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第三話「最後の七大魔王、登場!~真の勇者、目覚める時~」

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!

新作が書きあがりましたので、投稿いたします!

どうぞよろしくお願いいたします!

 【桜視点】


 「・・・えー、この度は、不躾な子孫がお前たちの入浴しているところや、着替えているところを勝手に盗撮して、仲間内だけとはいえ売りさばくと言う暴挙を働いたこと・・・」


 「・・・寝ているところに部屋に忍び込んでぇ、夜這いを仕掛けたりぃ、お風呂を覗いたりぃ、下着ドロをしたりぃ、数々のセクハラ行為のせいで、トラウマになりそうな、嫌な思いをさせてしまってぇ・・・」


 「本当に申し訳ねぇ!!」

 「ごめんなさいねぇ」


 ど う し て こ う な っ た。


 俺はもう何が一体どうなっているのか、訳が分からなかった。

 ただただ相手が土下座をして真剣に謝罪をしてくるのを止めることも出来ず、呆然と立ち尽くす。


 だってさぁ、霊剣の力で、魔石の中に封印されているオリヴィアのご先祖様に当たる強欲の魔王【サルヴィア・フォン・マモン】とヴィルヘルミーナのご先祖様に当たる色欲の魔王【ヴィオレティア・フォン・アスモデウス】様たちとお会いしたところまではいいよ?


 どうしていきなり、俺を見るなり、二人とも真剣に謝罪をしてくるんだ?


 サルヴィア様は一見オリヴィアにそっくりな顔立ちをしているが、切れ長の鋭い三白眼がわずかに大きく開いており、藍色の髪の毛は背中まで伸ばしていた。褐色の肌を持ち、盗賊をイメージしているような藍色の露出の多い服装に身を包んでいる妖艶な女性だった。男性っぽい言葉遣いが特徴的で、関西弁ではなかった。


 「いやさぁ、さすがにアイツらやり過ぎだろうよ。いくら強欲の大罪を司っているからって、やっていいことと悪いことの分別ぐらいはつけねぇとな。あとで、オリヴィアにはアタシからもきっちりと説教をしておくからよぉ。本当に申し訳ねぇことをしたわ」


 「律義なんスね・・・」


 「子孫がバカやったら、先祖であるアタシが頭を下げるのは当然だろう?」

 

 ものすげえ律義というか、一本気な人だな、この魔王様。

 見た目だけなら悪の組織の女幹部という雰囲気なのに。


 一方、ヴィオレティア様はヴィルヘルミーナと比べるとどこかおっとりとした、穏やかな雰囲気がする大人の女性だった。しかし、出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいるという、同性でさえも誰もがうらやみ、異性なら誰もが振り向かずにはいられないほどのスタイル抜群のナイスバディに、彼女はシースルーの紫色のナイトドレスのみを身に纏った姿をしていた。大事な部分は隠れているが、それ以外はほとんど透けていて裸に近い姿をしており、さすがは色欲の大罪を司る魔王だと改めて思った。


 「あの子もぉ、幼い頃に両親を早く亡くしてねぇ、親せきに引き取られたんだけどぉ、ほとんど誰からも愛されることがなく、一人ぼっちで生きてきたのよぉ。みんなの気を引くために、わざと道化を演じてバカなことを言ったりしていた時があったのよぉ。今でも誰かがそばにいないとすごく不安になって、みんなに構ってほしくて、バカなことをやっちゃうのよぉ。悪気はないの、本当にごめんなさいねぇ」


 「だからと言って、サクラやトーマに迷惑をかけていい理由にはならねぇだろ」


 「ううう・・・その通りでございますわぁ・・・」


 布地が薄くて色々と見えてしまいそうになる豊満な胸を押し付けながら、目に涙を浮かべてヴィオレティア様が抱き着いてきた。むわあっと甘い花のような香りと濃厚な匂いで思わず頭がぼうっとなってしまう。


 ヤギを模した大きく曲がりくねった角を頭から生やし、お尻からはサソリのような毒針が尾の先端についた尻尾を生やしている。サキュバス特有の蝙蝠のような翼を背中から生やし、ウサギをあしらった飾りが下着のあっちこっちについている。


 「お詫びにぃ、あたしがサクラちゃんをたぁっぷりと気持ちよくしてあげるわぁ。お姉さんが、貴方にいっぱいいっぱい気持ちよくて楽しいことをしてあげるわぁ・・・」


 いや、ちょっと待て、これかなりヤバいぞ!?

 この人、何か知らんが、目にハートが浮かんでいるし、頬を赤く染めているし、呼吸も荒くなっているんですけど!!


