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第十五話「Outrage~血戦、斗真VS光①~」

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!

新作が書きあがりましたので、投稿いたします!

どうぞよろしくお願いいたします!

 【斗真視点】


 リングの上に上がるたびに、足を止めてしまいそうな弱気な自分を振り払うように、僕は前を向いて進んでいく。


 何、今更逃げようとしているんだよ。

 ずっと彼女から逃げ続けていたんじゃないかよ。

 彼女の前から姿を隠すことが、彼女の心を守るためには仕方がないって、自分自身に言い聞かせてさ。


 かつての相棒。


 彼女とならどこまでも一緒に、高みに登り詰めることが出来ると信じていた。

 彼女と二人なら、どんな奴が相手になろうと負ける気がしなかった。

 僕たちは最強の相棒、怖い物なんて何もねぇなんて、笑いあっていた。


 もうあの時のように笑いあうことが出来なくても。

 もうどちらかが倒れるまでやり合う以外に、道がないのだとしても。

 今までに一度も勝てたことのない相手だとしても。


 もう・・・逃げない。


 光を守っているつもりになっていた、弱気な自分を何度も頭の中で殴り飛ばす。

 自分さえいなければ、彼女は幸せになれるなんて、都合のいい自己犠牲。

 その結果、彼女は僕に対して失望を繰り返し、怒りと殺意、憎悪を募らせていただけなのに。


 お互いに本当の気持ちをぶつけ合わせることから逃げてしまっていた。

 

 でも、もう・・・逃げない。


 何度殴られても立ち上がれ。

 何度蹴られてもくじけるな。

 血を吐いても、骨が折れても、何度倒されても・・・。


 立ち上がって、アイツの思い、全部受け止めろ。


 『それでは、最後の種目【憤り怒る狂戦士の血戦(アース・クエイク)】を開始いたします!!参加する選手は前に出てきてください!!』


 僕の目の前に仁王立ちして、凍り付きそうな鋭い眼光を放つ光と向かい合う。


 『ルールは制限時間10分以内に、フィールドの中に空いている穴の中から飛び出してくる【ビーストノーム】という魔物をハンマーでたたいて、より多くの魔物を叩いてポイントを稼いだ方が勝ちとなります!!フィールド内では相手の邪魔をすることも出来ますが、使用できる武器はハンマーと、ビーストノームを倒して手に入れたアイテムだけとなっております!』


 そう言って、僕と光にそれぞれハンマーが渡される。

 

 「・・・斗真、この時をずっと待っていたわ。貴方が私を裏切ったあの日から、絶対に復讐をしてやるって、心に決めていたんだ」


 「・・・光」


 「・・・例え、悪魔に魂を売り渡してでもな・・・!」


 血走った目にはもう理性がなく、狂気をあらわにした野獣が研ぎ澄まされた牙をむき出しにする。

 ハンマーを握りしめる手が震えて、こめかみに何本も太い血管が浮かんでいく。

 息遣いが荒くなり、そこにはもはや僕の知っている光の姿はどこにもなかった。


 『それでは、レディー・・・ゴォォォォォォッ!!』




 「斗真ァァァァァァッ!!」


 「光ゥゥゥゥゥゥゥッ!!」




 地面を蹴り飛ばす。

 振り上げたハンマーとハンマーが火花が飛び散るほどに激しくぶつかる。

 これが僕と光の、決戦のゴングとなって響き渡った。




 「極光の脚ィィィッ!!」


 光の脚に纏った魔力がオーロラのように揺らめき、極彩色の光を輝き放つ。地面を蹴り飛ばすと、蹴った場所がえぐれるほどの強烈なパワーで突き進み、僕の頭部目掛けて、鉄の塊を振り下ろす。


 それをかわすと、光のハンマーが地面に叩きつけられた。

 一撃で地面が揺れるほどの強烈な衝撃。

 光が僕のことを本気で殺すだと、感じ取るには十分だ。


 僕は彼女の攻撃を防ぎながら、両腕に力を込めてハンマーの衝撃を減らすと、そのまま一気に押し通してハンマーを弾き、彼女の後ろに出てきたビーストノームの頭部に振り下ろした。


