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夏休み特別幕話➄「夏休みを締めくくるものと言えば花火と宿題」

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます。

今回で番外編はおしまいとなります。ハチャメチャな斗真の初デートはどうなるのか?

どうぞお楽しみください。

 【三人称視点】


 「全くもう、あの連中はバカなの?ミーナとニナの監視中に、激辛ラーメンを食べて救急士ギルドに搬送されるなんて・・・!」


 「アッハッハッハ!アイツらやっぱりバカだよな~!」


 「・・・団長にバカと言われたなんて知ったら、あの二人、ショックで寝込むかもしれないわね」


 「・・・そら、そうやろな」


 アレクシアとアイリスの途中退場の一報を聞いたニナは頭を抱えてしまい、レベッカはおかしくてたまらないと言ったようにお腹を抱えて大笑いし、オリヴィアは引きつった笑みを浮かべて苦笑していた。


 「せやけど、今のところは上手くいっとるみたいで、よかったやないか。ウチはてっきり、始まって早々にビビアナが相棒をボッコボコにして、チャレンジを失敗するんやないかって心配しとったからな」


 その予感が見事的中しているなど夢にも思っていないオリヴィアが、おかしそうに笑った。


 「それで、最後のプランはどうなっているのよ」


 「おお、海が見える丘の公園に行って、二人で記念写真を撮るんだと。それで、オレたちからのサプライズで、二人の仲直りの記念を祝う花火を打ち上げることになっているんだ」


 「それなら、そろそろ準備をしたほうがいいんじゃない?」


 「ほな、ウチは二人を見張っとるから、ニナたちは花火をいつでも打ち上げられるように準備してもらえるか?」


 「おう、分かった!これは失敗するわけにはいかねえからな!」


 オリヴィアに言われて、レベッカとニナは前日に海が見える丘の公園の展望台から離れた海岸線に設けた特設会場に向かうことになった。


 (・・・何か嫌な予感がしよるしな。まあ、ウチは監視っちゅうことで、アイツらと一緒に行動せんとこ)


 虫の予感ともいえる嫌な予感を察したオリヴィアは、もし万が一失敗したとしても、自分だけは逃げ延びるつもりで、レベッカたちを特設会場に向かわせたのだった。


 のちに、この時の判断が間違っていなかったという結末を迎えるとも知らず・・・。


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 【斗真視点】

 

 「・・・死ぬかと思った」


 「・・・・・・トーマ、しっかりしろ。まだ、最後のミッションが残っている」


 海が見える丘の公園にたどり着いたときには、もう僕のメンタルポイントは0に近くなっていた。ビビ姉に大通り、ジャンク屋、色々な所を見て回ってはミーナさんと間違われて殴られて、ミーナさんと間違われて関節技を決められて、ミーナさんと間違われてバックドロップを決められて・・・。


 これが僕の人生初デートかと思うと、マジで泣けてくる。

 うん、今どきのデートってこんなにも命がけでやるものなんですか?色々な意味で人生の記念になりそうというか、ぶっちゃけトラウマになりそうさ。どうして仲間に脅されて身代わりデートをさせられて、満身創痍の状態にならなけりゃいけないのさ。


 で、でも、もうこの地獄もこれでおしまいだ・・・。


 あとはこの海が見える丘の公園で、夕日をバックに写真を撮れば解放されるんだ。


 早く撮ろう!もうこれ以上ビビ姉の重くて速い拳を喰らったら、僕は天に召されてしまう!


 「・・・・・・夕日がきれい。どうせなら、トーマの姿のままで、二人きりで見たかった」


 「ビビ姉、ミーナさんの姿になっている理由は全てビビ姉のせいなんだけど」


 「・・・・・・向こうの鐘がある場所で写真を撮ろう」


 ちっ、話をそらしたな。

 まあ、いいや。あそこからならこの公園のシンボルである鐘も一緒に写るし、記念になりそう。

 今度は元の姿のままで、誰かと一緒に来てみたいな。


 まあ、初デートは一生忘れられないものになったけど、これはこれできっと楽しいものとしてあとで笑い話になるだろうさ。僕とビビ姉は鐘に向かい、カメラを準備する。


 「・・・・・・風が強くなってきた」


 「うん、ビビ姉、準備が出来たよ」


 僕とビビ姉はカメラの前に並んで、カメラのタイマーがカウントを始めた。


 3・・・。


 2・・・。


 1・・・!


 その時だった。


 


 ヒュウウウン・・・!!




 後ろから何かが飛んでくるような音が聞こえてきた。


 ポトッ。


 そして、それは僕たちの足元に落ちてきた。


 それは、スイカほどの大きさの丸い物体で、どこかで見たことがあるようなものだった。

 そして、丸い物体には導火線がついていて、今にも丸い物体に火が点く寸前になっていた・・・!


