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第二十話「咄咄怪事~バッド・ニュースはもう嫌だ~」

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!

新作がやっと書きあがりましたので、投稿いたします!

今回で、第七章は完結となります!


 【アイリス視点】


 「・・・とまあ、これがツバサから聞いた話だが、お前たちはどう思う?」


 ツバサたちと話し込んでお開きにした後、私は転移魔法陣でレベッカたちが反省文を書かされているミロの村の寺院を訪れた。そして、酒を飲みながら、ツバサから聞いたトーマの過去、そしてクロスのクズ勇者たちのことを3割ほど悪意増しで話すと、全員の表情が感情をそぎ落としたようなものに変わった。


 ああ、これは全員本気で怒っているな。

 まあ、私も彼女たちと今まさに同じ表情を浮かべているのだろうがね。

 はらわたが煮えくり返るというのは、まさにこのことだろう。


 「あのクズ勇者たちが、そこまでトーマのことを苦しめていたってことを知っていれば、この手でブチ殺してやりたかったぜ」


 「というか、チンピラに殺人鬼、ヤンデレにサイコパスってどうしてこんな連中に勇者の任務を託したのかね。クロスの国王とセルマ、勇者のスキルだけしか見ていなかったんだねぇ」


 サクラにしても、裏社会では恐れられている脅迫の常習犯だが、まあ、それでも他の連中と比べればマシなほうだろう。今後も交渉では、彼のスキルが大いに役立つからな。


 「それにしても、トーマちゃんにそんなことがあったなんて・・・」


 「まあ、なんちゅうか、ウチらが思うとったよりも、かなりハードな人生を送っとるなぁ」


 重苦しい空気が漂う。

 自分たちが知らなかったトーマの闇を知ってしまい、これからどう接すればいいか分からなくなってきたからな。


 両親は幼い頃に息子を捨てて、海外で愛人と仲良く遊び惚けた挙句に病死&事故死したせいで、天涯孤独の身の上になるわ、いじめに巻き込まれて、エスカレートした連中に狙われることになるわ、唯一の友達を守ろうとしたにも関わらず、その結果、すれ違いからその友達から絶交を言い渡されるわ、挙句の果てにはこんな右も左も分からない異世界に召喚されて殺されそうになり、現在進行形で命を狙われ続けることになるわ・・・。


 うん、私だったらもうやってられんな。運命の神様とやらはトーマによっぽど試練を与えたいらしい。


 「でもよ、オレたちがここでどうすればいいのかなんて考えても、いい考えなんて浮かばねーよ。それだったら、いつも通りのままでいいじゃんか。トーマだって気ィ遣われるの嫌だろ」


 同感だな。

 レベッカはバカだが、時折物事を複雑に考えずに、単純明快に物事の本質を鋭く見抜くことがあるからな。この意見には、私も賛成だ。


 「まあ、そうだよねえ。ボクたちだって色々と気遣われるのが苦手なタイプだしね。逆も然り」


 「少しはトーマやサクラに対しては気を遣うことを考えなさいよ」


 「・・・・・・これまで通り、セクハラに覗き、コスプレ三昧の日々か。それも良きかな」


 「良きかな、じゃねーわよ。少しは滝行で懲りたかと思ったけど、全然懲りないわね」


 まあ、滝に一日中打たれたぐらいで悔い改めることが出来るなら、私も苦労はしない。

 ニナがこめかみを抑えて、深く深くため息をついた。


 「・・・ヒカルはトーマのことを今でも恨んでいるそうだ。光の魔神として、トーマにいつ襲い掛かってくるか分からない以上、私たちもさらに強くなる必要がある。私とレベッカ、そしてニナは魔神の力をさらに使いこなせるように、トレーニングに励んだほうがいいな。魔神の力をどう伸ばすかについては、それぞれで考えて思いつくことを全部やるしかあるまい」


