第十四話「水の通路の戦い!②~ヴィナグラート魔城攻略戦⑧~」
いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!
新作が完成しましたので、投稿いたします!
どうぞよろしくお願いいたします!
【アレクシア視点】
ビビちゃんが管理小屋にたどり着くまで大体1分弱。
湖の水を全て抜くまでにかかる時間は、30分ほどかかるみたいね。
しかし、そんな長い時間をかけるわけにもいかない。だから、ビビちゃんには水を生み出し続ける魔法石の活動を停止してもらうことにした。
水の供給を停止させてしまえば、あとは私の”暴食”の力で何とか出来る。
それでも、システムを完全に停止させるには3分かかるらしい。つまり、3分間はあのマカラだかバカだか名乗っていた輩を徹底的に痛め付けておく必要がありますわね。そして、ダムの水を全て抜いて、アイツが得意としているフィールドを、こっちの得意な環境に作り替える。
それが済めば、あとは考えることなどありません。情報を聞き出して、全部聞き出したら私たちに喧嘩を売ったことを泣くほど後悔させて差し上げますわ。今の私たちに喧嘩を売るなんて、命を捨てるようなものですからね・・・!
「こ、こ、ここをお前たちの墓場にしてやるぅっ!!」
水面が盛り上がり、水柱を上げて現れたのは巨大なハサミと全身を黄金色の甲冑で覆われている、エビのような姿をした化け物だった。ああ、これがあのバカの真の姿ということですか。頭の部分には、マカラの上半身だけが飛び出している状態になっていて、異様な姿をしていた。肉体か腐敗していて、鼻につく悪臭を放ちながら、グズグズに溶けている肉体からは骨がいくつか飛び出していた。
「こ、こ、これが俺様の真の力ァ!!【フォルフェックス】の力だぁっ!!このはさみで、お前たちを挟んで、バラバラに切り刻んでやるぅっ!!」
「はいはい、おしゃべりはもうその辺りでよろしいですから・・・さっさとくたばりなっ!!」
ああもう、温厚な私も我慢の限界ですわ。
こんな活け作りにも、天ぷらにもならない腐りきった海老野郎はさっさと片付けるに限るってね!
マカラが水中に潜り、ものすごい速さで突進を仕掛けてくる。
巨体を活かした強烈な体当たりを放ち、桟橋や近くにあったものをなぎ倒しながら、マカラが下卑た笑い声を上げながら私を追いかけてきた。
鋼鉄でも寸断する切れ味抜群のハサミを振りかざして、私が立っている足場を切り刻みながら、勢いよく飛び出して攻撃を仕掛けてくる。一度水中に飲み込まれたら最後、コイツに食われることが確定だ。
「ど、ど、どうだぁぁぁっ!!逃げる事しか出来んだろぉぉぉっ!!お、お、女は大人しく俺に喰われてしまえばいいのだっ!!」
「いつまでも調子に乗るんじゃねえよ!!」
あら嫌だ、つい頭に来て乱暴な言葉遣いをしてしまいましたわ。
私は懐からプレートを取り出すと、お腹に押し当てた。プレートから銀色の光が腰に巻き付いてそのまま帯になると、私はオレンジ色に金色の装飾が施されている宝箱を取り出した。
暴食の魔王カレンドーラ様と契約を結んでから、使うことが出来るようになった暴食の魔王の力、今こそ思う存分見せて差し上げますわ。
「変身!!」
宝箱を押し込み、鍵を回すとふたが開き、オレンジ色の光となって飛び出した魔力が私の身体を包み込んでいく。暖かくて、血潮が湧きたつような強い力がみなぎってくるのを私は感じた。
七つの大罪が一つ【暴食】の力がどれほどのものか、とくと見せて差し上げますわ!
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
【三人称視点】
アレクシアの姿が夕焼けのような鮮やかなオレンジ色の光に包まれると、見る見るその姿を変貌させていく。神々しい魔力に圧倒されて、水中を泳いでいたマカラも泳ぐのを止めて、思わず凝視していた。
エルフとオークの混血児である彼女の特徴である毛で覆われている右耳から毛が消えて、ピンと長く伸ばした耳に変わり、代わりに頭から猪を模した耳を生やし、髪の毛が腰まで伸びていく。
豊満な胸をガードするための胸当てには【Gluttony】と暴食を意味する文字が刻まれて、七色の宝石が埋め込まれており、瞳からオレンジ色の光となった魔力があふれ出し、彼女の足元から草一本生えるはずのない汚染された大地があっという間にみずみずしい新鮮な大地に生まれ変わり、草木が芽生えだした。
「・・・貴方の全てを・・・食い尽くして差し上げますわ!」
舌なめずりをして、杖を突き出すと先端から弾丸のように種子がいくつも飛び出す。
そして、種子が破裂すると、一瞬にして巨大なホウセンカのような花に変わり、勢いよく無数の種子を放った。巨大な種子が水面やマカラの身体に着弾した瞬間・・・。
ドカンドカンドカーーーーーーンッ!!!
「ギャアアアアアアッ!?」
まるで爆弾を投げ込んだかのような大爆発を起こし、マカラの全身が真っ黒こげに焼かれて、ブスブスと肉が焦げる悪臭を放ちだした。予想すらしていなかった強烈な攻撃にマカラは白目を剥き、一瞬、意識を失いかけた。
(な、何だ、このとんでもねぇ破壊力は!?)