 「・・・・・・これって、まさか」


 「逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」


 僕がビビ姉を抱き上げて走り出した、わずか数秒後・・・!!




 ドカァァァァァァァァァン!!




 まぶしい光と共に、極彩色の花火が鐘ごと丘の一部を吹き飛ばした。


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 【三人称視点】


 話は数秒後に戻る。


 斗真とビビアナが写真を撮ろうとした頃、オリヴィアからの連絡を受けてレベッカとニナは花火の打ち上げ準備に取り掛かっていた。


 「風が強くなってきたな・・・」


 「ちょっと、この花火、根元の固定している部分がいい加減についているじゃない!これじゃいつ倒れてもおかしくないわよ!?」


 「オレ、そういう細かい作業苦手なんだよ~!ニナ、固定できる!?」


 「全くもう、本当にいつもこうなんだから!」


 ニナが大筒の固定をしようとした次の瞬間!!


 「オレの炎があれば、マッチなんていらねえしな。固定できたら後はこれで火をつけて・・・は、は、ハックショーーーン!!」


 風で身体を冷やし、レベッカが指に火をともしたまま、大きなくしゃみをした。


 その瞬間、彼女の指についていた火の玉が飛んでいき・・・導火線に見事着地をした。


 バチバチバチ・・・!!


 油を染み込ませていた導火線についた炎が、花火目掛けてものすごい速さで走り出した!

 

 「や、やっべぇぇぇぇぇぇっ!!ニナ、火、火ぃぃぃっ!?」


 「はあぁぁぁぁぁぁっ!?アンタ、どうして火つけちゃうのよっ!?」


 ニナが急いで火を消そうとしたが、もう間に合わなかった。

 さらに、強烈な風が吹いて花火の筒が次々と傾いていき、レベッカがくしゃみをしてまき散らした火の玉が全て綺麗に導火線の上に着地をして、全部で30砲はある花火の筒の導火線に一斉に点火した。


 「もう間に合わねえ!!逃げるぞ、ニナ!!」


 「南無三!!」


 レベッカとニナが海に飛び込んだ、次の瞬間・・・!!




 ドーン・・・!!




 最初の花火玉が、砲弾のようにまっすぐ()()()()()()()()()()()()()()()()


 そして鐘のあるあたりに飛んでいったかと思った次の瞬間。


 ドォォォォォォン!!

 パラパラパラ・・・。


 丘の一部を吹き飛ばすほどのものすごい爆発を起こし、極彩色の花火が綺麗に打ちあがった。


 さらに次々と花火の大筒から花火が打ち出されていき、海が見える丘の公園を直撃し、爆発していく。さながらそれは、大艦隊による集中砲撃のような光景だった。


 「・・・オレのせいか?」


 「・・・バックレるわよ。私、知-らねっと」


 青ざめた表情を浮かべるレベッカとニナはお互いに頷き合うと、海を泳いで、すたこらさっさと逃げ出すのであった。


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 【斗真視点】


 「何じゃい、このバ〇ターコールみたいな展開はぁぁぁぁぁぁっ!?」


 後ろから公園が吹き飛ぶ爆発音と、吹き飛んでくる火の粉の熱さ、目の前でどんどん地形が爆発によって変形していき、さながら戦場のような修羅場と化した公園の中を僕は必死で逃げまくっていた。服に火がついて燃えてきたけど、そんなことにもう構っていられるかい!!


 「ビビ姉、離すなよ!!絶対にビビ姉だけは守るからぁぁぁっ!!」


 「・・・・・・トーマの姿に戻っている。これなら、いくらでもくっついていられる」


 「アンタ余裕だな!?こっちは初デートで、どうしていきなりこんな爆撃されなくちゃいけないのか、訳が分からないんですけど!?」


 「・・・・・・トーマが命がけで私を守ってくれている。つまり、もうこれは結婚しかない。このまま、市役所なり、教会なり、好きなところに私を連れて行くといい。ああ、婚前交渉が必要なら、このままホテルに直行でもOK」


 「アンタがまず行かなくちゃいけないのは精神病院だ!!」


 真っ白な壁の隔離病棟を安住の地にしてもらった方がいいかもしれない。そんなことを考えながらなんとか公園から抜け出して麓に降りると、さっきまでいた公園の辺りに次々と巨大な花火が打ち上がっていた。極彩色の見事な大輪の花が、夕闇が色濃くなった夜空をバックに次々と咲いていく。


 それを見て、町の人々が何事かと大いににぎわい、騒がしくなってきた。


 助かった・・・。


 今の僕の姿は所々が真っ黒こげになり、ボロボロの布切れと化したチャイナドレスだったものを身に着けているだけの、ほぼ半裸の状態だ。何とか彼らの視線が花火に向いている間に、僕らは裏路地を抜けて、造船所にたどり着いたのでした。


