第九話「Always hitting the bull's-eye~オリヴィアVS窮奇将軍①~」
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【オリヴィア視点】
『それではルールを説明いたします!10分間、フィールドに現れる景品を、手持ちの銃で撃ち落として、より多くのポイントを稼いだものが勝利となります!景品として手に入れたアイテムや武器の使用および能力の使用は1回までなら可能といたします!』
そのほかにも相手の命を奪ったりする魔法の使用は不可能となっとるらしい。
それはそうやろうな、そんなんを許可してしまえば早速殺し合いとなる。そっちの方が勝負の決着がはよ着くからな。
つまり、切り札は出すタイミングを見計らって使えと言うことか。一種のギャンブルやな。こらぁ、トーマちゃんには荷が重いかもせえへん。そういう駆け引きはあまり得意な方やないしな。
「・・・貴方が”七人の獣騎士”の切り込み隊長【強欲】のオリヴィアね。貴方をさっさと片付けて”七人の獣騎士”も魔法裁縫師も、全ていただくわ」
「・・・全ていただく、ねぇ」
窮奇とかいう姉ちゃんがあまりにもおかしいことを言うもんだから、つい笑ってしもうた。
「何がおかしいのかしら?」
「ウチは強欲やで?金も、仲間も、男も、欲しいものはみな手に入れへんと気が済まへんのや。そんなウチから何かを奪い取ろうとするなんて、おかしくておかしくてたまらへんわ」
コイツにくれてやるものなど何一つない。ウチの宝物をこいつらには渡さへん。
「サクラも、団長たちも、この【彩虹の戦乙女】はなぁ、ウチにとっては黄金の山にも匹敵するほどのお宝なんや。指一本でも触れてみぃ・・・火傷じゃ済まんで!」
『それでは・・・試合、開始!!』
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
審判の掛け声とともに、神殿の前にはいくつかの景品が現れた。
弾は無制限やから、片っ端から撃ちまくって景品を出来る限り多くとっていく。
ライフル型の魔導銃に魔力を込めて、魔力の弾丸を撃ち出すと最初に狙いをつけとった小さなぬいぐるみを当てて撃ち落とす。すると、ウチの頭上にあるカウントに10ポイント加算された。
景品のランクはお菓子やぬいぐるみ、小物とかは10ポイント、体力を回復させるポーションは20ポイント、武器や防具、少しだけ値が張りそうな骨とう品、見たことも聞いたこともない玩具などは30ポイント、そしてその上のランクになると50ポイント、100ポイントものお宝があるらしい。
窮奇も銃の照準を定めて、冷静に、確実に景品を次から次へと撃ち落としていく。
そして、ウチが10個目の景品を撃ち落として、順調に景品を稼いでいくと、銀色の光を放つ宝箱が現れた。そこには50ポイントと書かれている。
『おーっと、窮奇選手も、オリヴィア選手も順調に景品を撃ち落としていく!できるだけ多くの景品を撃ち落として手に入れることが、この勝負の勝敗を決めると言っても過言ではない!さあ、ここで上手く撃ち落とせば逆転も夢ではない、希少価値の高いお宝の登場です!!』
そして、宝箱の蓋が開くと、そこから出てきたものは・・・!
『彩虹の戦乙女の魔法裁縫師【カジ・トーマ】選手と剣士【マクノウチ・サクラ】選手の大胆な入浴シーンや着替えのシーンの写真が数多く掲載されている、マニアにとっては垂涎のお宝!!今、魔族たちの間でひそかに人気が急上昇中の二人の男の娘たちの写真集!!しかも絶版ものだーーーっ!!』
「・・・はああああああっ!?」
「え、嘘、どうしてあれがあんなところにあるんだよっ!?」
嘘やろっ!?確かあれはレベッカたちに売りつけるためだけに作った商品やったけど、トーマちゃんたちにバレて、全部没収されて処分されたはずなのに、どうしてこないなところにあるんや!?
「アンタたちが何か面白そうなことをやっていたから、捨てられる前にこっそりとゴミ捨て場からくすねておいたのよね~。ちなみに、ヴェロニカ様にもちゃんと献上したわ」
「「嘘だぁぁぁぁぁぁっ!!」」
アカン!トーマちゃんとサクラがあまりのショックで、頭を抱えて座り込んでしもうた!