 「しかし、やり切れないよね。お互いに譲れない信念があって、それがぶつかり合ってここまで拗れるとさ。トーマ君はヒカルちゃんのことも守りたかったんだと思うよ?でも、彼女にはその思いが伝わらなかったなんてね」


 「・・・自分のことを思ってくれとることには分かっとっても、大切な人たちを傷つけられたことに対する怒りの方が勝ってしもたんやろな。どっちが正しいかなんて、ウチにはよう分からん」


 全く、トーマにとっては心を許した数少ない親友と言える人物が敵になるとはな。

 トーマも苦しんでいる様子だったが、この迷いや悩みが続くとそれが仇となる可能性もある。


 「手探りなのは不安だけど、まずはいろいろと試してみるしかないもんね」


 「それともう一つ、最悪な報せだ。勇者の一人で、ロニセラの古代図書館でトーマが倒したはずの”カリノ・ミヅキ”が生きていたことが分かった」


 アイリスの言葉に、一同が息をのんだ。


 「おい、それマジかよ!?」


 「ああ、ツバサからの情報でな。邪眼一族に魂を回収されて、魔族として覚醒して復活したらしいが、邪眼一族の魔族を襲撃して、現在は逃亡中だそうだ。邪眼一族からも追われている」


 「・・・あの女、マジでイカレてやがるわね。もはや私たちや、世界中から敵として認定されているのに、わざわざ邪眼一族まで敵に回すとか、まともじゃないわ」


 レベッカたちは、ミヅキにまだ会ったことがないアレクシアたちに、彼女がロニセラの古代図書館で起こしてきた数々の悪事を説明した。あまりの非道な行為に、アレクシアたちも絶句する。


 「・・・おいおい、そらぁ、シャレにならんやろ。ほんでもって、トーマちゃんと殺し合いをしたいがために、自分が気に入らん人間を次々と襲っとるっちゅうんかい」


 「さすがにこのボクも、彼女のことは口説き落とす自信はないねぇ」


 「現在は行方が掴めていないが、アイツのトーマに対する執着ぶりは尋常ではない。どんな手段を使ってでも、トーマの居場所を突き止めてまた襲い掛かってくることだろう。その前に、私たちが彼女を見つけ出して、確実に潰す。もうこれ以上、クロスの勇者たちを生かしておくわけにはいかん」


 「まあ、生かしておいたとしても、百害どころか億害あって一利なしな連中ですからね~」


 「・・・・・・それでトーマはどうなの?」


 「・・・当然驚いていたに決まっているだろう。まさかミヅキが生きていたなんて夢にも思っていなかったみたいだからな。だが、今度遭遇したときには、確実に倒すと言っていた」


 これでミヅキのことについては対策は取れたが、残りの魔神たちがどう動くかが気になるな。

 私たちが封印した魔神は3体、風の魔神タイフォンことツバサは私たちの味方に加わっているが、彼女の真意が分からない以上、とりあえずは様子を見るとして、残りは4体。


 光の魔神ラディウス。


 闇の魔神オプスキュリテ。


 木の魔神ヴァルドゥング。


 土の魔神ゼルザール。

 

 奴らが何を仕掛けてくるか分からないが、引き続きこっちも情報を集めて、奴らが動く前に対策を立てるとしよう。


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 「・・・随分とちょっかいを仕掛けてくるのね。邪眼一族だか何だか知らないけど、面倒くさいのは嫌いだって言っているでしょう」


 コアントロー大陸に広がる広大な銀色の砂の海。


 宗像沙織は戦鎚を握りしめて、気だるげな表情を浮かべて、目の前でボロボロになって膝をつく橈骨将軍に冷たく吐き捨てる。


 橈骨将軍の姿は満身創痍だった。


 身体中が打撲で腫れあがり、骨にもいくつかひびが入って、鈍い激痛と身体中が焼けつくような高熱を帯びて、所々から血が噴き出して意識ももうろうとしている状態だった。手放しそうになる意識を、歯をギリリと食いしばって何とか持ちこたえている。


