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第一話「出会い~レベッカ・レッドグレイブ~」

続けて、投稿いたします。

今回、メインヒロインの一人と主人公が初めて出会います。

 「・・・それにしても、随分と手入れがされている洞窟だな」

 

 洞窟の中とは思えないほどに手入れがされている。

 滑らないように木の板が地面に敷かれており、僕は懐中電灯の明かりを頼りに、壁に手を伝って、地下に続く階段を下りていく。


 階段を下りて進んでいくと、空気の流れを感じた。


 この先に、開けた場所がある。

 

 僕は岩壁を手で伝いながら、慎重に、先に進んでいく。


 そして、通路を抜けると大きく開けた空洞にたどり着いた。


 「・・・え?」


 空洞の中央には、赤色の光を放つ大きな六角柱の宝石が地面に突き刺さっていた。

 その宝石の中には、一人の女性がいた。目を閉じて眠っているように思えた。


 「・・・これ、女の人?でも、よく見ると・・・これって本物の犬耳?」


 腰まで伸ばしている黒髪ロングヘアに狼のような耳が生えており、手には鋭い爪が生えている。首には大きな錠がついた首輪をつけており、オオカミをイメージしたボロボロの赤色の鎧を身に纏い、お尻からは黒い体毛で覆われた尻尾が生えていた。


 というか、どうしてこの人、宝石の中に閉じ込められているんだろう?


 何となく気になって近づいてみると、急に頭が痛くなってきた。


 ズキン、ズキン・・・。


 な、何だろう?


 痛いというか、頭の中に電流が流れているかのように視界がチカチカとする。この宝石に近づいたせいなのかな?離れようとしたけど、足元がふらついて僕は倒れこみ、宝石に覆いかぶさるようにして倒れこんだ。


 すると、頭の中に赤色の光が線になっていくつも目の前を覆い尽くしている光景が浮かび上がった。僕は絡みついた赤色の光の線をかき分けるようにして、奥に向かって進んでいく。


 「えっと、もっと奥に行けば・・・何かあるかな?」


 そうしているうちに、目の前には大きな赤色の錠前がかかっている扉が見えてきた。扉には錠前で鍵がかかっており、無数の鎖が扉をグルグル巻きにしている。


 「・・・これは?」


 そうつぶやくと、扉の奥から誰かの声が聞こえてきた。


 -あん?おい、そこのお前!いるんだろう!?ここを開けてくれ!さっさとオレをここから出しやがれ!!-


 口調は乱暴なものだったが、これは女性の声だった。


 もしかすると、あの宝石の中に閉じ込められている女性なのだろうか。

 とにかく、あの扉の向こうに女性が閉じ込められているというのは間違いない。

 しかし、どうやって開ければいいんだろうか?


 「待って!鍵がかかっているみたいなんだ!!」


 そういって、扉にかかっている錠前を持つと僕の掌の上でカチリと音が鳴って、錠前が解除された。


 そして、錠前が地面に落ちると扉を封じ込めていた鎖がすぅっと煙のように消えてしまった。


 「・・・あれ?」


 -・・・へへへ、やっと解けたぜ。これでようやく外に出られる!!—


 扉が開いた瞬間、赤色のまぶしい光に僕は飲み込まれた。


 「はっ!」


 僕が目を覚ますと、そこにはさっきと同じ赤色の宝石に閉じ込められている女性がいた。


 しかし、彼女は目をゆっくりと開くと、にぃっと獰猛に微笑んだ。


 「オッラァァァァァァーーーッ!!」


 威勢良く叫んで、女性が拳を振りかぶると思い切り宝石を殴りつけた。


 すると、宝石に無数のひびが入った。


 さらにもう一発ダメ押しの一発を放つと・・・!!


 ガッシャーン・・・!!


 宝石が無数の破片となってはじけ飛んだ。


 宝石の中から出てきたのは、浅黒い肌を持つ、犬耳と尻尾を生やした綺麗な女性だった。

 目は燃え上がる炎のように赤く、そこから炎があふれ出しているようにも見えた。


 「・・・かぁ~っ!!久しぶりのシャバの空気はうめぇぜ!!」


 首をコキコキと鳴らして、大きく伸びをすると彼女は僕に近づいてきた。

 よく見ると、彼女はモデルか芸能人のように整った顔立ちをしている美人だった。

 おそらく、僕なんかがお近づきになる機会などないと思えるほどに。


 「まずは助けてくれたことに、礼を言わねえとな。それで、お前は一体何者だ?見たところただのガキじゃねえってことだけは確かだろうけどな?」


 いいえ、異世界に召喚されたただの高校生です。


 それに、お姉さんは僕の顔に近づいてくっつくほどにじぃーっと僕を見ている。


 うわあ、このお姉さん、すごく美人だ。

 見ていると頭がくらくらするほどの美人だ・・・!


