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第四話「廃れた楽園の番人~彩虹の戦乙女、最終決戦④~」

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!!

新作が書きあがりましたので、投稿いたします!!

どうぞよろしくお願いいたします!!

 【斗真視点】


 朝日が昇り、魔砲列車の前に広がる、すっかり荒れ果てたクロスの城下町を照らし出す。まるで長い悪夢から解放されたかのように、禍々しい魔力の気配は消えて、結界は影も形もない。とりあえず、作戦の出だしは成功だ。


 「このまま王宮に突っ込むのか?」


 「ああ、そこには間違いなく松本がいるからね。あの攻撃を受けても、きっとアイツは生きている」


 桜の問いかけに、僕は返事した。桜は少しだけ驚いたように目を見開くが、僕には確信がある。街の結界が消えても、松本が死んだとは考えにくい。そこまでは楽観視できない。


 (・・・なるほど、まだ、腐った肉のような臭いが町中から立ち込めている。結界を作り出す魔力はもうないが、まだ、その術者が生きているのは間違いないな)


 オクタヴィアが僕の考えを肯定してくれた。まあ、そんなことは想定の範囲内だ。これで大人しくくたばってくれるのなら問題ないのだが、松本の魔力の匂い、そう、さっきから刺激臭にもよく似ているこの甘酸っぱく、危険な匂いが消えていない。


 この荒れ果てた町のどこかに、アイツはいる。


 そう思っていた矢先だった。


 魔砲列車の前に巨大な魔法陣が浮かび上がった。まるで血液のように生々しい色をした結界から肉が腐ったような悪臭を放ちながら、巨大な影が飛び出してきた。


 「おい、あれ、なんだよ!?」


 さらに地面から地響きが伝わって、地面が大きく揺れた。

 そしてもう一つ、巨大な魔法陣が浮かび上がると、魔法陣の中から奇怪で凶暴な唸り声を上げながら、魔砲列車を覆い尽くすほどの巨大な影が現れた。ビビ姉が必死の形相でハンドルを操作して、巨大な獣の太い腕、まるで隕石でも落ちてくるような強烈な一撃をかわし、右に左に攻撃をかわす。


 そして、上空には最初に飛び出してきた巨大な鳥のような姿をした影が、太陽を隠すほどの巨大な翼を広げて、上空から燃え盛る火炎弾を吐き出してきた。


 「・・・・・・ヤバい、かわしきれない!!」


 「何とか耐えろ!!テメェら、出るぞ!!」


 レベッカが鬼気迫る表情で怒鳴ると、全員がすでに戦闘の準備を整えて列車の屋根の上に上がっていた。少しでも油断をしていたら列車から振り落とされてしまいそうな強風が吹き荒れていた。


 ーウオオオオオオオオオッ!!!-


 巨大な獣が太い前脚を地面に叩きつけて、かんしゃくを起こした子供のように暴れている。全身を真っ黒な光沢を放つ甲冑に覆われて、額からは鬼のように二本のギザギザしたノコギリのような角を雄々しく生やし、背中には四門もの巨大な大砲が生えていた。それは獣ではなく、山のようにデカい巨大な蟲の魔物だった。


 「・・・あれは、鳳!?」


 そして、蟲の頭部に下半身が埋まっている、血が通っていないような真っ白な肌をした明らかに生きた人間ではない姿に変わり果てた【鳳桐人】の姿があった。


 かつて、僕を追放し、殺そうとした雷の勇者。


 -ギシャアアアアアアアッ!!-


 さらに空気が震えるような雄たけびを上げて、大空を我が物顔で飛び回り、僕たちに向かって火炎弾を雨のように降らせてくる巨大な怪鳥の姿が目に飛び込んできた。黒い体毛に、頭部や身体を覆うように真っ赤な毒々しい色をした甲冑を身に纏った不気味な鳥だ。


 そいつの姿を見たとき、僕の右手が急に傷みだした。


 見ると、僕の右手から黒い炎が噴き出して、激しく燃え上がっている。これは死属性の炎、これが反応をしているということは、あの鳥はもしかして・・・!!


