第二十五話「地下霊廟の戦い!①~ヴィナグラート魔城攻略戦⑲~」
遅くなってしまい大変申し訳ございませんでした。
新作が書きあがりましたので、投稿いたします!
どうぞよろしくお願いいたします!
【斗真視点】
一体、どういうことなのだろうか。
高森くんがジールたちを裏切って、僕たちのことを助けようとしていただって?
ジールが憎々し気に言い放った言葉に、僕たちは衝撃のあまりに言葉が出なかった。
桜の方を見ると、桜も予想していなかった言葉に、呆気に取られていた。
「・・・はあ、大方松本かヴェロニカから吹き込まれたのであろうが、ワシがなぜ梶たちを助けようとしなければならないのじゃ?それならヴィナグラート魔城にダンジョンを設けたりしないで、梶たちのところに行けばよかったであろう。そんな根も葉もない話を本気で信じ込んでいたとはのぅ」
「それならなぜ、貴方は我らアンデッドが、死者の門の力を利用して世界の覇権を掴もうとすることを阻止しようとしていたのだ!今度のことも、この計画を前倒しにして実行に移そうとする我々の尻尾を掴み、計画そのものをご破算にすることが目的だったのでしょうが!!貴方様とファフナーが話しているのを、この耳で効いたのですから!!」
「当たり前じゃ。そのような計画を見過ごすわけには行くまい。闇の魔神オプスキュリテとファフナーから頼まれたのじゃ。この世界を崩壊に導くような愚かな行為をしようとする輩を止めて欲しいとな。まあ、どうせそれも松本から何かを吹き込まれて、彼女に利用されているだけに過ぎないのじゃろうが・・・」
「あのお方は、我々アンデッドこそがこの世界の真の支配者にふさわしいとおっしゃってくれたのです!!不死の命を持つ我らこそが、この世界において最強にして高貴なる選ばれた存在であると!!それなのに、我々はこの死者の門を守るために、このような深い霧に覆われた暗く陽の光も差さない、陰鬱としている暗闇の世界を守護する墓守としての宿命を運命づけられている!!このような理不尽、許されるはずがない!!」
え、えーと、これ、どういうこと?
高森くんと部下のジールが激しく言い争いを繰り広げていると、後ろから誰かが走ってくる足音が聞こえてきた。
振り返ると、そこにはアイリス、ニナ、オリヴィアさんの姿があった。
「なるほどな。ファフナーが慌てて我々との戦いを中断したのは、そういうことだったのか」
「アイリス!!ニナ!!」
「オリヴィア!!無事だったのか!?」
「サクラ、心配かけて、ほんまにスマンかった!大丈夫か!?」
「ニナ、アイリス、無事だったのか!!」
「・・・まさか、私たちがビリッケツとはな。不本意極まりないが、まあ、お前たちのバカ面が全員揃っているようで何よりということにしておこうか」
「さてと、お話中、割り込んで失礼かもしれないけど、随分と私たちに色々とやってくれたわねえ?アンタたちまとめて、ボッコボコにしてあげるわ」
「お前たちの都合など聞く耳持たん。さっさと邪眼王を倒して、こんな湿っぽい魔城など引き払いたいものでね。一気に片付けてやる」
アイリスの冷たい言葉が口火を切ったかのように、レベッカたちが一斉に武器を取り出して、二人を取り囲んだ。高森くんは舌打ちすると、手に持っている薙刀の柄で地面を突いた。
「お主たちは邪魔だ。こやつはワシが粛清する。-暗黒時代・闇魔法・闇魔神の霊鎌」
そして、再び僕たちの視界が全て「黒」一色に塗りつぶされた。
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【高森士郎視点】
霊廟前の空間が全て闇で覆われて、暗転した世界が広がっていく。
この絶対領域は、ワシ以外の誰一人として動くことも、干渉することも出来ない。
梶たちは武器を構えたまま、ピクリとも動かない。
それはそうだ、この世界にいる間、彼らの時間は闇の力によって止まっているのだから。
ワシに憑依している闇の魔神オプスキュリテの力は、あらゆる事象を一時的に無力化させる。
かなりの量の魔力を消費するが、時間をわずかの間止めることが出来る。ワシの魔力では、一日最大10分が限界といったところだ。
10分あれば、問題はない。
全てを終わらせる。
ワシは固まっているジールに近づいて、彼女の左胸、アンデッドの急所ともいえる「核」に向けて薙刀の刃を向ける。
ここを破壊すれば、ジールは消滅する。
わずか一瞬。
彼女にとっても何が起きたのか分からないまま、この世から消えていく。
「許せ、ジールよ」
ワシは謝罪の言葉を告げると、薙刀を思い切り胸に向けて突き出した。
しかし、刃は彼女も胸を貫くことは出来なかった。
「・・・何!?」
「・・・やっぱり、私たちのことを裏切ったんじゃないですかぁ。ひどいじゃないですか、貴方のことを一応義理とはいえ、主として付き従ってきたというのにぃぃぃ」
動けないはずのジールが、薙刀を強く握りしめて、狂気と怒りに満ちた笑みを浮かべていた。
そして呪詛を吐き出すと、力いっぱい薙刀を振り上げて、ワシの身体ごと乱暴に薙ぎ払った。
どういうことじゃ!?
