表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
224/300

第一話「The die is cast~幼女魔王、ついに動き出す~」

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!

今回から第十章「原罪の魔王の覚醒編~ゴールド・リヴァーの戦い~」に入ります。

主人公は斗真と桜、そしてオリヴィアが中心となります。

 【三人称視点】


 「ほっほっほ、まさかあの魔神八傑衆を5体も封印してしまうとはなぁ。やはり、カジ・トーマは妾を退屈させんなぁ。さらに、妾たちの憎き仇であるカリノ・ミヅキまで倒してしまうとは。胸がすいたわい」


 邪神の像が燭台で揺らめく緑色の炎によって、不気味な姿を見せている。

 邪神と契約を交わしたことによって、魔族にはない強力な身体能力と特殊能力を持ち、残虐的かつ好戦的な気性を持つ邪眼一族を統べる【ヴィネ家】当主【ヴェロニカ・フォン・ヴィネ】は水晶玉を眺めながら、楽しそうに笑みを浮かべていた。しかし、その瞳は獲物に狙いを定めた狩人のような獰猛な光を放っている。


 「・・・のう、窮奇よ。そろそろ、熟れた果実の狩り時ではないか?」


 「・・・カジ・トーマを邪眼一族に引き入れるということですか?」


 「うむ、妾は欲しいものはどんな手段を用いても手に入れる主義じゃ。カジ・トーマ。あやつこそが、次代のヴィネ家の当主となる子を妾に宿すにふさわしい人物じゃ。妾の身体も、あやつを求めて、火照りと疼きが止まらなくてのぉ・・・」


 艶めかしく唇を舐めながら、欲情を隠し切れないと言った潤んだ瞳で、ヴェロニカは下腹部を撫でだす。そして、水晶玉に映っている斗真に愛おしそうに、熱い吐息と共に話しかける。


 「・・・ああ・・・何とも素晴らしい魔力じゃ。これほどなまでにエネルギーに満ちている魔力を取り込めば、妾は大いなる魔力を授かることが出来る。そうすれば、ソロモン72柱などという煩わしいものなど切り捨てて、妾が魔界の全てを支配することも夢ではない」


 「・・・魔界全体の魔族たちを全て敵に回すおつもりですか?」


 「何か不満でもあるのか?この魔界の支配者は妾一人だけでよい。いい加減、あの鬱陶しいベアトリクスや古参の魔王どもの顔を見るのも飽きてきたところじゃ。それに、ベアトリクスから、一番大切にしているものを取り上げられて、妾と夫婦になり、子を孕んだ時、あやつはどんな顔をするのじゃろうなぁ?どんな絶望的な表情を見せてくれるのか、考えるだけで興奮が止まらないわい」


 ベアトリクスに対する一方的な敵視。

 彼女を絶望に叩き落すためなら。彼女はどんな外道な手段であろうと躊躇なく行う。彼女は自分の野望を満たすためなら、邪魔となるものは全て排除する冷酷無慈悲な一面があることを知っている窮奇は、彼女が放つ殺気からその言葉が本気であることを悟った。


 「それに、新しい手駒も用意が出来たから、お披露目するとしようかのぉ?」


 「まさか、アイツらを本気で四天王の一員として受け入れるおつもりですか!?」


 窮奇は驚き、思わず声を上げてしまった。


 「・・・妾はこんなことを冗談で言わんが?それとも、お主は妾が決めたことに不満か?」


 「・・・い、いえ、そのようなことは決してございません。ですが、彼らは魔神八傑衆の中でも”二極神”と呼ばれる、魔神たちの中でも突出した能力を持つ強大な存在です。彼らが自分たちのことを売り込んでくるとは、何か企んでいるのではないでしょうか?」


 「構わんよ。その時はその時じゃ。じゃが、あやつらと妾たちの利害は今一致している。今、魔界からも、人間界からも注目されている”彩虹の戦乙女”が壊滅すれば、世界中に大きな衝撃を与えることになるだろう。妾はそれを踏み台にして、魔界と人間界に宣戦布告を行う。これはヴィネ家、いや、妾が生み出した邪眼一族こそがこの世の全ての支配者であることを世界中に知らしめるための聖戦じゃ!」


 あくまでも話を聞き入れる様子のないヴェロニカは、まるで何か狂気にとり憑かれているように、窮奇には見えた。いや、今までにも何度か、全てを支配することに快楽を感じ、大いなる力を手に入れることに執着している狂的な一面を何度か見てきたはずなのに、それでも彼女を主として信じ、支えていこうとここまでついてきたのは自分で決めたはずなのに、窮奇の顔色は優れない。


 (・・・渾沌、橈骨、饕餮、今まではアンタたちがいてくれたから、何とかやってこられたけど・・・アタイ一人だけじゃ・・・何だか・・・押しつぶされてしまいそうだよ・・・!目の前にいるのが、アタイが知っているヴェロニカ様とはまるで別人のように思えてならない。これが彼女の本性だったのかと思うと、怖くて、怖くて、今にも逃げ出したくてたまらないよ・・・!)


