第八話「怠惰のビビアナ、覚醒①~魔王サミット、突然開催!?~」
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【斗真視点】
これ、かなりヤバいだろう・・・。
僕たちは目の前に現れた、地の魔神ゼルザールへと変貌した宗像の姿を見て、思わず息をのむ。
身体全体を構成する土の表皮が焼き上がって、所々がオレンジ色の光を放つ、漆黒のボディを持つ巨大なゴーレムは、僕たち目掛けて拳を振り上げると、ものすごい速さで殴りつけてきた。
「危ない!!」
僕たちが何とか拳を交わすが、巨大な岩の拳が地面に叩きつけられると、床全体が震えるほどの衝撃が起こる。何とか全員、二階にある通路に飛び移ることが出来た。
建物の中という限られた空間の中で、これほどの巨体を持つ相手と戦うのは、古代図書館でユキちゃん・・・アイスキマイラと戦った時以来だな。そのうえ、相手はこっちの攻撃のほとんどをはじき返すか、無効化してしまうというとんでもない防御力を持っている。
「・・・兄弟、どうするんだ?」
「やるしかないでしょ。アレクシアさん、皆の手当てをお願いします!」
「了解しましたわ~。・・・頼むぜ、トーマちゃん」
僕は両頬を叩くと、ホルスさんを右腕に装備して、二階から真下のコントロールルームに飛び降りた!
「相手になってやるよ。かかってこい、デカブツ野郎!!」
ー・・・威勢がいいわね。楽しませてちょうだい!!-
その時だった。
「兄弟っ!!これを使えっ!!」
ボロボロになった桜がフェンスに身体を支えながら、魔法石を僕に向かって投げ放った。
青く光る、魔法石。
その魔法石をホルスさんの窪みで受け止める。
「骨は拾ってやる!!後のことは考えないで、派手に暴れちまえっ!!」
「・・・ナイス、兄弟!!」
盾のはめ込まれた青い宝石が、まぶしいほどに光輝いている。
僕の隣に降り立ったビビ姉が、ボロボロになったパワードスーツを操作して身構えた。
「・・・・・・トーマ、私たちなら、絶対に勝てる」
「・・・分かってるよ。”俺”たちならどんな相手だろうと、絶対に勝てる!!」
ビビ姉とお互いにボロボロになった顔で、ニィっと不敵な笑みを交わす!
満身創痍で、立っているのもやっとだった身体に不思議な力が湧き上がってくる。
絶対に負けねぇっていう意地と根性の炎を燃やして、目の前のデカブツに一発くれてやる!!
『トーマ様!!いつでも行けますわ!!』
弓の弦を引いて、青い光の矢を放つと、光の矢と一体化した僕がビビ姉の中に飛び込み、ビビ姉の腰にベルトが巻き付いた。
【霊盾解放!!】
そして、僕たちの視界が青一色に染まった。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「・・・・・・ここは、私が封印されていた場所?」
「・・・うん、この世界のどこかに、ビビ姉の前世である魔王様がいるはずなんだけど」
青い鎖がそこら中に張り巡らされている、地平線の彼方まで続いている広い世界。
見渡す限り、青色で染まった世界。
この世界のどこかに、ビビ姉の前世である【怠惰】を司る七大魔王様がいるはずなんだけど。
ー・・・お~、本当にきたんスね。ちょっと待ってて、今、こっちの世界と繋げるッスからー
どこからか、間延びした気だるげな声が聞こえてきた。
そして、空間にひびが入ると、青い空間がまるでガラスが割れたような高い音を立てて崩れ出す。
「・・・はい!?」
「・・・・・・何、ここ」
僕とビビ姉は思わず目の前に広がる風景を見て、驚きの声を上げてしまった。
そこは、これまでの魔王様たちがいた玉座の間ではなく、無数の歯車や機械が動いている部屋だった。壁一面に描かれている巨大なステンドグラスから、太陽の光が差し込み、床に反映している。動力室か何かの部屋みたいだ。
というか、この部屋・・・どういう部屋だよ。置かれている棚には分厚い辞典や専門書、漫画などがたくさん並べられていて、テレビやゲーム機らしきものが置かれているし、こっちの棚にはお菓子が山ほど積んである。さらに、冷蔵庫みたいな魔道具まで置いてあった。
「・・・お待たせしたッス。ようこそ、マイルームへ」
そこに現れたのは・・・青色の大きな、人の言葉を話すクマ。
いや、そうではなく、クマの着ぐるみを着込んでいるビビ姉によく似ている顔立ちをした女性だった。ボサボサの髪の毛をロングにしているところ以外は、ビビ姉と瓜二つだけど、もしかして・・・?
「・・・ああ、自己紹介がまだだったッスね。どうも、七大魔王の一人で【怠惰】を司る魔王をやらせてもらっている【ラピス・フォン・ベルフェゴール】ッス」
いや、ちょっと待て。
まさかとは思ったけど、彼女がビビ姉の前世に当たる七大魔王の一人だって!?
