表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
267/300

第十九話「復活②~ヴィナグラート魔城攻略戦⑬~」

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!

新作が書きあがりましたので、投稿いたします!

どうぞよろしくお願いいたします!

 【三人称視点】


 「・・・えー、この度は、ボクの不注意で捕まってしまい、皆様にご迷惑をおかけしてしまい、本当に申し訳ございませんでした・・・」


 水の通路。

 ヴィルヘルミーナは五体投地・・・ではなく、頭には無数のタンコブをこさえて、満身創痍のボロボロの姿になって地面にぶっ倒れながら、謝罪の言葉を述べた。それを、手に棘付きの金棒を持ったまま、ビビアナが冷たいまなざしで見下ろしている。その目つきはまさに虫けらでも見るかのように冷たかった。


 「・・・・・・遺言はそれだけでいいか?」


 「ビビちゃん、落ち着いてくださいな~。とりあえず、あっさりと敵に捕まったミスについては散々ボッコボコにしたんですし、それでとりあえずはチャラにして差し上げてもいいのではないでしょうか~?」


 「・・・・・・アレクシア、甘い。コイツはそこのダムから紐なしバンジーを100回やるぐらいのお仕置きをしなければ気が済まない。散々心配させおってからに」


 「え、ボクのことを心配してくれたの!?ふふん、なんだかんだ言ってビビちゃんもボクのことを愛してくれていたんだね!!」


 「・・・・・・今すぐ死ぬか、色ボケ野郎」


 「すみません、ごめんなさい、マジで調子に乗りました。反省しますんで、それだけは勘弁してつかあさい!!」


 ビビアナの目つきが絶対零度のそれに代わり、超重量級のハンマーをゆっくりと振り上げて、今にもヴィルヘルミーナの脳天に振り下ろしそうになるのを、アレクシアが止めた。このままでは照れ隠しではなく、本当にやられてしまいそうな雰囲気だったので、ヴィルヘルミーナはとっさに土下座をしまくった。


 「・・・脱獄してきて、私たちの前に笑顔で会いたかったよと開口一番で言われたときには、本気で殺そうかと思った」


 「まあまあ、確かにこの場合は頭を下げて誠心誠意謝罪をするのがセオリーですけど、身体中からバラをまき散らしてビビちゃんに抱き着いてくる辺りは、本物のミーナちゃんということを証明しているようなものではありませんか。頭のネジが外れているというか、全く懲りていないところとか、そもそもミーナちゃんに人並みの常識を求めること自体が間違っていますわ~」


 「・・・ルシアちゃん、もしかして、かなり激おこだったりするのかい?」


 「ええ、怒りを通り越して呆れているだけですわ~」


 朗らかな笑顔で今日も彼女は元気に強烈な毒を吐きまくる。

 ヴィルヘルミーナは起き上がり、髪の毛を整えながら話し出す。


 「・・・さっき衛兵たちが話しをしているのを聞いたんだけど、このヴィナグラート魔城では危険度の高い異常事態やトラブルが起こると、厳重な警備システムが作動して、城内の扉がロックされていくらしいんだ。その装置はオリヴィアの鍵開けの技術でも開けられない代物でね、衛兵たちはこのカードキーを使って城内を見回りしているらしい」


 そう言って、ヴィルヘルミーナはカードキーを取り出した。


 「・・・ただし、もし鐘楼の鐘が破壊されたら、取り返しのつかないことになる。この魔城に仕掛けられた封印の鍵を解いてしまうからね」


 「鐘楼の鐘?それがどうかしましたの?」


 ビビアナは鐘楼にも自爆装置を仕掛けていないか、必死で頭を回転させて思い出そうとするが、全く思い出せなかった。ダム以外にも爆弾を仕掛けたような気がするのだが、仕掛けた本人が仕掛けた場所を全く覚えていないのだからこれほど無責任な話もない。


 「まさか、そんなところにも自爆装置を仕掛けたなんて、やってませんわよね?」


 「・・・・・・あの時は、依頼主からのセクハラでかなり頭に来ていたから、やるなら徹底的にやってやるとか思っていたから、もしかしたら仕掛けたかもしれない。どれだけ自爆装置を仕掛けたのか、思い出せない」


 「・・・貴方は一体何を考えて、生きているんですか?」


 「・・・・・・そう言う難しいことは考えないで、のんべんだらりと生きてきた」


 胸を張って自慢するような生きざまではない。


 「それに、このヴィナグラート魔城はここらの土地一帯の悪霊や怨霊と呼ばれている存在をこの地に封印するためのいわば”くさび”の役割を果たしているんだよ。もしここがなくなったら、この土地に封印している悪霊の封印が解かれて、一斉に外に解き放たれるようになっているんだ」


 「・・・・・・はあっ!?」


 「え、ちょっと、おい、それマジなのかよ!?」


 ヴィルヘルミーナの言葉を聞いて、ビビアナとアレクシアの目が見開き、愕然とする。


 「間違いないよ。ボクは元々この辺りの出身だからさ、ヴィナグラート魔城がただのお墓ではなくて、この土地の地下に広がる巨大な霊廟に封印されている霊たちを静かに眠らせるために作られたという話は小さい頃から聞いていたんだ。城そのものが封印の鍵そのものなんだよ。もしここが破壊されたら、事態はこのパルフェ・タムール全体の危機を迎えることになるかもしれない」


 「それじゃ、ここが吹き飛んだら、かなりヤバいことになるんじゃありませんか!?」


 そんな重要な場所に爆弾を仕掛けていたビビアナも、表情から血の気がさあっと引いた。もし誤爆して城が吹き飛んだら、パルフェ・タムールが丸ごと一日中闇に包まれて、死者が跳梁跋扈する世界になっていたのかもしれないのだ。