 


 「あれは、もしかして・・・雁野・・・!?」




 ーええ、その通りよ。梶くん。-




 僕の頭の中に、あの凛とした妖艶な声が聞こえてきた。この声は決して忘れたことがない声だ。僕の命をずっと狙い続けてきた、戦いを唯一の快楽として、争いに身を投じた狂気の告死鳥フレスベルグの死者、雁野美月の声だ。


 怪鳥が空の上で飛び回り、列車に向かって翼を折りたたんで急降下を繰り出してきた。ビビ姉の巧みな運転裁きでかわした瞬間、醜悪な笑みを浮かべている頭部には、下半身が埋まった雁野の姿があった。


 ーあれは私じゃないわ。あの女が魔力で作り出した、大量の死肉に私たちの記憶と魂の残骸を反映させて作り出した、マガイモノ。-


 「マガイモノ・・・?」


 ーもうなりふり構わなくなったのね。この街でアイツが殺した大勢の人間の死体を利用して、あんなものを作り出すなんて、とんだお笑い草だわ。結局アイツは・・・まだ自分の手を汚すつもりはないのね。-


 マガイモノ。

 小物。


 家族に傷つけられて。

 友達に裏切られて。

 何もかもすべてが信じられなくなって。


 生きていくために、目に映るすべてのものを敵視し、憎悪して叩き潰すことでしか生きられなかった彼女の目には、この期に及んでも他人の死体を利用して作り出した魔物を操って攻撃を仕掛けることしかできない松本のことを、見苦しい小物として捕らえていた。


 さらに、魔法陣が浮かび上がると、耳まで大きく裂けた口、血走ったかのような赤い瞳、全身を銀色の鱗で覆われている蛇のように長い身体をくねらせて、第三の異形が姿を現した。


 「・・・アイツ、セルマじゃねえか!?」


 「・・・間違いないな!!」


 巨大な竜の頭部には、僕たちが召喚されたときに、一度だけ会ったことある王宮魔導師のセルマと呼ばれていた女性が下半身が埋まっていた。その表情には、現実が受け入れられないのか、絶望と苦しみに満ちた表情をしていた。


 「・・・あれが世界を手に入れようとした英雄の成れの果てか」


 「・・・・・・私たちを王宮に入れるつもりはないらしい」


 「・・・なるほどなぁ。それやったら、もうあれをやるしかあらへんな」


 あれ?


 何をやるつもりなんだろうか?


 「・・・おい、まさか、お前ら・・・!」


 「・・・レベッカ、今から我々があのデクノボウたちをブッ飛ばす。お前と桜、斗真はこのまま王宮に突っ走れ!!」


 「・・・・・・自動操縦モードに切り替えた。これで、王宮にまっすぐ行く」


 レベッカが、アイリスたちが何を言いたいのか察したらしく、一瞬だけぐっと何かをこらえるように表情を固めた。それを見て、僕らはアイリスたちが何を言いたいのか、分かってしまった。


 「・・・まさか、アイツらを倒すつもりか!?」


 「・・・サクラ、野暮なことは言わないでおくれよ?こういう時には、どうかボクたちの背中を思い切り押してくれるとありがたいんだがねぇ」


 「最後の戦いにいちいち邪魔されたらかなわへんからなぁ」


 「時間がない、団長、お願いいたしますわ!!」


 そして、レベッカは歯をギリリと食いしばると、覚悟を決めたかのように顔を上げた。拳が震えるほどに握りしめて、湧き上がる感情を必死で抑えて、彼女の赤い瞳がギラリと光った。




 「・・・分かった。お前ら、アタシから命令だ。-絶対に死ぬな!!一人でも死んだら、ただじゃおかねぇからなっ!!いいなっ!!」




 「・・・了解ですわ」


 「当然だ、私たちが死ぬと思ったのか?バカが」


 「私たちは最凶最悪の傭兵団、でしょう?」


 「・・・・・・売られた喧嘩は1000倍返し」


 「・・・行ってくるよ、ボクたちが帰ってきたときには、抱きしめてチューしてくれると嬉しいねぇ」


 「おっしゃ、ほな、ちょっと遊びに行ってくるわ!!」




 そう言って、アイリスとアレクシア、ニナとビビアナ、そしてヴィルヘルミーナさんとオリヴィアさんが僕たちに向かって笑顔を浮かべると、それぞれが列車から飛び降りてそのまま地面を走り去っていく。


 「・・・死ぬんじゃねえぞ・・・バカ野郎どもが・・・!」


 走って戦場に向かっていくみんなの姿を見送りながら、レベッカは唸り声のように低くつぶやいた。彼女たちの覚悟は誰にも止められない。そして、アイツらを倒している間に、松本に逃げられる可能性もあるのだ。そうなったら、戦力を分断させる作戦に乗せられたとしても、こうするしかなかった。


 列車は瓦礫を破壊し、砕き、王宮に向かって驀進する。


 全ての決着を、ここでつけるために。


 

次回からは、最後の番人たちとアイリスたちの戦いを書いていきます。

二人一組ずつ、パートに分けて書いていこうと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします!

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[気になる点] ・雁野美月 >生きていくために、目に映るすべてのものを敵視し、 憎悪して叩き潰すことでしか生きられなかった彼女の目には、 この期に及んでも他人の死体を利用して作り出した魔物を操って …
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