 「・・・死ぬかと思った」


 「・・・・・・婚前交渉、子作り、今からすぐにしよう。鉄は熱いうちに打て、ということわざもある。今の私は最高潮に気分が燃え上がっている。愛し合おう、マイハニー」


 「・・・それが爆撃地から命からがらで逃げ延びてきた僕に対する言葉か、コラ」


 そして、ボロボロになった両脚を引きずるようにして歩いていくと、僕の部屋の扉が開いた。


 「・・・ふわあああ・・・今日は一日中ゆっくりと眠ってしまったねぇ。て、トーマ君!?ビビちゃんも、一体何があったんだい!?二人そろって、ボロボロじゃないか!」


 出てきたのは、僕たちの手当てを受けていたのもあるけど、ビビ姉の暴行を受けて気絶をしていたにもかかわらず、怪我一つないピンピンした状態に復活したヴィルヘルミーナさんだった。彼女の回復能力も尋常ではないな。


 そこで、僕の意識は限界を迎えて、そのまま倒れこんだ・・・。


 


 もう二度と、デートなんてするもんか・・・。




 その日の夜、この街の観光地でもあった【海が見える丘の公園】は爆撃を受けまくり、跡形もなく吹き飛んだという。

 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 【三人称視点】


 『辞令


  以下の人物は【海が見える丘の公園】を打ち上げ花火30発の集中砲火で破壊した罰として、夏休み没収の上、3ヶ月給料を半額カットの上、無償で海が見える丘の公園の復興に取り組むこと。


  レベッカ・レッドグレイブ


  ニナ・ナルカミ


  また、以下の人物は任務中に激辛料理を食べて気絶し、監視の任務を怠った罰として、夏休み没収の上、1ヶ月給料を半額カットの上、魔砲特急アルコバレーノの掃除、整備、補強に取り掛かる事。


  アレクシア・アッシュクラフト


  アイリス・アーヴィング


  なお、罰の執行中は必要最低限のこと以外、梶斗真との接触を禁じる。

  しっかり反省しろ、この大バカ者どもが!

                      ベアトリクス・フォン・ベレト』

 

 この辞令を、ビビアナは顔や身体中に包帯を巻きつけた無残な姿で見ていた。

 ビビアナは何とか斗真の犠牲もあってか、夏休みを死守することは出来たが、爆撃によるダメージによって夏休みの間は外に出る事すら出来ず、部屋にこもって暇を持て余すことしかできなかった。


 そして、何とかその場を奇跡的に逃げ延びていたオリヴィアと、カフェでアイリスたちの介抱をしていたために不在だった桜、ビビアナに殴られて一日中気を失っていたたため無傷で済んだヴィルヘルミーナには3日間の夏休みが与えられた。


 (・・・あの連中と一緒におらんで、ほんまによかった~!)


 (何が一体どうしたら、こんなことになるんだよ)


 (ボク、一日中寝ていたと思ったんだけど、いつの間にかボクとビビちゃんがデートをしていたということになっているんだよねえ?不思議なこともあるなぁ。でも、何だかそのことを言い出したらまた面倒くさいことになりそうだし、黙っていよっと。触らぬ神に祟りなし、だね)


 そして、ベアトリクスも今度の不祥事は自分が身内の団結力を固めようとした一心で思いついた一件が、こんな予想もしていない展開になってしまったことをヴァネッサ女王に深く深く謝罪し、二度とこのようなことを起こさないということを誓い、しばらくはヴァネッサ女王に頭が上がらなくなったという。(けが人は一人も出なかったことと、公園の施設が老朽化しており、近々取り壊して整備する予定だったこともあってか、ヴァネッサ女王も大事にはしないという形にして納めてくれた)


 「・・・・・・身体が思うように動けば、婚前交渉のチャンスだったのに!」


 車いすで思うように身体が動かせないことを心から悔しがるビビアナだった。

人生最悪の初デートを迎えて、デートがトラウマになった斗真でした。

桜と彼の取り巻きは奇跡的に無事、夏休みを手に入れることが出来ました。(ヴィルヘルミーナの替え玉のことは、何とかバレずに済んだ。事情を察したヴィルヘルミーナがビビアナのために一肌脱いで口裏を合わせてくれたため)


次回からは本編に戻ります。


番外編でも、本編でも不幸が止まらない斗真の活躍ぶりを楽しんでいただけるような作品が書けるように頑張ります!

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[一言] ブロンズ・ルド「こうなっちゃったね」 シルバーン「でもこれでよかったんじゃない?」 首領・ゴールド「最悪の場合、全員が悲惨な目に遭うかもしれない事態が起こるからな」 シルバーン「それは結局な…
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