 『10ポイント!』


 次々と飛び出してくるビーストノームの頭部に狙いを定めて、光の攻撃を回避しながら、僕はハンマーを正確に振り下ろす。この勝負のルールは、より多くのビーストノームを叩いてポイントを多く稼いだ方が勝ちだ。今は光の攻撃を何とか防ぎながら、ポイントを稼ぐことに集中しなくてはいけない。


 「・・・流星光底、光魔法・光魔神の光線(シャイニング・レイ)!!」


 光がハンマーにまぶしい光を集めると、そのまま大きく横に薙ぎ払い、ハンマーから巨大な光線が飛び出した!僕はとっさにかわすが、光線はものすごい速さで僕の前をかすめて、ビーストノームの頭部に直撃し、粉々に破壊した。


 (ビームまで使えるのかよっ・・・!?)


 「遅いぞ」


 そして、僕の目の前には光がハンマーを振り上げた態勢で、冷たい目で見下ろしていた。


 とっさにハンマーで、自分の頭を守るためにガードする。


 その瞬間、凄まじい衝撃が両腕から全身を襲い、意識が飛びそうになった。


 「・・・お前はまだぬるいんだよ。戦いはそんなに甘いものじゃない。勝った者だけが生き残り、負けたヤツは泥にまみれて、土に還る。私を連れ戻すとか言っていたが、まだそんなことを言うつもりか。私はお前を殺して、過去を清算する。お前の裏切りに対する怒りと憎しみの全てに決着を着ける!」


 「・・・それでも、俺は絶対に、諦めねぇ・・・!!」


 「・・・だからお前はバカなんだっ!!」


 彼女の繰り出した一撃をハンマーで防ぐも、僕は勢いよく吹き飛ばされた。

 リングの上を転がり、衝撃で特攻服がボロボロになっていく。すぐさま立ち上がり、出てきたビーストノームの頭部に向かって素早くハンマーで殴りかかろうとした時、光がハンマーでビーストノームを粉砕した。


 『30ポイント!』


 そのまま僕に向かってハンマーを振り上げて襲い掛かってくる。


 「情を捨てたヤツだけが生き残る!!目に映るすべてのものは敵だと思え!!味方以外は信じるな!!そう何度も言ってきたはずだ!!私たちは、そう割り切らなければ生きていけない人種なのだからな!!」


 分かっているさ。


 両親にも捨てられて、周りの大人は誰も僕たちのことなんて守ってくれなかった。

 綺麗ごとばかり言って、自分だけは正しくあろうと必死で虚勢を張っている、卑怯な大人にはなりたくなかった。自分の力で自分の居場所を奪い取ることでしか、僕たちには生きる方法が思いつかなかった。


 一度敵とみなした相手は徹底的に潰せ。

 自分たちの大切な居場所や仲間を傷つけるヤツは絶対に許すな。

 やられたら1000倍返し、二度と僕たちに襲い掛かる意志などなくなるまで報復の手を緩めるな。


 そう教えてくれたのは、光だった。


 『・・・斗真、暴力って言うのは結局は世間には認めてもらえることはない。みだりに振るっていいものではない。でも、誰かを守る時には、暴力を使うことを恐れてはいけない時もある。誰にも認めてもらえなくてもいい、自分が守りたいものを守る時には、自分が傷つくことを恐れるな』


 僕に戦うことの厳しさを、暴力も一つの力として受け入れろと教えてくれたのは光だった。

 生きていくために、敢えて厳しさを知り、覚悟を決めるために、僕に教えてくれた。


 あの時の、あの言葉があるからこそ。

 今の僕がいるんだ。


 両親に捨てられて、一人ぼっちで震えていたあのままだったら、きっと今日まで生きてこられなかった。何度倒されて、傷ついても、立ち上がって相手に反撃を繰り出すことは出来なかった。


 歪かもしれないけど、確かな強さを僕に教えてくれたのは、光だった。


 守ってくれる人がいないとしても、それでも、誰かを守れるために強くなれと。


 「・・・自分が守りたいものを守る時には、自分が傷つくことを恐れるな。お前が教えてくれた言葉、今でも覚えているよ」


 一瞬光が驚いたような顔になったが、僕はハンマーを全力で振るって光を弾き飛ばした。


 「だから、今度こそ、もうお前を失わないために戦うって決めたんだよっ!!」


 何度も殴られて、身体中の力が抜けて、足から崩れ落ちそうになる。

 防御していただけでも削られてきた体力が、今になって僕の身体を支えるのを諦めそうになる。


 それでも、歯を食いしばって・・・立ち上がる!!