 「ああ・・・可愛くて・・・何て愛おしいの・・・」


 「やめんか、おバカ」


 サルヴィア様が黄金のキセルで俺を押し倒そうとしたヴィオレティア様の頭を殴った。ヴィオレティア様は目に涙を浮かべて、ほっぺたを膨らませる。


 「ひどいですわぁ、サルヴィア。あたしは、ヴィルヘルミーナちゃんがサクラちゃんにご迷惑をおかけした分、あたしの身体でお詫びしようと思っただけですのに・・・」


 「いや、それじゃ、ヴィルヘルミーナとやることが一緒だろうが」


 サルヴィア様は優雅にキセルを燻らせて、紫色の煙をプカリと吐き出す。


 「まあ、あのバカたちには一度ガツンと言わなけりゃいけねぇなとは思っていたしな。シャルラッハロートたちの子孫たちもそろいもそろって先祖と同じようなことをやりまくっているみたいだし、一度アタシがシメてやらないとねぇ」


 ヴィオレティア様によると、サルヴィア様は七大魔王のまとめ役であり、良心的存在らしい。ヴェルディア様も一応常識人の部類には入るらしいが、いかんせん気弱で引っ込み思案なところがあるため、シャルラッハロート様たちの暴走を止めるのは難しいらしい。そんな時には、いつもサルヴィア様が全員を正座させて、説教をしていたらしい。まあ、何度言っても懲りない所は先祖も子孫も似た者同士なのだが。


 「・・・魔王様の中にも、まともな感性の人っていたんですね・・・」


 「・・・マジで、済まなかった」


 俺がぽつりとつぶやくと、俺の心中を察してか、サルヴィア様が深く深く頭を下げた。


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 「まあ、話が脱線しちまったが、アタシとヴィオレティアは霊剣に選ばれた勇者の称号を受け継ぐものに、力を与えることが使命なんだよ。そして、マクノウチ・サクラ。アンタは霊剣テフヌトに選ばれて、本当の勇者の称号を受け継ぐに値する人物として、一応選ばれたというわけさ」


 俺が・・・勇者に選ばれたって?


 そう言われても、あまりにも現実的ではない話に、俺はポカーンとしていた。多分、今の俺の顏はこれまでにないぐらいに間抜けな顔になっていることだろう。


 「クロス王国のバカ共が異世界人を無理矢理召喚して、セルマとかいう三流魔導師が選んだ5人の勇者なんだけどよぉ、アンタを除いた4人は勇者の資格を与えられること自体があり得ない連中だったんだよ。そもそも、世界を救う使命を担う勇者が一度に5人も見つけることが出来るなんて、世界が明日にも消滅するって言う話の方が現実味があるぐらい、あり得ない話だからな」


 「え!?で、ですが、彼らには確かに勇者のスキルがあったんですけど」


 「それはおそらくぅ、あくまでも【勇者】になれる素質だけはありますよって意味を指しているのよぉ。つまり、あくまでも【勇者候補】であって、本当の【勇者】ではないのよぉ」


 「まあ、そこは結構勘違いされやすいんだけどな。そもそもスキルに選ばれただけで勇者になれるなら、誰も苦労しないだろうっていう話さ。勇者のスキルって言うのは分かりやすく言うと卵みたいなモンさ。経験値を積んだり、人間や魔物など種族を分け隔てなく災厄や脅威から救い、心身ともに健康的な人物でなけりゃ卵は孵ることはねぇ。まあ、セルマのように、自分の欲望を最優先し続けた結果、無理矢理勇者の力を手に入れちまうようなヤツもいるけど、そういうヤツは勇者の持つ【真の力】を引き出すことは一生出来ないのさ」


 なるほど、つまりスキルで【勇者】に選ばれたからって、そのまま勇者になれたって言うわけじゃないんだな。スキルだけを重視する風潮や習慣をクロス王国の歪んだ思想が、世界中に影響を与えていたというわけか。


 「ところでぇ、サクラちゃんはぁ、勇者というのはどういう存在だと思っているのかしらぁ?」


 「ああ、それはアタシも聞きたい。お前がどう思っているか、正直に答えてもらうよ。アンタの胸の内に思い描く勇者に対する思いがどんなものかによって、アンタが勇者にふさわしいかどうかを決める最後の鍵になるからねぇ」


 どうやら霊剣に選ばれても、サルヴィア様が認めなければ勇者の力を与えることはしないという。テフヌト様から、最終的に勇者の称号を与えるかどうかの選択を彼女は任されているようだ。


 俺の中で思い描く勇者・・・。




 斗真・・・。


 なぜだろうな、こういう時に、どうしてもお前のことが思い浮かんじまう。




 「・・・勇者とは・・・みんなの・・・希望となる存在・・・」


 「・・・ふむ」


 「・・・俺の憧れている勇者は・・・いつも泣き虫で・・・女の子にはからっきし弱くて・・・」


 


