第六話「知識の宮殿④~怒髪、冠を衝く~」
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【三人称視点】
「・・・戦車の正位置、か。どうやら今度の相手は、本気で斗真たちを潰しにかかってきているな」
拠点の屋敷のバーで、数枚のカードを並べて、めくった一枚を見てつばさはつぶやいた。
その隣では監視役(名目上)のユキが興味深そうにカード占いを見ていた。
-トーマたちは大丈夫であろうか・・・?-
「彼らのことは貴方のほうがよく知っているだろう。私は彼女たちを信じたい。一度は誰一人として信じられなくなり、心を閉ざしていた斗真がもう一度誰かを信じてみようと思えるような人たちなんだ。彼女たちの強さは、魔王の生まれ変わりというだけではない」
-・・・つまり、どういうことだ?-
「・・・彼女たちの強さは【星】。夜空を明るく照らし、迷える旅人を導く希望の光。斗真の心を開き、彼の持つ本当の強さを引き出してくれた彼女たちは、相手がたとえ戦車のような強大な存在でも、きっと打ち勝つことが出来るだろう。最後のカード・・・未来を示すカードは【運命の車輪】を示している」
つばさは自分で淹れたコーヒーを一口飲んで、ほうっと一息ついた。
「・・・また、運命が変わる。彼女たちが運命をどう変えるのかは、神のみぞ知るといったところだろう」
-・・・トーマ、みんな、どうか無事でいてくれ・・・-
ユキは両手を合わせて、彼らの無事を願った。
かつては大陸を支配した魔獣だった彼にも、斗真たちと接してきたことによって、他人を思いやる優しさや感情というものが芽生えてきたようだ。
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【斗真視点】
<斗真・ビビアナチーム:天空の間>
「・・・まさか、生きている間に雲の上を歩くことになるとは思わなかったよ」
死後の世界は何度も臨死体験で訪れているけど、天国というのは初めてだ。
「・・・・・・元々は、天候や気象が生じる過程を体験するための実験装置だったものを、こんなことに利用されるとはね。随分とやってくれたものだ」
いや、そんなものまで発明していたの?
何て言うか、下手すれば僕たちがいた世界の技術や文明を、彼女ならあっという間に超えてしまいそうな発明を思いついてしまうかもしれない。
「・・・ビビ姉は、発明が大好きなんだね」
「・・・・・・おうよ。発明をするためにこの世に生まれてきたと言っても過言じゃない。私は”誰も思いつかないような発明を思いついて、世界中を驚かせるものを作る”ことが夢。しかし、最近は他にもやりたいことが出来た」
ビビ姉はどこか誇らしげに、笑みを浮かべていた。
うう、普段は無表情というか何を考えているか分からないから、こういう風に時折微笑むとビビ姉ってすごく可愛いんだよね。アイドルグループだったら、絶対に不思議ちゃん系美少女として大人気だろう。
「・・・・・・あのバカ共には拾ってもらった恩義がある。だから、団長たちが無事任務を達成するために、アイツらが最凶最悪の傭兵団であり続けるためにも、彼女たちが安心して冒険が出来るようなアイテムや武器、兵器を作り続けて、アイツらの行く末を見届けること」
ビビ姉はまっすぐな目で力強く言った。
ビビ姉、なんだかんだ言って大アネキたちのことが大好きなんだよね。
「でも、それだったらどうしてヴィルヘルミーナさんにはいつも辛く当たるのさ」
「・・・・・・人の貧乳をしょっちゅうイジってくるし、人にこれ見よがしにデカい脂肪の塊を見せつけてくるし、何よりあのナルシストぶりがイタくてウザい。どうしてあんなに自分に根拠のない自信が持てるのか、理解できない」
そんなことを言っているけど、いざとなったらヴィルヘルミーナさんのことを心配しているし、心から彼女のことを嫌っているというわけではなさそうだ。
「・・・・・・いつかは、誰にも気づかれずに永眠という名の安らかな眠りに着かせてやろう」
「ビビ姉、そんなヤバい笑みを浮かべて、さらっと殺害予告は口にしない方がいいと思うんだ。傍から見たら、頭がヤバい人だと思われるよ?」
もはや今更だろうけどと言いかけたけど、何とか堪えた。
そんなことを口にしたら、先に僕が遥かな眠りの旅に出ることになる。
そして、ついに僕たちはゴールにたどり着くことが出来た。
ここまで来るのに、どれだけ苦労をしてきたことか。
ダイスを振っても【1】か【2】しか出てこないわ、体操着とブルマ姿にさせられるわ、たどり着いたマスが【一回休み】だの、モンスターが集団で襲い掛かってくるわ、魔物娘のハーピーとかサンダーバードとかになぜか懐かれまくって、巣にお持ち帰りされて婚前交渉をさせられかけるわと散々な目に遭ってきたからな。
宗像さん、マジで殺す・・・!
