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第二十四話「火の通路の戦い!③~ヴィナグラート魔城攻略戦⑱~」

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!

新作がやっと書きあがりました!

どうぞよろしくお願いいたします!

 【斗真視点】


 ビビ姉。

 アレクシア。

 そして、ヴィルヘルミーナさん・・・!


 みんなが無事で、本当に良かった。

 そして、彼女たちが登場したことによって、さっきまで押しつぶされそうだった重圧が、嘘のように軽くなっていく。力み過ぎていた力が自然と抜けて、集中するあまりに狭くなっていた視野が大きく開けていく。


 「さてと、とりあえずはこの人形たちを操っている彼女にご退場していただこうか」


 「・・・・・・誰一人として、生きてここから逃がしはしない」


 「ええ、ここまで散々私たちの尻尾を踏みつけてくれましたからねぇ。-全員、ブッ殺す」


 「お前ら、行くぞ!!」


 レベッカが威勢よく叫ぶと、ビビ姉とアレクシア、ヴィルヘルミーナさんが同時に飛び出していく。100体以上入る人形たちにも古むことなく、彼女たちは勇敢に突き進んでいく。


 ずっと、この人たちの背中を見てきた。

 いつしか、彼女たちの存在が大きな憧れになっていた。


 相手が誰であろうと、決して恐れない。

 何度傷ついても、諦めない。


 一度守ると決めた誓いは必ず果たす、この人たちの強さが僕に何度でも力をくれた。


 いつから、自分は戦うことを諦めてしまったのだろう。

 いつから、自分は何もできないと思い込んでいたのだろう。

 いつから、自分の思いを口にすることさえも無駄なことだと、諦めていたのだろう。


 自分で自分を「弱い」と決めつけた時だ。


 誰のせいでもない。

 自分で自分を見限り、可能性に目を瞑り、前に進むことさえも怖がっていたのは、自分のせいだ。自信がなくても、根拠がなくても、どんなに怖くても、無駄かもしれないと思っていても、それでも、前を向いて進んでいけば・・・きっと見つけられるんだ。


 自分の心を何度でも奮い立たせて、熱くさせてくれる「世界もの」が。


 「蚕食鯨呑!!植物魔法、暴食王の竜樹(ラファエル)!!」


 アレクシアが杖から打ち出した種子が一気に成長し、無数の植物のツルが絡み合って、巨大な竜のような姿へと成長していく。意志を持った植物の竜が大きく口を開いて。空気が震えるほどの凄まじい咆哮を上げると、人形たちに突進していく。


 鋭い切れ味を持つ刃のような葉と、ナイフのような無数の棘が映えた鶴で覆われた身体と接触するだけで、人形たちがバラバラに切り刻まれて、竜の大きく開いた口の中へと吸い込まれていく。まるでブラックホールのように、人形たちを吸い込んで貪り食らう。


 「お遊びの時間はもうおしまいですわよ?-覚悟しやがれ!!」


 -ギャアアアアアアッ!!-


 人形たちを大きな口の中に次々と押し込むように食らいつき、バリボリと音を立てて貪り食らう姿はまさに【暴食】の言葉がぴったりだ。


 さらに、ビビ姉が巨大なパワードスーツに乗り込んで、全身から凄まじい勢いで冷気を放出すると、周囲の空気が一気に冷え込んで、頭がキーンとする。そして、冷気を身に纏ったパワードスーツが巨大な熊のような姿へと変わっていく。


 巨大な拳には鋭い氷の爪が生えて、ビビ姉を覆うように熊の頭部を模したカバーがかかると、全身に纏った冷気が真っ白な毛並みのように変わっていく。


 「・・・・・・覚悟しろ。もうこうなったら、魔力が尽きるまで止まらねーぞ」


 人形たちが一斉に飛び掛かった時、ビビ姉が静かにつぶやいた。


 「・・・・・・荒怠暴恣、氷魔法、怠惰王の吹雪(ミカエル)


 ビビ姉が鼻ちょうちんを膨らませて眠りに落ちると、巨大な獣が闘志を目に宿らせて、辺りの空気が震えあがるほどの凄まじい咆哮を上げる、そして、飛び掛かってきた人形たちに強烈な張り手をブチかますと、人形たちは乱暴に地面に叩きつけられて、あまりの破壊力に身体が地面にめり込んでいく。