 アイツへの思いが込み上がるたびに、涙が、止まらない。




 「・・・何度もひどい目に遭っているのに・・・いつもまっすぐで・・・時々ものすごくバカで・・・ものすごく優しくて・・・自分が傷ついているのに・・・他人を気遣っちまうヤツで・・・」


 


 ぽたり。


 ぽたり、ぽたり、ぽたり・・・。




 「・・・仲間のためなら身体を張って守る・・・一度言った約束は絶対に守り通す・・・ものすごいヤツで・・・俺はいつしか・・・アイツがまるで勇者のように見えた・・・」




 -行こうぜ、桜!-




 「・・・今度は俺が守らなくちゃ、助けに行かなくちゃいけないんだ。アイツが大好きなこの世界を、この世界で生きている人たちを守るために、俺はもっともっと強くならなくちゃいけないんだ」




 綺麗な答えなんて、言わない。

 荒っぽくて、ガサツで、言葉が足りないかもしれねぇ。


 でも、この答えが、俺のむき出しの答えだ。




 「俺にとって、勇者は、どんなに傷ついても、どんなにボロボロになっても、何度でも立ち上がって大切なものを守るために戦うことが出来るヤツだ!そいつを守るためなら、大勢の仲間が手を貸して、ついていく!!そして、仲間たちにとっても道しるべとなる希望であり、仲間たちを信じて守ろうとする強い心を持つヒーロー・・・それが俺がなりたい勇者だ!!」




 「・・・それが・・・お前の本当の思いか」


 「・・・ああ・・・!」




 おそらく、二回目を聞かれても同じことしか言わないだろう。

 でも、もうそれでいい。世界を救うことが出来る英雄なんかよりも、俺にとってはアイツの方がよっぽど勇者と呼べる存在なのだから。


 斗真が俺にとって、心から憧れた勇者なんだから。


 「・・・サクラ、手を出しな」


 サルヴィア様に言われたとおりに右手を差し出すと、彼女が俺の手をとり、瞳を閉じた。

 すると、彼女の手が淡い光に包まれて、俺の身体に伝わってくる。


 とても暖かい光に、身体が包み込まれていく。


 「合格だ」


 身体の奥底から、まるで煮えたぎるマグマのように荒々しく力強い力を感じる。それでいて、心はとても落ち着いていて、とても静かだ。流れ込んでくる力を、身体が、魂が、すべて優しく受け入れていく。そして、俺の身体に染み込んで、一つになっていく・・・。


 「お前は霊剣テフヌトに選ばれた”勇者”として、この強欲の魔王サルヴィアが認めよう」


 うっすらと瞳を開くと、サルヴィア様が俺に優しく微笑みかけていた。


 「・・・世界をたった一人で救うことが出来る、強大な力を持つ存在を勇者とはき違えているようなら、アンタも結局はクロス王国と何ら変わらない愚物と見なして、ここで切り捨てるところだったさ。でも、アンタが求めているのは、皆と手を取り合い、大切な場所や仲間を守ろうとする強い力。勇者って言うのは、一人だけで作り上げていくものじゃない。世界中の様々な人間や魔族、人間以外の種族など、大勢の人々と手を取り合うことで作り上げられていくものだ」


 「だからぁ、勇者というのはぁ、自分だけが良ければそれでいいっていう考えじゃ、ダメなのよねぇ。使命感に駆られて自分を見失っている人なんかにぃ、世界を救うことなんて出来ないわよぉ」


 「アンタはそれを理解している。自分の過ちと向き合い、苦しい道のりを共に支えてくれる仲間のありがたさを知っている。仲間を、世界を守りたいというお前の”欲望”、勇者を名乗るにふさわしい。さあ、目を開け!前に進め!お前と共に歩んでくれる仲間とともに、世界を守るんだ!」


 目を開くと、真っ白な光の向こうに、みんながこっちを見て笑っているのが見えた。


 仁美。

 麗音。

 忍。

 花桜梨。

 鬼島ちゃん。


 そして、斗真。


 お前たちがいてくれたから、俺はここまでやってこれたんだ。


 本当に・・・ありがとうな・・・。

桜、真の勇者としてついに覚醒する・・・!

強欲の魔王サルヴィアと色欲の魔王ヴィオレティアを登場させました。

サルヴィアは今後も七大魔王たちの良きまとめ役として、何度か出したいと思っております。

七大魔王たちも最終決戦に向けて、出番を少しずつ増やしていこうと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!




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[一言] ブロンズ・ルド「まともな奴もいたんだね」 シルバーン「全ての奴らが頭おかしい奴ばかりじゃなかったんだな」 首領・ゴールド「どうしてあんな奴らが出てくるのか訳分からずだよ それに、あいつらがや…
[一言] 今回の話で、真の本当の勇者は桜だったと判明して残りは勇者の素質があるだけだったのですね。 もしこの事実を知った4人はどんな反応をするのか?そしてもうすぐ最終回みたいですけど、新しい物語は考え…
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