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夏休み特別幕話➁「ビビアナと斗真の人生初デート!!」

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます。新作が書き上がりましたので、投稿いたします。各地で真夏日が続いておりますが、熱中症にはどうかお気をつけ下さい。

 【斗真視点】


 「・・・予想よりも遥かにすごいものが出来てしまった」


 鏡に映っている”ヴィルヘルミーナ”さんの姿になっている僕自身の姿を見て、思わずつぶやいてしまった。ヴィルヘルミーナさんの魔力が宿った宝箱の一つを糸に再分解して(さすがに下着を糸に変えるわけにはいかなかったので、ビビ姉にしぶしぶヴィルヘルミーナさんに着けさせた)、ミミックの核石を分解した糸と縫い合わせて作り上げたのは、彼女が普段から愛用している【チャイナドレス】だ。


 それを着ると、魔力が発動して僕の姿はどこからどう見てもヴィルヘルミーナさんの姿になっていた。


 身長も、身体つきも、声の漢字も普段とはまるで違う感覚がしているため、少し戸惑ってしまう。


 170㎝の長身、スラリと長い脚、動くたびにたゆんたゆんと揺れるおっぱい。


 うう、桜が惚れる理由が分かるような気がするよ。


 可愛い子を見ると奇声を上げて鼻血を出しまくり、ナンパやセクハラ三昧に明け暮れている変態かもしれないけど、見た目だけなら10人中10人が「美人」と振り返らずにはいられないほどの美人だもんね。


 いかん、僕はあくまでも彼女のふりをしているだけなのだから、彼女の姿に擬態した自分自身にドキドキしている場合ではない。今日一日、この姿で僕はビビ姉と仲良く過ごさなければならないのだから。


 ヴィルヘルミーナさんは、一旦僕が普段から利用させてもらっている【医務室】の特設ベッドに寝かしつけてきた。怪我の手当てを済ませた後【霊薬エリクシール】を糸に変えて布に仕立てて、織り上げたベッドのシーツによって、寝ているだけで身体に回復魔法の効果と同じ効力を持つ成分を染み込ませることで、ゆっくりと身体を治療していくことが出来る。


 骨折とかしていなくて、本当に良かった。


 「・・・さて、何も起きなければいいんだけど」


 もうこの時点で嫌な予感は色々としているんだけど、もしバレたら僕は物理的にも社会的にもこの世から消されることになる。何が何でも生き延びるしかないのだ。


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 【桜視点】


 「目標、大通りの噴水広場に現れたぞ」


 「OK。みんな、準備はいいか?」


 「了解」


 えーと、せっかくの休みだって言うのに、俺はどうしてこんなバカなことに付き合っているんだろう?


 噴水広場で花売り娘に変装をしているレベッカさんとアレクシアさん、サンドウィッチ売りに変装してサンドウィッチを売っている俺とオリヴィア、大道芸人に化けて玉乗りをしながらジャグリングをしているニナさん、そして新聞を読みながら、いつものシスター服ではなくスーツ姿に身を包んで男装しているアイリスさんは、噴水広場に現れたビビアナさんとミーナに気づかれない様にじっと見ている。


 刑事ドラマで誘拐事件が起きたとき、犯人と待ち合わせをするときに張り込む刑事みたいなことを、どうして俺がやらなければならないんだ。


 「サクラ、何や不満そうやな。まあ、せっかくの休みを潰されてもうたから、気持ちは分かるんやけど、ここはどうか堪忍したってや」


 「いや、どうしてビビアナさんとミーナの買い出しを俺たちで監視しなくちゃいけないのかなって」


 「そりゃ、陛下からのご命令やからな。ビビが相棒とちゃんと一日中仲良くしとるかどうか、ウチらが監視をして、何か動きがあったら逐一報告せなあかん。まあ、これが無事上手くいったら、ウチらにもちゃんとご褒美をくれると言うとったし、頑張ろう」


