第二話「決戦前夜~彩虹の戦乙女、最終決戦②~」
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【斗真視点】
いよいよ、明日か・・・。
明日、夜明けと同時に作戦を展開して、クロスに攻め込む。
もう他の団員たちはみんな部屋に戻って、明日に備えて休んでいる。
きっと起きているのは僕だけだろう。
僕も寝なくちゃいけないんだろうけど、どうしても眠る気になれない。
魔砲列車が待機している車庫の中は静まり返っていて、ランプの灯りだけが揺らめいて、部屋の中を照らしている。寝ようと思って、さっきから長椅子の上を寝転がっては起き上がって、寝転がっては起き上がって、その繰り返しだ。
昨日、ベアトリクスお姉ちゃんから告げられた話がまだ僕には信じられなかった。
僕が、魔界の3つの勢力をまとめ上げた巨大な組織の頂点に選ばれるなんて。
ハッキリ言って、冗談にしてはタチが悪すぎると思った。どうして、僕なんかがそんな大役に選ばれてしまうのだろうか。
『今、お前たちの活躍は世界中に知れ渡っている。クロスという巨大な勢力に唯一対抗できる、この世界の最後の希望・・・とまで言い出すヤツまでいる。かつては最凶最悪の悪名をほしいままにしてきたお前たちが、まさかそう言う風に言われる日が来るとはな』
『トーマちゃんを代表に選んだのは、トーマちゃんが他でもない【虚無】の魔王オクタヴィアの正統なる後継者であることももちろんだけど、トーマちゃんの活躍を見た魔界中の魔族たちがトーマちゃんこそが、魔界を救うことが出来る、大きな器を持っている人物だと自分の目で見て、トーマちゃんに心底惚れ抜いたという魔族が次々と名乗りを上げているわ。自分たちでは太刀打ちできなかったクロスに対して、勇猛果敢に挑んでいくトーマちゃんの姿に、みんな心臓を鷲掴みにされたのね』
『トーマちゃん、貴方は自分のことをあまりにも過小評価しているけど、私も貴方は敵だろうと、多くの人間や魔族の心を惹き付ける、不思議なカリスマ性があるわ。その証拠に、レベッカたちが貴方を一目見て気に入ったことが何よりの証。彼女たちは、ただ気に入ったという理由だけで傭兵団という危険な職業にホイホイ仲間にするようなバカではないわ。戦う力がない相手は例え気に入っても、仲間にはしない。その人の人生を狂わせてしまうことがどれだけ残酷なことかということを、知っているから』
僕以外にも、かつては傭兵団に入団してきた人たちがいた。
でも、あまりにも過酷な任務についていけずに、みんなから黙って姿を消した人や、懸賞金が欲しくて裏切った人、任務の途中で死んでしまった人など、たくさんいなくなってしまい、結果的に最後には結成した当時の7人だけの傭兵団になってしまったらしい。
当初はレベッカが僕のことを気に行って、傭兵団に入れたのも、僕をクロスから保護してくれるためだったらしいが、レベッカたちにとって想定外だったのは僕がやられたら徹底的にやり返すという想像以上のバカだったということだろう。
しかし、まさか僕が魔界を統一するための組織の長に選ばれるなんて・・・。
正直、プレッシャーで押し潰されそうだ。それに、明日の決戦を乗り越えなければ、長どころの話ではない。生きるか死ぬかの、最後の決戦がもう明日・・・いや・・・今日の夜明けに迫っているんだ。
「眠れないのか?」
後ろを振り返ると、桜が立っていた。
手には湯気が立つコーヒーが入っていた。挽きたての豆の香りが鼻をくすぐる。
「・・・どうして僕がここにいるってわかったの?」
「さあ、何となく、かな」
「桜もひょっとして、眠れなかった?」
「・・・まあ、そうだな」
桜はコーヒーを一口飲むと、ポツリ、ポツリと話し出す。
「・・・いよいよ、今日か」
「・・・うん」
桜にとっては、かつての恋人であり、家族の仇でもある松本と決着を着ける日だ。やはり、緊張して眠れなかったのだろうか。
「・・・兄弟、お前、俺がまさか千鶴と戦うことになるからって眠れないとか、思ってねえか?」
「え!?」
「・・・顔に書いているぜ。まあ、それもあるけど、ちょっと、今までの戦いを思い出していたら、眠れなくなっちまってな」
「今までの・・・戦い・・・?」
「・・・ああ。これまでに戦ってきた奴ら、みんな、自分のそれぞれの願いをかなえるために、命を懸けて戦ってきたよな。雨野や鳳のようなどうしようもない奴もいれば、雁野のように最後まで自分の信念を曲げないヤツもいた。寅若さんや高橋さんのように、誰かのために自分自身の命を懸けて最後まで全力で戦い抜いた人たちもいる。みんな、命を懸けて、自分の道を切り開いてきた」
