第四話「Inevitable duel~手袋を拾ったら決闘の合図とか言うヤツがいたら、とりあえず拾う前に先制ドロップキック~」
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【斗真視点】
翌日。
僕たちはベリス姉さまから、サマリア城の大広間に呼び出されていた。
何でも「ものすごく面倒なことになったから、全員とりあえずツラ出せ。バックレたら死刑」とのことだが、どうして呼び出されたのか僕たちは何も聞かされていないため、見当がつかない。
(確か姐さん、最近ソロモン72柱の合同会議に参加していたよな。まさか、オレたちのことで、何か言われたのかな?)
(ふむ、その可能性はあるな)
(・・・まさか、また減給とか始末書とかちゃうやろな?)
(・・・お前たちは普段からどれだけやらかしまくっているんだよ)
自分たちの行動が原因で迷惑をかけまくっていることを自覚しているなら、少しは自重してほしい。大広間に案内された後、ベリス姉さまが不機嫌そうな表情を浮かべて、頭を抱え込んで、一言も口にしないまま、気まずい空気が流れていく。僕たちはアイキャッチで、どうしたものかと話し合う。
(あらあらまあまあ~、そんなこと、いつものことではありませんか~。今更悔やんでも時すでに遅しというものですわ。こういう時は、もう開き直ってどんと構えていればいいんですよ)
(・・・・・・説教が始まったらすぐに意識を失って、目を開いたまま寝るとしよう)
一度でいいから、本気で反省してください。
「・・・はあ・・・今日は呼び出してしまって、本当に申し訳ないわね。結論からまず言うと・・・ヴィネ家・・・つまり邪眼一族が私たちに”誇り高き魂の決闘”を仕掛けてきやがった」
「ゲッ、マジかよ!?」
「ちっ、その手があったか。それなら、他の魔神たちからも文句は言われないだろうからな」
「邪眼一族も本気でウチらを潰しにかかってきたっちゅうこっちゃな」
大アネキたちの顔色が強張っていく。
一体何だろう、その・・・ヴァルハラ・ゲームって?
「なあ、ミーナ。その”ヴァルハラ・ゲーム”って何だ?」
「・・・ソロモン72柱に所属する魔神たちは基本的に内輪もめはご法度になっているんだけどね。家の当主が当主を務めている期間に一度だけ発動することが出来る”ヴァルハラ・ゲーム”というものがあるんだ」
このゲームのルールを設けたソロモン家の当主曰く「魔神同士の争いごとやもめごとが起きないように、この特別ルール以外における内輪もめは一切禁止とする。破ったものには一族断絶、お家取り潰し、一族郎党処刑も辞さない」と言って、ソロモン72柱に選ばれた魔神たちが争いあって、魔界をかつての戦国時代のような乱世にしないことを目的として作られた。
このゲームは、当代の当主だけが、自分が当主を務める間に一度だけ発することが出来る決闘で、対決は3本勝負と定められている。ゲームの勝敗は3回戦行われて、先に二勝した者が勝ちとなり、3回戦でも決着が着かない場合はサドンデスの延長戦が行われる。
勝った魔神は負けた魔神の家、財産、領地の全てを自分の家の所有物としていただくことが出来る。つまり、負けてしまったら全てを失う上に、負かした相手に絶対的服従を誓わなければならないのだ。もし取り込まれた後に暗殺や謀略などの裏切りなどの行為を行ったら、ソロモン家を始めとするソロモン72柱の全ての魔族に粛清される”排除”の対象となり、陰謀を企てたものだけではなく、一族郎党の全てが処刑されるという過酷なルールが設けられている。
「そうやって自分に敵対する派閥を取り込んで監視下に置くことで、今後自分たちに反旗を翻しそうな魔族たちを抑えつけることが出来るし、自分たちの家の戦力を大幅に強化させることが出来るというわけさ」
「今までウチらにヴァルハラ・ゲームを挑んでくるヤツはいなかったら安心していたっていうのに、あのロリババァはマジで出してきやがった・・・!他のソロモン72柱の魔王たちも、ヴィネ家とウチがもめていることを知っているから、いい加減決着を着けろって言ってくるし、ソロモン家当主もそれを承諾してしまったのよ・・・!」
あ~、なるほど。
内輪もめが禁止になっている上に、クロス王国が大変なことをやらかそうとしている時だから、ソロモン72柱が一致団結して解決に臨もうとしているのに、僕たちと邪眼一族がもめていることに、とうとうソロモン家のお偉いさんが完全にブチ切れたんだ!それで、邪眼一族がヴァルハラ・ゲームを挑んだことを利用して、僕たちの争いをさっさと終わらせろと言いたいんだろう。
「つまり、邪眼一族と決着を着けろってことだろう?上等じゃねえか、オレたちに喧嘩を売ってきたことをたっぷりと後悔させてやらぁ」
「さてと、いつ殴り込みにいきましょうか~?今すぐでも構いませんわよ~?」
「・・・・・・仏恥義理で行くんで、夜露死苦」
「たっぷりと地獄を見せてあげないとねぇ~?」
いつの間に全員特攻服を着て、髪の毛をポマードで固めて、全員殺る気マンマンなんですけど!?つか、アンタらいつの時代の暴走族だよっ!?つか、この世界に暴走族とかいたのか!?