 「それにしても、そんな面倒くさいことをよくレベッカさんたちが聞き入れたな」


 「・・・あ~、そら、陛下からの直々の命令やからな。そりゃ、アイツらだって言うことを聞くやろ」


 「5000ゴールドお小遣いを上げよう。本音は」


 「二人が仲良うなれば、トーマちゃんを狙うライバルが一人減るとか言っとったわ」


 やっぱりか。


 アイツら、ビビアナさんとミーナが百合のカップルになれば、斗真を狙うライバルを一人減らせると思ってこんな計画に加担したのかよ。


 コイツら、斗真を手に入れるためなら平気で仲間を蹴り落とすからな。


 普段の仲間同士を強く思いあう、抜群のチームワークは一体何なのかと思ってしまうほどの外道っぷりだし。


 『こちらアレクシア。ミーナちゃんとビビちゃんが、恋人の鐘に向かいましたわ~』


 『よし、作戦開始だ!何が何でも二人の仲を上手く取り持つんだ!』


 『・・・本当にバカみたい。まあ、陛下の命令だからやるけどね。了解』


 ニナさんだけは任務のため、嫌々やらされているといった感じだ。


 『こっちも行けるぞ。二人のカップルの誕生を、我々でプロデュースしてやろうではないか』


 「あの、すみません、彼氏の前で彼女を別の女性に乗り換えるようにするようなゲス行為を、やる気満々でやるのはやめてください」


 これでミーナとビビアナさんがくっついて、本当のカップルになってしまったら・・・。


 おそらく、俺はもう立ち直れないだろうな。


 「・・・いざとなったら、陛下の命令を無視してでも、二人の仲を引き裂いてやらなくちゃな」


 「サクラ、パン切りナイフを握りしめて、ものすごく怖い笑顔をしながら物騒なことを言うのはやめてぇな」


 オリヴィア、そんな鬼か何かを見ているような脅え切った顔をして、どうしたんだい?


 「俺だって、オリヴィアとミーナを他の誰にも渡すつもりなんてねぇだけだよ。男だろうと、女だろうとな」


 「い、意外と独占欲が強いんやな。まあ、ウチのこともしっかりと愛してくれていて、そこは嬉しいけどなぁ」


 さて、どう動くか・・・。


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 【斗真視点】


 さて、噴水広場で確か二人で写真を撮ってくるように言われたんだよね。


 「ビビ姉、ここで二人で並んで鐘を鳴らすの?」


 「コイツはトーマ、コイツはトーマ、コイツはトーマ、コイツはトーマ・・・」

 

 ビビ姉が死んだ魚のような目をして、ブツブツとお経のように言葉を繰り返しつぶやき続けている。

 あかんわ、これ。僕がヴィルヘルミーナさんの姿に変装をしているということを知っているのに、彼女の姿をしているだけでもはや拒否反応を起こしている!?それなら、最初からこの作戦は大失敗だったのではないですか?


 「ビビ姉・・・!」


 「・・・・・・ビビ姉じゃない。ビビちゃんと呼べ。もしこんなところを他の連中が監視していたら

バレるかもしれない」


 え?いや、まさかそんなこんなところをわざわざ監視するほど、ヒマじゃないでしょう?

 とりあえず、僕たちはまず鐘を鳴らさなければならない。えーと、写真を撮ってくれそうな人とかいるかな?


 「あの~?写真をお撮りになられたいのでしょうかぁ~?」


 「それならオレたちが撮ってやるぜ!」


 あれ?この声って、もしかしてアレクシアさんと大アネキの声?

 後ろを振り返ると、そこには花売りのお姉さんが二人、にこやかな笑顔を浮かべて立っていた。


 「この恋人の鐘は、同性でも異性でも、二人で鳴らすと恋愛の神様が舞い降りて、二人の永遠の絆と愛情、幸せな未来を祝福してくださるということで、有名なのですよ~。さぁさぁ、二人ともそこに並んで、鐘を二人で鳴らしてくださいな」


 「クンクンクン、あれ、ヴィルヘルミーナのいつもの匂いと違うような気がするけど、もがもが」


 突然花売りのお姉さんが変なことを言い出したかと思うと、もう一人が引きつった笑顔でお姉さんを羽交い絞めにして、口を掌で押さえつけた。


 「お、おほほほ、突然この子は何を言い出すのかしらねぇ~?(このバカ団長!!テメェはビビちゃんたちに気づかれない様に監視しろって言われたの、忘れたのかよ!!)」


 「もがもがもが(だって、さっきヴィルヘルミーナからなぜかトーマの匂いがしたんだもんよ)」


 えーと、この二人、何か争いあっているみたいだけど、大丈夫かしら?


 「とりあえず、そこに並んで、二人でこの鐘の紐を掴んでくださいな~」


 そう言われて、僕たちは並んで二人で鐘の紐に手をかけた。


 何だろう、こういうの映画でよく見たことがあるな。恋人たちが永遠の愛を誓い合って、鐘を鳴らして、そこで二人で抱き合って愛の告白をする感動的なシーンだ。


 僕もいつか彼女が出来たら、そんなロマンチックなことをしてみたいなぁと思っていたので、こんな形ではあるが、僕の夢が今叶おうとしている。


 それに、ビビ姉だっていつも常識では考えられないようなことばかりやらかしているけど、なんだかんだ言って困った時には頼りになるお姉ちゃんだし、可愛いし、甘えん坊な所もあるし、心を惹かれることがこれまでにも何度かあった。


 ビビ姉と・・・恋人に・・・?


