第十二話「”彩虹の戦乙女”救出大作戦⑩~前回の話と比べると今回はかなり温度差があります~」
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新作が書きあがりましたので、投稿いたします!
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【三人称視点】
「・・・はぁ・・・はぁ・・・これで全員か?」
「・・・ああ、そうみたいだねぇ。とにかく、急いでサクラを列車に連れて行かないと」
迷路の中はもはや地獄絵図と化していた。
オリヴィアの槍で突かれた魔物たちが壁に並ぶように串刺しにされているわ、天井に頭を突き刺したままの状態でブランブランとぶら下がっている魔物の姿もあるわ、ヴィルヘルミーナの双剣によって全身をズタズタに切り裂かれて、肉の塊と化して血だまりに沈むものもいれば、強烈な蹴りを喰らって体の一部が陥没、もしくは粉砕された無残な状態で倒れているものもいる。
ちなみに一番ひどい状態だったのは、桜を騙して不意打ちを仕掛けたヴィルヘルミーナの偽物だった。その死にざまは、原型を保っていないほどに打撃や斬撃を叩き込まれまくってボロボロの状態となっていた。
桜たち3人に対して、100体以上の魔物で一斉に襲撃を仕掛けた結果が・・・3人の圧勝という形で幕を下ろした。ヴィルヘルミーナとオリヴィアが負傷した桜を肩に担いで起き上がろうとしたが、子供の姿のままでは桜を支えるのがやっとだった。
「サクラ、しっかりせぇ!!絶対に死ぬな!!」
「・・・うるせぇな、こんなところで死ねるわけねーだろ・・・」
口から血を流して、虚ろな瞳で桜が舌打ちして答えた。
まるで「こんなのかすり傷だよ」と強がりを言っているように。
「・・・ここで死んだら・・・アイツらに・・・怒られちまうよ。”惚れた女たちを悲しませるようなことをするな。リーダー、ダッセェぞ。”てな。死なねえよ。お前たちがいてくれる。絶対に死なねえ」
「・・・サクラ・・・!!本当にごめん、ボクたちが油断をしていて、子供の姿にされたりなんてしなければ・・・!」
「・・・大丈夫だって。お前らがポカをやらかすなんて、いつものことじゃん。今回も最後まで付き合ってやるからよ。全部終わったら、みっちりと説教だ・・・」
「・・・ほどほどにしといてや」
「・・・そして、その後は3人で熱くて甘く蕩けるようなアバンチュールを楽しもうね!」
「・・・こんな時まで、ヤることばかり考えてンじゃねーよ・・・ったく」
「ええやんけ。こういう時こそ、楽しいことを考えて生きる気力を着けとかんとな!ウチもたっぷりと可愛がってあげるからなぁ?せやから、絶対に死ぬな!」
「・・・分かったよ・・・」
桜が腹部の傷を手で抑えて、激痛に歯を食いしばって耐えながら、ヨロヨロとおぼつかない足取りで歩いていく。床に落ちていく血液の量が少しずつ大きく、量が増えていき、反比例するように桜の顔色が悪くなっていく。
(・・・斗真、悪いけど、ちょっとだけ休ませてもらうぜ。回復したら、すぐにそっちに行くから!)
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
【斗真視点】
『桜が負傷して、戦線を離脱した』。
その知らせをオリヴィアさんから通信で聞かされた時、僕の頭の中で何かが切れるような音がした。
花房くん、どうやら僕たちのことをとことん本気で怒らせなければ気が済まないみたいだね。
こっちだって最初から倒すつもりでいたけど、ここまでやられた以上、こっちだって思いつく限りの報復を味合わせてやろうじゃないか。
「・・・花房・・・地獄を見せてやろうじゃねえか・・・!!」
「あらあらまあまあ・・・、トーマちゃんが魔王に覚醒してしまいましたわね」
オリヴィアさんが突然「サクラに何かあった!?」とか言い出して、突然飛び出していったかと思ったら、まさか本当に桜が大変なことになっていたなんて。というか、よくオリヴィアさん、桜に何が起きているのかとか、桜の居場所が分かったな。
アレクシアさんの植物を自在に操る魔法で、このダンジョンに生えている無数の木々を伝って情報を収集して、今、仲間たちがどこで何をしているのか確認を取ることが出来た。
『現在の状況』
<斗真チーム>
梶斗真
アレクシア・アッシュクロフト
ビビアナ・ブルックス
ルカード・ギラファ(洗脳が解かれたクワガタムシの虫人族)
現在【人食いワニと楽しい楽しいサバイバルボートレース】のアトラクションに到着。
【バトルコースター】攻略完了!
<レベッカチーム>
レベッカ・レッドグレイブ
ニナ・ナルカミ
???←魔力による障害電波のため、認識不能。
現在【バトルコースター】エリアを探索中
【ホラーハウス】を全焼により、攻略完了!
<桜チーム>
幕ノ内桜(怪我の治療のため、一時的に戦線離脱)
ヴィルヘルミーナ・ワイズマン
オリヴィア・オズボーン
現在【列車停留地】に移動中!
