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第七話「”彩虹の戦乙女”救出大作戦⑤~燃えるホラーハウス!?~」

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます。

新作が書きあがりましたので、投稿いたします。

どうぞよろしくお願いいたします。

 【三人称視点】


 「いい加減、吹き飛びやがれ!!」


 「こっちのセリフだ!!」


 ルカードと斗真の爆弾を投げつけ合う戦いはクライマックスを迎えていた。

 巨大な悪魔の顏が大きな口を開けているゲートが見えてきた。ここを潜り抜けて、生き残れるのはたった一人だけだ。ビビアナが巧みにレバーを操って、コースターを加速させる。


 「・・・・・・トーマ、今だ!!3時の方向に向かってドーン!!」


 「了解!!」


 斗真が投げた爆弾が見事ルカードのボロボロになったコースターに当たると、コースターがまぶしい光を放って大爆発を起こした。爆発で吹き飛ばされたルカードがそのまま真っ逆さまに落ちていく。


 「ち、ちっくしょおぉぉぉっ!!」


 「今だ!」


 「・・・・・・トーマ、何をするつもり?」


 斗真が言うが早いか、懐から自分で作った組みひもを取り出すと、落ちていくルカードに向かって投げつけた。組みひもがルカードの巨体を縛り付けると、持ち前の怪力で一気に引っ張り上げる。


 軽トラや自動販売機を持ち上げて投げつけるほどの常人離れした筋力を持っている斗真だからこそ、体重が300キロを超える巨体のルカードをひもで縛って引っ張り上げるという行為が出来たのだ。


 「・・・・・・トーマ、助けたの?」


 「この人、何かに操られている!出来るだけ情報を集めた方がいいでしょう?」


 コースターの中に引っ張ってきたルカードが何かを言い出す前に、斗真は懐から大きな風呂敷のようなものを取り出すと、ルカードの頭からかぶせた。


 それと同時に斗真たちのコースターがゲートを潜り抜けると、並走していたボロボロのコースターが爆発を起こして線路から真っ逆さまに落ちていった。


 「・・・・・・これは一体、何?」


 「この間、ラピス様から何かに役に立つと言われて持たされた素材を使って、作ってみたんだけど・・・」


 風呂敷が一瞬だけ光り輝くと、斗真が風呂敷を取った。


 「・・・あれ?俺は一体何をやっていたんだ?」


 ルカードがさっきまでの凶暴な顔つきではなく、憑き物が落ちたようなさっぱりとした顔つきになり、ポカーンとしていた。敵意は全く感じられない。


 「・・・あの、僕たちのことは覚えていますか?」


 「・・・君たちは一体誰なんだ?ここはどこなんだ?俺は確かいつも通り、仕事場で木こりの仕事をしていて・・・?」


 どうやら斗真たちと戦っていたことは全く覚えていないばかりか、ここ最近の記憶がないらしい。


 「・・・やっぱり操られていたんだ。おそらく、花房が元々この樹海に住んでいた虫人族の人たちを操って、手駒として利用していたんだと思う」


 「・・・・・・なるほど。その風呂敷みたいな魔道具は一体何なの?」


 「これは【デカラビアの風呂敷】って名付けたんだけどね。ラピス様が、デカラビア様って言う魔神が遺した魔力の欠片の結晶【星の石】っていうのをくれたんだ。それを糸に変えて布に仕立て上げてみたら、この布で覆われると洗脳や催眠を解除することが出来るんだ」


 「・・・・・・風呂敷をかぶせるだけで、洗脳や催眠を解除できるとはまたすごいものを作ったね」


 「大きさも変えられるから、相手が誰かに操られているとしても、地面に敷いて一気に覆って包み込めば、洗脳を解除することが出来るよ」


 洗脳や催眠を利用して、迂闊に手出しが出来ないような作戦を仕掛ける相手には有効的な道具になると思い、ビビアナは改めて斗真の裁縫師の技術に感心する。


 「・・・そういえば、俺たちの職場に妙なヤツが来たんだ。人間のような姿をしていたけど、魔族のようなヤバい気配を放っているヤツだった。そして、そいつが何かを話しかけてきたところまでは覚えているんだが・・・」


 「そうなると、ルカードさんの仲間たちも操られている可能性があるね」


 「・・・・・・何の罪もない魔物たちを無理矢理操って、手駒として利用するとはかなり狡猾なヤツだね」


 「狡猾って言うよりも、正真正銘のクズなんだけどね」


 斗真が冷たく言い放った。普段は気弱で比較的穏やかな性格の斗真だが、一度敵とみなした相手には一切合切容赦のない、狂気さえ感じるほどの苛烈さを見せる。この時点で、斗真は花房の存在を「いらない存在」と切り捨てていた。


 「とりあえず、状況の説明をしてほしいし、ルカードさんは一旦保護した方がいいよね」


 「・・・・・・陛下にはこの異変に巻き込まれた証人として、証言してもらった方がいい」


 「・・・えーと?陛下とか、お前たちは一体何者なんだ・・・?」


 首をかしげるルカードに、斗真たちは「あ、忘れていた」と言って【彩虹の戦乙女】の隊員証明書を取り出した。


 「・・・・・・魔王軍総帥【ベアトリクス・ベレト】直属の特殊部隊【彩虹の戦乙女】のビビアナ・ブルックス」


 「同じく、梶斗真です!」


 「・・・ま、ま、魔王軍総帥・・・ベアトリクス陛下直属の部下ぁぁぁぁぁぁっ!?」


 血の気が引いて真っ青になったルカードが、絶望に満ちた雄たけびを上げた。


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 魔王軍総帥直属の部下たちに手を出したということに、切腹をして謝罪をしようとするルカードを斗真たちが必死で止めている、同じ頃・・・。


