表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
270/300

第二十二話「火の通路の戦い!①~ヴィナグラート魔城攻略戦⑯~」

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!

新作が書きあがりましたので、投稿いたします!

どうぞよろしくお願いいたします!

 【斗真視点】


 地下に大きく広がる大空洞。

 大岩を彫って建てられた荘厳な霊廟は、まるで僕たちを静かに待ち構えている得体のしれない怪物のようにに見えた。息をのむ音でさえもハッキリと聞こえてくるほどの、静かな暗闇の中で、哀れな生贄をただ静かにじっと待っている・・・。


 その時だ。


 後ろから、騒がしい足音が聞こえてきた。


 「・・・この魔力は・・・!」


 僕は覚えがある魔力の気配に、思わず振り返る。


 「オッラァァァァァァーーーッ!!!」


 暗闇から飛び出してきたのは、真っ赤な髪を風になびかせながら、燃え上がるような炎のような赤い瞳を輝かせた女性・・・。


 「トーマァァァァァァッ!!」


 「・・・レベッカ・・・!!」


 僕の恋人であり、傭兵団の心の支えでもあるレベッカ・レッドグレイブだった。


 「トーマァァァ!!トーマ、本当にトーマなんだな!?」


 レベッカが僕の身体に抱き着いて、そのまま地面に押し倒した。

 頬に温かいものが落ちてきた。よく見ると、それは・・・彼女の瞳からこぼれ落ちた涙だった。


 僕を押し倒した格好のまま、レベッカは涙を流していた。

 そして顔を真っ赤にして、顔中がくしゃくしゃになり、それでも無理に笑おうとしていた。


 「・・・レベッカ・・・!」


 「バカ野郎!!勝手に目の前からいなくなるなんて、絶対に許さねえって言ったじゃねえか!!オレたちはなぁ、来る者は拒まず、去る者は追い回すが信条だろうがっ!!絶対に許さねえぞ。お前は特に除隊願を出しても絶対に手放さねえ。お前は、アタシの一生のツガイなんだからなっ!!恋人を置いていなくなるなんて、男として、最低なんだからな!!」


 「・・・ご・・・ごめんなさい・・・!」


 レベッカが涙を流しながら、僕の胸倉を掴んでまくし立てる。

 僕はもうぐうの音も出ないまま、ひたすら彼女の怒りの叫びを全身に浴びることになった。


 「・・・本当にごめん・・・」


 「・・・もう二度とアタシの前からいなくなるんじゃねーぞ。次、勝手に死んだり、何も言わずにいなくなったりしたら、地獄まで追いかけてでもお前を連れ戻しに行くんだからな!!」


 彼女だったら本気でやりかねない。


 「・・・僕も・・・もう一度・・・会いたかったよ・・・!」


 追放された僕を助けてくれた、僕にとって大事な恋人。

 バカで能天気でお気楽だけど、いざという時には頼りになる暴れん坊で優しくて、美しい運命の女性。

 僕たちはどちらかともなく、お互いに身体を抱きしめ合って、再び会えた喜びを共に味わった。


 身体の奥から、熱い何かが込み上がってきて、身体中にみなぎってくる。

 もう何も怖い物なんてないと思えるほどに、僕の頭の中から不安や恐怖が消えていく。


 「・・・斗真・・・」


 その時、レベッカの後ろから声がした。

 

 洞窟の近くには、僕の幼なじみの寅若光がうつむいたまま、立っていた。

 今にも泣きだしそうな、ものすごく悲しそうな目で、居心地が悪そうに立っている。


 「・・・光」


 「・・・お前に・・・今更もう・・・合わせる顔なんて・・・ないよな」


 「お前、今更何を言っているんだよ。ちゃんと謝りたいことがあるならしっかりと謝らなくちゃダメじゃんか」


 「・・・誤って済む話ではないだろう!私は、斗真を、この手で・・・奪ったんだぞ・・・!!」

 

 光は自分の両手を見て、震えながら悲痛な叫び声を上げた。

 足は震えて、今にも倒れてしまいそうな光の姿はとても弱々しく見えた。


 その時だった。


 何だろう?