というか、ゴミ捨て場からエロ本をくすねて持って帰るなんて、お前は思春期のガキか!?
しかも、トーマちゃんたちがあまりにも恥ずかしい内容だからって、全部燃やしてこの世から消し去ったはずの負の遺産を、自分の主君に献上するやなんて・・・!
「夜の(放送禁止用語)として、大事に保管しておるぞ?毎晩のようにお世話になっておる。くふふ」
「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーっ!!」
アカン、トーマちゃんがついに壊れた!!
「・・・終わった、僕の人生、これで終わった・・・!」
「斗真、気を確かに持てっ!!ショックなのは分かるけど、決戦の前に首を吊ろうとするな!!マジでシャレにならないから!!」
「放してくれ、桜!もう僕は恥ずかしくて生きていけないんだ!!」
「くふふふ、もはや写真集だけでは妾の劣情を抑えることなど出来ぬ。お主を手に入れたら、毎晩、妾と子作りに励むのじゃ。ああ、楽しみで身体が震えてくるのぉ・・・!」
『おーっと、ここで、写真集を闇ルートで購入したビフロスト家当主ベルナデッタ様と、ベリアル家当主のバルバラ様より、トーマ選手とサクラ選手の見事な艶姿をお披露目したいとお申し付けが入りました!それでは、どうぞ!!』
壁にかかっている巨大モニターには、脱衣場で着替えをしている最中のトーマちゃんとサクラ、お風呂を覗かれて、風呂を覗き込んでいるビビアナに、顔を真っ赤にして洗面器を投げつけている涙目のトーマちゃん、メイド服やナース服、パンツが丸見えのミニスカチャイナドレスなどを無理矢理着せられているトーマちゃんの写真が映し出される。
「・・・ああ・・・トーマちゃん・・尊い・・・何千年生きてきて、まさか、妾の心を鷲掴みにして離さない、何て可愛い子・・・私だけの天使・・・ああ・・・この可愛い顔を見ているだけで・・・死ねるぅぅぅっ!」
「ベアトリクスの所有物であることが実に惜しいな。戦争でも吹っかけて、力ずくでも手に入れてやろうかな。くくくっ、そして、私がじっくりと調教して一人前の戦士に鍛え上げてやりたいものだな。ハッハッハ!」
魔界の四大名家、全員そろいもそろってトーマちゃんにメロメロになっとるやないかい。鼻血を滝のように噴き出して青白い顔がさらに青白くなって恍惚とした表情を浮かべているビフロンス家の当主と、腕を組み、傷だらけの強面な表情で鬼気迫るような笑みを浮かべて、豪快に笑い飛ばしているベリアル家当主の姿を見て、トーマちゃんの精神が限界を迎えた。
「や゛め゛て゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛っ!!」
ヴェロニカの扇情的な挑発と地獄のような恥ずかしいシーンのお披露目会という地獄のコンボをまともに受けて、トーマちゃんのメンタルは0まで追い込まれる。地面に両手をついて、ガックリと頭を落として、完全に落ち込んでしまった。
「・・・終わった。僕はみんなから”女装趣味の変態野郎”とか”ロリペド野郎”と罵られて、信用を無くして、一生世間から後ろ指を指されて、一人寂しく死んでいくんだ・・・!」
「いや、落ち着け。まだあの幼女の奴隷になることが決まったわけじゃないんだから」
「・・・桜、いざとなったらこれを食べて、僕は潔くこの腐り切った人生に幕を下ろそうと思う」
「やめておけ!?ニナさんのクッキーなんて一袋丸ごと食ったら、今度はマジで現世に戻ってこれねえぞ!?」
「ちょっと、それ、一体どういう意味よ!?」
アカン、はよ決着をつけんとトーマちゃんがニナの作った暗黒物質を袋ごと食べて、そのまま彼岸に旅立ちかねんな。
『そして、ついにここで本日のゲームの目玉ともいえる、Sランクの金の宝箱が登場だーっ!!中は何と、伝説として語り継がれてきたあの・・・聖遺物だーーーっ!!』
金色の輝く宝箱が現れて、ふたが開くとそこには何と・・・錆びた剣のようなものが入っていた。
『これぞ【ホルスの霊盾】と対になる伝説の霊剣!!あらゆる邪気を払い、清めて浄化する聖なる力を秘めた【霊剣テフヌト】だーーーっ!!』
マジかい!?
