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第十九話「大地の槍兵、テウメッサ・ナイト~VS饕餮①~」

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!

新作が完成しましたので、投稿いたします!

今回は、のちの話に大きく関わってくるキーワードが出てきます。

 「行くぜ!先手必勝だっ!!」


 「・・・いざ参る!!お前たちが信じる信念、貫いてみせろ」


 大アネキが大剣を振るって火炎弾を放ち、ビビ姉が続いて、無数の氷の刃を放った。


 しかし、火炎弾も、氷の刃も、饕餮の甲冑にいとも簡単に弾かれた。


 「・・・私が作り出した土の鎧は、いかなる攻撃もはじき返す」


 「おいおい、かなり頑丈じゃねえか、あの甲冑・・・!」


 「・・・・・・面倒くさい」


 そこへ、ゴーレムが大きな腕を振り上げて、勢いよく殴りつけてくる。

 大アネキたちがかわすが、その動きは俊敏で、強烈な拳の一撃は地面を揺るがす。


 (そういえば、ゴーレムは身体のどこかに【真理】を意味する文字が刻まれていて、頭文字を削って【死】を意味する文字に変えれば、倒せると聞いたことがあるけど・・・!)


 グリゼルダさんから、魔物に関する勉強で教わった知識を引き出して、どこかに文字がないか、探してみたけど、見える場所にはなかった。


 それなら、コイツで、見抜いてみせる!


 僕は藍色の宝箱を取り出すと、ボタンを押して、起動させる!




 『闘衣召喚!テウメッサ!!』




 バックルに差し込み、鍵を回すと、ふたが開いて魔力を解放する!


 地面から土が盛り上がって、僕の身体を覆い尽くすと、僕の身体はまるでアラビアの踊り子さんのような、露出の多いドレスを身に纏い、頭には狐の耳、お尻からは狐の尻尾を生やした姿に変わる。皮膚も日焼けしたかのように、褐色の肌に変わっている。


 髪の毛が伸びたのか、背中まで伸ばした髪が、藍色の紐で縛られている。


 どうやら、オリヴィアさんの力を含んだ魔石で変身をすると、踊り子のような姿に変身するらしい。


 『大地の槍兵!テウメッサ・ナイト!・・・ドレスアップ!!』


 「ほう、それが魔法裁縫師の力か。その力、どれほどのものか、見せてもらおうか!」


 ゴーレムが殴りかかってくるが、僕は振り上げられた拳の動きを見切って、ゴーレムに向かって突進していく!


 振り下ろされた拳の上に飛び乗って、頭の上に向かうと、脳天に【真実】を意味する文字が刻まれているプレートがあった。


 オリヴィアさんと同じ、相手の弱点や急所を見抜く【心眼】のスキルを展開して、狐の魔物【テウメッサ】の能力を活かした高速移動能力で、一気に、相手の懐に入り込む!


 「はああああああっ!!」


 突き出した槍の刃が、文字を削り取り、【死】を意味する文字に変わると、ゴーレムの動きが止まった。そして、ゴーレムの身体に無数のひびが入り、大量の泥の塊となって崩れ落ちた。


 「・・・ほう、ゴーレムの倒し方も心得ているようだな。私が生み出したゴーレムが倒されるのは、何十年ぶりだろうな」


 饕餮が地面を足で踏みつけると、魔法陣が浮かび上がり、土が盛り上がって、見る見る巨大な人型のゴーレムが生み出されていく!


 材料の土さえあれば、いくらでも、ゴーレムを作り出すことが出来るのか!


 それなら、ゴーレムよりも先に、術者の饕餮を倒すのが先決だな。


 ゴーレムの拳が、まるで絨毯爆撃のように次々と繰り出される。

 しかし、僕だって毎日、大アネキたちに鍛えられてきたんだ。このぐらい、どうってことない!


 拳が振り下ろされる場所を予測して、ゴーレムの懐に潜り込み、そのまま駆け上がっていく。

 ゴーレムの頭の上を飛び移りながら、饕餮の前に降り立つと、そのまま槍を突き出した!


 「はあっ!!」


 「・・・ふっ!」


 饕餮が腕で、槍をはじいた。

 かなり固いぞ、この甲冑・・・!

