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第十二話「サファイア街道の戦い②~閃光の狩人~」

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!

新作が書きあがりましたので、投稿いたします!

どうぞよろしくお願いいたします!

 【三人称視点】


 「強いヤツは自分で道を切り開くことが出来るヤツだ。他人を妬み、恨み、腐っているヤツは弱いヤツの中でも最低の部類に入る。そんな奴らに生きる価値などない」


 ひかるが変身したワータイガーが吼えると、両手から光が鋭い爪状に噴き出した。

 そして、地面を蹴りつけると、身体からまぶしい光を放ったと思った瞬間ー。




 ザシュッ!!


 「・・・あ?」




 バジリスクの身体に鋭い爪で引き裂かれた傷跡が刻み込まれて、大量の出血を迸らせる。

 振り返ろうとした瞬間、バジリスクの視界にはもうすでにワータイガーの足が迫っていた。


 一閃。


 光を纏った右足がバジリスクの頭部にめり込み、粉砕する。


 頭部を失ったバジリスクが地面に倒れこみ、ピクリとも動かなくなった。


 「・・・やめろ!!」


 つばさが【ガルーダ】の姿に変身して、カリュブディスに攻撃を仕掛けようとしていたワータイガーを抑えつける。


 「・・・邪魔をするな、つばさ。コイツらを生かしておく理由などない。これでコイツらが他の人間を襲った時、お前が逃がしたせいで関係のない人たちが死んだら、どうするつもりだ?」


 「・・・それでも、人の命を奪うのは、間違っている!」


 「人の命を奪うことに快感を覚えてしまったコイツらは、もはや人間ではない。人の命を奪ったら、自分の命の全てをかけて償うのが筋というものじゃないのか?」


 「・・・そんな・・・ことは・・・!」


 「・・・だから、私は覚悟を決めている。いつ、どこで死ぬことになろうと、私は戦いを止めない。それが私なりのけじめというものだ・・・!」


 ワータイガーはガルーダの胸を大振りに爪で切り裂いた。


 「ぐあああああああっ!!」


 吹き飛ばされたガルーダは元のつばさの姿に戻り、砂浜を転がっていく。

 急所をわずかに外したが、強い衝撃を受けたせいで、身体が思うように動かせない。


 「・・・理想や甘い考えだけでは、何も救えない。やるなら例え全てを捨てることになったとしてもやり通せ。中途半端な正義も、一つの「悪」でしかないんだ!」


 ワータイガーが腰を低くかがんで身構えると、彼女の両脚に光が集まり出し、まぶしいほどに光り出した。そして両足が揺らめいて見えるようになり、様々な色に変わって光り出す。


 「・・・な、何よ、あれは・・・!?」


 「ヤバいよ、逃げよう!!」


 「-ちっ、ザケんじゃないわよ!あたしはまだまだ殺し足りないんだっ!!」


 もはや破れかぶれで、アルゴスが翼から無数の羽手裏剣をワータイガーに向かって放った。

 ワータイガーは大きく空に飛び上がると、彼女の身体の周りには、空一面にかかる美しいオーロラが生み出される。そして、オーロラを纏った脚を勢いよく振り上げた!!


 


 「-極光の脚・・・!!」




 彼女が無数の蹴りを繰り出すと、オーロラから虹色の衝撃波がまるで雨のように降り注いだ。

 アルゴスは逃げようとしたが、もうすでに遅かった。


 衝撃波を何とかかわそうとするが、翼に直撃すると高熱で一瞬にして蒸発していく。

 

 「う・・・嘘よ・・・こんなの・・・こんなのって・・・!!」


 それがアルゴスの最期の言葉となった。


 鮮やかな彩光の雨が降り注ぎ、アルゴスの腕を、脚を、高熱で一瞬のうちに蒸発していく。

 

 無数の虹色の雨を受けて、全身が高熱の光で蒸発していく姿を見ながら、恐怖の叫びを上げようとした瞬間、彼女の叫びは光の中に飲み込まれて、静かに消滅していった・・・。


 「・・・ちっ、一匹逃がしたか。海の中に飛び込むとはな」


 そこにカリュブディスの姿はなかった。

 海の方を見ると、遠く離れた場所からわずかに何かがものすごい速さで逃げていく水音が聞こえてきた。しかし、水面には彼女が流したと思われる血液が漂っていた。衝撃波を避けきれず、重傷を負ったらしい。


 「・・・私もまだ未熟だな」


 ワータイガーはひかるの姿に戻り、砂を踏みしめて、その場をゆっくりと歩き出した。


 「・・・待ってくれ・・・ひかる!」


 つばさが近くに落ちていた木の棒を杖代わりにして、何とか立ち上がっていた。

 脚を震わせて、痛みに表情を歪めながらも、彼女はひかるを止めようと歩み寄る。


 「・・・お前・・・どうして変わってしまったんだ。前のお前なら、こんなことはしなかった!」


 「・・・以前の私か。それは、弟を守ることも出来ず、親友に裏切られて絶望に暮れていた私のことか?今となっては、あれもいい教訓だったとして受け止めているよ」


 ひかるは拳を強く握りしめて、怒りをわずかに孕んだ表情を浮かべる。


 「・・・弟を守れなかったのも、親友だと思っていた斗真に裏切られたのも、私が弱かったせいだ。私がもっと強ければ、明だって死ぬことはなかった。斗真に置いていかれることもなかった。私が弱いから、大切なものを失ってしまったんだ」


 「・・・ひかる!」


 「・・・だから、強くならなければならないんだ。どんな理不尽な運命に巻き込まれようとも、自分一人だけの力で未来を切り開く力を手に入れる。私の前に立ちはだかるすべての敵を、一人残らずぶっ潰して、私に歯向かう気さえ起きないような圧倒的なパワーを・・・手に入れなければならないんだ」


