第五話「知識の宮殿③~花嫁衣裳の死神・サクラ~」
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【桜視点】
<桜・ヴィルヘルミーナチーム:メインコントロールルーム>
ふう・・・!
やっと【海底の間】を抜けることが出来たぜ。
まさか、藍色の海底のダンジョンに続いて、また海の中で戦うことになるとは思わなかったよ。
しかも相手は全長30メートル以上はある、巨大なサメのモンスターだったもんな。
あんな化け物に追いかけまわされるわ、対抗する武器がガトリングランチャーしかないわ、サメに追いかけられている間もサハギンやクラーケン、シー・ビショップといった魔物娘たちが襲い掛かってくるわ、とんでもない目に遭ったぜ。
「・・・俺たちをわざわざバラバラにして、こんなふざけたゲームをやらせているのは、戦力を分散させて効率よく倒そうとしているというのもあるけど、宗像の場合、それだけが目的じゃないな」
「・・・と言うと、他にも何か企んでいるってこと?」
「きっと、俺たちの戦力を集めて、対策を打とうとしている可能性が高い。ミーナ、気を付けていくぞ」
アイツは合理主義者だから、必要最小限の戦いだけで邪魔者を片付けようとしている。
俺たちをまとめて片付けるよりも、バラバラにして、ゲームのイベントで体力や魔力を消耗させてから効率よく倒していこうとしているのだろう。そうでもなかったら、こんなまどろっこしいゲームをわざわざ仕掛けてくる理由って言うものがないからな。
「・・・サクラ」
ミーナが真剣な表情を浮かべている。
いつもはこういう時にセクハラ発言とかふざけてばかりの彼女だけど、さすがにこの状況がそんな冗談を言っている場合ではないということが分かっていたみたいだ。
「・・・君のそのウェディングドレス姿・・・あまりにも素晴らし過ぎて、ボカァ、今猛烈に感動をしているよっ、ウボアアアアアアアアアアーーーーーーッ!!!」
ブッシャアアアアアアーーーーーーッ!!(ミーナの鼻血が間欠泉のごとく噴き出した音)
返せ、さっきまでの俺の感動を。
全く、どうしてこうなったんだ!?
さっき、海底の間を進んでいた時に、たまたま止まってしまったイベントマスで俺は、純白のウェディングドレス姿に変えられてしまったのだ。しかも、このドレスはゲームが終了するまでこの姿のままというとんでもない罰ゲームを課せられる羽目になった。
チクショウ、兄弟にこんな情けない姿を見せられるわけないだろうが!
こんな姿を見た日には、兄弟から「やっぱり桜は女の子だったんだね!すっごく綺麗で、よく似あっているよ!」なんて、純粋に瞳をキラキラと輝かせながら、男のプライドとか羞恥心を容赦なく殺しにかかってきやがるだろうしな!
しかも、胸元が大きく開きすぎだろうが、このドレス・・・!
俺のおっぱいがこぼれ落ちそうなほどに胸元を大きく強調するようなデザインに、戦う時にスカートが捲れるたびに、ガーターベルトとか、レースが着いたパンツが丸見えになって、その度にミーナが鼻血を出しまくって狂気に満ちた雄たけびを上げまくっていたんだからな・・・!
