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第五話「”彩虹の戦乙女”救出大作戦③~虎と狼~」

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!

新作が書きあがりましたので、投稿いたします。

どうぞよろしくお願いいたします!

 【三人称視点】


 「オラオラオラァァァッ!!」


 レベッカが威勢よく飛び上がると、オークの脳天に勢いよく大剣を叩きつけた。

 子供の姿になってもなお衰えない驚異的なバカ力で振り下ろされた大剣の刃が、兜を物ともせずにオークの脳天にめり込み、鈍い音を立てて、オークの巨体が倒れこむ。


 そして、すぐさまオークの脳天を踏みつけて再び飛び上がったレベッカは大きく腕を振り上げると、腕が高熱の火炎に変わり、巨大な炎の拳を下にいるオークたちに目掛けて発射した。


 「こんなもんじゃ、全然足りねえぞ!!祭りなんだから、もっと楽しませろやぁぁぁっ!!」


 獰猛な獣と化したレベッカが地面を高速で駆け出して、斧を振りかぶって襲い掛かってきたオークの顔面に拳をまっすぐ放ち、顔面に拳がめり込んだオークがそのまま首があらぬ方向に折れ曲がり、身体を回転させて吹き飛ばされていく。


 そして、彼女とは対照的に、金髪のメッシュを編み込んだ黒髪の少女は、長い脚を素早く繰り出して、オークのこめかみに向かって蹴りを放つ。的確に急所を捕らえた強烈な蹴りを喰らったオークは白目を剥き、口から泡を吹いて倒れこむ。


 戦い方はクールだが、その瞳にはレベッカに負けず劣らずの激情が宿っており、返り血を顔に浴びると、指で拭い捨てて、ぺろりと艶めかしく舌で唇を舐める。その姿はさながら獣そのものだ。


 「・・・臆したか?今更臆しても遅いがな。戦いは非情なものさ。生き残るのは勝ち残ったものだけだ」


 すっかり震えあがっていたオークたちだが、もはや破れかぶれと言わんばかりに、武器をメチャクチャに振り回しながら少女に向かって突進してきた。地面を揺らし、目を血走らせて暴走するオークの動きを瞬時に見切ると、彼女は振り下ろされた巨大なクワのような武器をかわし、懐に潜り込む。


 そして、彼女の指先が光り出して、オークの喉元に突き刺すとそのまま一気に引き裂いた。


 首から大量のどす黒い血液を噴き出し、何が起きたのか分からないといったように目を見開くオーク。そして、頭部と身体が切り離されても、彼の表情はポカーンと間の抜けた表情を浮かべたまま、永遠に沈黙する。


 「負けたヤツはただ死んでいく・・・。それが、戦いというものだ」


 その後は、もはや一方的な蹂躙でしかなかった。


 たった二人の少女に対して、武装したオークが20体という絶望的な状況を、彼女たちは見事にひっくり返した。最後の一人を倒すと、オークたちは一人残らず、無残な姿となって地面に転がっていた。圧倒的な戦力をいとも簡単に覆された現実を受け入れることが出来ないまま、目を見開いたまま息絶えているオークの形相が物語っているかのように、誰も予想すら出来ない展開となっていた。


 「はぁ~、久しぶりにスッキリしたぜ!たまには思い切り喧嘩でもしねーと、身体が鈍っちまうよな」


 「・・・この程度なら、修行にもなりはしないな」


 「それにしても、お前、なかなかやるじゃん!その戦い方って、何て言う武術なんだ?見たことがねえんだけど」


 「ああ、これか?これは私たちの世界にある格闘技で”空手”というものだ」


 「カラテ?よく分からねえけど、お前、本当に強いんだな!オレもすごく勉強になったよ。こんなに強い格闘技を使いこなせる奴がいたなんてな」


 「・・・それほどでもないさ。私なんてまだまだだ。うん?どうして勉強になるのだ?」


 「いやー・・・、実は、オレさぁ・・・」


 レベッカは自分の素性、なぜ18歳の姿から、今の子供の姿になってしまったのか、その経緯についてかいつまんで説明をした。話を聞いていた少女は目の前にいる女性が自分より一つ上であること、子供の姿に変えられてしまったということを聞いて、目を見開いて驚いた。


 「・・・まさか、お前が私の一つ上だったとはな。しかし、やはり異世界というのは、何でもありだな。まさか、子供の姿に若返るとはな・・・」


 「うにゃ?異世界ってことは、お前も異世界からやってきたのか?」


 「あ、ああ、まあな・・・」


 「ふーん。でもさ、どうしてお前こんなところにいるんだよ?お前もこのダンジョンの攻略に来たのか?」


 レベッカが尋ねると、彼女は気まずそうにそっぽを向いて、言いづらそうに言葉を濁す。しかし、純真無垢で好奇心をむき出しにして、耳と尻尾を揺らしながら見つめてくる彼女のオーラに耐え切れず、ぽつり、ぽつりと話し始めた。


