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第十二話「アムレット防衛戦②~竜の信念、岩をも斬る~」

いつも拙作を読んでいただき、ありがとうございます!

新作が書きあがりましたので、投稿いたします!!

 【桜視点】


 「お前たちごときに、我らが負けるものか!!お前たちの首、もらい受けるぞ!!」


 「・・・お前なんかに、くれてやるほど、私たちの首は安くないぞ」


 アイリスさんの左目が金色の光を放つと、上空に、無数の魔法陣が浮かび上がった。


 魔法陣からは、バチバチバチっと、巨大な稲妻が迸る。


 「私に向かって、その無礼な態度は実に許しがたい。我が電撃で、塵一つ残さずに、消えるがいい」


 魔法陣から次々と稲妻が落ちる。


 巨大な稲妻に飲み込まれて、マミーの集団が悲鳴を上げる間もなく、光の中へと消えていく。


 「私の前に立ちはだかるとは、実におこがましい。その罪は、万死に値する」


 う、うわ・・・。


 トーマが言っていたけど、実際に目の当たりにすると、アイリスさんの【傲慢】が発動している時って、ものすごく偉そうな性格になるんだな。


 「ひ、怯むな!!所詮、相手は4人!!こっちはその数十倍はいるのだ!!我らが負ける理由など、ない!!」


 「・・・・・・負けるとかどうとか、そういうことを言っているうちは、まだ甘いよ」


 ビビアナさんが、容赦なく巨大な拳でマミーの頭部を殴り飛ばし、サンドドラゴンに冷気を浴びせて、氷漬けにすると、ハンマーを大きく振り上げた。


 「・・・・・・負けたら死ぬ。負けと、死は、全然違う。負けとか、戦場で平気で口にしているヤツは・・・まだまだアマチュアだよ」


 ハンマーで、マンティコアの頭部を粉砕し、血しぶきを浴びながら、淡々とビビアナさんはパワードスーツを操縦して、容赦なく魔物たちの命を刈り取っていく。


 彼女の【怠惰】も、戦場においては相手に一切同情することなく、哀れみも、怒りも、苛立ちも感じない。興味を抱くことさえも面倒くさいと言い切って、葬り去る。


 この人たちにとっては、戦いで勝つこととは生きること。

 負けることは、死ぬこと。


 それ以外の何物でもない。


 意気込むわけでもなく、ただ、それだけのことだと思っているから、彼女たちは、常に、自分自身の感情を完全に掌握することが出来る。苛立ちも、悲しみも、怒りも、殺意さえも、全て「力」に変えて戦う。


 だからこそ、彼女たちは、最凶最悪の名を欲しいままにすることが出来る。


 「勝って」当たり前。

 「負けたら」死ぬ。


 生きる事こそが、彼女たちが、勝ち続けてきた証なのだから。


 「お、お、おのれぇぇぇぇぇぇっ!!クズが、甘く見るなぁぁぁぁぁぁっ!!」


 部隊を取り仕切っているサソリと人間の女性が合体したかのような魔物が、地面に浮かび上がった魔法陣に手をかざすと、大量の砂が舞い上がり、巨大な人型の姿へと変わっていく。


 「どうだ、これが、私の【サンドゴーレム】だ!!お前たちなど、コイツで、踏みつぶしてやる!!」


 サンドゴーレムが、太い腕をゆっくりと持ち上げると、俺たちは後ろに素早く下がった。


 ゴーレムの拳が振り下ろされて、地面を殴りつけた。


 殴りつけた場所には、大きな拳の跡がめり込んでおり、巻き込まれた大岩が粉々に吹き飛ばされている。


 「どうだい、サクラ」


 「パワーと頑丈さはいいけど、スピードはいまいち。ていうか、術者のアイツが未熟なのか、ゴーレムの動きに、大振りが目立つ。力任せだけを頼りにしている、でくの坊ってところか」


 ああいうヤツは、何人も、見てきた。


 単純明快の単細胞、とにかく相手を力任せに叩き潰すことしか考えていない、イノシシみたいなヤツだ。


 「・・・一気に決めるぜ」


 「ふふふ、了解!」


 ヴィルヘルミーナがカットラスを構えて、いつでも飛び出せるように身構える。


 そして、合図もなしで、同時に・・・!


 


 「行くぞ!」「おうっ!」




 サンドゴーレムが大きく腕を振り上げた瞬間、同時に地面を蹴り飛ばす!


 ゴーレムの腕の上に飛び乗り、全身の力を込めて放ったパンチの勢いを利用する。


 拳が地面にめり込み、砂埃が舞い上がっても、狙うはゴーレムの頭部!!