この魔法が発動している間は、ワシだけが動くことが出来るはず!!
それなのに、どうしてジールまで動くことが出来るのだ!?
「・・・あーあ、もうどうでもいいや。あの傭兵団を片付けたら、貴方もファフナーも片付けて、死者の門の封印を解いてしまおうと思っていたけど、もうこうなったらみんな始末してあげますよ」
ジールは兜を脱ぎ捨てると、血の通っていない青白い肌を持つ端正な顔立ちを鬼のような形相に歪めて、目から血の涙を流しながら唇の端を釣り上げた。
「ああ、どうして私が動けるか、知りたいですか?あの勇者の女が、貴方の魔法を一度だけ、無効化するお守りをくれたんですよねぇ。貴方が私たちの計画を邪魔するつもりだという話を聞かされましてねェ」
ちっ、松本に先手を打たれていたのか。
「どうして私たちの計画を邪魔するんですか?墓守の一族の使命?死者の門を誰にも近づけさせないために、ヴィナグラート魔城を守る?どいつもこいつも、そんな古いしきたりに縛られてばかりいるから、あんな日の光が差さない暗くてじめじめとした陰気臭い世界に捕らわれ続けているのよ。私はそんな掟やしきたりに縛られる人生なんて、まっぴら御免なんですよ!!」
「・・・ふん、なるほどな。最初からワシらのことを裏切るつもりじゃったのか」
全く、人を見る目がないものだ。
自分自身の不甲斐なさに、苦笑する。
「だから、死者の門は力ずくでも解放してやる!!そして、こんな魔城などぶっ壊して、この世界を死者の世界に変えてやるのよ!もうあなたは用済みってことで、死んでもらうわ!!」
ジールの身体を闇が集まり、見る見る巨大な体躯へと膨らんでいき、異様な変貌を遂げていく。
天井から無数の黒い糸のようなものが飛び出して、ジールの身体にまるで操り人形のようにまとわりつく。そして、ワシの目の前に現れたのはジールによく似た美しい顔立ちをした女性の人形の頭部が現れた。
ー・・・ククク・・・ヒャハハハハハッ!!私は、勇者と邪眼王様から素晴らしい力を手に入れたわ!!もう闇の魔神であろうと、誰だろうと恐れるものなど何もない!!お前を殺して、その力もいただくわ!!-
狂った笑い声が闇の世界に響き渡り、人形の瞳がカッと開いた。
白目の部分が真っ黒に染まり、真っ赤な瞳が自分のことを睨みつけている。ひび割れた陶磁器の肌、瞳から流れ落ちる血の涙、無数の牙を生やした大きく耳まで裂けた口をギチギチとしている姿は、もはやさっきまでの可愛らしい人形ではない。
その時だった。
「高森くん!!」
後ろから聞こえてきた声に、ワシは驚いた。
そこに立っていたのは・・・梶斗真だった。
どういうことじゃ、どうしてこやつにもワシの【闇魔神の霊鎌】が効かないのじゃ!?ワシが動揺していると、梶は構わずに飛び込んで、ワシの身体を抱き上げると高く跳び上がった。
すると、ワシが立っていた場所目掛けて、巨大な人形の拳が天井から振り下ろされて、地面を思い切り叩きつけていた。
「・・・何があったのか知らないけど、ヴィルヘルミーナさんたちを連れ去ったことについて、あとで一発思い切り僕と桜にぶん殴られてもらうから。それまでは絶対に死なせないよ!」
そう言うと、梶が腰にベルトを巻き付けて金色の宝箱を取り出すと、バックルに装着した。
「変身!!」
『闘衣召喚!!ストリクス!!』
梶の身体を黄金の稲妻が降り注ぎ、目の前で梶の姿が豊満な胸と腰まで長く伸ばした金髪を持つ女性の姿へと変わり、右手に宿った大きな弓矢を構えると、バチバチと迸る雷の矢を放った。
バチバチバチッ!!!
-ギャアアアアアッ!!?き、貴様ァァァァァァッ!!-
「・・・とりあえず、アンタは僕の大事な仲間に手を出した。だから、死刑執行だ」
梶が親指で首を掻っ切ると、そのまま下に落とした。
闇の魔神オプスキュリテこと高森と、斗真が共闘することになりました。
裏切者のジールとの戦闘パートを次回書きます!そして、高森の戦う理由も明らかにしていきます。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!