クマの着ぐるみを着込んで、眠たそうな顔をして大きなあくびをしている姿はどう見ても魔王には見えない。それにしても、顔立ちはそっくりだし、気だるげで何を考えているのか分からない無表情な所とか、平坦というか控えめな胸とかはビビ姉にそっくりだし、彼女がビビ姉の前世であることは間違いないということは分かるんだけど、あ、ちょっと待って。ビビ姉、何人の腕を変な方向に曲げているんだ。人の関節っていうのはそっちの方向には曲がらないぞ、あいだだだだだだぁっ!?
「・・・・・・今、何か物凄く失礼なことを考えたでしょう」
「ソンナコト、ケッシテ、アリマセン」
ここで「はい」といったら確実に僕の人生が終わる。
誠心誠意、全力で魂を込めて彼女の胸について考えたことを否定させていただきます。
「・・・あ~、そこのボクが自分のことをどういう風に思っているのかはだいたい想像がつくっスよ。でも、もう自分が死んでから結構長いこと経っているし、もうお仕事とかしなくていいから、好きにやって過ごそうかな~って感じで、死んだ後のセカンドライフを楽しませてもらっているだけッスから、気軽にしてほしいっス」
ラピス様がそういって、僕たちに座布団に用意してくれた。
座布団に座り、ラピス様が冷蔵庫から透明なペットボトルのようなものを取り出すと、僕たちにも差し出してくれた。この容器に入っている冷たくて黒い飲み物らしきものは、ふたを開けるとシュワシュワと空気が音を立てて噴き出した。
「・・・これって、まさか、コーラですか!?」
「・・・ああ、そう呼ばれているらしいッスね。最近、この世界と繋がった別の異世界にある飲み物を見よう見まねで作ってみたんスけどね。結構、イケるッスよ?」
「・・・・・・私たちの世界では見たことがない」
ビビ姉が恐れることなく、ペットボトルに口を着けてごくごくと喉を鳴らして飲みだす。
「・・・・・・喉がピリピリする。でも、この甘さと爽快感、クセになる♥」
「・・・やっぱりキンキンに冷やしたコーラは最高ッスね~」
どうしてここにコーラがあるのか、というか、どうして七大魔王である彼女がコーラのことを知っているのか、色々と疑問が頭に浮かぶけど、とりあえず僕は何か月ぶりに飲むコーラの誘惑には勝てず飲んでみた。
美味しい。
懐かしささえこみあげてくる、のどを潤す冷たい快感と甘味に、心が落ち着く。
「・・・他の魔王たちにも会ったみたいッスけど、彼女たちはまだこのことについて話してないみたいッスね。まあ、このことについては、つい最近私も気づいたばかりなんスけどね」
そう言った時だった。
「おい、ラピス!!相変わらず自分の部屋に閉じこもってやがんのか、久しぶりだな!!」
「全く、死んだ後もそのグータラぶりは治らなかったのか。お前らしいと言えばお前らしいが・・・」
「お、お二人とも、まあまあ・・・」
「シャルラッハロート様!?ヴェルディア様に、ルアン様も!!どうしてここに!?」
そこに姿を現したのは、何とシャルラッハロート様、ルアン様、そしてヴェルディア様だった!
嘘だろう!?七大魔王の4人がまさか集まるなんて、何が一体どうなっているんだよ!?
