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第十三話「水の通路の戦い!①~ヴィナグラート魔城攻略戦⑦~」

新年あけましておめでとうございます。

今年最初の作品を投稿いたします!

今年もどうぞよろしくお願いいたします!

 【三人称視点】


 「・・・何?ドラウグルが倒されただと?」


 使い魔からの報告を受けた【四将軍】の一人【ワイトナイト】の【ジール】は、興味なさそうに鼻を鳴らした。しかし、その表情は不機嫌そうに眉をひそめている。


 「・・・フン、邪眼一族が元勇者の亡骸を回収してきたときには、せいぜい番犬程度には使えるかと思ったが、想像以上に使えないゴミだったようだな。まあ、ヤツに任せていた地の通路は元々外れの道。アイツを片付けて先に進んだところで、行き止まりにたどり着くだけのことよ」


 水晶玉を取り出して、魔力を込めると妖しく光り出す。


 「・・・【マカラ】、【ファフナー】、ドラウグルがやられた。まあ、ヤツが減った程度で計画にさほど支障はないが、油断はするな。アイツらを魔城の最深部には絶対に近づけるな。私たちの手で奴らを一人残らず叩き潰す。気を引き締めて取り掛かれ。いいな?」


 『口の利き方がなっていない死霊の小娘に言われるまでもないわ。せいぜい、貴方も無様な姿を晒さない様に、気を着けなさいな』


 『お、お、俺様が必ず、奴らを皆殺しにしてやるんだな。お、お、女のくせに生意気だぞぅ』


 (ちっ、どいつもこいつも)


 「・・・ええ、気を付けますわ。それでは、朗報を心待ちにしておりますわ」


 心の中で舌打ちして、通信を切ると、ジールは水晶玉を乱暴に投げつけて壁に叩きつけた。大きな音を立てて、無数の水晶の塊に散らばった水晶玉を忌々しそうに睨みつけると、彼女の周りで無数の「目」が一斉に開いた。


 憎しみ、嘲り、怒り、殺意、負の感情に満ちている無数の視線が彼女の意志であるかのように、爛々と輝く。


 「・・・アイツらを片付けたら、今度は奴らの番だ。オプスキュリテ様には私だけがお仕えすればいいのだ。誰にも、あのお方のおそばには近づけさせない。近づこうとするヤツは、一人残らず殺してやる」


 オプスキュリテに対して、蕩け切った瞳を浮かべて、狂信ともとれる恍惚とした笑みを浮かべるジール。

 彼女の目には、主である彼しか映っておらず、自分以外の手駒など必要ないと本気で思っている。

 自分こそが魔城の最深部にたどり着く正解のルートの番人を任されたことが、他の将軍と呼ばれている連中よりも遥かに信頼されている何よりの証拠だと確信している。


 「・・・さあ来い。私が全員あの世に送ってやる!!ククク、アハハハハ!!」


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 一方、その頃。


 水の通路を突き進んでいたアレクシアとビビアナは、ようやく通路を抜けることが出来た。

 しかし、彼女たちの目に飛び込んできたものを見て、二人は唖然とした。


 「・・・・・・ここは」


 「どうやら、これは人造湖のようですわね~」


 「・・・・・・人造湖をダムのようにして魔導エンジンを起動させて、墓地全体を覆うほどの巨大な結界を作り出していた。つまり、ここはヴィナグラート魔城を保つために必要な魔力を生み出し続けている動力装置」


 ダムに埋め込まれた膨大な量の魔法石から水を生み出し、溜まった水を定期的に水路に流すことで得た動力を使い、ヴィナグラート魔城の仕掛けなどを動かしていることをビビアナが言った。


 「あらあらまあまあ、一目で見抜くなんて、さすがは魔法技師のパイオニアと呼ばれただけのことはありますわね~」


 「・・・・・・見抜いたというか、ここの設備を作ったの私だし」


 ビビアナの話によると、300年ほど前にヴィナグラートの土地一帯を領地として運営していた領主から、墓荒らしから希少価値の高い聖遺物や埋葬品を守るための結界を張るために、膨大な量の魔力を生み出し、長い間持続して魔力を供給することが出来る動力システムを開発してもらえないかと、当時は一介の魔法技師で発明家だったビビアナに依頼が舞い込んだ。


 そこで思いついたのが、山々から発掘された水を生み出す大量の魔法石を利用した人造湖を利用したダムの要領で魔力を生み出し続けることが出来るシステムだった。


 「ああ、そういえば、私たちと出会う前は、世界各地を渡り歩いて、様々な魔法動力の仕掛けや設備を作っていましたわね」


 「・・・・・・一か所にとどまると、次から次へと仕事を持ってこられるから面倒くさい。だから、設備の管理を任せられる人材に設備に関する全てのノウハウを叩き込んで、後のことは全部任せておいた」


 面倒くさがり屋の割には、自分がいなくなった後に、自分が開発した設備のシステムの修理、管理を任せられる後任を育てることには力を入れていたようだ。そのため、この人造湖を使った動力システムは300年間、一度も故障をすることなく動き続けてきたのだ。メンテナンスも徹底的にやるように指導をしていたのだ。


 「・・・・・・それで、そこにいるバカが人の自信作を、こんな趣味の悪い人造湖に改悪しやがったのか」


 「早速おいでになられたようですわね」




 「お、お前たち、よくここまでやってきたな。ゴププププ」




 ビビアナたちの前に現れたのは、ボロボロの黒いローブを身に纏い、ずぶ濡れになっている黒髪を地面につくほどに伸ばしている小柄な男性だった。まるで水の中で呼吸でもしているかのような不気味な笑い声をあげており、あまりにも異様な姿に二人も息をのんだ。


