表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/300

第三話「初めての依頼!~予期せぬ再会~」

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!!

新作が完成しましたので、投稿いたします。


 「さーってと、とりあえず、オレたちも受ける事が出来る依頼を探そうぜ」


 「そうだな。まだ私たちは駆け出しのCランクだ。こつこつと依頼をこなしていけばランクも上がり、受けられる依頼クエストも増えてくることだろう」


 冒険者登録を済ませた僕たちは、さっそく活動資金と当面の生活資金を稼ぐために、まずはこの近隣で募集しているCランクの依頼を見ることにした。


 「おっ、この依頼なんてどうだ?何でもミルティユの近くの漁村に住んでいる【タラスク】族から依頼が入っているぞ」


 




 『依頼

  1週間前に【ミルティユ】から東の方にある【入り江の洞窟】に、夫や村のオスたちが漁に行ったまま帰ってこない。この洞窟では夜になると今まで見たことのない骨だけの怪物や生ける死者などが目撃されており、調査に向かったオスたちも行方不明になっており、困り果てている。どうか、入り江の洞窟に向かってオスたちの行方を探し当ててもらえないだろうか?』


  




 「ランクはCランクか。これなら私たちも受ける事が出来るな」


 「そうだな、それにここに描かれている入り江の洞窟って、グリゼルダの気配を感じた場所のすぐ近くなんだよな?それならグリゼルダは見つかるし、タラスクの男たちを見つければ報酬ももらえる!!まさに一石二鳥ってヤツだよな!!」


 「お前にしては珍しくまともなことを言うじゃないか。そうだな、幽霊船の探索の依頼は上位冒険者たちが現在引き受けている真っ最中だが、この依頼ならば、例え冒険者たちと出くわしても依頼の横取りにはならんだろうしな」


 「だっろぉ~?オレたちは幽霊船なんてどうでもいいし、タラスクの旦那さんや男たちを探してほしいって言う依頼を受けて、人探しをしているだけだもんなぁ~!」


 「・・・二人とも、あくどすぎます。その笑みが」


 冒険者ギルドの掟には「冒険者同士の依頼の奪い合いをしてはならない」、「冒険者同士の依頼の邪魔はしない」という掟がある。もしこれに違反をしたら、罰金を支払ったうえに、あまりにも悪質な場合は冒険者登録を抹消されてしまうのだ。


 タラスクの人たちもかなり困っているみたいだし、僕たちで何とか行方不明になった旦那さんやみんなを何とか見つけ出して、無事に連れ戻さないとね!


 こうして、僕たちの冒険者パーティーとして初めての依頼が決まった。


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 ブルベリでお昼ご飯を済ませた後、僕たちはまずこの依頼を申し込んできた【タラスク】の人たちが住んでいる漁村【ガラパゴの漁村】に行って、依頼について具体的に詳しい話を聞きに行くことになった。


 ブルベリから街道を海沿いに東の方角に歩いていくと、ガラパゴの村がある。


 海沿いに伸びている、長い長い街道を歩き、潮風と太陽の恩恵を受けながら僕たちはガラパゴの村を目指す。ブルベリを出るときに買った熱中症対策の【シトロンの実】と【オレヌの実】というレモンとオレンジによく似ている果実の果汁を絞って、ほんのひとつまみの塩が隠し味となっているドリンクを飲みながら、僕たちはガラパゴを目指す。


 「いい天気だぜー!!こういうのが味わえるのも、トーマのおかげだよなぁ♥」


 「ああ、あのまま魔石の中に封印されていたままだったら、こんな太陽も拝めずにいただろうな。トーマ、改めて本当にありがとう。お前のおかげだ」


 「い、いえ、そんな、自分はそこまでお礼を言われるほど大したことは・・・」


 「そこまで言われるほど、お前はスゲェことをしたんだよ!!あ~っ、もう、そうやって恥ずかしがるところがすごく可愛くてたまらねえんだよなぁ♥」


 「うむ、それについては同感だ。私はこんなにも控えめで謙虚で可愛らしくて愛くるしい、最高の弟分が出来て心から幸せだと、世界の中心で叫んでも構わないほどに興奮している」