 

 「・・・なるほど、先ほどの勇者たちよりは、はるかに身体能力も、瞬発力も上だな。だが、私も四凶の一人、そう簡単に首は取らせんよ」


 「・・・それなら、これでどうだ!!」


 僕は長槍に力を籠めると、槍の刃が藍色の光を放ち、刃の周りを渦巻きだす。

 そして、藍色の美しい超硬度の鉱石の刃を纏うと、そのまま、突撃する!!


 「心堅石穿しんけんせきせん!!土魔法・狐の(フォックス・)戦槍(ゲイル)!!」


 回転しながら繰り出した渾身の突きを、饕餮の急所に目掛けて放つ。

 饕餮は腕で防ぎ、両脚を踏ん張って、僕の攻撃を正面から受け止めた!!


 「・・・むううっ!!」


 饕餮が大きく腕を振り上げて、僕ごと、槍が弾き飛ばされた。

 饕餮の腕には、わずかだが、ひびが入っていた。


 本気で打ち込んだ一撃だったのに、これだけしか効いていないなんて・・・!!


 「・・・私の甲冑に傷をつけるとは、お前は本当に面白いな。なるほど、橈骨が武人として、興味を示すのが分かったよ」


 饕餮の気配が、変わった。


 先ほどのものとは比べ物にならないほどの、強く、圧倒される殺気。

 むき出しの刀のように、僕を本気で殺しにかかってくる意志が、身体中にビリビリと伝わってくる。


 「トーマ、気をつけろ!そいつ、何か、様子がヤバいぞ!?」


 「・・・私の秘術、受けてみるがいい。暴飲暴食・闇魔法、魔羊の魂喰い(ソウルイーター)!!」


 饕餮が右手の掌を開いて、僕に向かって突き出す。


 右手の掌に、美しくも狂気を感じさせる女性の生首のようなオーラが現れて、目を開き、口を大きく開くと、この世のものとは思えないようなおぞましい金切り声を上げた!!


 「ヤバい!トーマ、退けっ!!」


 大アネキが血相を変えて叫んだときには、もう遅かった。


 女性の顔が、おぞましいドクロに変わり、大きく開いた口から巨大な手が伸びて、僕の身体を掴んだ。


 身体の力がごっそりと持っていかれるような感覚の後に、ドクロが消えた。


 「・・・な、なんだ・・・!?身体が、すごく、重い・・・!?」


 さっきまで軽かった槍が、ものすごく重くなっている!?

 それに、身体が重く感じて、疲れが一気に出てきたような気がする・・・!


 「トーマ!おい、大丈夫か!?」


 「・・・・・・魔力をかなり、持っていかれている!」


 魔力を、奪われた?

 そうか、さっきのあれは、僕の魔力を奪ったのか!?

 それで、体力を強化していた魔法が無効化して、いつもよりも早く、身体が疲れているというのか。


 「・・・テメェ!!」


 「・・・・・・待って、団長。アイツの様子がおかしい」


 真っ赤な顔をして飛び出そうとした大アネキを、ビビ姉が止めた。


 その理由は、饕餮の様子がおかしかったからだ。






 「・・・ぐ、ぐぅっ、ぐああああああ・・・!?な、なんだ、この、上質の魔力はぁ・・・!?」






 饕餮が苦しそうに膝をついて、呼吸を荒くして、その場でうずくまっていたのだ。

 身体からは、虹色の光がいくつも放ち、今にも甲冑から爆発しそうに膨れ上がっている!


 というか、あの光って、もしかして、僕から奪った魔力じゃないか!?


 「・・・どうなっているんだよ?」


 「・・・・・・トーマの魔力を吸って、お腹が痛くなったとか?」


 僕の魔力は下剤か、腹下しの薬か何かか!?


 「・・・あり得ない・・・!!このような、全ての属性の魔力が、互いにぶつかり合うこともなく、美しく調和のハーモニーを奏でる、極上の魔力が、魂が、この世にあったなんて・・・!!身体に、染み込んでくるぅぅぅ・・・!!」


 そして、ついに耐え切れず、饕餮が叫んだ。




 「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーッ!!!」




 饕餮が叫ぶと、甲冑に無数のひびが入り、辺り一面に飛び散った!

