、自分もここまでバカだったとは思っていなかったさ。でも、これが俺が選んだ答えだ」


 「・・・もういいよ。それなら、まずは貴方たちから死んでもらおうかな」


 松本の瞳に殺意の光が宿ると、手に持っている槍を構えて猛然と床を蹴り飛ばして疾走する。

 槍の刃が青く光ると、先端から猛烈な勢いで水流が噴き出し、薙刀のような形に変化する。


 「お願い・・・死んで!!」


 「はああああああっ!!」


 「松本ぉぉぉぉぉぉっ!!」


 斗真が吼えると同時に蹴りを繰り出し、稲妻が千鶴目掛けて飛んでいく。電撃を槍で防ぐが、千鶴は苦しそうに表情を歪めて、歯を食いしばって攻撃を耐える。


 そこへ、桜が飛び出して竜刀を振り上げると、槍と刀の刃が激しくぶつかり合う。


 身体の半分が竜のように青い鱗で覆われて、眼帯を外して現れた金色の瞳には獰猛な竜のような、細く引き締まった人ならざる異形の瞳孔が宿っている。


 「そんな姿になってまで、まだこの世界を守りたいの?桜君は英雄になる資格がなかったのかもね」


 「英雄?そんなもの、興味なんてねえさ。そんな称号なんかよりも、もう二度と失いたくない、大切なものがあるんだよ!!」


 竜の姿へと変貌した左腕で刀を力任せに槍ごと回転させて、彼女の上半身ががら空きになった。


 「え・・・!?」


 「だから、俺は・・・お前を斬る!!」


 唖然とする千鶴。


 そして、桜がそのまま刀を振り下ろし、彼女の身体を袈裟懸けにー斬り付けた。


 肉を裂き、骨をも断つ強烈な一撃が松本の身体に刻み込まれた。大量の血液が噴き出し、桜は全身や顔を血に染めながら、再び身構える。


 「けじめをつけさせてもらうぜ。千鶴」


 桜の声に、表情に、もう迷いはなかった。


 しかし、その瞳からは一筋の涙が流れ落ちていた。

 

  

桜。覚悟の一撃!

全てに決着を着けるために、かつて愛した人をー斬る。

そしてアレクシアとアイリスの運命はいかに?


次回もどうぞよろしくお願いいたします。


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