 「何っ!?」


 「合体奥義!」

 

 「「疾・風・怒・濤------っ!!!」」


 ゴーレムの超硬度を誇る首を、同時に、挟み込むようにして・・・斬る!!


 光を放つ刀と、カットラスが、ゴーレムの首にめり込み、一気に振り抜く!!





 「ゴーレムの首を、刀で斬っただと!?」


 「・・・・・・なかなかやるね」


 「そ、そ、そんなぁぁぁぁぁぁっ!!私の、ゴーレムがぁぁぁぁぁぁっ!?」




 勝つことがあくまでも、最低条件というならば。


 刀で、岩や鋼、ゴーレムのような超硬度の鉱石を斬る事が出来るようにならなかったら。


 斗真に対する償いなんて、出来ないよな?


 アイツらに誓った約束を果たすことなんて、出来ないよな?




 (あいつらに、誓ったんだ)


 (この先、何年、何十年、時が経ったとしても)


 (俺が斗真にやったことは、俺自身が、一生、許せないことなんだ)


 (だから、俺の人生の全てをかけて、アイツに償い続ける)


 (そして、お前らが、そばで見てくれているのならば)


 


 もう二度と、大事な仲間や家族を、失わない。


 失いたくないから、強くなる。


 強くなってみせる・・・!!



 

 ゴーレムの首が胴体と切り離されて、バランスを失い、後ろによろめいて、ゆっくりと倒れていく。


 「ひっ!!く、く、来るなぁぁぁぁぁぁっ!!いやぁぁぁぁぁぁ・・・!!」


 ズゥゥゥゥゥゥン・・・・!!


 サソリ女の悲鳴も虚しく飲み込まれて、彼女の身体が、砂の巨人に押しつぶされた。


 「・・・ありがとう、合わせてくれて。息もピッタリだった」


 「ふふっ、君のためなら、身体を張ると言うのも悪くはないねえ。・・・もちろん、夜の方も、熱く、激しく、甘く蕩けるようなダンスを一緒に踊っていただこうかな♥」


 ゴーレムを斬り、地面に向かって降りていく中で、ヴィルヘルミーナが俺に、妖艶な色香に満ちた微笑みを浮かべる。


 ああ、もう、その笑顔が、俺の心をどこまでも魅了する。

 俺の顔が赤く火照って、熱くなっていくのが分かるよ。

 そして、俺はこの人には、きっとこの先も、敵うことはないのだろうな。


 


 そして、浮かび上がったままのゴーレムの首に向かって、ビビアナさんが飛び上がり、俺たちとすれ違った。


 「えっ、ビビちゃん?何をするつもりだい?」


 「・・・・・・国王と側室に、一泡吹かせてやる」


 「・・・はあっ!?」


 ちょっと待て、なんだか、すごく嫌な予感がするんだけど!?


 


 「これでも喰らえ、ボケ国王・・・!!」




 ドカーーーーーーン!!


 パワードスーツを巧みに操作して、巨大な脚を思い切り振りかぶり、ゴーレムの頭部を思い切り蹴り飛ばした!!決まった!ビビアナさんの渾身のシュートォォォッ!!


 ていうか、そっちの方向にあるのって、アムレットじゃないかっ!?


 ああ、ゴーレムの首が、アムレットの王宮に向かって、まるで流れ星のように飛んでいくーーーっ!!


 「・・・・・・これで、少しはスッキリした」


 ビビアナさんは、全然悪びれる様子もなく、気分爽快と言ったような、さっぱりとしたいい顔つきになっていた。俺たちは、そんなビビアナさんの大暴走を目の当たりにして、その場で凍り付いていた。


 そして、アイリスさんは何とも言えない表情になって、深くため息をついた。


 彼女の左目の驚異的な視力で、飛んでいったゴーレムの頭部がどうなったのか、その末路が分かったらしい。遠視の魔法を使わなくても【傲慢の紋章】を使用している間は、同じように、遠くのものも見通すことが出来ると言っていた。


 「・・・アムレットの王宮の、王の寝室に、直撃したぞ・・・」


 「・・・・・・イエーイ、完璧なストライクど真ん中」


 オイィィィィィッ、マジかよっ!!

 つーか、何てことをしやがったんだ、この人は!?

 もしこのことがバレたら、俺たち、間違いなく極刑じゃねーか!!


