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第十話「”彩虹の戦乙女”救出大作戦⑧~竜刀の覚醒~」

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!

新作が書きあがりましたので、投稿いたします!

どうぞよろしくお願いいたします!

 【三人称視点】


 桜が竜刀を抜き、静かに身構える。

 彼の全身から放たれる殺意は、もはや向けられたら心臓が止まりそうになるほどの凄まじいものだった。

 普段は何を考えているのか分からない飄々とした顔つきが、鬼のような形相に変わっている。


 「リーダー、何をするつもりなんスか?」


 「まさか、あたしたちを倒すとか言いませんよね?」


 「仲間に刀を向けるとはな。お前には失望したよ」


 花房が生み出したクローンたちがいやらしい笑みを浮かべて桜を挑発するが、それはもはや逆効果だった。桜の怒りをさらに燃え上がらせるということにも気づいていない愚者に、桜は何も答えない。


 一歩、足を踏み込む。


 


 「竜刀、時鳥ホトトギスの型・・・!」




 地面から足が離れたと思った瞬間、彼の身体は跳んだ。

 空を翔けるように低空に飛び上がったまま、目に留まらない速さで仁美の懐に入り込み、彼女の急所目掛けて刀で斬りつける。


 「ちっ・・・!!」


 仁美の姿がワニの頭部と全身を頑強なうろこでおおわれた魔人【セベク】の姿に変わり、急所を切りつけられる直前に屈強な筋肉と鱗の甲冑で何とか防いだ。すぐさま、桜はセベクの身体を蹴りつけるとヤモリを彷彿させるような魔人【アサシン】に変貌した忍に斬りかかる。


 


 (アイツらの魂は、いつだってここにあるんだよ・・・!)


 守れなかった家族。

 目の前で最後まで自分に恨みの言葉一つかけず、彼女たちは笑って、気遣ってくれた。


 ー・・・桜・・・こんな・・・オレ・・・たちを・・・ずっと・・・面倒・・・みてくれて・・・本当に・・・ありがとう・・・ございました・・・!ー


 斗真に桜が本当は家族を守るために、彼を裏切ってしまったことを伝え、彼を許してほしいと懇願しながら死んでいった仁美。


 (要領が悪いせいで、いつも仲間のことばかり気にかけて、自分が損ばかりする奴だった。でも、それでもアイツは俺たちのことをいつも心配して、面倒を見てくれていた・・・!)


 


 「死んじゃいなよぉっ!!」


 アサシンが十字手裏剣を手に持って、桜に斬りかかってくる。 

 桜は十字手裏剣を刀で弾きながら、もう片方の腕を振り上げると拳を異形の顔面にめり込ませる。

 首がねじれるほどの強烈なパンチを受けて、アサシンが吹き飛ばされた。


 


 -・・・ひーちゃんも・・・レンちゃんも・・・かおりんも・・・ずっと・・・桜ちゃんの・・・ことを・・・見守って・・・いるから・・・ね・・・!-


 人一倍明るくて無邪気だけど、本当は寂しがり屋で臆病で、一人で留守番することが大嫌いだった忍。子供っぽくて、泣いたり笑ったり怒ったりと感情がコロコロ変わるけど、その素直で純粋な性格にはどれだけ助けられてきたことだろうか。


 (・・・あの時だって、本当は死にたくないって泣きたかったはずなのに、俺のことを気遣って、最後に、あんな泣きそうな顔をしていたのに、アイツは無理して笑っていた。俺みたいなヤツのことをそこまで思っていてくれていた)


 


 「覚悟しろ!!」


 カメレオンを彷彿させる巨大な目玉を持ち、ヌメヌメとした光沢のある体液を纏い、長い尻尾を振り上げながら【スペクター】が桜の後ろから鋭い爪で斬りつけてきた。あの爪で自分の右目を奪われたことを思い出して、桜の右目がずきりと痛む。


 「ちっ!!」


 身体を反らして爪の攻撃をかわすが、右頬に鋭い痛みが走り、じわっと赤い線が頬に浮かび上がる。


 スペクターの上半身に竜刀を突き出して吹き飛ばすと、スペクターが瞬時に急所をかわして致命傷を防いだが、そのまま大木に身体を叩きつけられた。


 


 -・・・いい人生だった。お前に会えて・・・お前の家族になれて・・・本当に・・・良かった・・・お前に会えて・・・本当に・・・よかった・・・!-


 クールで冷静沈着で、家族でも一歩引いた態度で物事を慎重に考えてから行動する麗音。時折皮肉屋で冷たい印象を感じさせることもあるけど、それは家族のことを大切に思っているがゆえに、物事を冷静に分析して家族を助けたいと思っている優しさの裏返しでもある。なんだかんだ言いながらも、家族のことを人一倍大切に思っていることを、桜は知っていた。


 (・・・口は悪いけど、感情に流されやすいところがある俺たちをいつも止めてくれた。そのために、憎まれ役を買って出ることもあった。でも、家族が頑張った時には、泣いて喜ぶことが出来る熱い心を持っているヤツだった)


 例え、クラスメートを裏切ると言う最低の行為に手を出そうとも。


 例え、自分の命と引き換えにすることになったとしても。


 守りたかった家族を守れず、目の前で失った時に味わった絶望は今でも忘れはしない。


 仲間の後を追って、償いたい。

 そう考えたことも一度や二度ではない。しかし、そんな自分を叱咤し、立ち直らせてくれたのは他でもない、自分が一度は殺そうとしたはずの人間だった。




 ー僕はもう何があっても、これから先、ずっと桜の味方なんだからさ。-




 もう裏切ることなど出来るものか。

 一度は殺そうとしたのに、そんな自分を仲間として受け入れてくれて、こんな言葉までかけてもらえた。


 (・・・命が尽きるまで、俺は償い続ける)


 想像もつかないほどの過酷な運命が待ち受けていようとも、自分の犯した罪からは逃げない。

 斗真を裏切ったこと、仲間を守り切れなかったこと。

 全ての罪を背負って、弱さから目を背けずに、刀を振るい続ける。


 「・・・アイツらの魂を、生き様を、笑いものにするヤツは・・・許さねえっ!!」


 怒号と共に、強く踏み込んでスペクターの胸に向かって強烈な突きを繰り出す!