「よう、トーマ!!相変わらず可愛いじゃねえか、この野郎!!」
「貴方はトーマを愛でたいのか、怒鳴りつけたいのか、どっちなんだ。この大うつけ者は」
「ああっ!?ルアン、テメェ、喧嘩を売ってやがるのか!?」
「ふん、貴方がやるというのなら、すぐにでも地べたに這いつくばらせてやりましょうか?」
「お、落ち着いてください!!魂だけの存在とはいえ、七大魔王のお二方が喧嘩なんてしたら、この世界がメチャクチャになってしまいますから!!」
今にも喧嘩をおっぱじめようとしているシャルラッハロート様とルアン様の間に入って、何とかヴェルディア様が説得をしている。何だろう、このやり取りって大アネキたちの普段のやり取りに非常によく似ているんですけど。
というか、僕をおっぱいとおっぱいの間に挟みながら喧嘩をするのはやめてほしい。
柔らかくて暖かい感触に頭を挟まれて、恥ずかし過ぎて今にも死にそうです。
「・・・・・・あの連中って、生きている頃からあんな感じなの?」
「・・・まあ、あんな感じッスね。バカは死んでも治らないってヤツッス」
「「誰がバカだ、このグータラ魔王!!」」
うん、まごうことなくアンタたちのことだと思うよ。
そして、何とか僕とヴェルディア様がなだめて、魔王様たちを座布団に座らせると、彼女たちにもコーラを注いだワイングラスを渡して、急遽、七大魔王のサミットが始まった。まあ、あと3人いないけどね。
「・・・実はここに来たのは、クロス王国で異常な魔力の質と量を探知しまして、この世とあの世の門番に頼み込んで、一時的に現世に戻ってきたのです」
「貴方たちに力を授けて、後は頼んだとか言っておきながらまたこうして顔を出すというのは、いささか格好悪い話ですけど、そのようなことも言ってられなくなったのよ」
「・・・実はクロスでヤバいことをやらかしているアホ勇者なんスけどね、どうやら、我々が思っていたことよりも遥かにヤバいことをやらかそうとしているみたいなんスよ」
アホ勇者って、間違いなく松本のことだよね。
もうこの時点で、かなりヤバいことをやらかしまくっているから、別にもう驚きもしないけど。
「・・・えーと、まずはこれを見てもらってもいいっスか?」
ラピス様が大きな水晶玉をかざすと、そこに映し出されたのはクロス王国の王都だった。
赤い結界のようなものに覆われていて、なんだか、城の周りの風景がものすごく荒れ果てている。地面は枯れて、草一本さえ生えていない。王都の近くを流れていた川の水が干上がって、堀の水はドロドロの紫色の猛毒に変わり、辺り一面に毒と瘴気に覆われていた。
「・・・・・・王都で行われている儀式の影響が、ここまで顕著に出るなんて」
「・・・この時点でももうかなりヤベェ話なんスけど、問題はこっちなんス!!」
ラピス様が水晶玉を操作すると、クロスの上空に向かって画面が移動していく。
「・・・え?ちょ、何だよ、これはっ!?」
「・・・・・・マジ?」
僕は思わず叫んでしまった。
クロスの上空には、上下がさかさまになった世界が映し出されていた。
クロスの王宮から赤色の光が伸びていて、それによって、どこかの世界と繋がっているように見える。
それに、この世界、僕は見覚えがある・・・!!
「・・・スカイ・ツリー・・・?それに、あれは、トウキョウ・タワー・・・?」
嘘だろう。
しかし、この世界は、間違いなく僕たちが住んでいた向こう側の世界・・・!?
「・・・これでヤバいって言うのは、この魔法を発動してしまったら、この世界が崩壊するだけじゃ終わらないってことが分かったんスよ」
「・・・他の世界も巻き込んで、連鎖して世界が滅びていくということか!!」
「これはあくまで憶測ですが、トーマ様たちが召喚された時に、この世界とトーマ様たちが住んでいた世界がまだどこかで繋がっていたのではありませんか?そして、完全に遮断されていない状態で、この世界を崩壊させる【神々の黄昏】を実行してしまったら、この世界が崩壊するだけではなく、まるでブラックホールのようにこの世界と繋がっている別の世界まで飲み込んでしまうのではないでしょうか?」
「つまり何だよ!?あのバカ勇者が【神々の黄昏】をやったら、この世界だけじゃなくて、トーマたちがいた世界まで滅んでしまうってことなのかよっ!?」
嘘だろう!?
まさか松本のヤツは、それを知っていて、こんなことをやっているのか!?
もしそうだとしたら、完全に狂っているだろう!!
「・・・今、この世界はトーマくんたちが住んでいた世界と繋がっていた扉が、クロスの儀式の影響で、あっちこっちで扉が開いているという緊急事態が起きているんス。他の異世界と何らかの形で偶然繋がってしまうことはこれまでにも何度かあって、その度に自分たちがつながりを断ち切っていたんス」
コーラとか異世界に関する知識、情報などはその時に仕入れたものらしい。
そしてここにある漫画とか冷蔵庫とかは、向こうの世界から流れ着いたものらしくそれをラピス様が集めていたそうだ。
「・・・でも、クロスで行われている儀式のせいで、異世界とのつながりが活発化して、世界中で大変なことになっているッス。例えば、突然誰かがいなくなったりする【神隠し】とか、異世界から異世界人が流れ着いてしまうこととかが、数百年か数千年の周期で起こるようなことが、頻発しているんス」
「つまり、トーマたちがいた世界とこの世界はもはや一蓮托生、つながりを断ち切るには、クロスであの世界とこの世界を繋げ合わせようとしている大バカ者を倒さない限り、二つの世界が終わるということになるわね・・・!」
「・・・・・・魔神八傑衆を復活させて、世界中で騒ぎを起こしているのも、もしかしたらこの儀式を完遂するまでの時間稼ぎだったのかもしれない」
あまりにも最悪過ぎる展開に、僕は頭を抱えた。
怠惰の魔王ラピスから告げられた、二つの世界の終末のカウントダウン・・・!
そして次回、ついにビビアナが魔王に覚醒します!
巨乳のナイスバディになれるかどうか、お楽しみに!!
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!!




