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第八話「Climax from the beginning~バチバチ~」

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!

新作が書きあがりましたので、投稿いたします!

どうぞよろしくお願いいたします!

 【斗真視点】


 僕たちの運命を賭けた戦いの当日が、ついに来てしまった。


 もうここまで来たら、僕も腹を括っていくしかない。必ず勝って、光を連れ戻すんだ。

 今日の戦いに、僕の全てを賭ける・・・!


 そのために、僕も衣装を新調して準備はバッチリ整えてきたんだ。


 黒色を基調とするジャケット。

 背中にはベレト家の紋章と、”彩虹(TEAM)の戦(SEVEN)乙女(VALKYRIE'S)”のロゴが入っている。僕が決戦に控えて、全身全霊で刺繍した・・・特攻服だ。


 これを袖に通して戦うと言うことは、ベレト家の看板を掛けて戦うという絶対に負けられない覚悟を決めたと言うことだ。ベリス姉さまにこれを見せたとき、姉さまも満足そうに微笑んで、自分の家の家紋を使うことを快く許可してくれた。


 魔獣の皮を用いて作った、軽量かつ頑丈さを誇るライディングブーツ。

 鉄板の代わりにオリハルコンを埋め込んでいるため、いかなる悪地でも平地のように難なく移動をすることが出来る。そして、魔力を込めて蹴りを放てば破壊力抜群の武器と化す。


 「・・・よしっ、行くか!」


 部屋を出ると、廊下では同じジャケットを着込み、金髪をポニーテールに縛り上げている桜と踊り子のような服装に身を包んだオリヴィアさんの姿があった。桜は感情が高ぶっているせいか、魔力の副作用で女性の身体つきになっていた。まるでレディースのようにも見えるが、これはこれで桜に似合っているような気がする。うーむ、眼福眼福。


 「おっ、気合が入ってるじゃん、兄弟!」


 「・・・桜もそれ、着てくれたの?」


 感動で胸が震えて、思わず涙ぐんでしまう。


 「兄弟が気合を入れて作ってくれたからな。オリヴィアも準備は整っているぜ」


 「今日は正念場や、ここを乗り切ったら、明日は思う存分カジノで遊びまくるで!トーマちゃんとサクラちゃんも、たまには羽目を外して遊ばんとなぁ!」


 「俺たちまで羽目を外したら、誰がお前らの暴走を止めるんだ」


 「アホ、こうでも言わんとお前らすぐに視界が狭くなるやないか。ええか、こういう負けられへん一世一代の大勝負の時には・・・笑って挑んでいけばええんや。一歩でも引いたら崖から真っ逆さまやっちゅうこんな状況、そうそう体験できるもんやない。どうせ人は必ず死ぬんや。それならせめて死ぬ前に、デカい死に花咲かせてやるぐらいの勢いでいかんとどうするねん」


 かなり無茶苦茶なことを言っているようにも思えるけど、何だか呆れてしまった分、不思議と落ち着いてきた。負けたら死ぬ、死にたくないから勝つ。もうやるべきことなど決まり切っているんだから、今更焦って仕方がないじゃないか。


 「・・・楽しもうぜ、兄弟!」


 「・・・ああ、邪眼一族がなんぼのもんじゃい!」


 不敵な笑みを浮かべて、お互いに顔を見合って笑いあった。

 生きるか死ぬかっていう状況なのに、なぜかこんな状況に置かれている自分たちがおかしくて仕方がない。


 一世一代の大喧嘩、派手に暴れてやろうじゃないか!!


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 そんなことを考えていた時期も、僕にもありました。


 「・・・ベリス姉さま、すみません」


 「どうかしたのかしら、トーマちゃん?おトイレなら早めに済ませていらっしゃい」


 「いえ、そうではなくて、ものすごくたくさんの人が来ていませんか・・・?」


 決戦の舞台となる、この街の中央に建てられた巨大な闘技場は歴史を感じさせる重厚な作りをしていて、まるでイタリアのコロッセオを彷彿させるほどの豪奢な建物だった。そして、スタジアムの中には外からでも分かるほどに、興奮に満ちた歓声があふれかえっていた。


 座席のほとんどを埋め尽くす、人、人、人の数・・・。


 花火が何発も打ちあがり、耳がキーンとなるほどの騒がしい声が嵐のように吹き荒れている。最終決戦というよりも、まるでスポーツ観戦のような状況になっているのはなぜなのだろう。


 「今度の戦いはソロモン72柱の魔神だけではなくて、魔界中の魔族たちが注目している戦いだからねぇ。チケットは完売だったらしいわよ。プレミア級の値段がついたにも関わらずね」