 「ど、どうなっているんだい?」


 「・・・ククク、裸の国王と側室が、慌てふためいて、腰を抜かして騒いでいるぞ。どうやら、お楽しみだったようだな。甘い蜜月のひと時から、地獄に落ちたか。いいザマだ」


 遠視の魔法で、アムレットの王宮を見ると、ゴーレムの頭が、王宮の壁を突き破っていた。

 そして、壁を突き破ったゴーレムの首が床にめり込み、大きな天蓋付きのベッドがひっくり返って、素っ裸の国王と、生まれたままの姿の側室が、真っ青な顔で震えて、気が狂ったように叫んでいた。


 国王は、口から泡を吹いて、股間の下着にはシミが出来ていた。

 あーあー、側室も、国王の無様な姿を見て、ドン引きしているよ。

 まあ、全裸の上からシーツでくるまっているアンタの姿も、負けず劣らず滑稽なんだけどな。


 王妃や王女に冤罪を仕掛けて、国王と一夜を過ごすなど、まともな感覚の持ち主ではない。

 騒ぎを聞きつけて、王の部屋に駆けつけてきた兵士たちに、軽蔑のまなざしや冷たい視線を浴びることは、間違いないだろうな。


 「・・・これ、さすがに、まずくないか・・・?」


 「何を言うのだ。アムレットに進撃しようとしていた魔物たちを全滅させたのだから、感謝されこそ、私たちが非難を浴びる理由などないだろうよ」


 「いやいやいや!!だって、これは・・・!!」


 「事故、だろう?そういうことでいいのだ。・・・トーマを誘拐するようなヤツに、慈悲などあるものか。私たちはアムレットを守るために戦い、その戦いの流れ弾が、たまたま、王宮に飛んでいっただけのことだ」


 「・・・・・・アイリス、今日の貴方は話が分かる」


 「フッ、私がいつ、トーマを連れていかれたことに、腹が立っていないと錯覚したのだ?」


 そう言って、アイリスさんとビビアナさんが、手を取り合って、固く握りしめる。


 この人たち、あくまでも、この騒ぎは、さっきのサソリ女が仕組んだこととして、処理するつもりだ。


 まあ、アムレットに攻め込もうとしていたことは、一応、映像を録画しておいたわけだから、これを証拠として突き出せば、ゴーレムの首を飛ばしたのは、サソリ女の仕業として押し付けることもできるだろうけどな?(当然、ビビアナさんが、ゴーレムの首を蹴り飛ばした時の映像は録画していなかった)


 「・・・あっちゃー、いつもはストッパーのグリゼルダ君がいないから、二人とも、無茶やらかしちゃって、もう!」


 「・・・これって、相当、まずいよな」


 「・・・うーん、まあ、他の国だったらまずいけど、アムレットなら、これを利用して、国王たちを追い詰めることは出来るかもしれないけどね」


 「どういうこと?」


 「・・・アムレットってね、占星術師や占い師を育て上げることに力を入れている国で、スピリチュアルな言い伝えを本気で信じているところがある国なんだ。つまりさ、王宮の王の部屋に、いきなり得体のしれない、ゴーレムの首が飛んできたなんてことになると、国王や側室に対する何らかの祟りではないかと言い出す輩も出てくるだろうということさ」


 「それで、その真偽を確かめるために、国王と側室のことを調べようとする輩が現れるってことか。全く、前の世界も、この世界も、大物のゴシップは、みんな大好きってわけかい」


 「まあ、ビビちゃんは感情に任せてやったんだろうけど、これを利用すれば、アムレット国王を追い詰める一手としては使えるだろうさ」


 その時だった。


 通信機に、連絡が入った。


 それは、斗真からだった。


 「はい、こちら、桜。斗真、どうかしたのか?」


 俺が尋ねると、通信機の向こうから、思わずゾッとするような冷たくて低い、怒りを孕んだ声が聞こえてきた。




 『・・・桜、そっちが片付いたら、ちょっと、害虫駆除、一緒にやらない?』





 ヤバい、斗真が、完全にブチ切れている!?

 というか、お前、一体何があったんだ!?

ゴーレムの頭部を、王宮に投げつけて、国王たちをビビらせた。

→「全て、アムレットを襲撃しようとしていた、魔物たちの仕業です。私たちは、悪くない」


ビビアナと、普段なら止める立場のアイリスも、アムレットには容赦がありません。

死人が出ないように、ドッキリで済ませようと考えながら、瞬時に行動に移すビビアナは、意外と行動派なところがあります。


そして、ラストで斗真が激怒していた理由は、次回明らかになります!


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!

次回は、ピラミッドの中の探索となります!


グリゼルダが次回、大暴走・・・?

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