 「そ、そんな、大袈裟ですよ」


 何故だろう、ツッコミどころは山のようにあったと言うのに、ツッコんだら負けという考えが頭の中をよぎっていく。もう、この人たちのトチ狂っているというか、訳の分からない妄言には耳を貸さないほうがいいのだろうか。


 「そう言えば、その、グリゼルダさんってどんな人なんですか?」


 「グリりんのことか?えーっと、そうだな。一言で言えば・・・スッゴくいいヤツ、だな!」


 「彼女には、作戦を発案するにあたって必要不可欠な情報収集や諜報活動を一任していた。隠密としてのスキルは、私たちの中では右に出るものがいないほどの実力を持っている」


 「隠密ということは、忍者みたいな人のことですか?」


 「ニンジャというのはよく分からんが、まあ、後方支援や裏方の仕事は一通りこなせる、一度引き受けた仕事は確実にやり遂げるプロフェッショナルだな」


 「まあ、性格はかなり面倒くさいけどな!」


 「・・・面倒くさいって言いますと?」


 「まあ、何て言うかさ、ツンツンしているっていうか、自分の気持ちを正直に伝えるのが苦手なヤツでな。口は悪いけど、まあ、根が悪い奴じゃねえっていうかな」


 「お前よりはマシだろうが、まあ、それは否定出来ん。そもそもこの面子において、私以外は全員性格に難があるというか、破綻していると言っても過言ではないだろう」


 「お前だって、ブラコンとショタコンをこじらせまくっている上に、可愛い男の娘を見つけると女装を無理やりやらせて楽しむいい趣味を持っているじゃねえか!昔、娼館で男娼にそれをやりまくって、男娼が色々な意味で再起不能になって、娼館に出入り禁止食らったことあるだろ?」


 「そ、その話をトーマの前で話すことはないだろう!!それに、もう300年前の話なんだから、時効だ、時効!!」


 一体何をやらかしたのやら。


 まあ、そんな話をしながら歩いていた時、レベッカさんの動きが止まった。


 「・・・この匂いは・・・!」


 「どうかしたのか?」


 「間違いねえ。この匂いは煙と血の匂いだ。見ろ、この先の海辺の方から煙が上がっているぞ!」


 レベッカさんが指をさした方向を見ると、何本もの煙が上がっているのが見えた。


 「ちょっと待ってください、あの辺りって確かタラスクの漁村があるはずですよ!?」


 「これはただごとじゃねえな。行くぞ!!」


 何だろう、ものすごく嫌な予感がする・・・!!


 僕たちははやる気持ちを必死で抑えながら、タラスクの漁村を目指して走り出した。


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 「・・・これは・・・!!」


 「・・・そ、そんな・・・!!」


 僕たちが駆けつけると、漁村の家の至る所から煙が上がっており、至る所に傷ついて倒れこんでいる【タラスク】の人たちの姿があった。屈強な筋肉と頑強な甲羅で全身を覆っている亀のような特徴を持つタラスク族の男性たちは、甲冑に無数の傷を刻みつけられて、息も絶え絶えに倒れこんでいる。


 「おい、何があったんだ!!アイリス、回復魔法!!」


 「ああ!!」


 アイリスさんの掌からまぶしくて暖かい光の玉が現れて、タラスクの人たちの身体を太陽のように優しく照らし、傷口が少しずつ塞がっていき、血の気が引いていて青白くなっていた肌に赤みを帯びていく。


 「・・・ううう・・・アンタたちは・・・?」


 「オレたちはギルドで行方不明のタラスクの探索に来た、冒険者だ!!何があったんだ!?」


 「・・・俺たちも分からない。いきなり、この村に、見たことのない服を着たヤツが現れて・・・俺たちに襲い掛かってきたんだ。魔物、亜人種は、一人残らず皆殺しだとか言って・・・俺たちも抵抗したんだが・・・アイツは恐ろしく強かった・・・!!」


 その時、どこからか女性の悲鳴が聞こえてきた。


 「あっちだ!!」


 僕は悲鳴が聞こえてきた方に向かって、砂浜を蹴り飛ばし、力いっぱい走った!!


