第九話「”彩虹の戦乙女”救出大作戦⑦~竜の逆鱗~」
今回で、200回目になります!
ここまで書き続けてこられたのは、ひとえに読者の皆様の暖かいメッセージのおかげです!
この場を借りて、心からお礼を申し上げます。本当にありがとうございます!!
これからも頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします!
【レベッカ視点】
(アンタは本当にバカなの!?よりにもよって、トーマの命を狙っている魔神と親友になったって!?)
(・・・ンなことを言ったって、今更もうどうしようもないじゃんかよ)
(全く、いつも知らない人には気さくに話しかけるなってあれほど言っているでしょうが!)
(お前はオレのおふくろかよ?)
オレとニナは、アイキャッチで今後どうしたらいいか、話し合っていた。
姐さんに説教を喰らっている間、どうやってこの状況を切り抜けるかと団員同士でアイキャッチで相談するという技術を身に着けて以来、こうして相手に話を聞かれたくない時にはこうやって会話をしている。
(・・・それで、ヒカルには言ったの?自分がトーマの今の彼女だってこと?)
(・・・いや、まだ言ってねえっていうか、これ、さすがに言ったらヤバいかな)
(当たり前でしょうが!そんなの知ったら、ここで全殺し確定よ!)
だよなあ。
ヒカルのトーマに対する恨みはちょっとやそっとのものじゃない。マジでトーマを殺したいほど憎んでいる。どうしてここまで拗れてしまったのか分からないけど、下手に突いたら間違いなく激情するだろうな。
(でもよー、話してみると分かるんだけど、アイツ、何となくトーマに似ているような気がするんだわ)
(・・・はあ?どこがよ)
(何て言うかさ、話していると不思議と楽しくなるっていうか、笑うと太陽のようにまぶしくて人を惹き付けるっていうかさ。コイツ、悪いヤツじゃないってことだけは分かるよ)
それだけは確信がある。
他の魔神たちや、これまでに戦ってきた異世界人とは違って、ヒカルは悪党ではない。
それに、トーマがかつては唯一無二の相棒というほどに慕っていた人間が、そのような下衆な人間とはどうしても結びつかなかった。アイツ、結構人を見る目があるしな。
(・・・まあ、これがサクラだったら怪しいものだけど、トーマだと説得力があるわよね)
サクラが人を見る目がないというわけじゃないけど、女性絡みで立て続けに不運に見舞われまくっているだけに、そう言うことに関してはサクラの女性を見る目というのはいまいちアテにならない。アイリスも「勝負運が異常に強いが、その分、女運が果てしなくマイナスであることで、運勢のバランスが取れているのかもしれん」とか言っていたし。
相思相愛の彼女が、よりにもよってあのヴィルヘルミーナとオリヴィアなのだから、そう言われても仕方がないような気がするのだが、まあ、本人はあくまでも否定しているし、幸せというならそれで構わないだろうな。
(・・・とにかく、彼女には正体がバレないうちに、さっさとこのダンジョンを抜け出してトンズラするしかないわ。彼女、気配でわかるけど、今の私たちの状態じゃ全員でかかっても返り討ちにされる。あの土の魔神ゼルザールに匹敵するか、もしくは、それ以上の魔力を感じるわ)
(・・・ムナカタよりも、強いってことだよな。おそらくだけど、魔神の中で彼女が一番強いかもしれねえ。さっきから、魔力を感じ取ってからずっと鳥肌が立っているし、冷や汗が止まらねえ)
(・・・団長がそう感じているということは、元の姿に戻ったとしても、策なしで勝てる相手ではないうことね)
相手の実力を見誤らない。相手の実力を素直に認めて、その上でどうやって勝てるようにするか、対策をさっきから頭の中で必死に考えているけど、どうしても具体的な案が思いつかない。ガチンコで戦って、勝てる見込みは・・・ほとんどない。いつになく弱気になっているのかもしれないけど、ヒカルの実力や魔力のレベル、そして、さっき一緒に戦った時の彼女の戦闘能力を目の当たりにしたことから、この考えに行き着いた。
「どうかしたのか?」
ヒカルに唐突に話しかけられて、オレたちはいったん会話を止めた。
「ああ、ワリィ。これからどうしようか、ちょっと考え事をしていた」
嘘は言っていない。
(普段は言わなくてもいいことを言って、失敗ばかりしているのに、こういう窮地を切り抜けることに関しては天才的なのよね。団長は相変わらずバカなのか、天才なのか分からないわね。それに、さっきまで敵として認識した相手のことを話し合っていたというのに、おくびにも出さないなんて、もしかしたら団長には詐欺師としての才能があるのかも・・・?)
