第十四話「魔砲特急アルコバレーノ!~明かされる衝撃の事実~」
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【桜視点】
「・・・おお、これは見事だ!」
竜樹ラドンをふんだんに使った和風と洋風を融合させたデザインのラウンジバーを見て、ベアトリクス陛下は目を丸くして驚いていた。まあ、魔導兵器として利用するだけならこんなラウンジとかは必要ないのかもしれないが、そこはあたしの遊び心と思ってほしい。それに、この列車は兵器としてではなく、今後の冒険における足としても利用しようと思っているから、長旅の間、快適な環境で過ごせればいいなと思って設けてみた。
まず、1号車の魔導大砲を内蔵している【運転室】を案内した。
「ここでは、ホルスさんにこの列車の運転を任せたいと思っている。行きたいと思う場所を入力すると、その場所に安全なルートを自動的に割り出して走行することが出来るんだけど、敵の襲撃に備えて強力なバリアを展開することによって、より安全に運行できるようにしたいんだ」
『ええ、これほどなまでに立派な魔導兵器の操縦を任される大役、必ずや果たして見せましょう』
「そして、次の2号車には、この列車の心臓部ともいえる動力室もある。ここの設備の管理はビビアナさんにお願いしたいんだけど、いいかな?」
「・・・・・・任された」
ビビアナさんが興奮しているのか、鼻息を荒くして、ぺったんこ・・・失礼、小ぶりな胸を張る。
ここにある魔力を無尽蔵に生み出すタンクの中にある魔力を魔導大砲に流し込み、一定時間充電をすることによって高火力の魔導大砲を撃ち出すことが出来る。このタンクに、霊脈の魔力の一部を注ぎ込むことによって、千鶴が張っている結界を相殺する魔力を含む大砲を撃ち出すことが出来る。まあ、あくまでも魔法技師のビビアナさんと魔力の質にくわしいアレクシアさんたちの推察なのだが。
そして、次にやってきたのは3号車だ。
空間を広げる魔法で外観よりもはるかに広い空間となった車内には、列車で移動をする際に、隊員たちがここで過ごせるように様々な設備が揃っている。
ラドンの樹を加工した木材をふんだんに使った【ラウンジ】は、斗真が【霊薬エリクシール】を糸に紡いで縫い上げたソファーが置かれており、座って休むだけで体力や魔力が回復できるようになっている。そして、お酒が大好きなミーナやアレクシアさんのために、みんなで一杯楽しめるようにバーカウンターも設けた。
「こんな優雅な空間で一杯飲めるなんて、最高じゃないか!サクラ、君のセンスには脱帽だよ」
「隣の食堂車も広くて、清潔感があって素晴らしいですわね~。ここで料理やおつまみを作って、食堂車で食べるのも良し、ラウンジでお酒を飲みながら軽く食べるのも良し、これはお見事ですわ~」
「厨房には、こっちのバーカウンターに繋がっているリフトがあるからね。リフトに出来上がった料理を運んでもらえることもできるよ」
その時だった。
「・・・桜、これだけじゃないでしょう?」
斗真がやつれた表情で、電車に乗り込んできた。
魂が抜けてしまったような虚ろな表情を浮かべているあたり、ゾンビか幽霊に間違われてもおかしくない姿に、ニナさんが悲鳴を上げそうになる。
「ちょっと、大丈夫なの?少し休んでいた方がいいんじゃないか?」
「ありがとう。でも、せっかく完成したのに僕が休んでいるせいで、みんなに気を遣わせるわけにはいかないよ」
そう言って、斗真が壁についているボタンを押した。
すると、天井や壁一面が一瞬で透明なガラス張りになって、外の風景が一望できるようになった。
「ウオオオオオオーーーッ!!すっげえ、何だこれはぁぁぁっ!?」
「展望車にもなるんだ。外の風景が見たいときにはこれを使うといいよ。ちなみにガラスも鋼属性の魔力を含んでいる最高の強度のものにしたから、大砲の直撃を受けてもビクともしないよ」
「ええなぁっ!夜、展望車にして夜空を眺めながら寝そべって一杯っちゅうんも、粋やないか!」
みんなが気に入ったらしく、驚きと興奮で盛り上がっている。
そんな光景を見て、車内の設備やインテリア、仕掛けなどはどうするかと色々と考えていた斗真とあたしは拳と拳をぶつけ合わせて、にかっと笑みを浮かべた。
「やるじゃん、斗真」
「桜がたくさんいいアイディアを思いついてくれたからだよ」
そのアイディアを実現させてしまったのは、お前なんだけどな。
「何だこれは!?風呂までついているのか!?」
車内を見て回っていたアイリスさんが驚きの声を上げた。
ラウンジを出た先には、シャワーと浴室が完備されている【浴室】がある。水に強く腐食しにくいラドンの樹を使った【ヒノキ風呂】ではなく【竜樹風呂】だ。ほのかな甘くてリラックスできる匂いを楽しみながら、湯につかることで、竜樹から染み出す竜属性の魔力の効果で体力と魔力を回復させることが出来る。
「ちなみにここの窓はマジックミラーになっているから、外から覗こうとしても中は見えないようになっているからな?」
あたしがそう言うと、何人かは驚きで目を見開き、口をガコーンとあごが外れたように落としていた。
いや、ちょっと待て。どうしてそんな反応をされるんだ?