 「・・・・・・人間の肉の匂いがする。お前、人間の肉を食っているな?」


 「ゴプププ、家畜は処理して食われるために生きているのだから、別に人間かちくを食っていてもおかしくないだろう?お前たちも、この【マカラ】様の餌となる運命よ。ゴプププ」


 辺りを見回すと、人造湖には白骨がいくつも浮かんでおり、水も完全に濁り切っていた。底が見えないほどに汚れ切った湖からは鼻を突くような悪臭が放っており、かつてはヴィナグラート霊園の目玉ともいえる美しかったダムが完全に荒れ果てていた。


 その元凶が目の前にいる。


 ビビアナが舌打ちして、苛立ちをあらわにする。


 「・・・・・・人がせっかく作ったものをここまでメチャクチャにしやがって」


 「私たちを家畜呼ばわりするとは、随分とデカい口を叩いてくれますわね~。そこまで言ったからには、覚悟はよろしいかしら?」


 アレクシアがいつものように朗らかな笑みを浮かべながら、地面を軽く踏みつけた。


 すると、マカラの足元から床板を突き破って、太くて巨大なイバラのツタが飛び出し、マカラのあごを正確に吹き飛ばした。


 グシャ!!


 マカラは予想していなかった足元からの奇襲に避けきれず、強烈なアッパーカットを食らって宙に舞い上がった。


 「・・・・・・え゛」


 「ゴプッ!?」


 「ほらほら、さっきまでの威勢はどうしましたの?もう戦いは始まっているでしょう~?」


 アレクシアが杖を振るい、魔法植物を次々と生み出すと、宙に舞い上がっていたマカラの全身を強靭な植物のツルで縛り上げて、身動きの取れないマカラを勢いよく岩壁に叩きつけた!


 「ゴパァァァァァァッ!?」


 「私、食事を粗末に扱う人と、周りの迷惑も省みずバカなことをする人、そして、初対面から思い切り人のことをバカにしてくるような礼儀知らずがとにかく大嫌いなんですの」


 「ゴパパパパ・・・!!」


 ミシッ!!

 バキッ!!ゴキッ!!ボキボキッ!!


 ツルで縛り上げて、骨がミシミシときしむ音とマカラの断末魔が聞こえてくる。しかし、アレクシアはさらに力を強めると、骨を折ることも、命を奪うことも厭わないと思えるような苛烈に攻め続ける。


 「そういうヤツを見ると、徹底的にお仕置きしたくなりますの」


 (・・・・・・ヤバい、アレクシアの逆鱗に触れちまった)


 岩壁に何度も叩きつけられて、全身がボロボロになるまで痛めつけられたマカラは白目を剥いて、口から折れた歯と血の塊を吐き出した。


 「・・・こっちはトーマちゃんをやられたり、アホ二人が連れ去られたりしていて、ただでさえ機嫌が悪いというのに、さらに怒らせてくるなんて、貴方はよっぽど私たちに殺されたいのですねぇ?」


 アレクシアは普段と変わらずに穏やかな笑顔を浮かべていたが、実は内心ではメチャクチャ怒っていた。仲間がバカなことをやらかしたら、迷わずに痛めつけて八つ当たりを実行することさえもやりかねないレベルで、人生でここまで怒り狂ったことはないと思えるほどに怒っていた。


 そんな彼女に喧嘩を売った以上、マカラがこのような悲惨な目に遭うのはもはや必然だった。


 「ひっ、ひぃぃぃぃぃぃっ!?」


 「それならお望み通り・・・ブッ殺してやるよ、この×××野郎!!!」


 グシャッ!!!


 「ゴパッ・・・!!」


 「地獄に満塁サヨナラホームラン・・・ってね」


 ツルが反動をつけてマカラを投げ放つと、アレクシアが飛んできたマカラの顔面目掛けて、杖で強烈なフルスイングをブチかました。杖の先端がマカラの顔面にめり込み、嫌な音を立てながらマカラの身体が回転しながら吹き飛び、湖の上を何度もバウンドして、最後にはダムの岩壁に全身を叩きつけられた。


 マカラは抵抗する間もなく、そのままゴポゴポと澱んだ水の底へと沈んでいく。


 「さてと、ビビアナ。湖の水を全部抜くことって出来るか?」


 「・・・・・・出来る。あそこにある小屋で湖の水を全部放水することが出来る」


 「それじゃ、頼む。このままじゃ、まだ終わらない気がするんだわ」


 何が終わらないのか気になったが、獣のような目をギラギラと輝かせているアレクシアに質問する勇気はビビアナにはなかった。下手に話しかけたら、だれかれ構わず八つ当たりをしてくるような危険人物には逆らわないか、関わり合いにならないようにするのが吉だ。


 ビビアナが慌てて湖の制御をおこなう管理小屋に向かって走り出した。


 そして、アレクシアのこの時の判断が正しかったと言うことに気づいたのは、すぐあとだった。


 「・・・どうやらまだ諦めていないみたいだな」


 アレクシアが湖を見て、忌々しそうに舌打ちする。


 彼女の視線の先には、全長10メートルは優に超えている巨大な影が揺らめいていたのだ。

 

アレクシア、激おこぷんぷん丸状態。

そんな彼女に喧嘩を売ったばかりに八つ当たり&報復を食らいまくるマカラが悲惨な目に・・・。

次回、マカラとアレクシアが激しくぶつかり合います!

バトルシーンを楽しんでいただけるように、頑張ります!

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