「次は串刺しですわ!!」
アレクシアが杖を上空に向けると、先端から種子が飛び出し、空中で巨大な竹の槍へと成長を遂げた。鋭い切れ味を誇る竹の槍がまるで雨のように降り注ぎ、マカラの身体を容赦なく串刺しにしていき、背中がまるでハリネズミのような悲惨な姿へと変わっていく。肉をえぐり、骨を砕くほどの強烈な勢いで繰り出される槍の猛ラッシュに、マカラは激痛のあまりに反撃さえできない。
「ぐえ・・・えええ・・・!!」
「さてと、まだまだ終わりませんわよ?今度はカボチャさんの出番ですわ!!」
さらに杖から種子を撃ち出すと、今度は巨大なカボチャがまるで隕石のように降り注ぎ、マカラや人造湖の至る所に降り注いでいく。一見ハロウィンで見るような顔のついたおちゃめな感じだが、超重量級のカボチャがマカラの巨体に落下すると、肉を潰し、骨を砕くほどの破壊力を発揮する。一つ一つが戦艦の砲弾に匹敵するほどの強烈な破壊力を持っている。
「ぐえええええええええ!?」
「貴方のような雑魚に構っているヒマなどないのですが、貴方はあまりにも私たちを怒らせたんですわ。私たちに喧嘩を売ると言うことは、私たちを倒す以外に生き残る方法などないということを、あらかじめ知っておくべきでしたわねぇ。まあ、無論私たちも同じことが言えるのですがねぇ」
売られた喧嘩は言い値で買え。
勝った喧嘩は返品不可。
一度始めた喧嘩は相手を殺すつもりで、全力でやれ。
生きるか死ぬかの世界で生きてきたアレクシアたち傭兵からすれば、自分たちに戦いを挑み、ナメた相手は徹底的に打ち負かさなければならない。下手に情けをかけることは、自分たちの死を意味するのだ。
アレクシアは傭兵としての非情な運命を受け入れているし、その中で戦うことに対する礼儀も弁えている。だからこそ、自分たちを侮って勝負を仕掛けてきた相手が小物だろうが、全力で狩るのだ。
アレクシアが杖を地面に着くと、アレクシアの足元から無数のツルが飛び出した。やがてそれは無数の鋭い棘を生やしたイバラへと変わっていき、至る所に咲いた真っ赤な美しい薔薇がツタから離れて、ビットのようにアレクシアの精神によって、彼女の身の回りで浮かび上がっている。
「な、何をするつもりだ・・・!?」
「さあ、お仕置きの時間ですわよ、このクソ野郎♪」
アレクシアが中指を立てたまま拳を握りしめて、鬼気迫る表情で笑みを浮かべた。
聖女というよりも、これではマジでレディースである。チンピラも顔負けの迫力だった。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
一方、その頃ビビアナはというと・・・。
「・・・・・・懐かしい。この辺りは作った当時とあまり変わっていない。さて、湖の水を抜きますか」
水門を操作する管理小屋にたどり着いたビビアナは、慣れた手つきで水門を操作する。4つある巨大な水門を全て開き、大量の水を一気に抜いて湖を空にするように流れるような速さで作業を行っていく。
「・・・・・・そういえば、昔、この管理小屋に何か作っておいたような気がする」
ふと、300年以上前に、自分がこのダムを建設した際に何かやったような気がして、手が止まった。
いくら思い出そうとしても、なかなか思い出せない。あの頃は、ノリに任せてかなりメチャクチャなことをやらかしてはトンズラしまくっていた、やんちゃな頃だった。魔法技師としての実力は超一流なのだが、ビビアナには悪癖があった。
それは、建物や設備を作る際に、なかなか解けない複雑な仕組みの仕掛けやドッキリのような罠をこっそりと作ってしまうところだった。出来が良ければいいほど、自分が手掛けた記念として、ドッキリトラップやイタズラを仕掛けずにはいられない、何を考えているのかさっぱり分からない宇宙人のような思考回路の彼女はそれはもうやりまくった。
そのせいで、世界屈指の魔法技術の知識と技術があっても、問題児として遠ざけられていたのだ。そりゃそうである、建物の中にシャレにならないレベルの被害を出すこともあるような罠をノリで仕掛けるようなクルクルパーの技師など、誰が仕事を頼むものだろうか。
しかも最悪なことに、仕掛けた後に彼女が仕掛けのことを綺麗さっぱり忘れているのだ。元々何にも興味を示さず、気まぐれで生きているような彼女の思考回路では、一度仕掛けた罠のことなど自分が引っかかるわけではないから覚えていても仕方がないことなのだ。本当にどうしようもない危険人物である。
「・・・・・・まあ、いいか」
その時だった。
ポチッ←(ビビアナの足が何かを踏みつけた音)
ビビアナが床下に落ちていた何かを踏んだ。
よく見ると、床下にはなぜかスイッチのようなものが埋め込まれていたのだ。さらにボタンにはドクロのマークがついている。それを見た瞬間、ビビアナは300年前にこのダムに自分が何を仕掛けたのか、思い出した。
「・・・・・・あの時、当時の依頼主があまりにも横柄だから、腹が立って作ったんだっけ。自爆スイッチ」
ビビアナ、やっぱり今回もやらかした。
嫌がらせで自爆装置をこっそりと作っておいて、忘れて自分で作動させてしまいました。
斗真を助ける前に、ヴィナグラート魔城が滅亡不可避の展開に。この宇宙人は本当に危ない。
次回も、ハチャメチャな展開と仲間たちの大暴走が目白押しな話を書いていきたいと思います!
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!