 「お前が俺のことを”敵”と見なしても、俺にとってお前は、今でも”親友”だ!!」


 驚いたように目を見開き、光が固まった。


 「もう逃げねえぞ・・・!!俺のせいで、光をここまで追い詰めちまった。ずっと、俺がいなくなれば光はもう一度前に進んでいけると思っていた!明の死を乗り越えていけると思っていた!お前が俺を憎み続けて、生きようと思ってくれるならそれでもいいと思っていた。でも、そうじゃねえんだ!!」


 目から熱いものが込み上がってくる。

 どうして、もっと早く光と向き合って、自分の思いをちゃんと声に出して伝えなかったんだ。

 アイツと喧嘩することが、ずっと怖かったんだ。


 「・・・お前をここまで追い詰めちまったのは・・・俺のせいだ!!お前としっかりと向き合ってぶつかり合うことを諦めちまった俺のせいだ!!だから、もう逃げない!!」


 許してもらえないだろう。

 きっと僕を殺すまで、光はずっと自分を憎み続けるのかもしれない。

 憎しみと怒りを心の支えにして、ずっと生きてきたのだから。


 そんな光から、目を背けてはいけない。

 アイツの全ての憎しみを、受け止める。


 「俺はお前から、もう絶対に逃げない!!!」


 「・・・上等だ、それが遺言でいいんだな!?なら、今すぐに殺してやる!!」


 光の身体がまぶしい光を放つと、全身を黄金と黒の縞模様の体毛で覆われた、美しくも獰猛な虎の獣人の姿へと変貌する。ハンマーを握りしめると、地面を勢いよく蹴り飛ばしてものすごい速さで迫ってくる。僕はハンマーを前に突き出し、繰り出された一撃を全身の力を込めて防いだ。


 「お前のその目つき、気に入らない!!今更昔の熱さを取り戻しやがって!!」


 「昔とは違うよ。あの時よりもずっとデカいモン抱えてンだ!!」


 追放された僕を助けてくれて、仲間として迎え入れてくれた”彩虹の戦乙女”の仲間たち。

 僕がここで負けたら、邪眼一族のものになってしまう。僕が勝たなかったら全てが終わるんだ。


 「死ぬまで諦めない、俺の全部をかけて、お前に勝つ!!」


 その時だ。


 ハンマーを握りしめていた手から、身体の奥から何かが膨れ上がって勢いよく飛び出す感覚がしたかと思うと、僕の腕から現れたのは・・・真っ黒な”炎”だった。


 思わず見入ってしまうほどに、夜の暗闇を思わせるような純黒の炎が揺らめきながら力強く燃えている。その炎に触れた光が徐々に勢いを失っていき、消えていく。


 「何っ!?」


 「トーマ、そのまま一気にいけっ!!」


 後ろからレベッカの大声が聞こえて、我に返った僕は狼狽えている光のハンマーを思い切り弾いた。光の手からハンマーが舞い上がり、回転しながら地面に叩きつけられた。


 「・・・この炎は!」


 この黒い炎が僕は分かった。

 見たことがあるとは思っていたけど、あれは・・・雁野が使っていた”死属性”の炎だ!


 「なあ、あんな黒い炎見たことがねえぞ!?何だよ、あれは!!」


 「・・・ミヅキとかいう女勇者が使っていた死属性の炎だ。トーマの戦いの記録を見た時に、私も初めて見たのだがな」


 「どうしてトーマが、あの勇者と同じ力が使えるのよ!?」


 触れたもの全てを死なせてしまう、呪いの炎。

 どうしてこんなものを僕が生み出せるのか、分からないけど・・・。


 ただ、この炎からは絶対的な「死」を象徴する怖さはなぜか感じられず、不思議と心を落ちつかせて、無駄な力を抜いてくれる安らぎに似た感情を感じさせてくれた。


雁野美月が斗真に遺した「死」の炎が次回活躍いたします!

斗真と光の戦い、ついに決着か!?

次回もどうぞよろしくお願いいたします!!


ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます!

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