 雁野さんも美人だとは思うけど、相手の命を奪うことが究極の愛だとのたまう彼女の思考回路は僕にはまるで理解できないということでノーカンだ。


 「オレは【レベッカ・レッドグレイブ】だ。ヘルハウンド族のしがない傭兵さ。お前は誰だい?」


 「ぼ、僕は梶斗真。高校生です」


 「カジ・トウマ?ええっと、カジっていう名前かい?」


 「あ、いえ、斗真が名前です」


 「そうか。それならトーマ、改めて助けてくれてありがとうな!」


 そう言って、レベッカさんはにっこりと微笑んだ。


 その笑顔はまるで太陽のようにまぶしくて、暖かくて、僕のことを温めてくれるかのように優しいものだった。


 「・・・・・・うっ」


 胸の奥から強い感情が込み上がってきた。


 それは、クラスメートたちに一方的に邪魔者扱いされて、挙句の果てに命まで奪われそうになったことに対する怒りや、どうして自分がこんな目に遭わなければならないのかという悔しさだった。


 気が付くと、僕はもう涙を抑えきれなかった。

 ボロボロと涙が頬を伝って流れ落ちていく。


 「お、おい、どうしたんだよ!?えっと、オレの顏、怖かったか?」


 「い、いえ、違うんです。レベッカさんがすごく優しいから・・・それがうれしくて」


 「・・・何かあったのかよ?話ぐらい聞くぜ?」


 レベッカさんはそういってボロボロになった甲冑を脱ぎ捨てると、肌着にボロボロのズボンだけの姿になって、岩場に座り、僕のことを抱き寄せた。柔らかくて豊満な胸が背中に押し付けられて、もこもこで暖かい体毛に包まれていくような気がして、僕はさらに泣きたい気持ちになった。


 そして、僕はこれまでに起きたことをすべて話した。


 「・・・なるほどな。だからお前からこの世界の人間ではない不思議な気がしたんだな」


 「え?そういうの、分かるんですか?」


 「まあ、普通の人間とかじゃ分からねえけど、オレはそういう匂いに関しては敏感なんだよ。ヘルハウンド族の中でもちょっとばかり嗅覚が強すぎるらしくてな」


 「そ、そうなんですか」


 「しかしよぉ、まさかあの時、オレたちをこんな目に遭わしてくれた大馬鹿野郎の国のすぐ近くに飛ばされているとは思わなかったよな・・・。そのうえ、異世界転移なんていう禁忌の儀式にまで手を出しやがって、あンのロリババァ・・・!!」


 明らかに怒気が感じられる低い声でつぶやき、レベッカさんの表情が鬼のような形相に変わって恐ろしい笑みを浮かべていた。


 「あ、あの・・・大丈夫ですか?」


 「ん?ああ、悪い!!それはこっちの話だ。しかし、そいつらも随分と酷いことをしやがるな。だいたい、お前のステータスとかちゃんと確認したのかよ?」


 「ステータス・・・?」


 「あー、お前のいた世界じゃそういうのないのか。こうやって手を広げてステータス・オープンって言うと、そこそこ魔力があるヤツなら自分の能力を見る事が出来るんだよ。どれ、やってみ?」


 僕は手を伸ばして広げると、言われたとおりにやってみた。


 「えっと・・・ステータス、オープン」


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 名前 :トウマ・カジ

 種族 :人間(異世界人)

 性別 :男性(一応)

 年齢 :17歳

 レベル:1

 信頼度:C(冒険者未登録)

 強さ :B

 器用さ:S

 持久力:A

 敏捷性:A

 賢さ :A

 精神力:S

 運  :B

 職業 :魔法裁縫師

 スキル:魔法闘衣錬成 S

    :身体強化   A

    :精神強化   A

    :裁縫     S

    :魔力探知   A

    :魔力操作   S

    :解呪     S

    :危険探知   A

    :罠設置    A

    :武器の極意  S

 武器 :不明

 属性 :無

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 「・・・これが、僕のステータス?」


 「・・・おいおい、マジかよ。お前のことを捨てた連中って、相当バカだな。まさか、こんなレアスキルを持っているヤツを追放しちまうなんてよ」


 レベッカさんが目を丸くして驚き、僕を殺そうとしたクラスメートに対して信じられないと言った感じで大きくため息をついた。


 「あの、魔法裁縫師って何ですか?」


 「・・・うーん、魔法裁縫師っていうのはな、まあ分かりやすく言っちまうと魔石から武器や防具を作り出すことが出来るスキルを持っている職業だよ。特にトーマは最高ランクのSクラスだから、元々そういう素質を持っていたのかもな。お前、裁縫とか得意なのか?」


 「え?うん、まあ、裁縫や家事全般は得意ですけど」


 何せ一人暮らしだもんね、身の回りのことは全部一人でやらないといけないし。


 でも、裁縫師ってゲームだと針と糸で服を作ったりするスキルのことだよね?


 「まあ、オレも昔聞いたことがある程度の話だけどよ。何でも、魔法裁縫師って言うのは魔石を糸に変えて、それを集めて布を織り、その布でどんな魔法や攻撃を受けてもビクともしない鎧にも匹敵する頑丈さを持つ魔法闘衣バトルドレスを作る事が出来るんだと」


 「ドレスって・・・ええっと、それって女性が着るようなドレスのことですか?」


 「まあ、野郎が着ることもあるだろうけどな。オレも細かいことはよく分からねえけど、魔法の力が宿っている、見た目とは裏腹にものすごく頑丈で魔法攻撃もはじき返す防具のことをまとめてそう言っているみたいだった」


 「そうなんですか・・・」


 僕は聞いたことのない単語に首を傾げた。

 

 正直言って、説明の半分も分かっていない状態だ。


 すると、レベッカさんが僕に近づいてくると・・・思い切り抱き付いてきた。


 「うわっぷ!?」


 「はぁぁぁ~、お前、本当に可愛い顏しているよなぁ♥見ていると抱き付きたくなるぜぇ♥」


 ちょ、ちょっと待ってーーー!!

 

 そんな初対面なのに、積極的にハグされたら、こっちは恥ずかしくてたまらないんですけど!?


 僕は恥ずかしくて離れようとするけど、レベッカさんの力が強くて結局されるがままだった・・・。

【梶斗真】と【レベッカ・レッドグレイブ】の設定資料を現在仕上げています。

出来上がり次第、投稿いたしますので今後ともよろしくお願いいたします!!

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