第二話「花房青龍、登場!~地獄への招待状~」
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【斗真視点】
「アレクシアさん、一体何が起きたと言うんですか?」
「・・・私にも何が起きているのか、よく分かりませんわ。突然のことでしたし。ただ、私たちのことを後から誰かが尾行しているというのは気づいていたから、どこの誰か確かめようと思って裏道に誘導したのですが、それがかえって仇となってしまいましたわ」
アレクシアさんが苦虫を嚙み潰したような顔になる。
そして、彼女の左足首を見ると、そこには何かに噛まれたような跡があった。
「・・・その、傷跡は・・・」
「ユキ、冷気を頼む!!」
-うむ!-
僕が尋ねようとした瞬間、桜がユキちゃんに叫んで、ユキちゃんが僕らの周りに冷気を放った。噴水の水が瞬時に凍り付き、辺り一面の床や、広場に置かれていたものがあっという間に真っ白な氷で覆われていく。
そして、僕たちの足元を見ると、そこには奇妙なものが氷漬けになっているのを見つけた。
それは地面を突き破って長く伸びている薔薇のツタだった。しかし、薔薇の花には大きな口がついており、無数の牙を生やしている。もしかして、これに噛まれたせいで、アレクシアさんはこんな姿になってしまったのか?
「これですわ!これに噛まれて、私たち、子供の姿になってしまいましたの!」
「私たちってことは、やっぱりミーナたちも子供の姿にされてしまったのか?」
「・・・そういうことは、当事者に聞きだすのが一番手っ取り早いと思うよ」
そう、それはさっきから僕たちの様子をうかがっているヤツとかね。
僕は【ヘルハウンド・ナイト】の宝箱を素早く撮り出すと、バックルに差し込み、変身すると同時に大剣を振り上げて、僕たちのことを伺っている気配がする方向に向けて火炎弾を放った。
「おっと!」
当たりだ!
そいつは火炎弾をかわすと、屋根から屋根へと伝って、僕たちの前に姿を見せた。
「・・・さすが、愛しのトーマちゃんね。アタシの気配をすぐ気づいてくれるなんて、嬉しいわ」
その人物の姿を見た瞬間、僕の思考はフリーズした。
桜も、アレクシアさんも、ユキちゃんも、そいつの姿を見て目を見開いて固まっている。
そりゃそうだ。
なぜなら、そこにいたのは・・・。
ウェディングドレスを身に纏った、一見、端正な顔立ちと真っ白な肌、出るところは出ていて、引っ込んでいるところは引っ込んでいるグラビアモデルのようなスタイルを持つ美女だったのだから。
しかし、そいつの顔を見た瞬間、僕の記憶に覚えがある人物がアイツしかいないと言うことに気づいた僕は・・・。
「死ねェェェェェェェェェッ!!」
ゴシャアアアッ!!
自分が発したとは思えないほどの、この世のものとは思えない絶叫を上げて、大剣を思い切り投げつけていた。
「・・・お前・・・マジで花房なのか?」
「・・・んふふふ、久しぶりねェ~。再会して、いきなり大剣を人の頭に投げつけるなんて、かなりワイルドな求婚ねぇ、斗真ちゃん」
頭から大量の出血をしているのに、髪をかき上げて背後に大量のバラを咲かせて、やたらキラキラ光りながらかつてのクラスメートの【花房青龍】は、僕に投げキッスをした。
身体中の鳥肌が立ち、電撃が頭に落ちたような気がした瞬間、僕の思考回路が真っ白になっていく。
「打ち首だぁぁぁっ!!打ち首にしてくれるわぁぁぁっ!!」
「落ち着け、斗真!!コイツがアレクシアさんをこんな姿にしたんだったら、どうやって元の姿に戻すか、その方法を聞き出してからでも遅くはないよ!」
「教えてくださいって言って、はいそうですかって、教えてくれるようなバカがいるかぁぁぁ!!コイツには、学校にいた時から散々な目に遭わされ続けてきたんだっ!!溜まりに溜まった恨みつらみを今こそ果たしてくれるわ!!」
桜が僕を羽交い絞めにして、必死で押さえつけてくる。
くっ、なぜ邪魔をするんだ!!コイツにはとりあえず、電気椅子に座らせて1億ボルトの電流を流し込むというお仕置きをしなければならないというのに!!
ーそれはお仕置きではなく、処刑だと思うのだがな。-
「あらあらまあまあ~、こちらの可愛らしい女性は、トーマちゃんのお知り合いなのですか~?」
アレクシアさんの質問に、僕の怒りがさらに燃え上がって、頭の中でブチブチと何かが切れる音が聞こえた。
可愛らしい女性?知り合い?