 辺り一面は激しい戦いが繰り広げられたのか、砂が吹き飛び、すり鉢状になった穴がいくつも出来ており、大岩は粉々に吹き飛び、戦いに巻き込まれた魔物たちの肉体がちぎれ飛んだ無残な亡骸が転がっている。


 ボロボロに追い込まれた橈骨とは裏腹に、沙織は無傷の状態だった。


 邪眼一族の四天王きっての武闘派であり、剣術と炎を操る能力を組み合わせた戦いにおいては邪眼一族でも抜きん出ている戦闘能力を誇る彼女にも自負があった。そんな自分が手も足も出ないなど、受け入れがたい現実が彼女を襲う。


 「・・・がはっ・・・何という力だ・・・!!なぜ・・・その力を・・・邪眼一族のために使おうと・・・しない?その力があれば・・・偉大なるヴェロニカ様の下で、この世界の全てを手に入れることも・・・出来ると言うのに・・・」


 「・・・誰かに仕えるなんて面倒くさいから嫌だね。私は私のやりたいようにやる。それに、これから私もちょっとやらなきゃいけないことが出来たから、お前たちに構っているヒマなんてないのよ」


 「・・・おのれっ!!」


 橈骨は身体中の魔力を振り絞り、手から火炎弾を放った。

 沙織は素早く手をかざすと、目の前に巨大な岩の盾を生み出した。


 火炎弾の直撃を受けても、岩の盾はビクともしない。

 やがて、火炎弾が盾にかき消されていき、橈骨の表情が絶望に染まる。


 橈骨の剣をへし折り、火炎弾を防ぎ、あらゆる攻撃を全て無効化してしまう「盾」。

 それが彼女の持つ最強の武器だ。


 「・・・本当に、面倒くせえな!!」


 沙織の身体が水面のように揺らめく光を放つと、異形の姿に変貌する。

 身体が二回りほども大きく膨らんで、頭部は巨大な耳と鋭く太い牙、長い鼻をフレイルのように振る姿はゾウを彷彿させる姿だった。


 ゾウの頭部と巨大な体躯を持つ、インド神話では神として崇められている魔神【ガネーシャ】。

 その力を身体に植え付けられた上に、土の魔神ゼルザールの魂が宿ったことにより、彼女の力は計り知れないほどに強大なものとなった。


 そして、彼女は戦鎚をゆっくりと持ち上げると、凍り付きそうな冷たい瞳で橈骨を見下ろす。


 


 「・・・面倒くさいから、ここで死んで」


 「あ・・・ああ・・・!!」




 戦鎚を容赦なく振り下ろす。

 

 橈骨の表情が恐怖に歪む。


 砂漠一帯に、鈍い音が響き渡った。




 「・・・さてと、計算は完璧だし、そろそろ梶たちにも消えてもらうとするか。楽しいゲームの始まりだ。ふふふっ・・・ははは・・・」


 沙織の姿に戻り、返り血を気だるげに指で払うと、まるで散歩でもするような足取りで歩き出した。




 そこには、血だまりに沈み、生命の光が瞳から消えている橈骨の無残な姿が転がっていた。


 

次回からは「第八章:知識の宮殿~VS地の魔神~」編を書きます!

次回のメインヒロインは・・・ビビアナを予定しております。

彼女もついに魔王覚醒、そして、念願の巨乳の夢がかなうかどうか、お楽しみに!


ビビアナ「・・・・・・私の活躍に刮目せよ、ブイ」


どうなるかは分かりませんが、これまで以上のハチャメチャな展開にしたいと思っております。


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[一言] 某七人(のみ)が揃ってる時に 『一番まともな人は誰ですか?』 と尋ねたら、七人全員が堂々と 『自分』 と答えるんだろうなぁ… そして最初『は』エガオで 言葉のキャッチボール (但…
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