 路地ではさっきの人と同じように傷ついたタラスクが、そこら中に倒れこんでいる。うめき声がそこら中から聞こえてきて、かろうじて息はしているみたいだけど、早く治療をしないと・・・!!


 「焦るな、落ち着け、冷静になれ、斗真!!」


 家も何軒か取り壊されていて、ごうごうと音を立てて激しく燃え上がる家が崩れ落ちていく。


 煙に巻かれて、何度も視界が真っ黒になり、呼吸が苦しくなる。


 それでも、僕は煙が立ち込める路地を抜けて広場にたどり着いた。







 「おかあさーーーんっ!!」


 「お願いです!!坊やを離してくださいっ!!」


 「うるさいねえ、魔物のくせに人間の親子の真似事なんてするんじゃないよ。そういうの、見ていると反吐が出るんだよ!!」


 




 茶髪の髪の毛をパンク風に逆立てている、長身の女性がタラスクの子供の首に鋭い光を放つ巨大な鎌の刃を押し当てて、目の前のタラスクの女性に口汚くののしっていた。


 「どうか、どうか、子供の命だけはっ!!代わりに私を殺してください!!」

 

 「おかあさーーーんっ!!ダメだよ、死んじゃダメーーーッ!!」


 「・・・ちっ、いい加減にしろよ。こうなったら、親子仲良くあの世に送ってやるよっ!!」


 彼女は涙を流して、頭を地面にこすりつけて子供を助けてほしいと懇願するが、その態度が彼女の機嫌を悪化させていき、ついにその怒りが爆発した。


 鋭い切れ味を感じさせる大きな鎌を、頭上に振り上げて子供に向かって斬りかかろうと身構える。


 「やめろぉぉぉぉぉぉっ!!」


 どんっ!!


 「うおっ!?」


 僕は彼女の無防備となっている背中に体当たりをすると、そのまま彼女の前に回って泣いている子供を母親の元へと突き飛ばした。


 「早く逃げて!!」


 「は、はい!!」


 母親が子供の手を取り、抱き上げると震える足で何とか立ち上がって、よろけながらも走り去っていった。


 そして素早く彼女の手の腕を持ち、大きく上から前、前から下に回し、その勢いで相手の頭を下げさせる!!


 「はあああっ!!」


 頭が下がったときに、反対の掌で頭部を押さえ、回した腕をそのまま腕を垂直に立て、肩関節を極めて、前方に崩し投げる。彼女の身体を押さえつけて、身動きが取れないようにする。


 「君がこの村を襲った犯人だな、どういうつもりだ!!」


 「・・・へへへ・・・意外と強かったんだな。普段は大人しくてあまり目立たねえ感じだったのによ」


 女性が不敵な笑みを浮かべると、両脚を振り上げて、その反動で僕の腕を強引に振り払って拘束を解く。


 そして、その女性の姿を見た時、僕の心臓は思わず飛び出しそうになるほどの衝撃を受けた。






 彼女が着ている服は、僕と同じ学校の制服だった。


 そして、彼女の顏をよく見ると、話したことはないけど見覚えがある。






 「・・・鎌田かまたさん・・・?」


 「ようやく見つけたぜ、アタシたちを裏切った臆病者の梶斗真くんよ?」






 それは僕と同じく異世界に召喚されたクラスメートの一人で、鳳とよくつるんでいた仲間の一人【鎌田かまたみどり】だった。

 

出席番号 女子5番『鎌田みどり』

身長:170㎝ 3サイズ:84・59・85


セルマの施した強化実験によって一度死亡し、カマキリの特質を持つ魔物【エンプーサ】の能力を持つ【魔人】として復活した女性。鳳桐人の陣営に所属しており、生前は桐人が率いる不良グループの一人だった。常に気だるげな感じのクールビューティーな美少女だが、両親が離婚し、再婚した養父と母親から日常的に虐待を受けていたため、暖かい家族というものに飢えており、仲がよさそうな家族に対して強い殺意と嫉妬を感じている。


次回、斗真の第2のフォームが登場します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