【巨大迷路】を攻略完了!
アイリス・アーヴィング:現在行方不明。
「大アネキたちと一緒にいるもう一人の同行者って、誰なんだろう?」
「分かりませんが、団長とニナちゃんが共に行動をしているということから、敵という認識ではないというのが、植物たちが見て感じ取った情報らしいですわ~」
「・・・・・・団長のことだから、きっとまた”気に入ったから仲間にした!”とか言って強引に振り回している可能性もある」
「・・・団長だったらあり得ますわね~。あの人、基本的に他人を疑うと言うことを知らないですし」
「・・・・・・タイマン張ったら仲間、という謎理論が座右の銘というバカ」
何その、昭和のヤンキー漫画に出てきそうな発想は。
しかし、その理論を貫き通した結果が【最凶最悪の傭兵団】を結成し、無敗神話を築き上げてきたというのだから、大アネキの方向性はズレているけどバイタリティだけなら世界一とも言えるだろう。
「さてと、このボートをクリアすれば、花房がいる場所に繋がる扉が開く仕掛けになっているんだよね」
「それじゃ、さっさとクリアしてあのムカつくオカマをブッ飛ばしに行きましょうか~」
「・・・・・・トーマをあんな腐れ外道に嫁に差し出すわけにはいかない」
「俺も何か手伝わせてください!!操られていたとはいえ、貴方たちの命を狙ったことには変わりはしない。それなのに、こうして生かしてくださっている貴方たちに、何か出来ることがあれば何でもやります!」
「そうですわねぇ~、それなら貴方には今ではありませんが、どうしてもやっていただきたいことがありますので、どうかそれまでは死なないでくださいね~?」
アレクシアさんがにっこりと微笑んで答えると、その笑みに意味深な何かを感じ取ったのか、ルカードさんの表情が固まった。うん、分かるよルカードさん。この人がこういう笑顔を浮かべている時は、たいていロクでもないことを考えている顔だからね。
そしていよいよボートに乗り込もうとした、その時だった。
「・・・トーマ、か?」
ボート乗り場の隣にある物置小屋から、僕を呼ぶ声が聞こえてきた。見ると、そこにはボロ布を体に巻き付けているアイリスの姿があった。アイリスは周りを見回して、僕たちを手招きする。
「アイリス・・・無事だったんだね」
「当たり前だ。お前のお姉ちゃんだぞ。愛する弟を置いて先に逝くなど、姉としての矜持が許さん。会いたかったぞ、我が愛しの弟よ」
ああ、この人間違いなく本物のアイリスだわ。子供の姿になっても、傲岸不遜な態度とショタコンは健在で、僕に抱き着いてほっぺたに熱烈なキスをしてくる。子供の姿でやられると、まるで甘えん坊のようでちょっとだけ可愛いと思ってしまった。
「私たちもいるのですがね~、こっちのことは心配していただけないのですか?」
「・・・・・・筋金入りのショタコンとブラコンを拗らせた末期患者には何を言っても無駄」
「フン、黙れバカ共。もとはと言えば、お前たちがオリヴィアの新商品に飛びついて、油断をしていたからこんなことになったのではないか」
「あらあらまあまあ~、そんなことを貴方がおっしゃいますか~?トーマちゃんとサクラちゃんの”お風呂入浴写真”や”お着換えしているところの盗撮写真”の生写真セットやお二人の写真付きの”枕カバー”に飛びついて、写真をオークションで競り落とすのに夢中になっている間に、あのオカマに子供の姿に変えられてしまったのではありませんか~?」
「・・・・・・・・・え?」
「・・・・・・バカ!それは言うなと、あれほど言っておいたのに」
え?ちょっと待ってくださいね?
僕たちのエロ写真や僕らの写真がプリントされた枕カバーを売りさばいていたって、どういうことですか?
僕の頭の中で、これまでに起きた出来事を必死でまとめて、脳細胞が一気にトップギアに達して回転を始める。
確か、大アネキたちは裏通りを通っていて、そこを花房に襲われて子供の姿に変えられてしまったとか言っていたよね?でも、大アネキたちだったら襲われたという狭い裏路地ではなく、人気のない広い場所に引き寄せてそこで相手を迎え撃つ作戦をとる方が自然だ。
ここで、ようやくどうして大アネキたちが子供の姿にされてしまったのか、大体わかった。
「・・・ビビ姉、僕たちのエロ本を勝手に作ろうとして怒られたのに、懲りずに今度は盗撮写真や僕たちに許可なく勝手にグッズを作って、それを裏路地で売りさばいていたところを花房に襲われて、子供の姿にされたんだね・・・?」
「「「・・・・・・ナンノコトダカ、サッパリ、ワカリマセン」」」
「嘘つけ、このバカ共がぁぁぁっ!!目が泳いでいるし、身体中から冷や汗が出まくっているじゃん!」
コイツら、マジでバカなのか!?痴女なのか!?