「とりあえず、残りのアトラクションを探すとするか!あ、そうだ。ヒカル、これ何かあった時のために持って置け!」
そういって、オレは懐からアレクシアの手作りの転移魔法陣の写しを渡した。
「・・・胸の谷間に挟むなよ。イヤミか、コラ」
なぜか、ヒカルがオレの胸をじとーっとした目で見て、自分の胸をペタペタと触っていた。ニナほどの貧乳じゃないけど、彼女の胸もどちらかといったら・・・一言でいえば【洗濯板】のような感じだった。
「・・・何を食えば、そこまで大きくなれるんだ。チクショウ」
「巨乳ナンテ死ネバイイノニ」
「お前の胸だって洗濯板みたいで、スレンダーな感じでいいと思うけど」
「喧嘩を売っているのか、お前は!?胸を洗濯板に例えるフォローなど聞いたことがないぞ!?」
「ハァハァハァ、殺シチャオウヨー。コノ巨乳、血祭リニ、アゲテクレルワ」
ニナ、お前までクナイを取り出して何を物騒なことを言っているんだ。
ヤバい、ヒカルに素性を知られたら間違いなく殺される可能性が高いのに、これに加えて暗黒面に堕ちたニナまでが襲い掛かってきたら、オレが生き残る確率は果てしなくゼロだ。
トーマ、どうしよう・・・。
出来れば今すぐに会いたい。ぎゅーっと抱きしめて、トーマ成分を補給したい。クンカクンカ、スーハースーハーしまくって精神的に安心したい。だけど、ヒカルとエンカウントしてしまったら、さすがにヤバいから今はまだ会うわけにはいかねえし・・・!
神様、これ、オレたちが普段からバカなことばかりをやっているから、バチが当たったのか?
どうにかしてくれよぉ・・・。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
【桜視点】
「・・・しかしまあ、何て言う悪趣味な迷路だよ」
俺はアトラクションの一つ【殺人蜂の集団から逃げきれ!一度入ったら二度と出られない巨大ハチの巣の迷路】の中を探索していた。足にまとわりつくベタベタした蜂蜜にハマらない様に、辺りに気を配りながら先に進んでいく。
迷路の中では、蜂蜜の甘ったるい匂いに混じって、血の匂いと何かが腐っているような悪臭が混じり合っていて息が詰まりそうだった。そして、迷路の中では行方不明になっていた冒険者たちの変わり果てた姿が次々と発見された。
蜂蜜まみれになって、よほど怖いものを見たのか恐怖の表情を凍り付かせたまま死んでいた戦士。
殺人蜂に捕らえられて、壁にくし刺しになって死んでいる僧侶。
あっちこっちに食い散らかされて、無造作に転がっている人間の身体の一部。
「・・・吐きそうだ」
それでもここに仲間たちがいるかもしれない。
ここで諦めるわけにはいかないと、自分自身に言い聞かせる。
そして、大きく開けた部屋にたどり着いた、その時だった。
「サクラ!!」
声が聞こえてくる。その声の主は、天井からつるされている檻の中に捕らわれていた。
「ミーナ!!」
それは紛れもなく、ヴィルヘルミーナだった。子供の姿にされて、身体に執事服を巻き付けただけの状態だった。
「ゴメン、また捕まっちゃって、迷惑をかけてしまって・・・!」
「大丈夫、今すぐに助けるぜ!」
その時だった。
部屋の奥から、身体中の鳥肌が立つような異様な冷たいものを感じ、俺は刀に手をかけた。
どうやら、そう簡単に助け出すわけにはいかないってことか?