僕にここまでの屈辱を味合わせてくれた以上、きっちりと倍返しで報復してやらぁっ!!
僕とビビ姉が出口のマスに着くと、光の中に飲み込まれた。
再び目を覚ますと、僕たちがいたのは雲の上の世界を忠実に再現した【天空の間】ではなく、やけに広い部屋の中だった。壁にはさっきまで僕たちがいた天空の間や、他のエリアが映っている巨大なモニターが埋め込まれており、訳の分からない機械がたくさん置かれている。
そして・・・・・・。
「・・・痛ったぁ~!コラァ・・・マジでアカンわ・・・!」
オリヴィアさん?
「・・・魔王との戦い以来だな・・・ここまで追い込まれるのは・・・!」
アイリス?
どうして彼女たちが血まみれになって、地面に膝をついているの?
どうしてニナが床に倒れているの?
思考が完全に停止する。
桜も、大アネキも、ヴィルヘルミーナさんも、アレクシアさんも・・・。
満身創痍の状態で、ボロボロの姿になっている。
「・・・やっと来たか。お前たちがドベだ」
頭がゾウで、身体が人間のような巨大な体躯をしているそいつの声は紛れもなく宗像さんのものだった。
ゲシッ!!
「かはっ・・・!」
そして、倒れているニナを・・・宗像さんは蹴り飛ばした。
吹っ飛んでいくニナを僕は飛び出して、彼女の身体を受け止める。
「ニナ・・・!!」
「・・・ゴメン・・・トーマ・・・やられちゃった・・・!」
ニナの目には涙が浮かんでいて、身体中に痛々しい傷が出来上がっている。
よく見ると、他のみんなも身体中に打撲や擦り傷が出来ていて、痛々しい姿になっていた。
「・・・あのデカブツ、結構やりやがる・・・。トーマちゃん・・・気を付けた方がいい・・・」
あのアレクシアさんでさえもここまで追い詰められるなんて・・・。
手に持っている杖にはひびが入り、呼吸もすごく苦しそうにしている。
僕の大切な仲間たちを・・・。
ここまで痛めつけてくれたのは、テメェか。
ドガンッ!!!
「・・・うおっ!」
気が付いたら、僕は宗像さんの顔面に回し蹴りをめり込ませていた。
「・・・今のはちょっと痛かったぞ」
僕の足を握りしめると、そのまま太い腕を振って僕の身体を放り投げた!
身体を何とか態勢を立て直して、壁を蹴り飛ばすと、そのまま反動で宗像さん目掛けて飛んでいく!
ゴシャッ!!
僕の拳を、分厚い岩石の盾で受け止める。
鈍い痛みが拳から全身に伝わってくるけど、こんな痛みなんて、今は必死で耐える!
「・・・宗像・・・テメェだけは許さねぇ」
「だったらどうする?」
「ここでブッ殺す」
やることが決まると、もう迷いも何もない。
相手を傷つけることに対するためらいを吹き飛ばして、目の前の獲物を叩き潰すことだけに専念する。
僕の大切な家族に手を出したお前だけは、絶対に許さない。
斗真、体操着とブルマ姿で大激怒・・・!
次回、斗真と宗像の戦闘パートを書きます!
【七人の戦乙女】のうち、6人がかりでも敵わない実力を持つ宗像に、斗真はどう出るのか?
そして、ビビアナはどうなるのか?
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!