 しかし、獣は本能のままに、慈悲も哀れみもなく人形たちを容赦なく蹂躙し、倒れた人形を踏みつぶしていく。一度標的に選んだ相手を倒すまでは、一切の手心を加えることもなく、慈悲も感じない殺戮兵器と化したビビ姉はもはや誰にも止められない。


 「やれやれ、ボクもそろそろカッコいいところを見せないとねェ」


 ヴィルヘルミーナさんがカットラスを構えて、相変わらず気障ったらし前髪をかき上げて、余裕たっぷりな笑みを浮かべている。


 まるでこれから遊びにでも行くかのように鼻歌まで歌っているが、彼女の瞳は果てしなく冷たく、絶対零度の怒りを秘めていた。彼女の周囲に風が集まり出して、紫色の光を帯びた風に変わり、彼女の周りで渦巻く。


 「女の子には出来る限り手を出したくないんだよね。ボクは世界中の全ての女性を愛するというのがモットーだからさ。実のところ、君には大人しく投降してもらって、その後ボクと2人きりでたのしくお茶でもしたい気分なんだよ」


 「ほざけっ!!」


 ジールが顔を真っ赤にして、ランスを突き出すと無数の火炎弾がヴィルヘルミーナさんに向かって飛んでいく。しかし、彼女の周りを覆っている風がまるでバリアのように炎をかき消していく。


 「君に対して”ボク”は手は出さないよ?その代わり、君の大切なこの・・・人形ガラクタたちにはいい加減ご退場願おうか。せっかく口説こうとしているのに、目障りだからさ」


 ヴィルヘルミーナさんの周りを渦巻いていた風が吹き荒び、人形たちを飲み込んでいく。すると、風の中から何体ものヴィルヘルミーナさんの姿が現れた。一人一人、それぞれが意思を持っているかのように人形たちを次々と切り付け、吹き飛ばしていく。


 「姦声乱色、風魔法、色欲王の神風(アニエル)・・・魂の管弦楽団(フルオーケストラ)!!」


 無数のヴィルヘルミーナさんがまるで踊っているかのように、見る者の目をくぎ付けにして、心を奪うほどの華麗かつ情熱的に、激しく人形たちを吹き飛ばしていく。さっきまで100体以上はいた人形たちが瞬く間にいなくなっていき、ジールも完全に目が泳ぎ、動揺していた。血の気が通っていない青白い顔がさらに真っ白になっていくように見えた。


 「・・・な・・・何よ、これは。たった数人が相手に対して、私には1000体以上の人形たちがいたのよ?それなのに、どうして、こんなクズどもなんかに歯が立たないのよ・・・!!こ、こんなのおかしい、こんなこと、ありえないわぁぁぁっ!!」

 

 目が血走って、頭を両手で抱えてジールは発狂でもしたかのように叫んだ。


 だから言ったじゃん、もっと連れて来いって。

 この程度の数なんて、これまでにどれだけ相手をしてきたと思っているんだろうか。


 「数が多ければ勝てると思ったのかい?生憎、この程度の数なら、いつもよりも少なくて物足りないぐらいさ」


 たった七人で、一国の軍隊や騎士団、盗賊団に挑み、丸ごと潰してきた実力者たちの言葉だからこそ、ヴィルヘルミーナさんの軽口にも不思議と説得力がある。最凶最悪の傭兵団と呼ばれる彼女たちの戦闘力は、一人ひとりが百人力の実力を持っているのだ。


 「へへへっ、さてと残りはアンタだけだぜ、この鎧野郎!!」


 「念仏は唱え終わりましたか?首はちゃんと洗っておきましたか~?」


 その時だった。

 ジールの動きが急に収まり、何やら顔をうつむいたまま、小さく体を震わせた。


 「・・・くっ・・・くくくっ・・・ひひひっ・・・まさか・・・こんなクズどもに・・・この力を使わなければいけなくなるとはね・・・」


 彼女が兜を脱ぎ捨てて、乱暴に放り投げる。

 そして、彼女が顔を上げると、幽鬼のような不気味な笑みを浮かべていた。

 もはや理性を感じさせない狂気に満ちた笑みを貼り付かせて、腰まで伸ばした長い金髪を振り乱しながら、甲高い笑い声をあげた。


 「アハハハハハハハ!!邪眼王様から頂いたこの力があれば、お前たちなど、ひとひねりだっ!!お前たちは殺す!!絶対に許さん!!皆殺しだっ、一人残らず倒してやろう!!」