 そして、黒い煙を噴き上げながら、饕餮の巨体に劇的な変化が起こり出した。


 鼻をつくような、腐り切った肉の匂い。

 そして、所々の骨が見え隠れしている、腐り切った茶色の肉が、ボコボコと膨れ上がる。


 「・・・アイツ、アンデッドだったのか!」


 「・・・・・・生前の記憶と理性を残したまま、アンデッド化する魔物というのは、珍しい」


 やがて、饕餮の身体から煙が噴き出し、見る見るその姿が見えなくなっていく。


 「グオオオオオオ・・・・・・!!グガァァァァァァ・・・!!」


 苦しそうなうめき声が何度も上がり、のたうち回りながら、饕餮の身体がどんどん・・・しぼんでいく。


 一体、どうなっているんだ?

 というか、僕の魔力を食って、こんなことになるなんて、どういうことなの!?


 やがて、煙が晴れていき、そこから、饕餮がゆっくりと姿を現した。






 「・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・、何という、上質の魔力よ。私の身体が、あともう少しで、破裂するかと思ったぞ。だが、何とか、耐えきったぞ・・・!!」






 「・・・え?」


 「・・・・・・は?」


 大アネキと、ビビ姉が、饕餮の姿を見て、目が点になって、口をポカーンと開いたまま、固まった。


 そして、僕自身も、饕餮の姿を見て、何が起こっているのか分からなかった。


 「・・・えーと、どちら様ですか?」


 「・・・随分と間抜けな質問だな。ついさっきまで戦っていた相手のことを、もう忘れるとはな。・・・うん?そういえば、さっきから、声がいつもよりも高いな?」


 そこで、ようやく、饕餮が自分の身体に起こった変化に気づいたようだ。


 自分の腕を見て、信じられないようなものを見ているかのように、固まっている。


 その腕は、腐り切った肉で覆われていたものではなく、健康的な色香さえ感じさせる、美しく日焼けした赤銅色の肌だった。


 「・・・この腕は、私の腕か?というか、これでは、まるで、人間だった時の腕みたいではないか!?」


 そこで、僕は、改めて今の饕餮の姿が、さっきとは全然違うことを証明するために、こっそりと近づき、手鏡を差し出した。


 「・・・あの、この、鏡を使ってください」


 「ああ、すまない。・・・ん?・・・誰だ、この女は?」


 「・・・饕餮さんです」


 鏡に映り込んでいたのは、紫色のおかっぱ頭に、神秘的な紫色の瞳を持つ、小柄で美しい顔立ちをした美少女だった。さらに言うと、彼女は、その、生まれたままの姿をしていた。


 顔立ちは幾分か幼くも、大人びた、ミステリアスな美しさと可愛らしさが同居しているような、小悪魔的な魅力を持っており、子供のような小柄な身体つきをしている。


 うん、僕がやるべきことは、もう一つだろう。


 シュババババババッ!←(僕が持っていた布で、彼女に服を作った音)


 バサッ!!←(出来上がった民族衣装風の服を着せた音)


 必殺、瞬間仕立て!!

 ハッキリ言って、あのまま女性を裸のままにしておくわけにはいかないからな!


 他にももっとやるべきことがあるだろうって?


 そんなこと、他に思いつけるかい!


 「これは、どういうことだ?どうして、私は生前の姿に戻っているのだ!?というか、私が【アンデッド】から【ワイト】に進化しているだと!?まさか、お前の魔力を吸ったことで、進化を果たしたうえに、生前の姿に戻ったというのか!?」


 生き返ったというわけではなく、腐り切っていた肉が、生前の人間の姿に戻ったということか。


 饕餮さんが僕の胸倉を掴んで、ガックンガックンと激しく揺らしながら、勢いよく質問を重ねる。彼女も何が起きているのか分からないせいか、血相を変えて、冷静さを失っていた。


 「ごめんなさい、ごめんなさい、本当にごめんなさい!!うっかり、裸を見てしまって、本当に申し訳ありませんでしたーーーーーーっ!!」


 「裸などいくらでも見ても構わぬわ!!お前の魔力を食ったから、こんなことになったというのか!?」


 「お、おそらく・・・!」


 「それに、お前の魂の中に見えた、()()は一体何だというのだ!?私の記憶が確かなら、お前は【魔王の器】の持ち主だというのか!?」


 魔王の器!?