「そんなものなんかじゃないっ!!!」
「・・・あー、アレクシアさん。まず、コイツのことなんだけどさ・・・コイツ”男”だぜ?」
「・・・・・・え?」
そう、目の前にいるウェディングドレスを着込んでいる美しい顔立ちをしたこの女性の正体は、僕たちと同じクラスメートで、男性の【花房青龍】である。鳳の取り巻きの一人だったけど、何て言うか、鳳たちも花房には一目置いている(まあ距離を置いているとも言えるけど)といった感じで、グループの中でもひときわ目立つ存在だった。
男子の制服を着ているけど、ハッキリ言って見た目は男装をしている美女にしか見えない上に、いつもクシと手鏡を持って、髪の毛をクシで整えていたり、バラを取り出して眺めていたり、タバコを吸っていたりしていた。
「・・・人の更衣室から私物を盗んだり、体育の授業中にやたら抱き着いてきたりしてきたんだ」
「あら~、だぁって、それは仕方がないわよ。アタシ、斗真ちゃんにぞっこんなんですもの。好きな人の持っていたものを欲しがるのは、当然のことでしょう?」
「・・・いや、それでもやっていいことと悪いことがあるでしょ」
「桜ちゃんも可愛いけど、ちょ~っと、アタシの好みじゃないのよねぇ。アタシはね、とにかく運がない人間って言うのが大好きなのよ。何をやっても上手くいかない、神様に見放されちゃっているっていう感じの可哀そうでダメな子に、母性本能がキュンキュン来ちゃうわけっ」
「・・・あん?」
「かつては町内最強の不良で”鬼姫”とまで呼ばれていたのに、大好きだったお友達と仲たがいしちゃったせいで、友達が一人もいない、常に一人ぼっちで地味な陰キャになっちゃったんですもの。やっぱり、お友達の弟があーんな風に死んじゃったのは、自分がヤンチャをやり過ぎてその子を巻き込んでしまったことをまだ気にしているのかしらぁ?」
その言葉を聞いて、僕の頭の中がキーンと冷えていく。
鏡を見ているわけではないけど、今の僕の表情はきっとヤバいものになっているのだろう。
コイツをこの場で殺してやりたいという激情に駆られたせいか、気が付くと血管が浮き出るほどに拳を強く握りしめていた。
「お前がアレクシアさんたちを、こんな姿にしたのか?」
「ええ、そうよ。アタシのこの”若返りの紫薔薇”を使ってね」
花房の足元から、無数の牙を生やした口がついている薔薇のツタを数本飛び出して、意思を持っているかのようにうねうねと動き回る。
「この薔薇に噛まれると、魔力と共に年を吸い取って、相手を若返らせる効果があるのよ。どうして相手を若返らせる必要があるのかですって?だぁーってぇ、相手が子供になってしまえば、どんな強大な敵が相手だろうと、簡単に倒すことが出来るでしょう?アタシ、子供とか弱いものを一方的にイジメて、絶対的な条件で勝つことが大好きなのよ」
「あらあらまあまあ~、これはまた、非常にクズな性格ですわね~」
「・・・ミーナたちをどうした?」
「ウフフフッ、そこにいる子以外の6人はちゃーんとここにいるわよぅ?」
花房が水晶玉を取り出すと、そこに、どこかに捕らわれている大アネキたちの姿が映し出された。彼女たちは、幼稚園児ほどの小さい子供の姿に変えられてしまっており、着ていた上着を身体に巻いただけの装いだった。
『チクショウ、出しやがれーっ!!あの薔薇野郎-っ!!』
『ああ、子供の姿に変えられた君たちは、これはこれで何とも可愛らしくて愛くるしい・・・!ボクは君たちが子供になってしまっても、君たちのことを愛する気持ちに変わりはないよ、マイ・エンジェルたち・・・ぶごはっ!?』
『・・・・・・どさくさに紛れて、人の胸を揉みしだくな色ボケ。殺すぞ、マジで』
『ビビアナの場合は、普段とさほど変わっていないような気がするがな。しかし、こんな貧相な姿では、トーマを大人の女性の色香で魅了することが出来ないではないか!』
『・・・・・・それだったら、今度はトーマを子供のようなちっちゃい身体つきをした女性でしか興奮出来ない性癖に調教してしまえばいい』
『そうか、その方法があったな!よしっ、元の姿に戻れなかったときには、トーマをどこに出してもおかしくないロリコンに教育してやればいいな!』
『・・・アカン、これ、バチが当たったのかもせえへん。ここ最近トーマちゃんを蹴り飛ばしたり、エロ本を作ったり、盗撮写真を売りさばいたり、色々とやっとったからな~』
『それなら、今度はもう少し自重しなさいよ・・・』
『せやな。今度から、絶対にバレないようなやり方を思いついてやるわ』
『アンタはもう少しちゃんと反省しなさいよ!?』
うん、子供の姿に変えられていても、彼女たちは相変わらず彼女たちのままだった。このたくましい性格だけが、ある意味救いかもしれない。
「この子たちを返してほしければ、キウイの樹海にある、アタシのダンジョンに来なさいな。そこでアタシのダンジョンを無事攻略することが出来たら、この子たちを返してあげるわ。ただし、もし負けたらその時は・・・」
そういって、花房は妖しい目つきになって、僕を指さした。
「斗真ちゃんを、アタシがいただくわ!アタシの薔薇で無理矢理にでも奴隷にして、アタシと結婚してもらおうかしら!」
「・・・・・・はあっ!?」
絶句。
まさかコイツ、本気でそれが理由でこんな騒ぎを起こしたというのか?
「楽しみにしているわよ。それじゃ、また後でね。オーッホッホッホッホ!」
悪役のような高笑いをしながら、花房の姿は消えていった。
あとに残された僕たちは、予想外の展開にしばし呆然と立ち尽くしていた。
次の相手となる木の魔神ヴァルドゥングこと【花房青龍】はいかがでしたか?
美形のオカマであり、弱い者いじめが大好きという陰湿な性格を持つナルシストというキャラクターのいやらしさを強調できるような展開に出来るように、これからも頑張ります。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!




