第六話「嫉妬と怠惰、最後の戦い②~彩虹の戦乙女、最終決戦⑥~」
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【ビビアナ視点】
昔から感情を素直に表情に出すのが苦手だった。
笑っているのか、悲しんでいるのか、怒っているのか、全く読み取れない無表情が気味が悪いと言われ続け、実ん両親からも可愛げがないと疎んじられてきた。
別に人並み程度に喜んだり、怒ったり、悲しんだり、そう言った感情の起伏はあったと思う。ただ、表情の筋肉を使ってわざわざ表に出す理由がなぜなのか、さっぱり分からなかっただけ。
というか、面倒くさい。
最初はどうして自分は家族や周りの人たちから冷たい目で見られているのか、分からなかった。でも、考えても答えが出ないし、誰も教えてくれない。どれだけ悩んでいたのだろう。私が出した結論は「私の勝手でしょ」である。
別にお前らの期待を守るために生きているわけじゃない。
手先が器用で、昔から機械いじりや発明が大好きだった。
頭の中にぱっと思い浮かんだものを試行錯誤しながら作り上げていくあの過程が好きだった。機械はいい。感情がなくても、私のことを裏切ったり、突き放したりしない。勝手に失望したり、気味の悪いものを見るような目で見ることもない。
しかし、そうやって自分が生きていくために必要な最低限な家具や、自分が済むために必要な家、自分がふと思いついたものをとにかく作りまくっていた結果、私は故郷から追放された。
『いつも一人ぼっちで、機械いじりをしていて、気持ちが悪い』。
『女のくせに、物を作るなんて生意気で気に入らない』。
『見たことも聞いたこともないものを作り出す、コイツが一体何を考えているのか分からない。まさか、自分たちのことを心の中で馬鹿にしているのではないか』。
アイスドワーフ族というのは、実に閉鎖的で、傲慢で、外の世界の文化を受けつけようとしない。かつてドワーフ族と腕を競い合ったと呼ばれるほどの魔物の中でも優れた鍛冶の技術と、超一流品と呼ばれる強力な武器や防具を作り出し、上級魔族にもその名を知らしめていたその栄光の時は過ぎ去り、とっくの昔に風化しているというのに。
他の魔族だって、今では高い知能と柔軟な思考を持ち、それぞれが独自の鍛冶の技術を生み出し、今では愛うドワーフ族の作っていた武器よりも遥かに性能が良くて、頑丈で、大量生産できるようになったから、昔から全く技術の進歩に目を向けず、自分たち以外の技術を鼻で笑い、自尊心とプライドを守ることしか頭にない、腕が錆び切ったなまくら職人ばかりとなった。
私は彼らに追放されたとき、つくづく、他人とは面倒くさい生き物だと思った。
人の悪口を言ってばかりいるなら、昼間から酒を煽って、かつての栄光の昔話に花を咲かせるぐらいなら、つまらないプライドに固執するぐらいなら、自分たちだけでやっていればいい。
私がアンタたちとは違うからって、家族の縁を切ったり、村から追放したり、何そんなに目を血走らせて、興奮して、こんな娘一人を追い出すことに必死になっているのだろう。
バッカみたい。
他人なんかに期待なんてしない。
仲間なんて、いらない。
夢や希望なんて、知るもんか。
どうせ、全部裏切られるなら、何も期待しないで、風の吹くまま気楽に生きていきたい。
そうすれば傷ついたり、悲しんだり、嫌なことはないでしょう?