まさか、射的の景品で霊剣を出してくるなんて、相手もかなりの太っ腹っちゅうか、豪気やな!?
しかし、ここで霊剣を手に入れることが出来れば、ウチらの士気もめっちゃ上がるっちゅうもんや!
あれに関しては、煮え湯を飲まされたからな。
ツバサの姉ちゃんが苦労の末に手に入れてきた霊剣が鑑定の結果、極めて本物に近い贋作であることが判明した時には、ツバサの姉ちゃんがショックのあまりに倒れたしな。まあ、霊具を作る一族に弟子入りしていた人物が必死で本物に近い、もしくは本物を超える霊剣を作ろうとしたが、結局かなわなかった代物やった。
意気消沈したけど(ツバサの姉ちゃんは寝込んだし、トーマちゃんは魂が抜けて倒れた)、まさか、こんなに早く本物と巡り合えるとは思わんかった。やっぱりウチらは持っとるな!もしあれが偽物やったら、邪眼一族が笑いモンになった上に、ウチらに腹いせで袋叩きに遭うだけや。踏んだり蹴ったり?敵に情けなんていらん。徹底的にやるのがウチのモットーじゃ。
「・・・まさかあれも偽物じゃないよね」
「そうだとしたら、邪眼一族が恥をかくだけだろ」
「出来れば偽物でありますように!そうしたら、僕たちだけがバカじゃないって証明出来る!」
「お前はバカか!?」
アカン、トーマちゃんが壊れてきよった。だいぶ精神的にガタがきとるのかもせえへんわ。早く決着をつけて、トーマちゃんを現実に引き戻そう。
「・・・ようやく、出てきてくれたわね」
その時、窮奇が不敵な笑みを浮かべているのが見えた。
「・・・ここからが本番よ。お遊びはここでおしまいね」
「そら、どういうこっちゃ?」
「アタイに許された能力を一つ、ここで使用する!魔力発動【天神の眼】!!」
彼女の瞳の眼球が黒く染まり、黄金色の獰猛な光が宿る。
そして、彼女が背中から真っ白な翼を広げると、彼女を中心に魔力が展開されて、リングの中が外とは切り離されて、魔力の膜に覆われていく。
「・・・たった3分。されど3分。今のアタイには・・・アンタだって勝てないわ!」
そう言うて、彼女が銃を上に向けて引き金を引いた。すると、上に向かって撃ったはずの弾がひとりでに軌道を変えて、聖剣が入っとる宝箱を撃ち貫いた!
「弾が勝手に景品の方に向かって飛んでいった?なるほど、アンタの能力は【自動追跡】っちゅうことか」
「・・・ただの自動追跡じゃないわよ。アタイが撃ちだした銃弾は領域内にあるものなら全て撃ち抜くことが出来るわ。そう、貴方の身体に刻まれた的に向かって、弾はどこまでも追跡する!」
何やて!?
よう見ると、ウチ身体には右腕、左腕、右足、左足、腹部に的が刻まれとった。窮奇が銃を撃つと、利き腕目掛けて弾が飛んできた!
「ちっ!!」
ウチはとっさに銃の柄の部分で銃弾を弾き、地面に叩きつけた。そうか、これでウチが銃を撃てんようになったら、圧倒的にコイツが有利になる。ギリギリまで、このタイミングを待っとったんかい!
「・・・命を取ってはいけないけど、怪我をさせてはいけないとはルールになかったわよね?」
「・・・上等やないかい!」
窮奇のとっておきの魔法能力に対抗する、オリヴィアの秘策が次回明らかになります!
そして処分したはずのエロ本の悪夢が再来、四大名家の当主全員がこっそりと購入していたことが発覚し、当主全員がショタコンであることが発覚しました。斗真の人生はどっちに向かっているのか。
次回もどうぞよろしくお願いいたします!