 何だ、それは!?そんな禍々しい感じがするものなんて、全然知らんわい!!


 というか、僕なんて、平凡な一般市民Aがいいところじゃないか!

 魔王の器なんて、全然、そんなことはありませんから!


 「オッラァァァァァァッ!!」


 「・・・・・・トーマから、離れろ」


 大アネキが大剣を振るい、饕餮を突き飛ばすと、ビビ姉が僕を引っ張っていく。

 そして、饕餮は深呼吸をして、必死に冷静さを取り戻そうとしている。


 「・・・・・・どういう仕掛けで、そんなことになったのかは分からないけど、ロリ担当ヒロインの座は、誰にも渡さない。トーマを合法ロリの素晴らしさに目覚めさせるのは、私の使命だ」


 「そんな趣味に目覚めるつもりは、毛頭ないからね!?」


 「・・・・・・安心しろ。トーマを、いつ、どこの世に出しても恥ずかしくない、立派なロリコンに調教してみせる。そして、私以外の女になど、目もくれんようにしてあげる。クックック」


 騎士団のお縄に着くような、悲惨な末路でしかない。


 「・・・よく分からねえが、トーマから奪った魔力のせいで、そんな幼女の姿になっちまったってことか?だったら、奪った魔力を取り戻して、元のデカブツに戻してやるよ!」


 大アネキが大剣を身構えると、饕餮も冷静さを取り戻したのか、不敵な笑みを浮かべた。


 とにかく、今は、饕餮を倒すことに専念しなくては・・・!


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 饕餮と、斗真たちが戦っているその頃。


 【現世の彼岸】における、王の遺体が眠る棺が置かれた祭壇の間に、誰かが足を踏み入れた。


 「・・・饕餮将軍が戦っている間に、写本を作って、それを手に入れる。二段構えの作戦とは、窮奇将軍もなかなか考えましたね」


 それは、一度は倒し、スピタルで処刑されたはずの【渾沌】将軍だった。


 (私がこうして復活している姿を見たら、驚くことでしょうね。まあ、あの身体はあくまでも仮初めのものでしたし、魂が消滅しない限りは、何度でも再生できるんですよ)


 つまり、スピタルで、オリガと共に首をはねられた渾沌は、精巧につくられた人形同然のものだった。 ヴェロニカによって創り出された仮初めの身体は、ベアトリクスでさえも見抜けないほどに、本物とほとんど変わらないほどのものであった。


 そして、新しい肉体を手に入れた渾沌は、饕餮が戦っている間に、写本を完成させようとしていた。 

 

 しかし、そこで、ある誤算が起ころうとしていた。


 それは、彼女が復活したばかりで、任務のことばかりを考えていたために、普段していた、眼鏡をかけることを忘れていたことに。


 そして、彼女の裸眼は、ほとんど見えない【ド近眼】であったことを忘れていたこと。


 さらに、彼女は、肝心かなめの場面で、大きなポカをやらかすことがあることを忘れていたこと。


 その結果・・・。


 渾沌や、饕餮にとっても、最悪の展開が起きようとしていたことに、まだ、誰も気づいていなかった。

【悲報】饕餮、斗真の魔力を食ったせいで上級魔物【ワイト】に進化する。

【悲報】饕餮、おかっぱ頭に褐色肌のロリ系美少女の姿になる。

【悲報】死んだと思われていた渾沌復活、しかし、次回、とんでもないことをやらかす。


四凶の中でも頭がよく、知性派の彼女ですが、時折発生するドジっ子ぶりと、天然ボケ、そして近眼のせいで、ヴェロニカでさえも恐れていた最悪の失敗をやらかすことに・・・?


女性の裸に免疫がないために、混乱した斗真。

次回、落ち着きを取り戻して、饕餮に勝つことが出来るのか。


ちなみに、饕餮は本体のままで、任務に取り組んでおります。


次回もよろしくお願いいたします。


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