後ろを見ると、鼻血で真っ赤に染まった身体に、血を出しすぎて真っ青になった顔になったミーナが不気味に笑いながらついてきている。怖ぇよ、どこのホラー映画のバケモンだ。
そんな花嫁衣裳のままで、日本刀を振り回して魔物をバッサバッサと切り倒していく姿なんて、一体誰得なんだよ。
「ハァハァハァ、うっひょっひょっひょ・・・もう変な言葉しか出てきませんよ♥何ですかい、このボクの好みのタイプのイメージをそのまま忠実に再現した、神々しいお姿は♥まさに絵本の世界のフェアリーちゅわん・・・!可愛らしく、愛くるしいその笑顔でボクのハートをわしづかみにしてくる・・・!」
「・・・そろそろ妄想はその辺にしておこうぜ。あとで、お前の前だけでこのドレスを着て、そのまま相手をしてやるからよ・・・はぁ・・・」
「ヨッシャアーーーーーーッ!!言質取ったぁ!!この戦いを終えたら、ウェディングドレス姿のサクラ姫とあーんなことやこーんなことや、いや今回はさらにものすごいことをしちゃってもOK!?何と素晴らしいご褒美ではございませんか!!そうと決まれば、ここから先はボクは全身全霊でクライマックスさ!!地の魔神など恐れるに足らず!!変態王子のエロパワーを見せつけてやるよ!!」
「・・・全く、ドレス姿を見ただけでこれじゃ、式を挙げることになったら、どうなってしまうんだかな」
まあ、その時にはちゃんとタキシードを着させてもらいたいもんだけどな。二人揃って花嫁衣裳を着こんで結婚式とか、さすがにないしな。
「グヘヘッ、フヒヒッ、サクラのおっぱい、サクラのうなじ、サクラの腰つき、サクラのお尻、サクラの太もも、サクラのふっくらはぎ・・・眼福じゃあああーーーっ♥」
いや、やっぱり宗像と相討ちになってくれないかな。
俺のウェディングドレス姿を舐めるように見回して、目にハートを浮かべて、訳の分からない妄想をスピーカーのように叫びまくっているミーナの姿を見て、ついそんなことを考えてしまう。
「たのもぉぉぉぉぉぉっ!!」
コントロールルームの自動扉を、ヴィルヘルミーナが勢いよく蹴りつけて吹き飛ばした。
「・・・自動ドアなんだからわざわざ蹴破る事ないでしょうが。てか幕ノ内、その衣装、意外と似合っているんじゃないの?」
部屋の中では、長椅子に寝そべってのんびりとジュースを飲んでいる宗像の姿があった。分厚い自動ドアが思い切りひしゃげて床に転がっているというのに、彼女は気だるげな様子で大きく背中を伸ばす。
「・・・OK、今すぐにお前を封印して、ゲームクリアーしてやるよ」
「・・・ふうん、出来るものならね?」
宗像を纏う空気が一変して、俺たちのことを凍り付きそうな冷たい瞳で睨みつけたまま、唇の端をにたりと釣り上げて不敵な笑みを浮かべる。そして、彼女の姿が光に包まれると、一瞬で彼女の身の回りが数倍に膨れ上がり、巨大な耳と長い鼻、鋭く太い牙を二本生やしたゾウのような頭部と、頑丈な表皮と分厚い筋肉の鎧で全身を覆い尽くした巨漢の異形へと変貌した。
「行くぜ、ミーナ!」
「了解!」
俺とミーナが同時に駆け出して、刀とカットラスを同時に抜くと、宗像を挟み込むように左右から襲い掛かっていった。
「石破天驚!土魔法・地魔神の宝盾」
宗像が手をかざすと、彼女の前に巨大な岩の盾が生み出されて、俺たちが振り下ろした刀とカットラスの刃を弾き返した!
「硬ぁっ!?ちょっと、いくら何でも硬すぎじゃないかい!?」
「来るぞ!」
「ふんっ!!」
宗像は盾を前に突き出したまま突進して、ミーナに迫っていく!
地面を揺らしながら猛然と突進してくる戦車のような体当たりを、ミーナが何とか跳んでかわした。
「あっぶねぇ・・・!」
宗像は壁にそのまま突っ込んでいくと、壁に勢いよく盾を叩きつけて止まった。
部屋全体が揺れて、壁には盾がめり込んでいた。あんな突進攻撃をもろに喰らったら、無事じゃ済まない・・・!
「・・・最凶最悪の傭兵団の切り込み隊長とは、この程度かしら?」
「・・・言ってくれるね。それなら、これはどうかな!」
カットラスを構えて、刃を前に突き出すと風が集まり出して、渦巻く突風が宗像に向かって放たれる!