「・・・つまり、外からではトーマやサクラが入浴をしていても、覗けないと言うことか?」
アイリスさん、そんな鬼気迫る表情にならないで。つか、言っていることがおかしい。
「大丈夫だよ、アイリス。そういう時には、二人が入浴している時に、ボクたちも入ればいいのさ!」
「全然よくないからねっ!?そんなことになったら、僕、鼻血を出し過ぎて今度こそ本当にあの世に逝くからねっ!?」
鼻血を出し過ぎて、大量の血で汚れた浴室なんて想像すらしたくない。火サスだってそんな展開はさすがにねぇよ。
「そうか、それは非常に名案だなっ!」
「おうっ!!これからは覗きはやめて、トーマたちと一緒にお風呂に入ればいいんだな!」
「バカだー!!変態だー!!ここにどうしようもない痴女たちがいるー!!」
「痴女だって?フッ、褒め言葉さぁっ!さぁ、この変態王子をもっと痴女と呼んでくれたまえ!」
「・・・・・・死ね、色ボケ」
「別れるぞ」
「・・・え?」
俺とビビアナさんのダブルパンチを喰らい、ミーナが部屋の隅で体育館座りをして落ち込んでしまった。「捨てないで・・・」とブツブツ言っているが、捨てるわけがないだろう。まあ、今後のお前次第なのだが。
「お前ら、そういうことなら私も誘わないか!トーマちゃんとサクラちゃんは私にとっては弟なのだからな。お姉ちゃんが一緒にお風呂に入るなど当たり前のことでしょう?」
その時、ベアトリクス陛下がとんでもない爆弾発言をぶちかましやがった。
「いや、アンタはさすがにまずいでしょうが!?魔王軍のトップが混浴するなんて、部下にバレたらさすがにヤバいだろうが!?」
「何を言っているのよ。例え部下にバレても、魔王軍最高責任者の権力で押し通すために、こちとら魔王軍のトップをやっているんじゃないの!私は魔王で偉いんだから、可愛い男の娘たちと一緒にお風呂に入っても、セクハラにはならなのよ!!」
「そんな不埒な理由で魔王をやろうとしないでください!!せめて世界征服とか、勇者を倒すとか、もっと魔王らしいまともな目的をもってくださいよ!!」
「いや、兄弟。それもそれでシャレにならねえからな!?」
さすがはレベッカさんたちを教育してきた人だけあって、自分の欲望には正直すぎるな。
「それで、隣の4号車が【カーゴトレイン】になっているんだ。ここに武器やアイテムを整備するための【工房】に、手に入れたアイテムや魔道具などを安全に保管して運ぶための倉庫になっている。かなり大きい物でも、魔力でサイズを小さくして保管することが出来るよ」
「武器の手入れにはちょうどいいわね」
「これなら、どこに戦いに向かっても万全の状態で臨めると言うことだな」
どうやらみんな満足してくれているようだ。
この魔導兵器を開発するのに尽力してくれたオークやトロルといった魔族たちと、ブラオベーレの技術者たちには感謝の言葉をどれだけ言っても足りないぐらいだ。
「本当に見事なものだ。これなら、屋敷を修繕するまでの間、ここで生活をしても大丈夫だな」
・・・・・・。
あれ、今、誰か不穏なことを言わなかったか?
