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第十八話「復活①~ヴィナグラート魔城攻略戦⑫~」

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!

新作がやっと書きあがりましたので、投稿いたします!

反逆譚、開始します!!


 【三人称視点】


 無数の歯車がかみ合い、針の時を刻む音が徐々に大きく聞こえてくる。ニナたちが顔を上げると、そこには壁一面を覆い尽くすほどの巨大な時計の裏が見えた。どうやらここは時計を裏から調整するための機械室と繋がっているフロアらしい。


 「全くどこまで追いかけてくるつもりかしら?しつこい連中ね!」


 「お前がさっさと降参してくれれば、こっちも追いかける必要などないのだがな!」


 「はっ、お前たちに誰が降参などするものか!!私はシロウ様からお前たちの足止めを任されているのだ。お前たちを魔城の内部に一歩たりとも近づけはさせない!!」


 その言葉を聞いて、ニナが凍り付いた。


 「・・・ちょっと待ちなさいよ。足止めですって?」


 「・・・おい、まさかそれじゃ、この通路は外れだったということか!?」


 アイリスが思わず叫んだ。これだけ頑張ってきた苦労が一瞬にして水の泡と化したのだから無理はない。


 「フフフッ、哀れな連中ね。すでに【ドラウグル】と【マカラ】は倒されたが、そいつらも外れの道を選んでいるとも知らずに、今頃迷っているはずよ。例え本当の通路を引き当てても、そこには【ワイトナイト】の【ジール】がいるわ。お前たちが城の中にたどり着ける可能性などゼロに等しい!!」


 「・・・そうなると、サクラとツバサが正解の通路の【火の通路】にいるということか!」


 「なるほどね、まあ、残りの連中だったら間違った通路だろうと、無理してでも火の通路に向かう方法を探していることでしょうね」


 アイリスとニナは、桜が正解のルートを向かっていると確信し手、とりあえずはひと段落着いた。桜なら他の連中とは違って大暴走する心配はほとんどないからだ。彼の真面目な常識人ぶりはアイリスたちからも太鼓判を押されている。


 というよりも。


 「レベッカやビビアナたちのバカたちに、先に正解のルートを選ばれるなんて想像するのも嫌だ!」

 「せめてあの連中だけでも不幸な目に遭っていればいい・・・!!」


 という、自分よりもレベッカたちがマシな目に遭っていることだけは嫌だという理由だった。悲しいことに、他の中もみんな同じことを考えているのが現実だった。仲間意識があるのかないのか分からない連中である。バカとも言う。


 「・・・こ、コイツら、人間として最低ね・・・」


 ファフナーもさすがに口元を引きつらせて、ドン引きしていた。士郎からの報告で、レベッカたちに毎日のように振り回されて、週に平均8回という驚異的な回数で臨死体験を味わっている梶斗真の悲惨ぶりを確認していたファフナーは、このまま彼がレベッカたちの魔の手から解放されていた方が幸せなのではないかと思ってしまった。


 「・・・まあ、いいわ。お前たちはここで仕留める!!」


 ファフナーが杖を回して地面を突き刺すと、魔法陣が浮かび上がり、鼻が曲がりそうな悪臭を放ちながら巨大な体躯を持つ怪物が現れた。


 ドラゴンゾンビ。


 アイリスたちの背の丈の数倍以上はある体躯、むき出しになった骨の身体をきしませながら、胸部から飛び出したグロテスクな心臓が脈動を繰り返し、眼下に邪悪な光を宿してアイリスたちを睨みつける、かつては最強種とも呼ばれているドラゴンの力を持ちながら、アンデッドと化したことであらゆるものを腐食させる吐息を身に着けた異形は、全身から鼻を突くような異臭を放って、カタカタと不敵な笑みを浮かべた。


 「今度はドラゴンゾンビか。芸がないな」


 「とは言ってもかなりの体力と魔力を持っているわね。私たちの体力と魔力を削っていく作戦かしら」


 ファフナーの狙いは、無尽蔵ともいえる魔力を駆使して大量のアンデッドを召喚し、ニナたちの体力や魔力を限界まで減らして、魔力が切れたところを一斉にアンデッドの集団を差し向けて倒すというものだった。時計台という限られたスペースを、自身の魔力で空間そのものを拡大させて、相手に焦りを抱かせることで魔力の消費を促すという狙いもあった。


 (魔王に変身できるとはいえ、いつまでも魔王の力を保ち続けるなど不可能よ。私はアンデッドをいくらでも生み出すことが出来る。圧倒的な量で押し続けていけば、必ず魔力は尽きるわ。そうなったら、一気に総攻撃を仕掛けて打ち倒す!)


 マカラやドラウグルは油断しきっていたから、あっさりと敗北したのだ。あの二人のような愚かな真似はしない。ファフナーは気を引き締めて、ドラゴンゾンビに命令を下す。


 「その二人を倒しなさい!」


 ドラゴンゾンビが大きな口を開いて、緑色の不気味なきらめきを放つ炎が現れた。炎の熱気にあてられると、壁や床板が腐食していき、ドロドロに溶けていく。


 「このドラゴンゾンビの炎はあらゆるものを溶かし尽くす、猛毒の炎よ!魔王であろうと、お前たちに果たして防ぎきれるかしら?!」


 そして、大きく首を上げて、一気に噴き出そうとした―その時だった。




 「それなら、炎を吐き出す前に倒してしまえばええだけやろ?」




 ズドンッ!!!