しかし、宗像が盾を構えると、風の刃の渦が次々と弾かれていった。
「何だって!?」
「その程度のそよ風で、大地は揺らがないわよ」
宗像が盾を投げつけると、盾は回転しながら唸り声を上げてミーナ目掛けて迫ってくる!
「危ない!!」
とっさに飛び出して、刀で回転する盾を何とか食い止める!
しかし、盾の回転速度はすさまじく刀の刃とぶつかり合うたびに、派手に火花を噴き上げる。
何て重さだ・・・!
アイツ、こんなにも重い盾を片手で持っている上に投げつけてきやがったのか!?
「オッラァァァァァァッ!!」
盾を上に向かって弾き、ミーナと共に後ろに退いた。
戻ってきた盾を受け止めて、宗像は首を鳴らしながら気だるげな感じで立っている。
「ふわあああ・・・、少しは楽しませてくれるかと思ったんだけどね。出し惜しみしてないで、最初から本気で来なさいよ。これじゃ、準備運動にもならないわ」
ヤバい・・・!
今までの魔神と比べたら、パワーが完全に桁外れだ・・・!!
さっきの盾の攻撃も全身の力を込めて何とか弾くことが出来たけど、あんな攻撃を何度も喰らったら、防ぎきれない・・・!!
腕がしびれて、全力で刀を振るうことが出来ない以上、少しでもこの腕のしびれが取れるまで、時間を稼ぐしかないな・・・!
「・・・さっきの衝撃で、まともに刀を振るうことも出来ないみたいね。貴方の表情から、何を考えているのか、大体わかるわよ。それなら、このまま一気に叩き潰してやるか」
宗像がハンマーを取り出すと、ぶんぶんと振り回して身構える。
そして地面を踏み鳴らしながら突進して、予想していたよりも早く俺たちに迫ってくる!
「嘘だろ!?」
「まずい!!」
「ふんっ!!」
俺たちがとっさに横に跳ぶと、さっきまで俺たちが立っていた場所に宗像がハンマーを勢いよく振り下ろした。地面を激しく揺らして、地面に亀裂が生じるほどの強烈な一撃に息をのむ。
「ちょこまかちょこまか、動き回るな!!」
ブゥンッ!!
ブオンッ!!
ガッシャーーーーーーン!!!
「うわああああああっ!!」
力任せに振り回してくるハンマーの攻撃を刀で止めようとするが、あまりにも重い一撃に腕ごと弾かれて、俺はそのまま吹き飛ばされて地面を転がっていく。
「サクラ!!・・・お前!!」
ミーナが激昂して、地面を蹴りつけて高く跳び上がると、宗像の頭目掛けて長い脚で思い切り蹴りつける!しかし、彼女の渾身の蹴りを受けても宗像はビクともせず、彼女の足をそのまま万力のような手で握りしめる!!
「・・・軽いわね。この程度の攻撃じゃ、赤ちゃんになでられた程度よ」
そういって、思い切り足を掴んだまま、彼女の身体を思い切り投げ飛ばした!
まずい、このままじゃ壁に叩きつけられる・・・!!
「うわあああああああっ!!」
バンッ!!!
「・・・ごはっ・・・!!み、ミーナ・・・!」
壁にぶつかる直前にミーナの身体を、何とか俺の身体で受け止めて彼女がぶつかることは防いだが、身体がミーナと壁に挟まれて、あまりの衝撃と鈍い痛みに呼吸が一瞬止まった。
「・・・サクラ!!」
「計算通りか。仲間のピンチには身体を張ってでも守ろうとする。自分一人だけ助かればそれでいいと割り切ることが出来ない。その甘さが、お前の命取りだよ」
ズゥゥゥゥゥゥン!!!
宗像がハンマーを地面に叩きつけると、床一帯が激しく揺れて、俺とミーナは地面から伝わってきた強烈な揺れで吹き飛ばされて、身体が宙に舞い上がる!!
「・・・ああ・・・かはっ・・・!!」
「・・・ごふっ!!何て、パワーだ・・・!?」
地面に叩きつけられて、身体中に激痛が走り、まるで落雷に打たれたようなしびれが全身を襲い、指一本動かすことが出来なくなる。ミーナが口から血液の塊を吐き出して、ボロボロになった姿で地面に転がっている。何とか彼女のもとに向かおうとするが、身体が思うように動かない・・・!!