 「もしそんなことになったら、この土地に存在する全ての魂をだれかれ構わずにあの世に引き込むこの世とあの世を繋ぐ門が開いて、あの世から舞い戻ってきたアンデッドやゴーストでここら一帯が溢れかえる最悪の事態を迎えるだろうねぇ。王家の墓にはちゃんと外部に漏れないようにピラミッドが置かれていたわけだけど、今回の場合はピラミッドの役割を果たすものがなくなっちゃうわけだし」


 「・・・・・・つまりこの城は、王家の墓と同じ、この世とあの世が繋がっている門そのものだったってこと!?」


 「そう、それの失敗作。魔城というくさびで封印しているんだけど、あの世の力がわずかに流れ込んだ結果、アンデッドやゴーストが寄ってくるわ、一日中夜の闇に包まれているのも、それが原因」


 つまり、ここはこの世で一番あの世に近いヤベェ場所だというのだ。

 そんな場所を吹き飛ばして、この世とあの世を繋ぐ門を解放させた瞬間、ここら一帯はまさに死者の世界と化してしまう。自分たちがやらかそうとしていた恐ろしい所業に、ビビアナたちは今更ながら顔が真っ青になる。


 「でも、邪眼王はどうやらこの魔城にあるあの世から流れ込んでくる力を自身の身体に取り込んで、さらに身体を強化させているらしい。衛兵たちがうわさ話をしているのを聞いたんだけどね、どうやら彼女は最終的にはこの魔城を破壊して、ここを中心に世界を死者の世界に変えようとしている。自分がこの世とあの世を支配する、新たなる王となってね!」


 「・・・あのクソガキ、マジで頭がイカレてやがるのか!?そんなことをやったら、自分たちだって無事じゃ済まねえんだぞ!?」


 「・・・・・・勇者がこの世界を救済という形で消滅させようとしているなら、最初からそのつもりで邪眼王を口車に乗せて利用している可能性もある。もしくは、邪眼王が隙あらば勇者を亡き者にして、この世界を丸ごと自分のものにしようと企んでいるのだとしたら、手を貸している可能性もある」


 「四大勢力を裏切って、魔界中の魔族を敵に回すようなことをやらかすほどの彼女なら、例え多少のリスクが伴おうとも、ヤバい賭けに乗るかもしれないねえ。彼女がこのまま、勇者の言うことを素直に聞くはずもないんだからな。つまり彼女たちはイチかバチかの賭けをやらかそうとしている。勇者からすれば、この世界が滅びようがどうなろうが構わないんだからね。自分の命でさえも彼女は執着していない」


 計画を達成する、つまりこのセブンズヘブンが消滅することこそが救済と思い込んでいる松本ならば、世界が死者の世界になって大変なことになろうと、むしろ望み通りの結末なのだ。邪眼王が自分を裏切って世界を支配しようとしたとしても、邪眼王がどれだけ強くなろうと世界全体の破滅を食い止めることなど不可能と思っているのか、それさえも見越して彼女の行動を楽しんでいるのか、いずれにせよ松本は完全に狂っている。


 「・・・あのガキの覚悟と狂気を甘く見ていたな。今までに戦ってきた勇者たちとは比べ物にならないぐらいヤバいじゃねえか」


 「・・・・・・でも、まだそういうことをしないってことは、まだ完全に目的を果たしているというわけではない?」


 「ああ、でもそれも時間の問題さ。邪眼王がこの地に宿る闇の力を吸収して、さらに強力な力を身に着けたとしたら、いずれにせよボクたちにとってもこの世界にとっても脅威となる。それだけは絶対に阻止しないといけない!」


 やるべきことはただ一つ、邪眼王を見つけ出して、彼女を止めることだ。

 それ以外に、パルフェ・タムールの平和を守る方法は他にはない。


 「衛兵たちの話によると、彼女は地下の最深部にある【霊廟】の【祭壇の間】にいるらしい。そこで、死者の力を取り込んで、身体を強化させているようだ。そんな彼女を【闇の魔神オプスキュリテ】と邪眼一族が守っている。彼らを倒して、祭壇の間に向かい、邪眼王を止めるんだ!」


 「それでは、残りの連中をさっさと探し出して、合流しますわよ!」


 「・・・・・・合点承知の助」


 ビビアナがパワードスーツを召喚すると、アレクシアとヴィルヘルミーナが乗り込んで一気に走り出した。前から襲い掛かってくるゾンビやスケルトンを巨大な腕で粉砕し、巨体で押し潰し、障害物を力任せに吹き飛ばしながら、ビビアナたちの突進は止まらない。


 「これからどうするんだい!?」


 「・・・・・・元来た道を引き返す!きっと他の連中も戻っているはず!」


 「そこから正しい通路に入って、魔城に潜入するということですわね!」


 破滅を回避するべく、ビビアナたちは全力で走り出した。

ヴィナグラート魔城が第4章で出てきた【王家の墓】と同じく、この世とあの世を結ぶ門であることが判明。知らなかったとはいえ、時限爆弾を仕掛けて危うく大陸を丸ごと死者の世界にしかけたことに、ビビアナも顔面蒼白に。それにも動じないほど図太くはなかった。


そして次回、ついにあの男が復活いたします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ブロンズ・ルド「死者の世界とかそんなやばいことになるわけ!?」 シルバーン「そうなったら大変じゃん!」 首領・ゴールド「それは何としても避けなればならん! でないとどうなるか分からんし!!」…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