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第十二話「地の通路の戦い!③~ヴィナグラート魔城攻略戦⑥~」

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!

新作が書きあがりましたので、投稿いたします!

どうぞよろしくお願いいたします!

 【三人称視点】


 ~風の通路~<アイリス、ニナ>


 頭の中に直接響いてくる、危険を告げる警報のような魔力の波動を感じ取ったアイリスとニナは驚きの表情を浮かべて、その場に立ち止まった。アイリスの左目の眼球と、グリゼルダの左首筋に刻まれたそれぞれの紋章が熱を帯びたように熱く疼きだす。


 「・・・大罪の紋章が共鳴している?これだけの強い反応を示しているということは、私たちの中の誰かが、大罪の真の力を引き出すことに成功したのか?」


 「それって、魔王の力が目覚めたことで、私たちの身体の中に封印されている魔王の力を使えるようになったってこと?」


 「おそらくな。しかし、誰が魔王の力を引き出すことに成功したのかまでは分からんが、どうやらそんな能力を引き出すほどのヤバいヤツがこの先に待ち受けているということだけは確かだろう」


 「・・・こりゃ、私たちも気を引き締めて取り掛からないといけないわね」


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 ~水の通路~<ビビアナ、アレクシア、ユキ>


 「・・・・・・魔王の力に、誰かが目覚めたみたい」


 左肩に刻まれた熊の紋章が熱く疼き、ビビアナが顔をしかめて言うと、同じく右腹部に刻まれた猪の紋章が熱く疼きだしたアレクシアも「そのようですわね」と答えた。


 ー分かるのか?ー


 「ええ、私たちの身体にそれぞれ刻まれた紋章は、そう言った感覚を共有していますから。まあ、誰が魔王の力を引き出したのかまでは分からないのが難儀な所なんですがねぇ」


 「・・・・・・私たちは私たちの戦いに集中しよう」


 「・・・ええ、私たち、もう目を着けられていますからね」


 -感じるぞ。この先に、我々の気配を感じ取ったのか、敵意と殺意を放つ敵がいる。-


 「上等じゃねえか、派手に暴れてやるぜ」


 アレクシアが獰猛な笑みを浮かべて、拳を掌に叩きつけた。


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 レベッカの変貌した姿を見て、ドラウグルか腐り切った目を見開き、驚愕する。


 「・・・何だ、この気味の悪い魔力は!?何だ、その得体のしれない姿は!?」


 レベッカの髪の色がまるで燃え上がる炎のような鮮やかな赤い色に変わり、身体中に赤色の紋様が光を放ちながら浮かび上がっていた。豊満な胸をガードするための胸当てには【Wrath】と憤怒を意味する文字が刻まれて、七色の宝石が埋め込まれている。


 鋭い切れ長の瞳は血のように赤く、瞳の端から炎が飛び散っているように、抑えきれない魔力が迸る。


 片手に持っている大剣を大きく振り回して、刃を地面に叩きつける。

 大剣イグニスも柄や刃の刀身に赤々と燃え上がる炎の紋様が浮かび上がり、黄金の狼を象った紋章がついていた。

 

 大剣の刃から青白い炎が噴き出し、辺り一面の地面が一瞬で凍り付いた。真っ白な氷が張り付いた大地からは、身体の芯から震えあがるような冷気が噴き出した。


 「ふっ!!」


 自分の周りに漂う冷気を大剣で振り払い、レベッカはドラウグルを鋭い眼光を放つ目で睨みつけた。


 「・・・レベッカ、なのか?」


 光が恐る恐る尋ねると、レベッカは顔を光に向けて、にぃっと微笑んだ。

 しかしそれは普段の人懐っこい笑顔ではなく、獰猛な獣のそれにも思えた。


 「・・・おう、オレだ。ヒカル、ちょっとばかり待っていてくれよ。さっさとこのデカブツを倒してくるからよ」


 レベッカが指を鳴らすと、光の近くに人魂のような炎が浮かび上がり、彼女の周りだけを冷気から守るように結界を張る。結界の中は暖かいだけではなく、体力や受けた傷を回復させるように光の身体を優しく包み込む。