「・・・これで終わりだ!!」
宗像がハンマーをぶらぶらと揺らしながら、地面を太い脚で揺らして、こっちに迫ってくる。
その時だった。
「サクラーーーーーーッ!!」
叫び声とともに、向こう側から巨大な火炎弾、電撃の矢、そして無数の黒いクナイが飛んできた!!
バンッ!!ボンッ!!バシュッ!!
宗像が盾を構えてそれらの攻撃を全て弾き、後ろを振り返った。
そこにはレベッカさん、アイリスさん、そしてなぜか身体に包帯を巻きつけた姿となったニナさんの姿があった。
「・・・団長、みんな!!」
「テメェ、よくもオレの可愛い仲間を傷つけてくれやがったな!!」
「・・・ここまでやられた以上、お前の命で償ってもらうぞ!」
「覚悟しなさい!!」
「やれやれ、バカが揃ってお出ましか。次はお前たちの番だ」
「誰がバカだ、このゾウ野郎!!」
宗像が面倒くさそうに頭をかくと、岩の盾を思い切り振りかぶって投げつける!
盾は回転しながらものすごい速さで、レベッカさんたちに向かって真っすぐ飛んでいく!
「こんな盾、吹き飛ばしてやるぜ!!」
レベッカさんの身体が炎に変わり、巨大な炎の拳を放つが、盾は火炎弾の直撃を受けてもものともせずに炎を強引に突破して、突き進んでいく!!
「オレの炎が効かない!?」
「私の電撃が飲み込まれただと!?どういうことだ!?」
回転する盾の攻撃を何とかかわしたが、レベッカさんたちは明らかに動揺していた。
俺たちの中でも無類の火力の強さを誇る魔法が、この盾にはまるで効いていないのだ。
「・・・土は火を消す効果がある。炎に砂をかけて火を消すことが出来ると言うのは知っているだろう?そして、雷を地面が受け止めてもその力を逃がしてしまい、無力と化す。つまり、お前たちがいくら攻撃をしても、私には全く効かないということだ」
そして、再び地面にハンマーを思い切り叩きつけると、オレンジ色の光が地面から噴き出して、瞬時に膨れ上がって破裂する!!
「ヤバい、来るぞっ!!」
「ちっ・・・!!」
レベッカさんたちが衝撃波を当たる直前でかわして、壁にレベッカさんが足をめり込ませて横に立った状態になり、アイリスさんがニナさんをお姫様抱っこをして、背中から翼を大きく広げて空中に舞い上がって直撃は防げたが、衝撃波の余波を浴びたせいで彼女たちの服装がボロボロになって、身体中の至る所に擦り傷が出来ていた。
「あのゾウ野郎、なかなかやるじゃねえか・・・!」
アイリスさんの眼鏡にひびが入っており、着ていたシスター服も所々が破けて、豊満な胸の周りをわずかに残った布一枚で覆っているだけの姿になっていた。
「・・・アイツ、強いぞ!!」
「私たちの同時攻撃でも、ビクともしないなんて、こんなの初めてよ・・・!」
「そりゃそうでしょうね、何せ私はアンタたちと今初めて戦うんだから」
あの3人の同時攻撃を受けても全くの無傷とは恐れ入ったね・・・!
斗真、どうやら宗像のパワーは俺たちが思っていた以上に、ヤバいかもしれねぇ・・・!!
レベッカたちでも歯が立たず、大ピンチに・・・!
驚異的なパワーに、あらゆる攻撃を無効化させる頑丈な盾に、斗真たちはどう立ち向かうのか?
ウェディングドレス姿をいやらしい目で見られているのに、ミーナと式を挙げる時のことを考えているあたり、桜に対するミーナへの思いはかなり強いようです。この二人の恋の結末もご期待くださいませ。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!
次回もよろしくお願いいたします。