 ドラゴンゾンビの頭部に一本の槍が容易く貫通すると、そのまま心臓を刺し貫き、ドラゴンゾンビは前のめりになって床板に串刺しにされた。苦しそうにもがくが、さらに頭部に飛んできた影が勢いよくドラゴンゾンビの頭部を踏みつけると、強烈な蹴りによって頭部が粉砕し、ドラゴンゾンビは首を失った姿のまま、永遠に沈黙した。


 「・・・この声は!」


 「いやー、ここまで迎えに来てもらって、ホンマにスマンかったな。まあ、このデカブツを仕留めたっちゅうことで、捕まってしもたことはチャラっちゅうことにしといてーな」


 アイリスとニナの表情が思わずほころんだ。

 そこにいたのは【彩虹の戦乙女】の特攻隊長である【オリヴィア・オズボーン】だった。

 長槍を抜き、狐を思わせる糸のように細い目で微笑みながら、アイリスたちに駆け寄っていく。


 「オリヴィア!アンタ、無事だったのね!?」


 「当たり前やん、ウチを誰やと思っとるねん。彩虹の戦乙女きっての問題児様やで?」


 「脱獄したなら、さっさと合流して来い、このバカ!」


 「これでも急いで来たんやで!?これでも結構苦労したんやから、労ってくれてもええやろ!?」


 まるで遊びの約束を取り付けて、合流したような軽い空気が流れる。彼女たちにとっては戦場こそが仕事場であり、ホームグラウンドなのだ。呆然としているファフナーなど無視である。


 「ミーナはどうしたのよ?」


 「アイツやったら、ビビちゃんの匂いを感じるとか言うて、明後日の方向に向かって猛ダッシュしていきよったわ。アイツのビビアナ探知レーダーはものすごいからなぁ。きっと今頃合流して、ビビアナにシバかれとるんやないか?」


 「・・・まあ、おそらくは間違いないだろうな」


 「お前は、牢屋に捕らえられていたはずだ!?脱獄を謀るとは、どうやらここで始末されたいようね!」


 ファフナーが杖を床に着くと、ガイコツの兵士が地面から次々と現れた。かつては兵士だった彼らは、手に持っている剣と盾を構えると、一斉にオリヴィアに向かって猛然と突進していく。


 「・・・始末?誰が、誰を始末するんや?」


 オリヴィアが細目を開き、鋭い三白眼で睨みつける。

 そして、太ももに刻まれた狐の紋章が藍色の光を放ち、彼女の姿が一瞬で消えた。


 「え・・・!?」


 「よく覚えとき。今から狩られるのはウチらやない。お前らや。ウチらに喧嘩を売ったことがどんな結末になるのか、たっぷりと教えてやるから、覚悟しぃや」


 オリヴィアの声がしたかと思った瞬間、藍色の風が吹き抜けていき、ガイコツ兵士たちの身体が粉々に吹き飛んだ。頭部を切り離されて、身体中の至る所が吹き飛び、無残な骸へと還っていく。


 わずか一瞬。


 瞬きする間もなく、兵士たちが全員目の前で粉々に吹き飛ばされていった。

 ファフナーは今、自分の目の前で何が起きているのか理解するのに時間がかかった。

 しかし、すぐさま本能に電流のような危険を察知する信号を感じ、考えるよりも先に杖を構える。


 杖に、槍の鋭い一撃が繰り出されて火花が飛び散った。

 そして、目の前には冷たい殺意と憎悪を宿した三白眼で睨みつけている狩人の姿があった。


 「地獄に落ちるんはお前や、オバハン。ウチを本気で怒らせて生きて帰れたヤツは一人もおらんのや」


 「・・・この虫けら風情がぁぁぁっ!!」


 槍の攻撃を弾いて身構えると、オリヴィア持っている槍を構えて不敵な笑みを浮かべる。

 彼女は強欲であるがゆえに、一度狙ったものは手に入れるまで絶対に諦めることはない。

 そしてそれは敵の命もまた例外ではないのだ。


 「ウチは強欲やさかいなぁ。お前さんの命も、欲しいんや!!」


 強欲な狐の咆哮で、第二ラウンドの幕が上がった。


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 一方、その頃・・・。


 【火の通路】と呼ばれる通路で、燭台で揺らめく炎の灯りが一体の影を捕らえた。

 壁に手を伝いながら、もう片方の手で頭を抑えてどこか気持ち悪そうにしているが、その歩みはしっかりとしている。


 腰まで伸びていた髪の毛をバッサリと首元まで切り落とし、動きやすいジャケットとズボンを着込んで、魔物の皮を材料に作ったブーツを履いて、長い長い通路を歩いている。


 「・・・まさか、アイリスの歌で身体の主導権を取り戻せるとは思わなかったよ・・・」


 自分の不運と組み合わさった結果、予想外のプラスの効果を生み出したのかと、彼は苦笑する。

 漆黒のミヂィアムウルフカット、黒曜石のような澄んだ瞳、鏡を頼りに出来るだけ身支度を綺麗に整えた姿で、彼は前に進んでいく。


 「・・・こっちだ!」


 梶斗真。


 虚無の魔王オクタヴィアの意思を押しのけて、完全に復活した彼の姿があった。

 皮肉なことに、アイリスのあまりにもオンチすぎる歌で、オクタヴィアでさえも精神が汚染されて、自我を表に出すことを困難な状況に陥ってしまった。その間、斗真の自我が表に出てきて、久しぶりに自分の身体を自分の意志で動かすことが出来るようになったのだ。

 

 

斗真、アイリスの歌でまさかの奇跡の復活!

今までやられてきた分、斗真たちの反撃が始まります!!


次回もどうぞよろしくお願いいたします!!

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