 「・・・さてと、テメェは3分で片づけてやるよ。あと3分で、お前はこの世から消えてなくなる。今のうちに地獄の閻魔様へのあいさつでも練習しておけや」


 「・・・ククク、あまり調子に乗るなよぉぉぉっ!?」


 ドラウグルが巨大なハンマーを持ち上げると勢いよく振り回して、レベッカを目掛けて振り下ろした。

 強烈な一撃が大地を揺らすが、レベッカは動揺することもなく、ハンマーの攻撃をかわした。


 「ケッ、その程度かよ。さっさと本気で来いや」


 「ちっ!!」


 「まさかその程度であんなに粋がっていたわけじゃねえよなぁ?」


 「貴様ァァァァァァッ!!!」


 レベッカの煽りにドラウグルがたちまち理性を失い、ハンマーを振り回して、目に映るものに次々と叩き込んでいく。腐っているとはいえ、屈強な筋肉の鎧を持つドラウグルはアンデッドの中でも上位の身体能力と怪力、アンデッドとは思えないほどの強靭な体力を持っている。


 「人間を捨てて、アンデッドとなって復活した俺様に楯突くとは実に愚かだァ!!お前と寅若を殺して、梶にお前たちの骸を見せつけてやれば、どれだけ絶望することだろうなぁ!?」


 「・・・くっせぇな。その口閉じろよ。お前の口臭が臭くて臭くてかなわねえ」


 「そんな強がりを言えるのも、今のうちだぁぁぁっ!!」


 「・・・だから、黙れって言ってンだろ?」


 ドラウグルの攻撃をかわすと、レベッカが懐に入り込んで、大剣を軽々と振り回して刃をドラウグルの身体に叩きつけた。鋭い切れ味、重量級の刃が上半身を袈裟懸けに切り裂き、傷口から炎が噴き出した。


 「ぐああああああっ!?き、貴様ァァァッ!!」


 「キーキー騒ぐなよ。耳障りだぜ!」


 よろけたドラウグルに次々と乱暴に叩きつけるように、レベッカが炎を纏った大剣で斬りつけていく。型も何もなく、力任せに繰り出す一撃は強烈な破壊力を持ち、あまりの衝撃に斬撃がぶつかるたびに火花が激しく飛び散る。


 その時、ドラウグルは自身の身体に起きている異変に気付いた。


 斬られた傷口が先ほどまで燃えていたのに、傷口を埋めるようにびっしりと氷が張っていたのだ。大剣で切りつけられた傷口からどんどん塞ぐように凍り付いていき、次第に身体の動きが重くなっていく。


 「・・・ぐぅぅぅっ!?身体が凍っていく、だとぉっ!?どういうことだっ!?」


 「・・・嘆きの川(コキュートス)の力を使っている炎だからさ」


 「こ、コキュートス・・・!?」


 「ああ、テメェのような一度死んでも更生出来ねぇ、どうしようもねぇヤツが最終的に行き着く地獄の最下層、あらゆる生物の魂を凍り付かせて未来永劫に続く寒さと苦しみを味わい続ける黄泉の力さね」


 強烈な冷気を全身から放ち、ドラウグルの足元が見る見る凍り付き、大地に縛り付けられる。

 そして、レベッカが顔を上げると彼女の額には赤く燃え上がる炎が浮かんでいた。


 「・・・トーマを追放し、苦しめ続けてきただけじゃなくて、大事な友達や居場所さえも奪ってきたお前のことは絶対に許さねえ!!憤怒と正義の魔王【サタン】の名の下に、もう二度と復活できねえように、嘆きの川に叩き落してやらぁっ!!」


 激情を露わにして、ついにレベッカが吼えた。

 溜まりに溜まった怒りを爆発させたレベッカの形相は鬼よりも遥かに怖いものだった。髪の毛が逆立つほどの凄まじい怒りをあらわにしたレベッカに、ドラウグルは言葉を失った。