ずっとこのまま、自分の怠惰に溺れて、勝手に死んでいく。
そう思っていた。
あのどうしようもない、大バカ野郎たちと出会うまでは。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ニナが無数の鎖で、巨大な化け物鳥の全身を縛り付けると、一気に地面に向かって引き寄せた。化け物鳥は口からけたたましい、鼓膜が破けそうな絶叫を上げて、翼を激しくはばたかせて抵抗している。
「ビビアナァァァッ!!!」
「・・・・・・了解」
パワードスーツの座席から立ち上がり、霊鎚ニパスを握りしめると、私はハンマーを握りしめている手にありったけの魔力を流し込んだ。身体中から力が抜けていくような激しい虚脱感、一瞬でも意識を失ったら行き場のなくなった魔力が暴発してしまいそうで、全神経を研ぎ澄ませる。
こめかみに太い血管が浮かんでいくのが分かる。
歯をギリリと噛んで、今にも倒れそうな強烈な眠気を必死で押し殺す。歯がぎしぎしと今にもひびが入り、砕けそうだ。
そして、ハンマーを上空に向かって突き出すと、化け物鳥の真上に無数の氷塊が浮かび上がった。空気中の水分を一瞬で凍らせて作り出した巨大な氷の塊は、下の方が尖っていて、その重量で相手を押し潰すと同時に、尖った部分で骨を砕き、肉をえぐり、とにかく確実に相手に大ダメージを与える作りをしている。
「・・・・・・一気にケリをつけてやる!!」
氷塊が次々と落下して、化け物鳥の背中や身体に向かって勢いよくぶつかっていく。そのまま、無数の氷塊が全身に突き刺さったままの状態で、化け物鳥は鎖で引っ張られて地面に思い切り墜落した。地面が揺れて、巨大な化け物鳥の頭部が目の前に現れる。
血のように赤く濁り切った双眸が、私たちを憎々し気に睨みつけている。
そして、その頭部に埋まっているのは、ヤツの本体。
「・・・・・・ニナ、外すなよ!!」
「言われなくても分かってるわよっ!!」
ニナが両手に無数のクナイを取り出すと、一気に本体目掛けて投げ放った。冷気を帯びたクナイは鋭い氷の刃を纏い、化け物鳥の身体中を切り刻んでいく。
さらに傷ついた部分から傷口が凍り付き、細胞が死滅していく。再び、空気が震えるような強烈な咆哮を上げるが、、私たちは攻撃の手を緩めない。
超音波と化したヤツの咆哮を浴びて、ニナの忍び装束は、所々が破けてしまい、真っ白な肌にはいくつもの赤い筋が刻まれていた。ただ、アイツの緑色の猫を思わせるような瞳には闘志の炎が燃え上がっていた。
あー、よく見ると私のボディースーツも所々破けている。
額に生暖かい、ぬるりとした液体が流れていき、鉄の匂いが鼻を衝く。
マジでしんどい。
身体中のあちこちが痛いし、腕が自分のものではないように重くなっている。
あー、もう、さっさと終わらせてやる。
ここで頑張らなかったら、いつ、頑張るんだよ。私は。
「・・・・・・トーマのために、皆のために、この命の炎、燃やし尽くしてやる!!」
「私たちのことをいつまでも、ナメてくれないでほしいわね!!」
私の左肩に刻まれた【怠惰】の紋章がまぶしいほどに青色に光り出すと、ニナの左太ももに刻まれた【嫉妬】の紋章が、同じぐらい緑色の光を輝き放つ。
ニナが無数のクナイを一点に集中させて、それがまるで巨大な五寸釘のように形を変えていく。クナイの切っ先が、本体の頭上を覆い尽くした。
「これが私たちの合体魔法!嫉妬の生み出したこの杭で・・・!!」
「永遠に覚めることのない怠惰に沈んで溺れて、朽ち果てろ!!」
「「嫉妬と怠惰の黒氷演舞!!」」
私が振りかぶってはなった、全身全霊の一撃が本体の頭部に直撃した。
嫌な感触と生々しい音、そして、耳障りな悲鳴を上げながら、カリノと呼ばれていたあの女の身体に無数のひびが入り、腕からボロボロと崩れ出した。
その瞬間。
化け物鳥の身体がいくつもの無数の光が飛び出した。
視界が真っ白に染まっていく。
ああ、これ、自爆か。
最後に、ニナの顔を見た時・・・。
アイツはどこか穏やかで優しく、私を見て微笑んでいた。
-ビビアナ、アンタのこと、変わり者だと思っていたけど・・・嫌いじゃなかったわよ。-
-・・・・・・こっちだって、そういう面倒くさいところは、嫌いじゃない。-
ああ、そうだ。
このどうしようもないぐらいにバカで、いつも騒ぎや事件に巻き込まれたり、起こしてばかりいるこんな連中のことが、私は大好きだったんだ。
団長・・・。
アイリス・・・。
トーマ・・・。
サクラ・・・。
アレクシア・・・。
オリヴィア・・・。
ベアトリクス陛下・・・。
-ビビアナちゃん!-
ああ・・・。
ヴィルヘルミーナ。
一度ぐらい、お前と遊んでも良かったかな。
絶対に負けるなよ、トーマ。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
魔砲列車は、王宮に向かって爆走していた。瓦礫を砕き、荒れ果てた大地に線路が次々とかけられて、前に立ちはだかる無数の住民の成れの果てのゾンビたちを吹き飛ばしながら、進んでいく。
ドオォォォォォォォォンッ!!
その時、後ろの方で大きな爆発が起こった。
かなり遠くの方なのに、衝撃と地響き、爆音が列車まで届いてくる。相当の強烈な爆発が起きたらしい。斗真たちは列車の手すりにしがみついて必死で耐えた。
そして、レベッカが何かに気づいた。
「・・・消えた」
「・・・え?」
「どうかしたんですか?」
レベッカは呆然としたまま、答えた。
「・・・ビビアナと、ニナの匂いが、消えた・・・」
ビビアナ、ニナの運命は・・・?
次回も頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします!!