 理性のタガが外れてしまったような主の姿に愕然とするが、これ以上、窮奇は主を諫める言葉が口から発することは出来なかった。彼女がヴェロニカに付き従う理由はただ一つ、それは恐怖だった。彼女の放つ殺気と得体のしれない魔力、そして目的を果たすためなら手段を選ばない苛烈な性格を知っているからこそ、もし何か彼女の機嫌を損ねてしまえば、次に消されるのは自分であるということを察していた。


 「・・・お話は終わったかの?」


 玉座の間の扉が開き、ヴェロニカと窮奇の前に二人の人物が姿を見せた。


 「おお、今からお主たちを呼ぼうと思っていたところじゃ」


 「しかし、ワシらを仲間に引き入れようとするとは、陛下もなかなか大胆不敵なことじゃのぅ」


 「貴様、ヴェロニカ様にそのような軽口を叩くな!!」


 窮奇が思わず立ち上がって激昂するが、窮奇に怒鳴りつけられた彼は臆することもなく、どこ吹く風と言ったように余裕綽々な笑みを浮かべている。ビジュアル系メイクを施したパンクロッカーのようないでたちをした中性的な風貌をした小柄な少年【高森士郎】は、窮奇の横に並んで跪いた。


 「・・・この度は、我々と手を組んでいただけることを心から感謝申し上げます。ヴェロニカ陛下」


 「ふむ、闇の魔神オプスキュリテよ。お主は四天王の一員として迎え入れたのじゃ。そのように堅く並んで、気を楽にするといい」


 「・・・寅若よ、お主も陛下に挨拶をせんか」


 そして、高森に呼ばれて姿を現したのは・・・何と寅若光だった。


 「光の魔神ラディウス。お主も我が四天王の一人として、歓迎しようではないか」


 「・・・ええ、よろしくお願いいたします。斗真と決着を着けたくても、レベッカや魔王軍が黙っていない以上、彼らが邪魔をすることがないように抑えていただけるよう、お願い申し上げます。その見返りとして、貴方の計画に、微力ながら力をお貸しいたしましょう」


 「トーマと決着を着けるにあたって、邪魔が入らない様にするために妾たちに”彩虹の戦乙女”を潰せと申すか。まあ、いいじゃろう。じゃが、トーマの命を奪うことは許さぬ。トーマの身体を回収して、彼の魂と精気を妾の身体に取り込まねばならんのでなぁ。決着と言っても、トーマを大人しく妾のもとに連れてくるまでという条件を受け入れるならば、多少のお遊びは目をつぶるとしようかの」


 「・・・ありがたき幸せ」


 こうして、寅若光と高森士郎・・・【光】の魔神ラディウスと【闇】の魔神オプスキュリテの【二極神】とまで呼ばれるほどの、魔神八傑衆の中でも1・2位を争うほどの高い魔力と強大な戦闘能力を持つ魔神二人が、邪眼一族の四天王として新たに加わったのだ。


 (・・・トーマ、これでもうお前は私と戦うしか道は残されていないぞ)


 (お前は私とは戦いたくないと言うだろうが、もうこれで私との戦いを拒否することは出来ない)


 (・・・3年前のあの事件、お前に全てを奪われたあの日に誓っていたリベンジを、今こそ果たす時だ)


 (私が死ぬか、お前が死ぬか、どちらかが死なない限り、この戦いは終わらないんだ!)


 (私の憎しみは・・・お前を倒すことでしか消えないんだ!)


 斗真に対する憎しみが募るあまり、光は後戻りが出来ない道を選んでしまった。


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 一方、その頃・・・。


 「いやー、トーマとこうして二人きりでデートが出来るなんて、まるで夢のようだぜ!」


 「全くもう、遊びのためならあれだけの量の仕事をあんな短時間で全部出来ちゃうなら、普段から事務仕事もアイリスたちに任せっきりにしないで、手伝えばいいのに」


 「えー、ヤダよ!オレ、文字とか数字とか長い間見ていると、意識が遠のいていくし、目がグルグル回るし、すぐ眠くなっちゃうしさ」


 仕事を珍しく短時間で片づけて、早めに退勤することが出来たレベッカは非番だった斗真を連れ出して、斗真がよく桜たちと駄弁っている灯台にやってきていた。二人きりでこうしてデートをするのは意外と初めてなので、レベッカは嬉しそうにスキップをしながら斗真にベタベタとくっついてくる。


 「早くタイヤキ食おうぜ!」


 「はいはい、もうすぐ着くから!」


 「やったぁーっ!!」


 紙袋にたっぷりと入っているタイヤキの甘く香ばしい香りを嗅ぎながら、レベッカは喜びの舞をドンドコと踊り出す。


 そして、灯台に昇って、海が一望できる見晴台に座ると、並んで座ってタイヤキを取り出した。


 「ほい!半分こな!へへへっ!」


 レベッカがタイヤキを半分に割って、頭の部分を斗真に渡した。


 「どうしてこんなにあるのに、半分こなの?」


 「だってこっちの方が美味しく感じるじゃん!」


 「・・・あー、確かにそう言うのってあるかもね」


 熱々のたい焼きをふぅふぅと冷ましながら、レベッカがタイヤキを口の中に頬張り、あんこの甘味と香ばしい皮の歯ごたえ、とろりととろける中身を味わいながらご満悦の表情を浮かべる。


 「うんめぇぇぇ~っ!!サクラ、本当にこういう珍しいお菓子とか料理とか作るのが得意だよな!」


 「・・・半分こ、か。懐かしいな」


 斗真がサクサクとタイヤキを食べながら、ぽつりとつぶやいた。


 「お?お前も半分ことかしたことがあるのか?」


 「僕の場合は3等分だったけどね。三色パンっていうのがあってさ。昔は僕と、つばさと、光で3色パンを3つに分けて食べていたんだ。光とはいつも喧嘩をした後には、仲直りで食べていたっけ」


 そう言って、斗真は少しだけ寂しそうに笑いながら、ぽつりぽつりと話し始めた。

斗真と決着を果たすために、和解の道を壊して、邪眼一族の仲間となった光。

斗真との戦いはもう避けられないのだろうか。そして、斗真たちに降りかかる次のトラブルとは?


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