「・・・ああ、姐さんがオレたちがトーマたちを女の子にしちまったことにブチ切れて、よりにもよって上位の破壊魔法で屋敷を吹き飛ばしちまったからな」
「ビビアナの修復魔法の術式まで吹き飛ばしてしまいましたからな」
「お前らが悪いんだろうがぁぁぁっ!!トーマちゃんとサクラちゃんをほぼ毎日のように臨死体験をさせるわ、得体のしれない暗黒物質を食わせて女性に変えちまうわ、散々やらかしまくってんだから!お姉ちゃんとしては、弟を無碍に扱うバカ共に天誅を与えたくなるのは、当然のことだろうが!」
「でも、それで斗真たちの住まいまで吹き飛ばしてしまったら、元も子もないじゃないですか!」
え・・・?
屋敷が・・・吹き飛んだ?
おうちが・・・なくなった?
「・・・あの、それ、どういうことですか?」
「・・・トーマとサクラは元カノのショックで倒れとったから、言うたらとどめになるんやないかと思って、黙っとったんやけどな」
「・・・端的に言うと、今回の騒ぎを聞きつけた陛下が怒り狂ってな。ロケットランチャーではなく、都市一つ分を一瞬でこの世から消し去ることが出来る破壊魔法を使って私たちをシバこうとしたらしいのだが・・・」
オーバーキルにもほどがあるだろうが。
ハリセンと町一つを消し去る破壊魔法が同レベルかよ。
「・・・・・・アハ、アハハハ」
ヤバい、斗真が漆黒のドロドロとしたオーラを吹き出しながら笑いだした。これは完全にブチキレた時の状態だ。レベッカさんたちも、さすがにこれはヤバいと思ったのか、表情が凍りついていた。
「ベリス姉さまぁ」
「・・・は、はい!?」
「大嫌い」
「ほぐわぁぁぁ!?」
斗真の会心の一撃に、ベアトリクス陛下が雷に打たれたようなショックを受けて、白目を剥き、涙を浮かべてその場に倒れてしまった。魔王軍のトップにして、魔界四大勢力の一角が、可愛がっていた男の娘から嫌われたことによって、完全にリタイアした。
そんな理由で倒れるなよ、魔王様。
過去にアンタを倒そうとした勇者たちや、部下たちが聞いたら居たたまれないからな。
「・・・と、と、ト~マちゃんに嫌われた~。も、もう生きていく希望も光もなくなった~。アハハハハハハ、鬱だ、もう◯ぬしかない。我が魔王軍に栄光あれ~、アハハハハハハ」
ヤバい、魔王様が壊れた。まあ、レベッカさんたちによると、ベアトリクス陛下がブチキレて、屋敷を吹き飛ばすのは今に始まったことじゃないらしく、過去にも戦車で乗り込んで吹き飛ばしたり、武装して「あの大バカ野郎たちはどこだ!」と乗り込んできたこともあったらしい。まあ、屋敷が吹き飛んでも、一週間後には修繕魔法で直るから、レベッカさんたちは「あー、やっちまったか。また家がなくなったか」ぐらいにしか考えていなかったらしい。慣れって怖いね。
ちなみに、仁美たちが眠る墓は無事だったらしい。よかった、屋敷から離れた場所に建てておいて・・・。
クロス王国の結界を破壊する切り札【魔砲特急アルコバレーノ】がついに完成しました。次回からは、これに乗り込んで冒険します!
そして、拠点の屋敷がベアトリクスの破壊魔法で消滅するというオチになりました。屋敷が元に戻るまでの間、斗真たちはアルコバレーノで生活をすることになります。部下がバカなら、部下に教育をした上司もバカでした・・・。(斗真に嫌いと言われて、再起不能になるし)
次回もどうぞよろしくお願いいたします!