「・・・例え負けたとしても、排除されようが絶対に報復しようとするうえに、放っておいたら何をやらかすか分からない上に常識も理性もない、頭のネジが外れまくっているこんな狂犬たちを誰が欲しがるって言うのよ」
ああ、おそらくそれが他の家からヴァルハラ・ゲームを申し込まれてこなかった理由だよな。
まず、大アネキたちとかかわったら何かしらのトラブルに巻き込まれることはほぼ確定になるし、彼女たちがやらかしまくって、莫大な被害を出しまくったらあっという間にその家の財政は傾くことだろう。
「・・・疫病神と貧乏神と死神がセットになって来るんじゃ、誰も喧嘩なんて吹っかけたりしないよな」
「・・・うん、関わり合いになりたくないって思うのが当たり前だよね」
「サクラ、一つだけ違うぞ。私だけは唯一まともだぞ。バカで常識がないのは、私以外のこいつらだけだ」
「あらあらまあまあ~、筋金入りのショタコンな上に変態なおバカさんが何か寝言をおっしゃっていますわよ~?」
「・・・・・・自覚がない分、ある意味一番ヤバい」
「お前たちには言われたくはない!二重人格で可愛い男の子を見たら手を出さずにはいられない、肉臭いオオカミ女と、何を考えているのか全く分からない電波系宇宙人のくせに、私のことをよく言えたものだな」
「・・・・・・あ゛ん?」
「カッチーン」
あの、皆さん?
今はそんなことでもめている場合じゃないと思いますよ?
「やっぱりこの中で一番まともというか、みんなをまとめられるのはリーダーのオレだけだろっ!」
「アンタが一番心配なのよ。方向オンチだし、バカだし、脳筋だし、やることなすことが何でも力任せで強引に片付けようとするんだから!少しは考えてから行動しなさいよ」
「お前だってオバケを見るとすぐに暴走して、ものとかたくさん壊しまくるじゃん!しかも、絶対に料理やお菓子を作るなって言っているのに、しょっちゅう暗黒物質を作り出してはトーマやサクラを臨死体験させているし!!」
「そのうえ、ヘタレやからなー。ニナちゃんも自分で思うとるほど常識人やないと思うで?」
「何よ!お金儲けのためなら、トーマやサクラのお風呂に入っているところや寝ているところを隠し撮りして、勝手にグッズを作っては売りさばいて金儲けをするような金の亡者には言われたくないわよ!」
「1ゴールドでも割り勘をするときにきっちり分けないと気が済まないドケチでがめついところもちょっと引きますわよ~?だからモテないんですのよ?」
「おう、喧嘩を売っとるんか?買うたろうか!?」
「おもしれー、こうなったら邪眼一族とやり合う前に、テメーら全員ボッコボコにしてやらぁ」
ちょっと・・・!
これ、なんだかすごくヤバくない!?どうして、邪眼一族と決戦を迎えることになったのに、仲間割れなんてしている場合じゃなくない!?しかもみんな結構ひどいことを言いまくっているし!!
「桜、これ、どうしよう!?」
「放っておけ。もうすぐベアトリクス陛下のカミナリが落ちて、全員大人しくなるだろう。もし終わらなかったら、俺が終わらせてやる」
そう言って、桜が刀の柄に手を置いた。
そして、彼女たちを見る目つきが氷のように冷たく鋭いものに変わっていたので、嫌な予感がした。
「不毛な争いを止めてくれるんだよね?」
「争いと雑草は根元から立つのが手っ取り早いんだぜ?」
「いや、彼女たちの人生そのものを終わらせようとしないで!?」
ヤバい、桜が『こんな時に喧嘩をしている場合じゃないだろう』と本気で怒っている!!
「そろそろやめたまえ。ここで仲間同士で争いあってもお互いに傷つけあうだけさ。君たちが不毛な戦いをしていると、ボクも悲しくなってきてしまうよ。落ち着いてくれたまえ、可愛いハニーたち」
「「「「「「うるさい、黙れド変態!!スケベ!!ナルシスト!!」」」」」」
一言一句、全員が同じ言葉をハモってヴィルヘルミーナさんを怒鳴りつける。うん、コイツら本当に喧嘩をしているのかと思うほどに息がピッタリなんですけど。
「フッ、褒め言葉さ!君たちに罵声を浴びせられると、身体中に気持ちいい電撃がビリビリと伝わってくるようだよ!」
「・・・・・・マジで頭がイカレている」
「ハッハッハ、美しく可愛らしい姫君たちの前では、王子は何時でもバカになってしまうものさ!」
みんなに悪口を言われても、カッコつけてポーズを決めて、薔薇を口にくわえて微笑むあまりにもイタすぎるヴィルヘルミーナさんの姿は、ある意味で僕たちを全員絶句させるものだった。
ま、まあ、争いごとは一応収まった感じだけど、
「・・・コイツら、時々この中で誰が一番まともなのかって、喧嘩をするのよ・・・」
ベリス姉さまが深くため息をついて、僕に教えてくれた。
うん、何て果てしなく不毛な戦いなんだろう。僕から見れば全員ドングリの背比べだ。
果たしてこんな調子で本当に大丈夫なのかな?
ドングリの背比べ、目糞鼻糞を笑う、まさにその言葉がぴったりな彼女たち。
そりゃ誰も引き取ろうなんて思いませんよね・・・。
この話を読んで、7人の中で一番まともだと思うお気にいりのヒロイン、一番ヤバいと思うヒロインについてご意見、ご感想ございましたら、お聞かせいただければとても嬉しいです。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!