 「・・・迷ったんだ。自分がいたダンジョンに戻ろうとしたら、道に迷って、帰れなくなった」


 「え?それって、お前、ダンジョンマスターってこと?どこのダンジョンだよ?」


 「・・・レオノール大陸にある、バナーヌ遺跡なのだが」


 「レオノール大陸って、隣の大陸だぜ?お前、まさか、道に迷って違う大陸に来ちまったのか?」


 レベッカの無邪気な問いかけに、彼女は顔を真っ赤にして、こくりと小さく首を縦に振る。

 どうやら彼女も、想像を絶するレベルの方向オンチのようだ。それを聞いて、恨めしそうに上目遣いで睨みつけるが、レベッカは何かを考え込むようにうーんとうなった。


 「・・・笑いたければ笑えばいい。まさか一度ダンジョンを出たっきり、帰ろうとしても、見当違いの場所ばかりに行ってしまうこの方向オンチをな」


 「・・・いや、笑わねえよ。だって、オレもその気持ちすごく分かるしさ」


 「・・・え?ど、どういうことだ?」


 「・・・いや、実は、オレもさ・・・」


 レベッカは、自分も度を超えた方向オンチであること、しょっちゅう道に迷っては仲間たちから叱られて、呆れられてきたこと、自分だって迷いたくて迷っているわけじゃないという心の嘆きをまくし立てる。話しているうちに、悔しかったことを思い出したのか、目に涙が浮かぶ。


 「ヒデーだろっ!!オレだってわざと迷っているわけじゃねえんだよっ!!なのに、アイリスやニナはオレのことを【万年方向オンチバカ】とか【決断力のある方向オンチ】とか、言いたい放題言いやがってよっ!!アイツらだって筋金入りのショタコンだし、変態じゃねえかよっ!!まだオレの方がまともだもんっ!!」


 「・・・マジか、お前も方向オンチで悩んでいたのか!」


 「おうよっ!!」


 「そうか、私だけじゃなかったんだな・・・!」


 すっかり打ち解けたのか、さっきまではクールで人を寄せ付けない雰囲気の強面だった彼女の表情が、わずかに緩み、年相応の少女らしい表情を浮かべていた。そして、怒ったり、泣いたり、コロコロと喜怒哀楽の感情がコロコロと変わるレベッカを見て、優し気な笑みを浮かべていた。


 「・・・ふふっ、ははっ、何だかここまで落ち着いた気分になれたのは久しぶりな気がするな。格闘技が得意で、方向オンチな所も一緒とか、もう他人のような気がしないな」


 「おうっ!お前、さっきまですごくムスーってしていたけど、笑うとすごく可愛いぞ!そっちのほうがいいなっ!」


 「・・・ふふっ、どうやらお前は思ったことが正直に顔や言葉に出るタイプのようだな。だが、こうして話をしていると、不思議と気分が落ち着くというか、この世界に来て初めてそういうヤツと出会えたような気がするな」


 「ニャハハハ!お前も話してみると、結構気が合うと言うか、面白いヤツだな!」


 そういって、二人は楽しそうに笑いあい、昔からの友人であるかのように他愛もない話で盛り上がった。レベッカの長所は、種族を問わずに心を掴んで魅了する太陽のような明るさと屈託のない笑顔、思ったことが正直に出る性格であり、裏表のない彼女の人柄にアイリスたちも一目置いており、バカだなんだと言いつつも、傭兵団のリーダーとして慕っているのである。


 「オレは【レベッカ・レッドグレイブ】!お前は何て言うんだ?」


 レベッカが自分の名前を名乗ると、少女はまぶしい笑顔を見せて名乗った。




 「・・・私は”光”。【寅若光】だ。ヒカルと呼んでくれ、レベッカ」


 「おうっ!!よろしくな!!」


 


 レベッカが光に手を差し出すと、彼女も握り返して、お互いに笑いあった。


 (・・・あれ?トラワカ・ヒカルって、どこかで聞いたことがあるような気がするけど、どこで聞いたんだったっけ?うーん、ダメだ、思い出せねえや)


 ただし、物覚えが悪すぎるというのが難点であった。

 まさかこの時、友情が芽生えた相手こそが、自分の恋人でもある斗真の命を狙う【光の魔神ラディウス】であることに、レベッカは全く気付いていなかった。


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 「それでさ、ヒカルはこれからどうするんだよ?」


 お弁当のおにぎりをムシャムシャと頬張りながら、レベッカが光に尋ねる。光もレベッカに分けてもらったおにぎりを美味しそうに食べながら、地図を広げて歩いている。


 「・・・調べてみたところ、このダンジョンは4つのアトラクションをクリアしないと、奥にあるダンジョンマスターの所にはたどり着けないようだ。とりあえずは、この4つのアトラクションをクリアすることが先決だな」


 「ふーん、それならどうしてここから脱出できたヤツは、どうやって脱出できたんだろうな」


 「考えられるとしたら、外にあらかじめ転移魔法陣を置いてきて、それを使って脱出したという可能性が高いな」


 「なるほどな。しかし、この”シャケ”のおにぎりは美味いなぁ!」


 「私は断然”おかか”だ。異論は認めん。おかかこそが、おにぎりの具の中でも永遠のチャンピオンだ」


 「おかかって、あの甘辛く煮詰めた魚の干物を薄く削ったヤツだよな!あれ、熱々のコメとすごく合うんだよなぁ~!」


 「お前も分かるか!私の周りは”梅干し”とか”ツナマヨ”とか言うが、あれは邪道だ!」


 「まあ、オレは美味い物なら何でも大好きだけどなっ!ニャハハハ!」


 「・・・似ているな、昔のアイツに」


 「オレが、誰かに似ているの?」


 「・・・ああ、私が昔、心から信頼していた唯一無二の相棒にな」

 

 そうつぶやくと、光はどこか遠くを見つめながら表情が寂しそうに曇っていた。

今回はレベッカパートでしたが、いかがでしたか?

斗真の命を狙っている相手だということも忘れて、寅若光と仲良くなってしまったレベッカの行方はどうなることか。バレた時の修羅場をどうしようか、どう盛り上げていこうか、現在悩みながら書いております。


次回は【斗真パート】の話になります!

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