 斗真に歪んだ愛情を抱き、それが受け入れてもらえなかったという理由だけで、斗真の人生をメチャクチャにしてきた元凶。さらに斗真に振られたショックで、斗真に似ているという理由で黒髪ショートカットの女性ばかりを狙って、顔を生前の面影がなくなるまで殴りつけて潰すという残忍な方法で殺害してきた凶悪な殺人鬼。もう同情の余地はなかった。


 「冥途の土産に、オレ様のとっておきの必殺技をくれてやるから、しっかりと味わいやがれ!!」


 バックルから宝箱を取り出し、大剣の窪みに宝箱をはめ込んで魔力を充填させると、大剣の刃に刻まれた紋様の輝きがさらに強くなり、レベッカの全身が赤い光を放ち、輝きだした。


 「星火燎原!!炎魔法、憤怒王の霊剣(イグニス)・・・!!」


 大剣の刃が柄から飛び出すと、柄から光が飛び出し、刃に繋がった。

 ドラウグルの頭上に舞い上がった刃が回転しながら、縦横無尽に飛び交う。


 「怒・髪・衝・天---------ッ!!!」


 レベッカが大剣を振るうと、刃が回転しながらドラウグルの屈強な身体を横なぎに切り裂いた。

 槍さえも通さない強靭な鎧をものともせずに、肉を切って骨を断ち、深く刻み込まれた傷口から身体が見る見る氷で覆われていく。


 細胞を一瞬で死滅させるほどの冷気を浴び続けて、ドラウグルはついに膝を地面に着いた。

 しかし、それでも刃の蹂躙は止まることなく、今度は逆の方向から跳んできた刃に吹き飛ばされた。


 「こ、こ、こんなことがあるわけがない!!俺様は勇者だぞ!?選ばれた存在である勇者が、なぜ、このようなクズ亜人に追い詰められているのだっ!?あり得ない!!あり得ないぃぃぃっ!!!」


 ドラウグルはあくまでも自分の非を認めない。

 歪んだ一方的な愛情を押し付けて、斗真を苦しめてきたことも。

 自分に振り向いてくれないという理由で、斗真の親友である光の家族を奪ったことも。

 斗真に受け入れてもらえないという現実を認めたくないがために、斗真に似ている女性を次々と襲い、挙句の果てに自身の母親と妹を手にかけたことさえ、彼は悪いとは思っていなかった。


 自分自身の行為に対して「悪意」というものを一切感じることのない、倫理観というものを持ち合わせていない怪物、それが雨野柳太郎という人物だった。


 彼は魔物として転生する前から、すでに【モンスター】だったのだ。


 「地獄に逝きやがれぇぇぇっ!!」


 ドラウグルの頭上に刃が回転しながら急降下し、身体のほとんどが凍り付き動けなくなったドラウグルを脳天から真っ二つに切り裂いた瞬間、ドラウグルの身体の至る所から赤色の炎が噴き出した。


 「・・・バカ・・・な・・・!!」


 そして、見る見る身体が真っ白な灰に変わり、ボロボロと地面に崩れていった。


 「・・・怒りの炎に焼かれて、燃え尽きな!」


 「・・・梶ィ・・・ウオオオ・・・!!」


 それが雨野の最期の言葉だった。


 長年斗真を苦しめ続けてきた悪鬼は、真っ白な灰となってこの世から消えていった。


憤怒の魔王の力に目覚めたレベッカ、圧倒的勝利!

斗真を苦しめ続けてきた雨野柳太郎をついに撃破しました。

そして、光の運命は・・・?


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[一言] 雨野柳太郎へのお仕置きですが、これにしました。 首領・ゴールド「ではこっちも雨野柳太郎にお仕置きといこう」 シルバーン「どんなお仕置きをするんだ?」 首領・ゴールド「今回は作者さんからのリ…
[一言] 勇者(屑)の最期だな! YA-HA!!    // ィ ィ  |、/ /7/////|ィ  ||//| / /  // \| / |/     7 ヽ|丿γ ̄ ̄三ミ //7 |Vハ ||ヘ\…
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