あれだけの騒ぎを起こしておきながら、まだ懲りずに僕たちの恥ずかしいところを盗撮して、生写真やグッズをこっそりと売りさばいていたなんて!?〇黒さんでも、〇ートゥーンシリーズのお仕置きでもダメなのか!?首領〇ールドさん、コイツらマジで筋金入りの変態ですわ!!
「・・・・・・売っているのは仲間内だけだから、セーフ」
「売り物にされている時点で僕たちの尊厳や貞操がアウトだ、このバカァァァッ!!」
僕はビビ姉のほっぺたを両側から思い切りつねり上げて、ねじり上げる。
モチみたいによく伸びるほっぺただな、おい!?
「私とニナちゃんとミーナちゃんが貴方たちが写真を競り落としているところを邪魔したおかげで、この姿よりもさらに子供の姿にされる前に、あのオカマに気づくことが出来たのですから、感謝してもよろしいのですよ~?」
「・・・ぐっ、確かにそう言われると返す言葉がないな」
「むしろアイリスたちにかける言葉が見つからないのは、僕の方だ!!」
あー、もう!心配して損しまくった!
もとはと言えば、この連中がまたバカなことをやらかして、天罰が下ったというだけの話じゃないか!
まあ、このままじゃ花房が何を仕掛けてくるか分からない以上、アイツを野放しにはしておけないというのはあるけど、あとでコイツら全員正座で説教してやる!!
今までの怒りや緊張が程よくほぐれていき、ようやく冷静な思考を取り戻すことが出来た。
とにかく、まずは大アネキたちを元の姿に戻すためには、花房の所に行かなくちゃいけない。
そのためにも、まずはこのボートをクリアしないと!
「・・・・・・ただいま戻ってきた」
そこへ、いつの間にか僕から抜け出していたビビ姉がどこからか戻ってきた。
「準備のほうはどうだ?」
「・・・・・・問題ない。こっそりと仕掛けてきた」
「ビビちゃんは抜かりがありませんわね~」
えーと?
貴方たち、また何か良からぬことを企んでおりませんか?
ルカードさんを見ると、彼も嫌な予感がしたのか、引きつった表情を浮かべていた。
「・・・あ、あの、トーマの兄貴。あの人たち、大丈夫なんでしょうか?」
「果てしなく大丈夫じゃないと思うけど、ルカードさんだけは絶対に僕が守るよ」
「い、いえ、その、それではトーマの兄貴にもしものことがあったら」
「もう大丈夫、この人たちに色々と振り回されるのはもう慣れっこだからさ。生きて帰ることが出来ればもうそれでいいよ」
「え゛」
僕はきっと今達観した表情になっているのだろう。ルカードさんが僕のことを見て、ドン引きしていた。ふふふ、さっき何でもやるって言ったよなァ?逃がしはしないぞ、こうなったら地獄に道連れだ。
ああ、そうだ。
こんな事件に僕たちを巻き込んだアホの情報を、桜に教えてあげようではないか。
どうかこの怒りを糧にして、生き延びて欲しい。
ヴィルヘルミーナさんがまさかこのオークションに参加していなかったというのは意外な気がした。
アイリスの話によると、最近彼女はいつものように娼館通いをするのをやめたばかりか、大アネキたちと一緒になって覗きや盗撮をすることにも参加しなくなったらしい。
いったい、どういう心境の変化だろう?
まあ、そういうことなら彼女は巻き込まれただけということにしておこうかな。
「・・・・・・トーマ、この先に二台のボートがある。そのうちの青い色のボートがトーマと私たちが乗り込むボートになっている。必ず、そっちのボートに乗り込んで」
「どうして?」
「それが確実に、ハナブサを追い詰めるために必要不可欠なことだからさ」
どういうこっちゃ。
まあ、どのみち大アネキたちを元の姿に戻して、説教をするためにもまずは花房を倒さなければいけない。僕は言われたとおりに、青い色のボートに乗り込むために、ボート乗り場に向かった。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「・・・オリヴィア・・・どういうことか、説明してもらおうか」
「・・・あ、あの、その、ちょっと小遣いを稼いで最新性の魔導式カメラを買おうと思って、魔が差したちゅうか、商人魂に火が点いたというか・・・」
「・・・あとで、覚悟をしておけよ」
「・・・了解。トホホ・・・何でこうなるんや」
「・・・やっぱり悪いことは出来ないものだねぇ」
コバルトスタルオンさん、いつも大変お世話になっております。
今回も彼女たちがまた派手にやらかしましたので、どうぞお好きなように。
花房に子供にされた原因は、斗真たちのグッズや生写真を売りさばいていて、夢中になっていて気づかなかったためというしょうもない理由でした。そして「色欲」を司るはずのヴィルヘルミーナが覗きや盗撮をやらなくなった理由についても、近々明らかになります。
桜はちなみに間に合って、何とか怪我の手当てを受けております。
あとでオリヴィアたちに説教をするために、必死で生き延びようと頑張っております。
次回もどうぞよろしくお願いいたします!