 光の後ろ・・・何かが一瞬だけ光ったような・・・?




 「光、危ないっ!!!」




 僕よりも早く動いたのは、つばさだった。

 彼女が地面を蹴り出し、光を思い切り横に突き飛ばすとつばさに向かって何か黒い影が跳んできた。


 鈍く光るなにか。

 

 ザクッ、と鈍く小さな音が聞こえた。


 「ちっ!!」


 つばさがとっさに風の刃を放つと、黒い影の正体、ナイフを持っている人形の頭部と胴体が切り離されて、壁に思い切り叩きつけられた。人形のナイフには・・・血がわずかについていた。


 まさか、つばさが刺された・・・!?


 「つばさ!?」


 「つばさ!!」


 「・・・大したことはない。かすり傷さ。それよりも、どうやら私たちの再会に水を差すヤツが出てきたぞ」


 つばさはいつものようにクールに答えた。

 本当にかすり傷なのだろうか?心配になり、近づこうとしたが、霊廟の方から何かがものすごい勢いで近づいてきている。


 そして、霊廟の周りに会ったたいまつに火がともり、空洞を明るく照らす。


 そこには、青白く燃え上がる鬼火を周囲に浮かべている真っ赤な兜と鎧を身に纏った不気味な騎士がいた。手には大きな突撃槍と盾を持ち、兜の奥から感じるほどの強い殺意を放っている。


 「・・・まさかここまでたどり着けるとはな。正直お前たちのことを甘く見ていたよ。だが、ここから先には一歩も通さない」


 「ケッ、お前もアメノとかいうバカ勇者の仲間みたいだな」:


 「アメノ・・・?ああ、邪眼王が拾ってきたクズ勇者・・・ドラウグルのことか。あんな雑魚と一緒にされるというのは心外だな」


 赤い騎士は、ギラリと光る槍の先端を僕たちに向けて突き出した。


 「私の名は【レイスナイト】の【ジール】!!闇の魔神オプスキュリテ様の臣下であり、直近の騎士である!!オプスキュリテ様の命令で、お前たちをここで始末する!!」


 「そういうことか、テメェがあのブサイクな人形たちを差し向けてきやがったのか」


 「ああ、私の可愛い人形たちのおもてなしはいかがだったかな?楽しんでいただけただろうか。お前たちが大人しく人形たちにやられてしまえば、苦しまずにさっさと死ねたのだが、どうやら苦しんで死ぬことがお望みのようだ。我が霊槍と地獄の炎の餌食となるがいい!!」


 「どうやらやっこさん、本気を出すみたいだな」


 「そりゃ上等だよ。相手がだれであれ、邪魔をする奴は一人残らずブッ飛ばすまでさ」


 僕はオレンジ色の宝箱を取り出すと、バックルにぐっと力強く装着する。

 相手は霊属性と炎属性、その弱点を突いたうえで素早く攻撃を繰り出すことが出来る姿に変身すればいい。

 



 「変身!!」




 『闘衣召喚!テウメッサ!!』




 オレンジ色の光を放ちながら全身が足元から盛り上がってきた土で覆われていき、狐の魔物【テウメッサ】の力を持つ踊り子【テウメッサ・ナイト】の姿に変わった。


 『大地の槍兵!!テウメッサ・ナイト!!ドレスアップ!!』


 地面を蹴り飛ばして、騎士目掛けてまっすぐ槍を突き出した。オレンジ色の光を放つ槍をとっさにジールが盾で防ぐ。


 ガキィィィィィィィン!!