 「ぐあああっ!!」


 「レンちゃん、大丈夫!?」


 「・・・どうやら本気みたいだな、上等だぜ!!」


 セベクたちも桜が自分たちの言葉に惑わされないことを悟ると、表情を醜くゆがめて、殺意をむき出しにしたかのように鋭い爪や武器を構えて、細く引き締まった双眸で彼を睨みつける。


 「・・・それでいい。いつまでも、アイツらのふりなんてされたら、怒りで頭がおかしくなっちまうところだったよ」


 くっくっくと笑っている、自分自身の殺意がもはや理性のタガが外れる寸前まで追い込まれていることが、なぜかおかしかった。握りしめている刀が早く目の前にいる連中を切り捨ててしまいたいと叫んでいるような気がする。


 ー喧嘩をするときには、相手を最初から殺すつもりでやれ。-


 ーそして、その時には自分の心の中の狂気をぶちまけろ。-




 (狂気に飲まれて、手あたりしだいに相手を倒すなら結局はアイツらと同じでしかない)


 (それよりもさらに強くなって、圧倒するためには、自分自身を見失うな)


 (狂気を受け入れろ。そして、狂気を自身でコントロールしろ)




 瞳を閉じて、呼吸を静かに整える。


 胸の奥から熱いものが込み上がり、身体中を満たしていく。


 背中にまるで炎が焼き付くような鋭い痛みが、熱と共に駆け巡る。




 「・・・さあ、とことん楽しもうぜ」




 眼帯を外し、光を失ったはずの左目を開いた瞬間・・・そこには”黄金色”の光を宿す瞳があった。

 人間のものではなく、爬虫類を彷彿させるような細く引き締まった瞳孔からは、一度見たものを決して逃がさないという迫力に満ちており、睨まれた3人は思わず身体が凍り付いたように動かなくなる。


 そして、上半身の服がはだけると胸が見る見る平坦な形に変わっていき、本来の引き締まった男性の身体つきに戻っていき、背中には口を大きく開き、怒りに満ちた瞳を浮かべている竜の入れ墨が黄金色の光を帯びて輝きだした。


 「祭り(ケンカ)の時間だぁぁぁっ!!」


 <Crocodile Power!!>


 刀の刃が赤い光を帯びると、そのまま桜はセベクに向かって刀を振り上げた。

 

 「そんな刀、オレの身体にはきか・・・!」


 一閃。


 セベクの頑強なうろこをものともせず、分厚い筋肉で覆われた身体を難なく刀が切り裂いた。

 上半身と下半身が袈裟懸けに切り離されたセベクは、口を大きく開いて、何が起きたのか分からないまま地面に崩れ落ちた。


 「なっ・・・!?」


 「嘘でしょ・・・!?」


 セベク=仁美が司るワニの力を宿した刀は、剛力無双の怪力を発揮する。

 重い一撃で相手を瞬殺できるほどの破壊力を持つが、あまりの重さに素早さが失われてしまうのが難点だが、桜は鍛え抜かれた身体と優れた身体能力を駆使して、見事セベクを打ち倒した。


 「・・・さあ、お仕置きの時間だよ。アイツらの姿を騙った罪は、命で償ってもらうぜ」


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 一方、その頃・・・。


 ジャングルの中、むせ返るような血の匂いと雨に濡れた土の匂いが混じり合う空気が流れていく。

 そのにおいを発しているのは、自分が今しがた”殺した”ばかりのオークやドライアド、このジャングルに住まう魔物たちの無残な亡骸が地面を埋め尽くすように横たわっている。


 女性もいた。

 子供も、老人もいた。


 一体残らず、彼女に立ち向かっていった魔物たちは無残に殺されていった。


 「・・・いたわ。この気配は間違いない」


 その女は、背中まで伸ばしていた黒髪を肩までバッサリと切り落としていた。

 着ていた服も、返り血を浴びて黒ずんだシミさえも飲み込むような真っ黒なロングコートを着込み、胸元を大きく開いた赤色のタンクトップを素肌の上から着込み、長い脚を引き立てるような黒のパンツ、鎖が巻き付いた重厚なブーツといったファッションに身を包んでいる。


 唇に引いた赤いルージュを舐めるように、下舐めずりをする姿は美しき野獣。


 見た目の美しさに油断をしていると、獰猛な牙に命を刈り取られることになる。


 真っ赤に澄んだ宝石のような瞳に映っているのは、かつて人間だった時の自分を殺した男。


 そして、この世で自分だけの獲物として、乾いた心を唯一潤してくれる存在。


 


 「・・・会いたかったわぁ、梶くん」




 ”雁野美月”。


 一度は死んだはずの彼女は、殺意と狂気、憎悪にまみれた魂を持ったまま復活を果たした。




 100メートル先にいる、梶斗真の姿を捕らえると、彼女はニタァっと微笑んだ。 


斗真、ついに雁野に見つかってしまいました。

桜の戦いの結末と、斗真に降りかかる次のトラブルとは・・・?


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!

次回もよろしくお願いいたします。

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[一言] 首領・ゴールド「斗真を見つけたのか雁野美月 だが、せいぜいその喜びを噛み締めるといい お前の生命は終わりを迎えるからな!」 首領・ゴールドはそう言うのだった ????「あれが雁…
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