 彼女の身体に給食に魔力が集まりだし、身体中から紫色の禍々しいを放ちだし、彼女の瞳が不気味な紫色の光を放つ。そして、倒れていた人形たちが光に吸い寄せられるように集まり出し、彼女の身体を覆っていく。


 「ヤバいぞ!!アイツ、自分の生命力を全部魔力に変えて、取り込んでやがる!!」


 「まだあんな手があったとはな・・・!」


 「私の全てを悪魔に売り渡してやる!!お前たちを邪眼王様の下には行かせない!!あのお方がもうすぐこの世とあの世をひっくり返す!!死者で溢れかえり、人間たちの魂を食い放題し、我々死者こそがこの世界を支配する真の支配者となる!!目障りな光など全て闇で塗り潰してくれるわ!!」


 理性を失った狂った笑い声を上げながら、彼女は人形にその身体を貪られるように埋もれていく。

 

 その時だった。




 「暗黒時代・闇魔法・闇魔神の霊鎌(ブラックアウト)




 「・・・え?」


 一瞬、何かが起きた。

 しかし、何が一体どうなっているのだろうか?


 瞬きすらしないうちに、目の前では信じられない光景が広がっていた。


 「・・・シ、シ、シロウ様・・・?」


 「・・・まさかお主がワシらを裏切っておったとはのぅ。ジール、お主が邪眼王と裏で手を組んで、まさかこのようなバカげた計画に加担していたとはのぅ」


 紫色の刃を持つ薙刀を、ジールの喉元に突き付けていたのは・・・闇の魔神オプスキュリテに憑依されている元クラスメートの高森士郎だった。


 「・・・わ、わ、私が邪眼王さ・・・邪眼王と手を組んでいた、ですって?」


 「・・・前々からお主はワシらに内緒で、こそこそと不審な動きをしていた。気づかないとでも思っておったのか?ファフナーや他のみんなにも頼んで、極秘裏にお主の動きを監視していたのだ。ワシはお主に火の通路の警備を任せていたはずじゃ。しかし、なぜ、お主は霊廟の入り口にいるのだ?」


 「そ、それは・・・」


 「ああ、答える必要などない。すでにお主がどこで何をしていたかについては、大体は想像がつく。そして、その証拠に・・・お主が邪眼一族やあの女と一緒に、霊廟に何度も足を運んでいることも、霊廟に通じる隠し通路を案内しているところも、すでにいくつもの証拠は掴んでいるからな」


 え、えーと、これはいったい・・・どういうこと?

 ジールが、高森くんのことを裏切っていたって?


 「・・・く、くくっ、くくく・・・」


 突然、ジールが身体を震わせて不気味な笑みを浮かべた。

 そして、恨みと怒り、憎悪に満ちた瞳を高森くんに向けて睨みつけた。


 「・・・シロウ様・・・私が貴方様を裏切ったですって?それは心外ですわ。むしろ、貴方様の方が先に私たちを裏切ったのではございませんか?」


 「・・・何?」


 「・・・貴方様がこのヴィナグラート魔城にダンジョンを仕掛けた理由は、この地に住まうアンデッドやゴーストたちを救済するため・・・その為に我々に救いの手を差し伸べてくれたと思っておりましたわ」


 「・・・・・・」


 「・・・ですがぁ・・・それならぁ・・・どうして・・・この”彩虹の戦乙女”たちを”助ける”ための魔導兵器の開発など、行っていたのですかぁ・・・?貴方はぁ、コイツらの強さに屈してぇ、この魔城を救うために開発していた魔導兵器を、コイツらに渡して、自分一人だけ助かろうとしていたんでしょう?命乞いをして、私たちを切り捨てて、自分だけ助かろうとしていたんでしょうがっ!!!」


 え・・・?


 高森くんが・・・僕たちを・・・助けようとしていた?


 どういうことなの・・・!?

次回、闇の魔神オプスキュリテこと高森士郎の目的が明かされます。

士郎の真の目的とは・・・?


次回もどうぞよろしくお願いいたします!


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