 「それにしても、お前ってマジで強いんだなー!」


 「・・・私などまだまだだ。筋トレと修行に終わりはない」


 「ニャハハハ、身体を鍛えるのが好きなヤツに悪いヤツはいねえって本当だな!」


 「おう、それは同感だな」


 すっかり打ち解けて仲良くなったレベッカと寅若光が笑いあいながら話をしていた。


 「私は昔、3人組でつるんで喧嘩に明け暮れていてな。頼りないアイツらを守ることが出来るように強くなろうと思ったのがきっかけだな」


 「もしかして、お前がリーダーとかやっていたのか?」


 「まあな。町内では喧嘩で私たちに敵う者などいなかったな」


 「おおっ、なかなかやるじゃねーか!」


 レベッカが素直に感心すると、光はフッとため息をついて、表情が曇る。


 「・・・しかし、それでも私たちに喧嘩を売ってくる輩はいたのさ。しかもそいつらは、私たちに直接挑んでくるわけではなく、私の家族や友人に手を出してきた。彼らには何の罪もないのに、私たちのせいで巻き込んでしまった。これは、私たちが二度と歯向かう気が起きないように徹底的にやらなかったせいだ」


 光が足を止めて、ギリリと拳を強く握りしめる。


 「・・・挙句の果てには、家族まで失った」


 「え?」


 「・・・そのうえ、信じていた仲間にまで裏切られた。私にずっとついて来てくれると信じていたのに。そいつのことを、ずっと私は信じていたのに、アイツは裏切った。私はアイツのことを絶対に許さない。そいつに私を裏切り、私の思いを踏みにじったケジメをつけさせるためにも、私はもっと強くならなくちゃいけないわけさ」


 「・・・なあ、その仲間ってどういうヤツだったんだよ?」


 レベッカがそう言いかけたとき、ふと感じた違和感に二人の表情が強張る。


 「・・・何かが燃えている匂いがしねーか?」


 「こんな森の中で何かが燃えているだと?いかん、火事になったら大変だ!」


 「こっちだ!」


 レベッカと光が匂いがする方向に向かって走り出すと、どんどん匂いが色濃くなり、わずかに熱を帯びてくる。茂みを抜けて出た先では、古びた洋館が炎に包まれている光景が広がっていた。


 洋館には【脱出不可能!生きて帰れる保証なし!恐怖のお化け屋敷!】という看板がかかっており、もはや入る前から、一度入ったら確実に生きて帰れない状態になっていた。


 「家が燃えている!?」


 「見たところ、ここも仕掛けがあるみたいだが、なぜ燃えているのだ?」


 「ちょっと待って!あの館の中から、匂いがする!それに、何か聞こえてくる!」


 「分かるのか?」


 レベッカはヘルハウンド族で、嗅覚や聴覚が人間の数百倍のものを持っている。さらに、シャルラッハロートの力を受け継いで、憤怒の魔王の力に覚醒してからは、その能力はさらに研ぎ澄まされていた。


 「・・・くんくんくん、この匂いは、ニナ!?あの館の中に、ニナがいる!」


 「ニナとは、お前の仲間か!?」


 「それに、何か声が聞こえる!」






 『アハハハハハハハハハーッ!!おばけなんてないっさぁ~♪おばけなんて、うっそだぁ~ッ♪だから、おばけなんて全部全部ぜぇぇぇんぶ、偽物なんだぁぁぁっ!!だから、みんなこの火炎放射器で燃えて燃えて燃えて燃えて燃えて燃えて燃えて燃えて灰に還りやがれぇぇぇぇぇぇっ!!死んじゃってんだから、早く天国にでも地獄にでもいきやがれってンだよぉぉぉぉぉぉっ!!アハハハハハハハハハーッ!!キャーッハッハッハッハッハッハッハッ!!』






 「・・・うわ、マジかよ」


 レベッカが珍しくドン引きし、真っ青な顔つきになった。

 この狂気に満ちた叫び声は間違いない、仲間のニナのものだった。


 「どうかしたのか?」


 「・・・あのホラーハウスに火をつけたの、もしかすると、オレの仲間かもしれねぇ」


 「・・・は?」


 「・・・アイツ、オバケが大の苦手なのに、よりによってお化け屋敷に迷い込んだのかよ。それでオバケに対する恐怖で、完全に頭がおかしくなってやがる」


 そして、お化け屋敷から涙を流して飛び出してきた人影が見えた。

 それはどこからどう見ても、オバケの装いに身を包んだ脅かし役だった。脅かすはずのオバケが客に脅かされて、挙句の果てにお化け屋敷に放火までされるというカオスな光景を目の当たりにして、レベッカたちは凍り付いた。普段バカで能天気なレベッカでさえも凍り付くほどの惨状だ。


 「ひっ、だ、誰か助けてくれぇっ!!黒猫の獣人がいきなり火炎放射器を取り出して、火をつけやがった!!」


 「怖いよー!!あんな怖い客、見たことがないよーっ!」


 脅かし役のオバケたちは見事にトラウマを刻み込まれたらしく、青い顔をしてガタガタ震えていた。

 

 「・・・とりあえず、行ってみるしかねえか」


 レベッカは覚悟を決めて、焼け落ちる寸前のホラーハウスに向かって走り出した。

次回、レベッカVSニナのガチ喧嘩になります。

オバケが大嫌いな彼女がついに発狂、昔の常識人だった彼女はどこに行ってしまったのでしょうか。


次回もどうぞよろしくお願いいたします。

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