『オーッホッホッホッホ・・・!幕ノ内くん、ご機嫌はいかがかしらぁん?』
どこからか、花房の耳障りな笑い声が聞こえてきた。部屋の天井を見ると、スピーカーのようなものがついていた。きっとどこか安全な場所で俺たちのことを高みの見物でも決め込んでいるのだろう。
『貴方にはとっておきの相手を用意してあげたわぁん!さあ、楽しんでいってちょうだいね!』
そういうと、部屋の奥から俺に殺意を向けてきた奴らが姿を見せた。
え・・・・・・?
その姿を見た瞬間、俺の思考は一瞬停止した。
どうして。
どうして、アイツらがここにいるんだ。
「久しぶりだな、桜」
「前よりも強くなったみたいですね、リーダー!」
「ヤッホ~!久しぶり、桜ちゃん!」
もう二度と出会うことはない、俺にとって大切な家族だった3人組。
仁美、麗音、忍の3人組が笑顔を浮かべて立っていた。
しかし、俺の心に去来したのは、久しぶりにコイツらに会えたことに対する喜びではなく・・・。
「・・・花房、テメェ、何をしやがった」
頭の中がキーンと音がするような、心から感情が凍り付いていく激しい怒り。
殺意という感情だけが思考を支配していく
『その子たちの細胞を手に入れて、アタシが木の魔法で復活させたのよぉん!生命力を操るアタシなら、死者を復活させることぐらい何てことないわ。嬉しいでしょう?死んでしまった、大切なお友達にもう一度会うことが出来たんですから!オホホホ!アタシって、優しいわよねぇ~!』
そうかい。
アイツらをこんな形で復活させてくれたのかい。
手に握っている刀が震えている。
ギリリと、歯が砕けるのではないかと思うほどの音が聞こえてくる。
「桜、あのガキを閉じ込めている檻には爆弾がついている。3分以内に私たちを倒さないと、爆発する。止めるには、私たちを倒してリモコンを奪い取るしかないぞ」
「でもぉ~、桜ちゃんにあたしたちが殺せるのかな?あ、それともまた見捨てるの?あの時のように、また助けてくれないんですか~?」
「オレたちともう一度組みましょうよ。そしたら、この爆弾であの子をリーダーの手で殺してくださいよ!またオレたちと昔のように仲良くやりましょうよ!」
声も、アイツらのものと同じ。
でも、それだけでしかない。
アイツらの見た目も、声も、記憶も、生きていた時と同じ・・・というだけ。
「・・・うるせえよ。黙れ、まがい物が」
今日という日ほど、誰かを心から殺してやりたいと思ったことはない。
やるべきことがもう一つだけに決まると、難しいことをいちいち考えずに済む。
アイツらの姿を騙ったこと。
ミーナをアイツらの偽物に襲わせて、傷つけたこと。
アイツらの偽物を生み出して、こんな悪趣味なショーを開いたこと。
「・・・花房ぁ、随分と面白い見世物じゃねえか。おかげで、完全にキレちまったよ」
髪の毛をかきあげて後ろに縛ると、刀に手をかけて身構える。
「桜、お前に私たちを倒せるのか?それとも、あの時のようにまた私たちを見捨てるのか?」
「あそこの女の子を捨てて、またあたしたちとチームを組みませんかぁ~?」
「どっちが大切かなんて、聞くまでもないっスよね?」
「・・・覚悟しろよ、偽物が。テメェらはここで確実に殺す」
心地よい殺意に、俺は笑みを浮かべていた。
桜、大激怒・・・!
かつての仲間である【仁美】、【麗音】、【忍】のクローンと戦い、ヴィルヘルミーナを取り戻すことは出来るのか?
近々、番外編の製作にも取り掛かっております!
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします!
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!