 火花が飛び散り、空洞内に轟音が響き渡る。


 「ちっ・・・!!何て威力だ!!」


 「お前と遊んでいるヒマはないんだよ!!」


 大地の力強いパワー、テウメッサの持つ残像を残すほどの物凄い速さで走る脚力、敏捷性を駆使して、次々と槍を突き出して攻撃していく。ジールも炎を纏った槍で防ぐが、僕の槍の攻撃を防ぐと、一瞬だけ身体の動きが止まった。


 しびれているのだ。


 強烈なパワーで繰り出した一撃一撃が重く、槍で防ぐたびに全身の力で盾に力を込めないと盾があっという間に真っ二つにされて、そのまま甲冑ごと刺し貫かれるため、ジールは必死で防御に徹している。


 「ちっ!!人形たちよ、一斉にかかれぇっ!!」


 いつの間にか僕の頭の上には無数の人形たちが張り付いていた。

 気配を消していた人形たちがまるで闇の中から飛び出してくる蝙蝠のように襲い掛かってくる。


 「竜刀一閃、蝶の型!!」


 僕の頭上にどこからか無数の光り輝くちょうちょが現れて、攻撃をしようとしていた人形たちに次々とぶつかっていき、人形たちは悲鳴を上げて藍色の炎に包まれていく。後ろを見ると、そこには桜が刀を構えていた。


 「桜!」


 「そんな大層なかっこをして出てきて、一騎打ちでもするかと思えば。随分とセコイ真似をするねえ」


 「ちっ!!お前たちも人形の餌食になるがいい!!」


 「斗真、お前はそいつを倒すことに集中するんだ!こっちは俺とレベッカさんに任せておけ!」


 襲い掛かる人形の不意打ちにも動じることなく、桜とレベッカが不敵な笑みを浮かべていた。


 「任せた!!」


 「ふん、それならこれはどうだ!!」


 ジールが槍を天井に向かって突き出すと、彼女の背後から無数の人形たちが手に武器を持って現れた。ぞろぞろと闇の中から出てくる不気味な大軍の姿は、まるであの世から這い上がってきた亡者たちのようだ。


 「あくまでも大勢でアタシたちをなぶり殺しにしたいらしいな」


 「これが私のやり方よ。勝つためなら手段は選ばないわ!!」


 「寅若さん、高橋さんのことを頼む!!」


 「私に構わなくても大丈夫だ、幕ノ内。私たちも戦うぞ!!」


 つばさが指を鳴らすと、どこからともなく突風が噴き出し、人形たちが飲み込まれて切り刻まれていく。さらにつばさが地面を駆けだすと、吹き抜ける一陣の風と共に突進し、通り過ぎた後に立っていた人形たちが切り刻まれて、あっという間にバラバラになって崩れ落ちる。


 「・・・斗真!」


 「つばさ?」




 「・・・強くなったな。()()()()()()()()()()()()()()()()()




 え・・・?


 今、何て言ったんだろうか。


 つばさはいつものようにクールに微笑むと、背中から緑色の光を放つ風を翼のように広げて身構えた。

 でも、彼女は僕に今、何を伝えたかったんだろう?


 【三人称視点】


 「・・・これは?」


 光も人形たちに向かって行こうとした時、自分の足元を見て、目を見開いた。

 

 さっきまでつばさが座っていたはずの場所には、大量の血だまりがいつの間にか出来ていた。


 明らかにの血液の量は尋常ではない。これだけの出血をしているのなら、重傷を負っているはずだ。


 そして、そこから血痕が一つ、また一つと続いていき、やがて辿り付いた先には・・・。




 「・・・つばさ!?」




 つばさの足元には、ぽたり、ぽたりと血液が落ちていた。

 そして見えてしまった。


 つばさの身体から緑色の光の粒子が、わずかに噴き出している光景を。


 それはつばさの【崩壊】の始まりを意味していた。


つばさの運命は・・・?

次回、闇の魔神オプスキュリテがついに動き出します!

この後、次々と仲間たちが合流を果たします!


次回もどうぞよろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 続きがめっちゃ気になる! [一言] え? つばさここで死ぬの? まさか光より先に危なくなるとは... できれば3人とも生存ルートがよかったけど...ここからワンチャン復活あるか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