 「まるっきりショー扱いじゃねえか」


 「まあ、今回の戦いを裏で賭けをしているような連中もいるぐらいだしね。その額もバカにならない。なぜなら、魔界の四大勢力のうちの二家が正面切ってやり合うんだ。どちらが勝っても負けても、魔界は荒れるぞ。この戦いを制したものが魔界でも最強の勢力を手に入れるんだからな」


 「どっちに着くか、しっかりと見極めないといけないからねえ」


 そんな大事な勝負の内容が【鉄板焼き】【射的】【モグラ叩き】で本当にいいのだろうか。


 「それに、他の”王”も見に来ているわ。ほら、あそこにいるのは私たちと同じ王の【ベリアル】家の当主【バルバラ・フォン・ベリアル】よ。ソロモン王に次ぐ権力と実力を持つ高名な魔神の名家で、堕天使の頂点に君臨しているとも言われているわ」


 そこには、軍服と軍帽を着込んでいる、長身の女性が鷹のように鋭い目つきで僕たちを見つめていた。顔に刻まれている大きな傷跡や鍛え抜かれた筋肉で覆われている体躯は、まるで歴戦の戦士か軍人のようにも見える。


 「そして、あっちが【ビフロンス家】の【ベルナデッダ・フォン・ビフロンス】。アンデッドやゴースト系の魔物を全て従えることが出来るとも言われている、世界でも五本の指に入るネクロマンサーよ」


 銀髪のロングヘアーに、黒を基調とするドレスに身を包んでいる妙齢の女性の肌は病的なほどに青白く、彼女の周囲には鬼火のような炎が浮かんでいた。


 「これだけの大物が揃っているとなると、さすがの私も緊張してくるな・・・」


 さすがのアイリスもこの状況には緊張しているのか、表情が強張っている。


 「そうか?せっかくの祭りだぜ?派手に楽しめばいいじゃん!」


 しかし、この人だけは相変わらずのマイペースというか、大物のような貫禄ぶりを発揮する。うん、天然って本当にすごいなと思ってしまう。


 「・・・お前の辞書に緊張という単語はないのか」


 「あるわけないでしょう。団長の何に期待しているのよ、アンタは」


 「ニャハハハ、もうここまで来ちまったら腹を括っていくしかないじゃん。それに、こういうのは楽しんだモン勝ちだぜ?なあ?」


 そう言って、僕の肩を組んで、力強く抱きしめてくる。


 そうだよ、いつもこうやって大アネキは僕に勇気を与えてくれる。

 その思いに答えられないなんて、彼氏としても、仲間としても情けないじゃないか。


 「・・・レベッカ」


 「あん?」


 「・・・僕たち、絶対に勝ちます!しっかりと見ていてください!」

 

 「・・・もっちろん!」


 そう言うと、僕のあごに手をかけて引き寄せると、そのまま僕の唇を・・・自分の唇に重ねた。

 野性的で、情熱的な彼女らしい力強いキス。普段は豪快で何事にもさっぱりとしている大アネキの「女」の魅力を魂に直接ぶつけられるような感覚に、脳味噌が甘く蕩けそうになった。


 「・・・勝てよ、トーマ。それと、今度は二人きりの時にレベッカって呼んでくれよ」


 まあ、皆の前では団長というのも忘れるなよと言いつつも、レベッカの頬が赤く染まっていた。


 「にゃははは、気合入ったかぁ?」


 「・・・はい!」


 負ける気がしない。

 身体中から力があふれ出しそうなほどに、みなぎってくる。

 そして、僕たちは歓声で溢れかえっている騒がしい会場に、足を踏み込んだ。


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 『それではこれより、ヴィネ家とベレト家による”誇り高き魂の決闘”を開始いたします!!私は本日の対決の審判及び実況を務めさせていただきます、ナスターシャ・ネーデルハイトでございます!』


 円形のリングの上で、牛のような角を頭部から生やし、白色と黒色のツートーンヘアーにしている【ハクタク族】の女性がマイクを片手に実況をしている。彼女はソロモン家から遣わされているらしく、公平なジャッジと不正を見逃さない鋭い観察眼が定評らしい。


 長く感じられるような挨拶の言葉が続くと、ついに、僕たちと対決する邪眼一族のチームが姿を現して、リングを挟んで向かい合う。


 「・・・光」


 そこには、光の姿があった。

 しかし、彼女の瞳には光が消え失せていて、目の下には濃いクマが浮かんでいる。

 そして、僕を見つめる視線には怒りや憎しみが入り混じった無限の闇が渦巻いているように見えた。ここからでも肌に突き刺すような殺意が伝わってくるようだ。


 そして、褐色肌のギャルっぽい雰囲気の美女で、背中から天使のような翼を生やしているのが最後の四天王【窮奇】で、その隣には同じクラスの【高森士郎】の姿があった。


 『まずは【ベレト家】の【彩虹の戦乙女】!』


 「・・・ほな、行くで」


 「おう!」


 「・・・はい!」


 そうだ、もうやるしかないんだ。

 絶対に、光を連れ戻すって決めたんだ・・・!