光・・・。
つばさ・・・。
もうあの時のような仲には戻れないけど、確かに僕たちを繋いでいる強い絆があった。
雁野・・・。
強い怒り、憎しみ、そして悲しみに飲まれつつも、彼女は自分自身の力のみで自分の道を切り拓こうとした。
高森くん・・・。
僕たちに全てを託して、最後まで魔神の力に抗い、自分自身の誇りと信念を貫き通した。
「・・・今度は俺たちが覚悟を見せる番だ。例え、明日もしものことがあったとしても、最後まで俺たちは俺たちの意地を貫き通すだけ、身体を張って、大事なものを守り抜く。もう日和らねえ」
桜の言葉が、胸に染み込んでくる。
弱気になっていた僕の闘志に火が点いた、そんな気がした。
長とか、組織とか、そんなことはとりあえず後回しだ。
まず、僕がやらなければいけないことは・・・。
「・・・兄弟」
「あん?」
「・・・絶対に死ぬなよ。兄弟のいない世界なんて、面白くないからな」
「・・・へっ、俺もお前がいない世界なんてのし上がっても意味ねえな。お前も死ぬなよ、兄弟」
ああ、これだけでいい。
絶対に死なない。
売られた喧嘩は買ってやる。そして、必ず勝つ。
それだけだ。
その時、目に優しく、綺麗な光が差し込んできた。
夜空が徐々に紫色に変わっていき、うっすらと青みを帯びた空へと変わっていく。
「いい天気だねえ」
「・・・ああ、最高の喧嘩日和だ」
うん、今日は最高の喧嘩日和だ。
強く握りしめた拳、もう震えていない。
後のことなんて、今はどうでもいい。
今日、これまでの戦いの全てを終わらせる。
「おっ、もう起きていたのかよ!?」
「・・・・・・ちゃんと眠った?」
「お前はグースカピースカ眠りこけていたがな。少しは緊張感がないのか」
「トーマの布団に潜り込んで、トーマと添い寝をしようとか抜かしているバカには言われたくないわね」
「全く、今日は正念場やっちゅうのに、みんなホンマにお気楽やな~」
「せっかくの祭りだぜ?踊るアホウに見るアホウ、同じアホウなら何とやらってね」
「踊らにゃソンソン、ですわ~。そこまで言ったなら最後までちゃんと言いなさいな」
レベッカ。
アイリス。
ニナ。
ビビアナ。
ヴィルヘルミーナさん。
オリヴィアさん。
アレクシア。
彼女たちは僕と初めて会った時に装備していた甲冑に身を包んでいた。
生き生きとした気迫、強い意志を秘めた瞳、そして不敵な笑み・・・!
「・・・みんな、今日は派手に暴れてやりましょう!」
「トーマ、どうせなら、もっと強気にデカく言っちまおうぜ」
レベッカが不敵な笑みを浮かべて、僕の隣に立つと僕を抱き寄せる。
豊満な胸に僕の顔を抱き寄せて、褐色色の腕でがっちりと僕を抑えつけながら、ニィっと犬歯をむき出しにした獰猛な笑みを浮かべる。
初めて会った時に見せてくれた。
そして僕の心を一瞬で鷲掴みにしたあの笑顔。
「お前ら!!覚悟はいいな!!これが【彩虹の戦乙女】一世一代の大喧嘩だ!!」
「「「「「「オオオーーーッ!!」」」」」」
「オレたちに喧嘩を売ってくれたこと、トーマをやってくれたこと、散々鬱陶しい真似をしてくれたこと、きっちりとそのお礼をしてやれ!!1000倍返しでな!!」
そうだ。
やられたらやり返す、1000倍返しで。
松本、お前がやってきた数々の仕打ち、1000倍返しできっちりと報復してやる。
「みんな!今日で必ず、クロスを潰すぞ!!」
地鳴りのような声が挙がり、空気がビリビリと震える。
気合はもう十分、いつでも戦闘開始の準備は万端だ。
魔砲列車の準備はもういつでも強力な魔導砲を撃ちだす準備は出来ていた。
「ビビアナ、準備はどうだ?」
「・・・・・・久しぶりに三徹して、ぶっ通しでやった。チェックに漏れはない」
よく見るとビビ姉の目元にクマが浮かんでいた。
「・・・・・・最終のメンテナンスもチェックもばっちり、闇の魔神が遺してくれたプログラムを取り込んで、あの勇者の魔力を無効化させる特殊な魔力を生み出すことに成功した。クロスの破壊の確率は予想では・・・90%以上確実なものになっている!」
それじゃ・・・派手に上げますか。
この戦いの最終の始まりを告げる、デカい花火をね!!
次回から、黒幕に対して報復を次々と起こします!!
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!!
最終回まで投げ出さずに書き続けますので、今後ともよろしくお願いいたします。