 「・・・斗真はお前のことを裏切ったわけじゃない!!お前を危険な目に巻き込みたくなかったからだ!」


 「その時点で、アイツは私のことを弱いと見下していたと言うことだろう?・・・アイツとお前、そして私の3人組ならどんなヤツが敵だろうと、怖いものなどないと思っていたのは・・・私だけのようだな。でも、私は信じていたんだよ。斗真と私なら、弟を殺した連中を追い詰めることも出来るって」


 つばさが何かを言おうとした時、ひかるが遮るように叫んだ。


 「でも!!アイツは私を置いていった!!それがどれほど悔しかったか、辛かったか、お前に分かるか!?唯一無二の相棒だと思っていたアイツに、この件にはもう関わるなと言われたときの絶望が、お前に分かるのか!?アイツのことを信じていたのに・・・!!一緒に連れて行ってくれると、信じていたのに!!私一人だけを置いてけぼりにするなんて、許せるわけがないだろう!!」


 「・・・ひかる


 「・・・私はアイツを絶対に許さない。八つ裂きにしても足りないぐらいにな。私たちのつながりなど、斗真にとってはその程度のものだったんだ。・・・その挙句に、弟が死んだ後に、斗真は私たちに何も言わずに姿を消した!!私たちの前から逃げたんだ!!アイツはどうしようもない卑怯者だ!!言いたいことがあるなら、堂々と伝えればいいのだ。それさえもしないで逃げて、再び姿を見せたかと思えば、あんな腑抜けた姿になっていたとはな・・・!!」


 ひかるの脳裏によぎるのは、かつての明るさを完全に失い、常に暗い影を漂わせている、変わり果てた斗真の姿だった。クラスメートの誰とも話すことがなく、陰キャと罵られても、反抗もせず、自分たちから目を背けて逃げている斗真の姿に、ひかるは完全に失望していた。


 裏切られた喪失感、そして怒り、憎しみ、失望・・・。


 彼女の斗真に向けている思いは、激しい怒りを飲み込んで熱を帯びる激情そのものだ。


 「・・・ひかる、斗真はお前の前から姿を消した。でも、それは・・・!」


 「・・・お前の話など聞きたくない。今更聞いたところで、アイツに対する思いが変わるわけでもない」


 ひかるは興味が無くなったようにつばさの胸倉を放すと、彼女に背を向けて歩き出した。


 つばさは呼び止めようとするが、ひかるの雰囲気に圧倒されて、口を開いても言葉が出てこない。


 「・・・斗真に会ったら伝えて置け。私はお前のことを、絶対に許さない、とな」


 「それなら、どうして斗真がいる場所にわざわざやってきて、この街を守ってくれたんだ?」


 「・・・フン、嫌な匂いを放つ汚物の存在を嗅ぎ取ってしまった以上、掃除せずにはいられなかっただけだ。お前が思っているようなことなどではない」


 そう言い残して、ひかるは身体からまぶしい光を放つと、海の上をものすごい速さで駆け出して消えていった。まるで光線が海の向こう側に飛んでいったような感じで、彼女の姿は見えなくなった。


 -・・・ツバサ、一体あの女とトーマ、何があったというのだ?-


 目の前で繰り広げられたつばさと光の言い争いに置いていかれてしまっていたユキが、つばさに話しかけると、彼女は胸元から一枚の写真を取り出して、悲しげな瞳で見つめる。


 そこには、中学校の入学式に3人で肩を寄せ合って笑いあっている、斗真とひかる、つばさの姿があった。


 「・・・すっかり遠くなってしまったな。あの時は、何があっても3人は離れないと信じていたのに」


 写真に、一滴のしずくがぽたりと落ちた。


 


 『私たちも中学生か。斗真、光、これからは喧嘩はほどほどにしろよ?』


 『売られた喧嘩は買う。そして私たちが勝つまでやる。それは死ぬまで変わらんさ。なぁ、相棒?』


 『・・・まあ、生活指導に目を着けられないように気を付けてやろうね?』


 男女の間柄など関係なく、些細なことで笑い、泣いて、喧嘩して、そんな何気ない毎日を送っていた。

 あの時、3人で過ごしてきた日々が、今では宝石のように輝く大切なもののように思えた。


 『私たちはいつだって3人一緒だ!これからも、ついてこい!』


 リーダーのひかるがいつも強気な笑みを浮かべて、斗真やつばさを引っ張っていた。


 『少しは落ち着いて行動しろ。全く・・・ふふっ』


 暴走しがちなひかるや斗真を窘めつつも、まんざらでもないつばさ。


 『ちょっと、リーダー、つばさ、待ってよぉ・・・!』


 そんなつばさたちの後ろを追いかけて、一生懸命ついていく斗真・・・。


 


 「・・・あの時に戻りたいよ。斗真と光が、こんなことになるなんて、嫌だよ・・・!」


 つばさはこらえきれず、涙をこぼして、ユキに抱き着いていた。

 ユキはつばさが手に持っている、斗真たちが仲睦まじそうにしている姿が写っている写真を見る。


 (・・・敵が、かつての親友、か・・・)


 かける言葉が思いつかず、泣きじゃくるつばさを抱きしめることしか、ユキには出来なかった。

 

迫る敵は、かつての親友。

斗真がなぜ光の前から姿を消したのか、どうして彼女を突き放したのか、近々明らかにしていきます。

光は悪ではありませんが、徹底的に自分の信念に従って突き進むキャラクターをイメージして書いております、これからもブレることなく、突き進む彼女を書きたいと思っております。


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!!

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