 うん、それ、悪くないかもしれない。


 それなら、ちゃんと自分自身の思いと向き合って、自分の言葉で思いを伝えるのが大事だね。




 「さあ、それでは、二人の永遠の愛情と絆を誓って・・・鐘を鳴らしてください!」


 


 アレクシアさんに似ている花売りさんの言葉を合図に、僕が鐘を鳴らそうとビビ姉の手を取った、その時だった。




 「・・・・・・そんなに鐘の音が聞きたけりゃ、聞かせてやる」




 その瞬間、ビビ姉の動きが目にも止まらない速さで僕の後ろに抱き着き、そのままグインと視界が上空に持ちあがる。ああ、雲一つない青空で綺麗だなァ。でもいきなりこうやって抱きしめるなんて、ビビ姉も結構積極的な所があるんだねと思ったら、脳天に稲妻が落ちたような衝撃と鈍い痛みが駆け抜けて、世界が逆さまに、アイダダダァ!?


 「・・・・・・3・・・2・・・1・・・死ね」


 カンカンカーン・・・!


 気を失っていく僕の耳に聞こえてきたのは、鐘のロマンチックな音色ではなく、戦いの終わりを告げるゴングの鐘の音だった。


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 【桜視点】


 俺とオリヴィアは目の前で起きた出来事を、呆然と見ていた。


 噴水広場では、他の恋人や憩いを求めてやってきた人たちの視線が恋人の鐘にくぎ付けになっていた。


 「・・・やっぱりアカンかったか」


 『・・・しかし、綺麗に決まったな。バックドロップ』


 『・・・ミーナ、頭から地面に突き刺さって、ピクリとも動かないけど・・・大丈夫かしら?』


 何が起きたかというと、ビビアナさんとミーナが二人で恋人の鐘を鳴らそうとした時、ビビアナさんがミーナの腰に抱き着いて、そのまま豪快にバックドロップをブチかましたのだ。


 哀れ、ミーナは地面に頭を突き刺さったまま固まっており、ビビアナさんは虫けらでも見るような冷たい目で見下ろし、拳を天に向かって突き上げてポーズを取っていた。

 

 『素晴らしい写真が撮れたぜー!これで二人の絆と恋愛は永遠の幸せを約束されたな!』


 レベッカさんだけはこんな状況になってもまるで理解しておらず、二人に撮ったばかりの写真を手渡した。魔道具のカメラでこっそりとのぞき見をすると、そこにはハートマークの枠に囲まれて【永遠の愛を誓います】と二人を祝福するようなメッセージが書かれているカードに、ビビアナさんがミーナをバックドロップしている写真が差し込まれていた。


 これのどこに永遠に愛を誓い合う二人だと思えばいいのだろうか。白昼堂々、恋人たちが思いを誓い合う神聖な場所で、相手にバックドロップをやらかして脳天を地面に突き刺す光景を見てもなおこの二人が仲睦まじいと思うヤツがいるなら、そいつは完全に脳内がお花畑のパッパラパーだ。あ、レベッカさんがそれだった。


 「お静かに。二人は最近流行になったばかりの”バックドロップから始まる愛の誓い”をしているのですよ。今どき、鐘の前で愛の告白をしたり、キスをするばかりが愛を誓い合うことではない!お互いの思いと情熱をこめて、相手に全力でぶつけ合うことこそが新しい愛の誓いと言っても過言ではないのですよ」


 過言だよ、このショタコン眼鏡が。


 嘘八百もいいところだ。しかし、場を混乱させないように(計画がとん挫しないようにという意味でもある)アイリスさんがギャラリーを説得すると、彼らも「そうだったのか」「大胆な二人ねぇ」と言って、納得したようだ。アイリスさんの【傲慢】の力で、彼らの心を一時完全に掌握し、操ることで何とかこんなデマ話を信じ込ませることに成功した。


 「・・・あいててて、死ぬかと思ったよ」


 「・・・・・・そういえば、アイツじゃなかった。ごめん、大丈夫?」


 地面から大根のようにミーナを引っこ抜いたビビアナさんのところに、近づく集団が現れた。


 「ねえ、お姉さんたち、今ヒマかい?」

斗真、今日1日を無事生き延びることが出来るのか?ヴィルヘルミーナに変装している斗真だと知っているのに、あまりに変装が完璧だったために地獄を見る羽目になった斗真・・・いつかいいことが起きるとイイネ(笑)。


次回もどうぞよろしくお願いいたします!

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[一言] ブロンズ・ルド「何やってんだよ」 シルバーン「やっぱりお仕置き確定だな」 首領・ゴールド「ああ、お仕置きした方がいいみたいだな でも、今はやめておこう 全てが終わったら、執行するとしよう」 …
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