 『続いて【ヴィネ家】の【邪眼一族】!!』


 「シロウ、ヒカル、抜かるんじゃないわよ」


 「・・・黙れ・・・殺すぞ・・・斗真も・・・どいつもこいつも・・・殺してやる・・・」


 「やれやれ、殺気立っておるのぅ。まあ、せいぜい楽しませてもらうぞい」


 僕たちが向かい合って並ぶと、光たちを率いてくるあどけない顔立ちをしている少女がほくそ笑んでいた。何故だろう、そのほほえみはまるで巨大な爬虫類のようで、見つめられただけで身体が凍り付いて動けなくなりそうなほどに冷たいものだった。


 「・・・あやつが【ヴェロニカ・フォン・ヴィネ】。邪眼一族のトップじゃ」


 「・・・こりゃ、確かに油断していたらヤバそうだわ」


 そして、僕たちが向かい合うと審判のお姉さんがルールについて説明を始める。


 『両チームの代表、前へ!』


 ヴェロニカとベリス姉さまが出て、不敵な笑みを浮かべているヴェロニカに対して、ベリス姉さまは怖いぐらいの真剣な表情で睨みつけていた。


 「ルールは3本勝負。先に2勝したチームが勝ちじゃ。良いな?」


 「・・・構わない」


 「こっちはヴィネ家の財産、領地、そして邪眼一族の全てを賭ける。さらには、お主たちが探し求めていたこれも賭けるとしようかのぉ?」

 

 そう言うと、使いの人らしきスーツに身を包んだ魔族の女性がカバンを持ってきて、僕たちの前に開いた。そこにはさび付いている短剣が大事そうに収まっていた。


 それを見た瞬間、ベリス姉さまの目が大きく見開かれる。


 「・・・それは・・・テフヌトの霊剣!?」


 霊剣!?それって、ホルス様と一緒に作られたっていう、あの剣のこと!?

 まさか、邪眼一族が先に手に入れていたなんて・・・!


 「いかにも。先に妾たちが手に入れたものじゃ。お主たちはこれを探していたのであろう?」


 「・・・ちっ」


 「妾が勝利した暁には、彩虹の戦乙女を妾の所有物とさせてもらおうか。そして、そこの魔法裁縫師のカジ・トーマじゃがのぉ、妾の・・・愛玩奴隷になってもらおうか?」


 ぺろりと赤い舌を少しだけ出して、舌なめずりをしながら幼女魔王はとんでもないことを言い出した。潤んだ瞳をこっちに向けて、熱でもあるかのように甘く蕩けるような声で話を続ける。


 「これほどの魔力を持っている魅力的な男の子種を取り込めば、妾はヴィネ家において歴代最高の当主となる子を孕むことが出来るであろうなぁ?」


 「・・・テメェ、最初から狙いはトーマちゃんってことか」


 「いかにも。まあ、他の七大魔王の転生者も使い道はいくらでもありそうじゃしなぁ」


 「・・・お前のようなヤツに、うちが育てた狂犬どもが飼いならせることが出来るかどうか、この戦いで見極めてやろうじゃないの。せいぜい、ほえ面をかかないようにしなさいな」


 二人の間にバチバチと火花がぶつかり合う。


 『それではこれより、第一回戦を開始いたします!第一回戦は『強欲なる狩人の狩猟会(ブラック・ホーク)』!【彩虹の戦乙女】からはオリヴィア・オズボーン選手!』


 「よっしゃ、ほな、行ってきますよって!」


 「気を付けて行けよ!」


 「オリヴィアさん、頑張ってください!」


 オリヴィアさんは軽く手を振って、リングに上がっていく。


 『【邪眼一族】からは窮奇選手!!』


 そして、オリヴィアさんと窮奇がリングで向かい合って立つと、リングの周りを青い光の壁が現れて、囲んでいく。


 『それではこれより『強欲なる狩人の狩猟会(ブラック・ホーク)』を開始します!ステージ、オープン!!』


 審判のお姉さんが指を鳴らすと、リングの上がいつの間にか荒れ果てた遺跡の風景に変わっており、その中にオリヴィアさんと窮奇の姿があった。


 負けられない勝負が、始まった・・・!

 

次回はオリヴィアVS窮奇の【射的勝負】を書きます!

決戦のはずなのに、ギャグあり、程よくシリアス有りの作品が書けるように頑張ります!


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] つばさが合流時に届けてくれた聖剣セクメト(何故か届けて貰った時から霊剣テフヌト)。 あれから結局、話に出てこなくなっていると思っていたら、ヴェロニカの手に。 主人公達も、探していたとか…
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